才能を捨てた天才と夢を追い続ける幼なじみ 作:RUKA1235
「この前、花恋ちゃんと久しぶりに会ったよ」
「へー、何話したの?」
「ほぼ針生くんとの仲の話。最初は聞いてただけなんだけど、途中から完全に惚気タイム突入してさ。『この前健吾にこれ買ってもらったんだー、いいでしょ』ってプレゼント見せつけられたし、『2人で遊園地に行った写真見てよ!』ってニヤニヤしながらスマホ差し出してきた」
「…花恋って昔から奏には針生くんとのことよく話すよね? 私に聞くと『そんなこともあったの!?』って奏から後で聞くこともあるし」
「異性だから言えることもあるんじゃない? でもめっっっちゃめんどくさいんだよ。喧嘩したらしたで、花恋ちゃんと針生くん両方から『どう思う?』って連絡くるし、仲直りしたらしたで『やっぱり健吾最高♡』ってイチャイチャ見せつけられるし。俺が今までどんだけ苦労してきたか…」
「でもさ、奏って結局2人の喧嘩を本気で心配して、仲直りするように動いてるじゃん?」
「それは当然だよ。なんだかんだ言って、あの2人が幸せなら俺も楽だし」
奏はそう言って、優しく笑った。
「…そういうとこ、奏と花恋は似てるね」
「は!? やめろ! あのわがまま大魔王と一緒にしないでくれ! 考えただけで震えが止まんない!」
「ふーん、花恋に言っちゃおうかな~?」
「そ、それだけはやめて! バレたら大変なことになる!」
「うーん、どうしようかな~?」
約1年ぶりの会話は最初こそぎこちなかったが、幼馴染の2人がスムーズに話せるようになるのは時間の問題だった。端から見れば、1年のブランクなんて感じられないほど自然なやりとりだった。
「久しぶりの2人での会話はどうだった? ちー」
「…針生くん」
校舎に用事があった奏と別れて練習の千夏の前に現れたのは、バドミントン部所属で、千夏と奏とは小学生時代からの付き合い、そして千夏の親友・守屋花恋の彼氏である針生健吾だった。
「今日は女バスの練習が遅いのは知ってたけど、まさか奏と一緒にいるとは思わなかったし、しかもめっちゃ仲良さそうに話しててビックリしたよ」
「私もビックリしたよ。まさか奏とまたあんな風に喋れるなんて」
「いや~、久々にツーショット見たけど、お二人さんお似合いでしたね~?」
「……」
「昔から言ってるけど、このまま付き合ったら…」
「…針生くん」
「…はい」
「それ以上言うなら、例の件、花恋に言うけど?」
「す、すみません…」
奏が千夏と花恋には基本的に逆らえないように、針生もまた千夏と花恋の前では立場が下だった。
「で、どうだった? 久しぶりの奏との会話」
「…なんか、一瞬だけ昔に戻れた気がした。奏と一緒にバスケしてた時に」
千夏はそう言って、少し笑った。
針生にとっても、奏がバスケを辞めたのは衝撃だった。あれだけの才能があり、努力していた奏が突然辞めるなんて、到底信じられなかった。
そして何より、あの話を聞いた時に真っ先に思い浮かんだのは千夏だった。
納得してると思っていた。けど――最初に女バスと練習が被った日、針生が見たのは、納得なんかしていない、どこか悲しげな千夏の姿だった。
「…奏は戻ってこないのか?」
「……」
千夏は少し考えてから、ポツリと呟いた。
「…1年間いろいろ考えたけど、やっぱり奏が辞めた理由がわからない。本人に聞いても答えてくれないし。だからこっちで答えを見つけて、悩みを解決できたら…もしかしたら戻ってくるかもしれない」
「……それはまた難しいな。でも、それができるのはちーだけだよ」
「…うん。私も、もう一度奏とバスケしたいから。なんとかしてみる」
ご覧頂きありがとうございます。もし面白いと思われたらお気に入り 感想 評価お願いします!
次かその次に設定を出そうかなって考えてます