水魔法ぐらいしか取り柄がないけど現代知識があれば充分だよね?   作:mono-zo

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第186話 ある……。

 

靄が消えて、私のもとに精霊が戻ってきた。褒めて褒めてと言う気持ちが伝わってくるが、それはそれとして彼ら同士で何やら話し合ってるようである。

 

あれが何だったのか聞きたいが、この謎存在たちとはあまり意思疎通が出来ない。なら先に敵兵を完全に降伏させるほうが大切である。

 

 

「<降伏して下さい!無為に殺したくありません!!>」

 

 

魔力を声に乗せて降伏を促す。ついでに水で百メートルを超えるフリムちゃんを出して威嚇しておこう。もうこれで終わって欲しい。あの靄は敵にとってもイレギュラーのようだがもしも何人もあんな状態になれば、もう手加減なんか出来ない。

 

……脳筋のように力でねじ伏せているが、それでもこれがおそらく人の死が少ない、私に出来る方法だ。

 

もしも断るというのなら、もう、やるしかない。

 

 

「こ、降伏する!皆武器をおけ!!」

 

 

敵の中でも偉そうな人が巨大フリムちゃんを見て武器を置くよう指示を出してくれた。

 

ジュリオンは何百メートルも殴り飛ばされ、アモスは握りつぶされたが普通に動けている。むしろ怪我をして血を流したからか殺気が凄い。炎を吹きそうだし液体酸素をかけた辺りを水で流しておく。液体酸素の温度差から煙がすごくて危なそうである。

 

海中で待機していた海の種族の人たちが渦潮で捕縛した敵兵を引き上げてくる。海に落ちるだけでも兵士は戦えなくなるとも思ったが魔法もある世界だし、水中でも何かしらの戦いが起きている可能性もあったが無力化に成功したようだ。

 

海中に引き込めばやはり抵抗できないようだ。……鼻血が出そう。意識がはっきりしてるのに、めまいと吐き気もする。

 

しかし、これで決着だ。いや、後で話し合いがあるが……浜辺でローガ将軍と先程の靄について話し合う。電撃の魔法は味方が入り交じると使いにくいようでローガ将軍も仕事がなくなったようだ。副官らしき人が指示を飛ばしている。

 

 

「うぅむ、もしかしたら悪魔だったのかもしれんの」

 

「ローガ将軍、悪魔とは?」

 

「ん?精霊と一緒の上位存在よ、稀に見る恐ろしい存在よ。兵士でも胆力がなくば飲まれる。侯は無事か?」

 

「今でも怖いです。ドゥッガがいてくれて助かりました」

 

「あの乱入者か!あれはいい将になるぞ!」

 

 

何故かわからないけど、あの黒い靄は本当に怖かった。

 

あれが現れたときにははっきりと体が震えていた。オルカスがいつもよりも柔らかくゴスゴスしてくるのは気を遣ってくれているのだろうか。

 

 

「……ローガ将軍。エール先生、私結構限界です。気を失っても後は任せてもいいでしょうか?」

 

「うむ、構わんが……儂が交渉の矢面に立つのは問題ないが儂にも立場がある。こちらの指針は誰に聞けば良い?」

 

 

クラクラする。かなりの魔法を使ったからか精神的に削られている。ダメ押しに水の巨大フリム使ったのが良くなかったかな。

 

でも後は時間をかけて氷の中に残っている敵兵を船ごとに捕縛していくだけだ。大勢は決したし、もう、きっと大丈夫のはずだ。

 

 

「……エール先生と、ジュリオンと、ドゥッガの3人に意見を聞いて下さい。おねがい、します……」

 

「こちらのことは心配いりません。ゆっくりお休み下さいませ」

 

 

エール先生の声を聞いて、オルカスの体に触れながらゆっくり眠りに落ちた。

 

 

あれだけ怖いものを見たし、怖い夢でも見るかと思ったのだが思ったよりも優しい夢を見ることが出来た。

 

前世でもない、だけど、きっと誰かと生活して、木漏れ日の中で誰かに抱かれていたような。私かどうかもわからない、でも遠い記憶のような夢を見た。

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

「ん?」

 

 

何日経ったかは分からないが、起きた。

 

 

起きて違和感があった。自分の体のようで自分の体でないような気がする。インフルエンザで高熱を出した後のような、無理な運動をした後に全身筋肉痛になっているような気だるさと痛み。なにか体の上に載ってる気がする。胸の上か。

 

胸を触る。ある?…………胸を触る……あるぅっ!!!??

