影に、陽奈多に 彼の知らない物語   作:Maruwell

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メインがつまった時にちまちま書いてるやつ


第1話

『プレイヤー諸君、私の世界へようこそ』

 

『私の名前は茅場晶彦。今やこの世界をコントロールできる唯一の人間だ』

 

『プレイヤー諸君は、すでにメインメニューからログアウトボタンが消滅………』

 

 

 

 

 

えー、皆さん初めまして。俺の名前は柊陽奈多といいます。

突然ですが、どうやら俺は転生したようです。

何言ってるのかわからないって?大丈夫だ、俺もわからない。

 

なんで転生してるって気づいたのかっていうと、今俺の目の前でとんでもない演説をかましてくれてやがる赤フードの顔無しアバターを見たからだ。

こいつは、俺の世界ではラノベの中のキャラクターのはずなんだよ。

「ソードアート・オンライン」

VRMMOでHPは全損すると現実でも死ぬデスゲームと化した世界の話。

主人公のキリトやその仲間たちが、力を合わせてゲームをクリアする、みたいな感じの小説のはずなんだけど、何故かその冒頭の場面と全く同じ状況に居合わせている。

そのおかげで今の状況が転生だってわかったんだ。

 

茅場の話を聞いてる限りじゃ、俺の覚えている原作の内容との違いはないみたいだから、とりあえずしばらくは、原作知識を頼りに生きていけると思う。

でも俺の場合はどうなるんだ?

SAOに参加してるってことは、現実の方にナーブギアを被った俺がベッドで寝てるはずなんだけど、気がついたらいきなりここにいたからな…

俺の体ってあるのかな?

これでデータだけの存在でしたとか、洒落にならないぞ…

原作でSAOは、75層で茅場が倒されたあとに消去される。

つまり、もし俺がデータのみの存在だった場合、そこで一緒に消去されちまうってことだ。

 

まぁ確認のしようもないから、とりあえず現実に俺の体があると仮定して動くしかないんだけどな。

 

 

『………その瞬間、生き残ったプレイヤー全員が安全にログアウトされることを保証しよう』

 

 

お、どうやらもうすぐチュートリアルが終わるみたいだ。

このあとプレイヤーの姿が現実世界と同じにされて、多くのプレイヤーが出してくれとかって騒ぐんだよな。

そんなことしても無駄なのはわかりきってるはずなのに…

まぁ人間誰しも、理不尽なことに巻き込まれたりするとああなっちまうんだろうな。

 

ん?なんで俺がこんなに冷静なのかって?

いきなりの転生だって理不尽なことだろうってか?

まぁそうなんだけど、なんでだろうな?

俺自身が気づいてないくらい混乱してて逆に冷静になれてるとかそんな感じなんじゃないか?

実際どうしようもないことだし、というかどうすればいいのかわからない。

神様にあったわけでもないから、文句を言ったり頼み事したりする相手もいないしな。

 

そんなだからとりあえず冷静でいられている間に、この世界を生き抜くための行動を始めようと思う。

原作でキリトがやっていた行動を真似て行動すれば、間違いではないだろう。

まずは初期装備を売って新しい装備を整えてから、フィールドに出てMob相手にソードスキルの練習かな?

それでソードスキルに慣れるのと同時にレベル上げをして、そこそこ上がったら次の、確か《ホルンカ》の村だっけ?に行って、クエストでアニールブレードを手に入れて…。

 

あれ?これって俺、キリトの代わりとかにはならないよな?

出発遅いし、ベータやってないし大丈夫だろうとは思うけど。

ってかキリト達原作メンバーはちゃんとこの世界にいるのか?

そこを早いうちに確認しておかないと、この世界がクリアされるのがいつになるのかもわからなくなる。それどころか、俺の原作知識が全くの役たたずになる可能性も出てくるわけだ。

それはまずい、かなりまずい。

それだと俺が生き抜ける可能性が確実に下がるからな。

原作知識が使えるなら、最悪キリト達に全て押し付ければ俺が死ぬことはないだろう。

できればそっちのほうがありがたいんだけどな。

苦労せず、さりとてバッドエンドにはならない、っていうのが理想。

 

まぁ黒猫団のことだとか原作を変えたい部分もあるけど、それは状況を見て介入するかしないか決めていけばいい。

無理して死にましたっていうのだけは無いようにしないとな。

 

 

『それでは最後に、諸君のアイテムストレージに、私からのプレゼントを用意してある。確認してくれたまえ』

 

 

おっと、考え込んでる間に話がどんどん進んじまうな…

とりあえず周りに合わせて、俺もプレゼントとやらを出してみますか。まぁただの鏡なんだけど。

あ、俺の名前”hina”、ヒナか…

なんか女の子っぽい名前だなおい。

リアルネームが陽奈多だから、そういう名前のつけ方も間違ってはないのかもしれないけど…

そうは言っても、男としてはちょっと恥ずかしい気がしないでもないんだ。

誰だよ、この名前つけた奴は…

まぁいいや、どうせもう変えられないんだし諦めよう…

 

さてさて、俺のアバターはどんなのかなーっと…おうふ、誰だこのイケメンは…?

アバター超かっこいいっすね、俺。

こっちも同じく俺が作ったわけじゃないから、気にしない。どうせ直ぐに変わるしな。

さてそろそろピカッと眩しいのが…!?うおっ!!予想はしてたけど結構眩しいなこれ!!

自分が光るのもだけど、周りが光ってるのが眩しくて仕方ない。

すぐ収まるだろうから我慢するしかないな。

 

 

 

うわぁ…ある意味壮観だわこれ。いや、混沌かな?

