水魔法ぐらいしか取り柄がないけど現代知識があれば充分だよね?   作:mono-zo

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第191話 ちょっとした楽しみ……。

 

体が伸び縮みしてから……誰かの背中にくっついていたり、胸元で抱かれていることが増えた。

 

寝る時間と机で政務をする時間以外のほとんど時間を人に抱き上げられて移動している。クーリディアス国、高速一周の旅もそうだったが体がかなり痛い。アホ毛発生時もアホ毛周囲の毛根が痛んだが大人化によって体がきしむように痛んだ。

 

初めて使う魔法は慣れが必要なようにきっと時間が必要なのだと思う。背骨とか手のひらめっちゃ痛い。体の中のよくわからない場所まで痛い、鎖骨とかどうやったら痛くなるんだ?……大分マシになっては来たが。

 

移動や執務が必要な時はエール先生の胸に、軍事関係で呼ばれればジュリオンの肩に、雑事で必要なことがあればドゥッガの腕か背中に……他の諸々は近くにいる重臣に背負ってもらう。

 

最初は恥ずかしかった。なにせ私の前世は成人済み女性である。だが、全身の痛みによってぎっくり腰をした後のようにノロノロしてしまって……仕方ない移動法だった。

 

前世の子供の頃でもこんなに抱き上げられて動くなんてなかったと思うのだが……ちょっと抱かれ心地が面白い。ちょっと楽しんでるまである。

 

テロスは亀だけど意外と俊敏だった。アモスは鱗で傷つけないようにしてくれるのはわかるが私が歩くよりも遅い。意外と良かったのがアモス配下の三馬鹿、星犬族ホーリーはふかふかしてるし、狐人のリットーは全く揺れずに素早く、鳥人トプホーは香水の香りが心地よい。

 

ローガ将軍は頼ってほしそうだったが流石にない。偉い将軍様だし。

 

イリアさんも幼女に構いたいのか手を広げてきたけど流石にない。占領したばかりの国のお姫様だし。

 

抱き上げてくれる彼らは思い思いのお菓子なんかも準備してくれる。

 

なにせ抱き上げられてその先で私は仕事をする。ミニフリムちゃんで領内の情報を集めたり、都市開発について実際見ないとどうしようもない部分だったり、貴族同士の揉め事だったり、船の使用権利だったり……時間が長引けば彼らは椅子を用意してくれたり抱き上げたまま微動だにしない時もある。かなり時間がかかることもあるためかお菓子や軽食を携帯してくれている。

 

それに伴って家臣たちも服を新調したり身綺麗にしていてちょっと面白かった。私もお菓子をもつようになったが彼らも彼らでお菓子を用意してくれていて交換したりもする。

 

ただしトルニー、両肩に肩パットのような椅子を装備してくるようになったけど私は座らないからな?……下は長ズボン、上は裸に革ベルトと羽フサフサコート、そして鳥の形を模した石ペストマスクに暴走族のバイクのような背もたれ付き肩パットシート……まごうことなく不審者である。

 

お菓子や携帯食料も多種多様で面白い。干し肉や干し魚は定番だし、ドライナッツや瓶詰めのピクルスらしきものまで……何がでてくるか楽しみにしていることもある。ジュリオンなんて巨体からか一体どこにそれだけものを携帯しているのかと不思議なほどである。

 

少し毒も怖いが、彼らはやってきた貴族子弟や立候補してきた犯罪奴隷がチェックしたものを携帯している。

 

リヴァイアス領都は要塞化が進んでいて若干物騒な印象はあるものの交易都市の側面もあって他国や他領からも商売にやってくる人が増えたし、それに伴って行動範囲も広がった。色々見れるし、色々食べれる――……ちょっとした楽しみである。

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

お風呂でエール先生に甘やかされている。

 

頭を洗われ、体を洗われ、油を塗り込まれ、爪や髪の手入れも完璧にされる。

 