 

手を見ても子供では無い大人の手、体が大きくなっている。夢のはずだが現実感がありすぎる。この部屋も前世の部屋ではなくリヴァイアスの寝室だ。

 

起き上がって顔に触れ、シーツを体に巻いて鏡までふらつきながらも歩く。

 

 

「ナニコレ!!?」

 

 

鏡に映るのは、多分……手を動かして自分の、成人している女性である……多分私だ、きっと!……多分?前世の黒目黒髪のアラサーとは違って、太ももまである青い長髪にアホ毛、胸も前世よりもある、明らかに幼女ではない私。

 

可愛いフリムちゃんが美人なフリムちゃんになってしまった。ナイスバデーどころではない。出るところは出て引っ込むところは引っ込んでいる。ほっぺを引っ張ってもやはり私である。ほんとに私?鏡壊れてない?

 

 

「起きられましたか……フリム様、ですよね?」

 

「え?なんですかこれ!エール先生!!?」

 

 

いつもなら見上げるエール先生なのに今は少し視点が私のほうが高い。

 

 

「 こ れ な ん で す か ! ? エ ー ル 先 生 ! ? ? 」

 

 

再び鏡を見て、もう一度エール先生に向き合って聞く。

 

困り顔のエール先生だが回転の遅い私の脳が正確に事象を精密かつ緻密に華麗な把握をしていく。あれだ。以前リヴァイアスにも同じようなことがあった。禿げたり、子供の体つきのまま巨大化するよりもマシかも知れなかったが――――あれ?なにか引っかかるぞ。私、一度シャルルに……

 

 

「あれ?もしかしてシャルルが見たのって~~~~!!?」

 

 

恥ずかしすぎる。あまりの恥ずかしさで立っていられない。

 

見られたのがツルペタな寸胴幼女ボデーではなくこの体だったのだとすればあの時何故かつま先から頭まで見てきた王様シャルル君の反応にも納得できる。若くイケメンな高校生か大学生ぐらいのシャルル君に前世のおばちゃんと言われて傷つくぐらいの年齢だった体だったら「お見苦しいものをお見せしましたおほほほほ」と軽くダメージを受けながらも誤魔化していたはずだが……何だこの恥ずかしさワァッ!?

 

 

「ぁ~~~~…………」

 

 

どこだ?どこまで見られた?胸か?それとも全部?

 

なにか言っているエール先生に手を引かれ、布団に戻って……二度寝した。

 

 

起きても体は元に戻らないと確認し、また寝ると寸胴ボデーに戻っていた。何だったんだあれは。

 

 

 

「エール先生、私大きくなってたような気がするんですが」

 

「なっていましたね」

 

「そうですよね。夢ですよね」

 

「なっていましたよ?」

 

「夢だと言って下さい」

 

「夢じゃないです」

 

「夢でしたか」

 

「夢じゃないです」

 

「Oh…………」

 

 

夢だと信じたいところだが夢じゃなかったらしい。

 

いつも邪魔だったアホ毛が心の拠り所である。この邪魔なアホ毛でももう慣れた。だからこそ「もとに戻った」という実感が持てる。老婆になってなくてよかった。動き回るアホ毛だったがこのままアホ毛と大人化だけで許してほしい……………………あれ?もしかしてまだ変化する可能性ある?

 

 

「精霊と縁を持てばそういうこともありますが、本当にめでたいです。おめでとうございます」

 

「めでたいんですか!?これがっ!!!??」

 

「とてもおめでたいです。精霊から愛されなければそのようなことは起こりませんし、オベイロスや神殿では貴族の中で崇拝されることもあります。人によっては一部だけ出したり戻したりも出来るようですよ?」

 

「崇拝って……」

 

 

フィレー学園長も実はおばちゃんだけど幼女になった。インフー先生も肌が浅黒いが精霊と契約してから変化したようである。人によっては体に岩をまとわせたり、鳥型の風の精霊と契約した人は眼球が鳥のようになったという事例も少ないがあったそうだ。

 

岩の人は自在に岩を出せていたそうだし、もしかしたら私も操作できるかも知れない。この無意味に暴れるアホ毛もなくせるかも?

 

 

――――――……まぁ、私が恥ずかしい以外はいつもの状態に戻ったし、仕事に戻る。シャルルはここにはいない。火照った顔を見られずに済むだろう。

 




(つд⊂)ゴシゴシ(;゜д゜)(つд⊂)ゴシゴシ(;゜Д゜) …!?
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