才能を捨てた天才と夢を追い続ける幼なじみ 作:RUKA1235
5話にしてついに原作主人公が登場!
今週中に今のところ決まっている設定をまとめて投稿しようかな?作者のメモ用になるんだけど
ポスッ
「おー! 見たか、匡! 俺の見事なレイアップを!」
「適当に投げたのがボードに当たって、たまたま入っただけじゃん」
季節は冬。新しい年を迎え、少し落ち着いた2月。新年度のことを考え始める時期だ。
「そんなこと言うなら、匡はできるのかよ!」
「……」
シュパッ
「なんと綺麗なレイアップ……」
「バドミントン馬鹿の大喜とは違うんだよ」
「何だよ、バドミントン馬鹿って!」
「大喜をそのまま表した言葉」
「くそぉ……どこか納得している自分がいる……」
中学卒業が近づき、残り少ない体育の授業でバスケを楽しむ2人。
猪股大喜と笠原匡。バドミントン部に所属し、英明中等部から高等部に進学することが決まっている。
「……あんなに不細工なレイアップ、初めて見たよ」
「もう言わないで! 恥ずかしいから!」
キーンコーンカーンコーン
チャイムが鳴り、授業終了。
「大喜ー! 匡くん!」
体育館から出た2人に、クラスメイトで新体操部所属の蝶野雛が声をかけてきた。
「どうしたんだよ、雛」
大喜が尋ねると、雛はニヤニヤしながら言った。
「大喜、さっきはすごかったね! あんな華麗なレイアップシュート、見たことないよ~」
「み、見てたのか……!」
「しっかりと見てたよ! シュートを決めた後のドヤ顔と、匡くんが決めた後の絶望の顔もね!」
「や、やめてくれー……」
そんなふうに3人で話しながら歩いていると、雛の視線がある人物に向いた。
「あっ、奏くんだ」
「奏?」
「ほら、あそこ。先輩と話してる。……多分、告白だろうねー」
「こ、告白!? ってか、なんで雛がそれを知ってるんだよ。俺、その奏? って人、知らないんだけど」
大喜にとっては、クラスメイトになったこともなく、あまり身長も大きくなく、見た目も少しチャラそうなため恐らく記憶にない人物だった。
雛も面識があるようには見えないのに、なぜ知っているのか――そう思い、聞いてみると、匡と雛は揃ってため息をついた。
「大喜って本当にバドミントン馬鹿だな」
「本当だよね。まさか奏くんのことも知らないなんて」
「え? 知らないだけで、そんなにおかしい?」
「おかしいだろ。月城奏といえば、この栄明で知らない人はいないほどの有名人。女子バスケ部の鹿野千夏先輩と並んでな」
「ち、千夏先輩と!?」
毎日の朝練で必ず顔を合わせる、気になっている千夏先輩。
彼女の知名度の高さは知っていたが、それに匹敵するほど有名な奏に驚いた。
「さすがの大喜でも、千夏先輩は知ってるんだね。けど、多分奏くんのほうが有名だよ」
「え!?」
「奏は、一昨年の夏のバスケ部全国制覇の立役者だし、世代別の日本代表にも選ばれてるから、校内だけじゃなくてファンもいるくらい人気なんだ」
「それに、あのルックスだからね。色んな女子から告白されてるって聞くし」
「へ、へぇ~……2人とも、よく知ってるな……」
「普通に有名だからな。それに、俺は去年、奏と同じ委員会だったし、そこから仲良くなった」
「私は今年委員会一緒だよ。……でも、奏くんは2年のときにバスケ部を辞めちゃったからね。それ以来、授業でもバスケはやらないらしいよ」
「日本代表まで行ってたのに辞めたの!?」
「そう。だから謎なんだよ」
「……けど、それを知らないのが大喜っぽいよね」
「またバカにしてるだろ!」
笑いながら3人は歩いていたが、大喜の頭には、ある疑問が浮かんでいた。
(さっきは見たことないと思ったけど……どこかで見たことあるような気もしてきた……)
「前から好きでした! 付き合ってください!」
「……すいません。あなたのことをあまり知らなくて……それで付き合うのはちょっと無理です」
知らない先輩に呼び出されたと思ったら、体育館裏で告白された奏。
バスケ部を辞めて約1年――辞める前は月に1回あるかどうかだった告白が、辞めてからは週に1回、最近では2日に1回のペースで呼び出されている。
そのため、休み時間のどこかが削られたり、放課後に残ることが多くなっていた。
告白を断り、次の休み時間はどこかに隠れようかと思いながら教室に向かって歩いていると――
「奏くんじゃん! 久しぶり!」
「渚さん」
階段付近で、千夏の友人で女子バスケ部の渚と鉢合わせた。
奏と渚は、千夏を通じて知り合い、会えば話す程度の関係だ。
「渚さんは何してんの? 告白でもされたの?」
「違うわ! 購買に行ってただけ。……そっちは、また告白? モテるねー」
「今月7回目。どんだけ断ったって、受け入れないって分からないものなのかねぇ?」
「自分ならいけるって思ってるんだよ。さっきの子も、可愛いって噂の先輩だったけど」
「嫌だよ。あんな派手で、自分のこと好きそうな子は無理。渚さんも分かるでしょ?」
「あー、確かに。奏くん、そのタイプ嫌いそうだもんね」
「マジで嫌い」
そんな話をしながら、渚の教室があるフロアを歩いていると――
「次、移動教室だよ渚。早く準備しな……い……と」
「……あ、ナツ」
曲がり角から千夏が現れ、奏と鉢合わせた。
「……」
「……それじゃあ、渚さんまた」
奏はそっけなくそう言い、自分の教室へと歩いていく。
「……」
「……まだ話せてないの?」
「……うん。たまにすれ違うけど、今みたいになっちゃう……」
「……そっか」
(奏くんが辞めてから、ほとんど話せてないって聞いてたけど……奏くんも大概だけど、千夏もちょっとあるのか……)
クラスは大喜 匡 雛は同じクラス 2年の時は勇人と奏は同じクラス 3年になったら別になった
千夏は渚と同じクラス