 

「まるで親子ね。私も少しは遊びたいのだけど」

 

「私の役目ですので」

 

「エール先生がお母さんですか……それも良いかもですね」

 

「お母さん!!?」

 

 

自覚がなかったのか首がぎゅるんと鳴りそうな程の速度でこちらを見てくるエール先生。

 

 

「――――――私のことを お母さん と呼んでも良いのですよ?」

 

 

ほんの一瞬何かを思案したようなエール先生だがほんのり微笑んで心臓のあたりに手を当ててそう言ってきた。

 

ガチなやつだ。そこまで可愛がりたいのか。

 

 

「んー、エール先生は先生なので!でもお母さんってどんな人だったんですか?」

 

「フラーナですか……。そうですね、温かい人でしたよ。少し歳上で、少しおっとりしているのにしっかりものだと自分で思っていて……」

 

 

クラルス先生やニャールルも私の世話をしたいようだがエール先生がしれっと私の世話をして譲ろうとはしない。

 

エール先生は母親と仲が良かったようだが……私を娘のように、いや、ペットのように猫可愛がりされまくっている。隙あらば私のために行動している気がする。

 

全身洗われるのも結構恥ずかしいのだが、まぁこんなに可愛い娘ができればそうなるのも気持ちは少しだけ分かる。

 

ただ、服を作ってもらうときなんかは困る。子供なんてどうせすぐ成長するし、更に大きくなる謎魔法を獲得しつつある私は「大きな服で良いのではないか」と思うのだが「侯爵ともなれば威厳を持っていくつも服を持っているものです」とエール先生は服について全く妥協しない。

 

1時間でも2時間でも私の服を仕立て屋に細やかに注文する。糸の産地や生地にするときの織り方に腕の良いお針子の選定まで……さらに絵を描いてもらって、石像も作って、私の人形を作って……謎の布教もしている。偶にポーズを取る私の苦労よ。楽しそうだから良いけど。

 

フラーナ・レームという母親はかなり天然であったらしい。

 

父親のオルダース・タナナ・ルカリムは活動的で、母親はおっとり天然だったようである。二人とも仲が良く、だが強くてエール先生も命を助けられたのだとか。

 

王族には二人以上の水属性魔法使いがつくことが規則で決まっていて、他の水魔法使いの家ではなく名家の人間がすることが常習化していて二人はそれぞれ名家としての家格もあったことでシャルルのもとに配属された。

 

エール先生はシャルルの乳兄弟、父と母はエール先生にとって少し年の上の先輩や兄のような存在だったはずだが……きっと信頼関係があったのだろう。

 

 

「どうして両親はシャルルの元を去ったのですか?」

 

「まだフラーナのお腹がそれほど大きくなかった頃なのですが、敵襲にあって……二人とはそれきりでした」

 

「なるほど」

 

「……そろそろ上がりましょうか」

 

 

少し悲しそうな顔のエール先生。

 

思い出して苦しいのか、それとも娘である私に話すのがそうさせたのか。

 

 

「はーい」

 

 

お風呂上がりの水は私が作り出す。ほんのり冷やして、魔力たっぷり!美容にも健康にも良い!!!

 

ビタミンCのクリームなしでもピカピカの肌は良いね!……前世では微妙に年齢を感じ始めていたからなぁ。

 

多分クーリディアスの問題はこれでほとんど問題なくなっただろう。後は現地民の反応次第だが。

 

…………しかしこれで大分落ち着けそうだ。肩がかなり軽くなった気がする。

 

 

「コクコクコク……ぷはー!」

 

「はしたないですよ」

 

「こういう作法です!」

 

「そんな作法聞いたこともありませんが」

 

 

腰に手を当て、フルーツ牛乳のように超魔力水を一気飲みした。火照った身体に心地よい。

 




mono-zo「明日の朝の分、少しお直しして予約投稿するかぁ……あ”っ」
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