女の装備した男がわんさかいやがる。

ネカマ万歳だったんだな、SAOって…。ここだけは、茅場グッジョブ!

 

っと、それよりも俺がどう変わったのか見ておかないとな。

転生前の俺の姿になっててくれてると嬉しいんだけ、ど…!?

こ、れは、ど、どういうことだ?

なんで、なんで女になってんだあああぁぁぁぁぁ!??

ちょ、えっ?マジでぇ!?

あ!確か性別もステータスで確認できたはず!!

 

 

………はぁ、良かったぁ。ちゃんと性別”male”になってたよ。

俺はネカマなんかじゃなかった、いや違う、そこじゃない。

じゃあなんだ?俺の現実世界の見た目って、これなのか…?

髪が黒くなった某セレブ高校の生徒会長って言えばなんとなくイメージ沸くか?

まぁともかくそんな感じの見た目なんだよ。

なんでだよ、普通に転生前の俺でいいじゃんか!

せめて変えるにしても男に見えるようにはしてほしかった…!

いやまぁ、今の見た目も美少年に見えなくもないかもしれないけどさぁ…

女に見えちゃアカンて、俺の精神ダメージ的な問題で。

 

俺をこの世界に転生させた奴は絶対許さねぇ!

なんでよりによってこんな見た目にしてくれやがった。

名前と合わさって、もう髪が黒いだけのあの生徒会長さんにしか見えないじゃないか!!

あぁ、やばい、やっぱ引きこもろうかな…?

この容姿だと下手したらナンパされるだろ?

もちろん男から。もちろん、男から!

大事なことなので2回言った。

ともかくそんなのは絶対にごめんだ。なんとかする方法を見つけないとな…。

それまではアスナが着てたローブを着ておくとするか。

 

あはは…、なんだかんだ言ってたけど、俺もほかの奴らと同じように取り乱しちまったな。

これのどこが冷静なんだか。さっきまで傍観者ズラしてたくせに、カッコ悪いったらありゃしねぇ…

 

 

『そして今、全ては達成せしめられた。以上でソードアートオンライン正式サービスのチュートリアルを終了する。プレイヤー諸君の健闘を祈る』

 

 

終わったか。

さて、皆さんが爆発する前にここから離れておきましょうかね。

キリトとクラインの密会現場も見たいところだしな。早めに動いておかないと見つけられなくなりそうだし。

 

おっ!路地に入っていく人影みっけ!

このタイミングならキリトとクラインで間違いないだろう。

そうと分かれば全力ダッシュだ!!

 

 

 

 

 

「よく聞きな、私はすぐに次の村へ向かう。だからエギル、あんたも一緒に来な」

 

「ふむ………」

 

「あのローブの言葉が全部本当なら、この世界で生き残るためにはともかく強くならなきゃいけないだろ?だけどこの近くのMobどもはすぐに狩り尽くされちまうだろうから、今のうちに次の村に移動しておいたほうがいいんだ。そして、私ならそこまで安全に行くことができる。な?だから一緒に来な」

 

「そうか、確かにその話もわかるんだがな………」

 

 

あるぇ?あの赤いバンダナ巻いてる女の人誰?なんでキリトとクラインが話してるはずのところに女の人がいるんだ?

ってかその前に「エギル」って呼んでたよな!?

ってことはなんだ?女の人とエギルのやり取り覗いてんの、俺?

え?何?何が起こってるの!?

ここってSAOの世界ですよね!?

なんでキリトとクラインじゃないんだよおぉぉぉ!!?

 

はぁ…でもなぁ、このやりとりってところどころ違うけど、それでもキリトとクラインが話してたのと内容が同じなんだよな…

っあああ!!よくわからん!

とりあえず最後まで聞いてやる!いろいろ考えるのはそれからだ!!

 

 

「俺は、他のゲームで組んでいた仲間と徹夜で並んでSAOを買った。そいつらも、今あの広場のどこかにいるはずなんだ。仲間を置いて俺だけ行くわけには行かないな」

 

「そうかい…。あんた1人だけなら確実に守れる自信はあるんだけどねぇ。他にもいるとなると、ベータ出身の私でもさすがに無理だよ。悪いね、エギル」

 

「いや、謝るのは俺の方だ。これ以上あんたに迷惑をかけるわけにはいかないよな。だからあんたも俺のことは気にしないで次の街に行ってくれ。何、俺も前にやってたゲームじゃあギルドマスターをしていたんだ。あんたに教わったテクで何とかしてみせるさ」

 

「ああ、わかったよ!ならここで一旦お別れだね。何かあったらいつでも連絡しな。すぐに飛んでいくからさ」

 

「ああ、そのときは遠慮なく頼らせてもらうよ」

 

「じゃあな、エギル!またどこかでな!」

 

「クライン!」

 

「ん?まだなんかあったかい?」

 

「あんた、俺のかみさんと同じくらいいい女だよ!」

 

「あっはっはっは!!そりゃどうも!あんたもこんな状況でも仲間を見捨てないなんて、すっげーいい男だよ!」

 

 

………

「クライン」って呼んでたんだけど…

今エギルが赤バンダナの女の人のことを「クライン」って呼んでたんですけど!?

そっか~、やっぱりあの人がクラインだったのか~。

確かにあの赤バンダナ、どっかで見覚えがあるって思ってたんだよなぁ…

 

 

なんでだよ!!なんでクラインが女なんだよぉ!!?

おかしいだろ、いろいろと!

これじゃあ俺の原作知識が役に立つのかどうかわからないじゃないか!!

マジかよ…、SAOの世界なのは間違いないんだろうけど、俺の知っている話と全然違うじゃねえか。

これからどうなっちまうんだ?頼むからクリアがされる方向に進んでくれよ…

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