水魔法ぐらいしか取り柄がないけど現代知識があれば充分だよね?   作:mono-zo

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第197話 地盤固めっ!!

 

リューちゃんはオルカスに少しいじめられている気はするが他の子にはいじめられてる感じはしない。リヴァイアスもリューちゃんに積極的に関わってくることはない。

 

リューちゃんは何でもよく食べて、何故か排泄はしない。子猫のように自分でうまく排泄ができないのかと濡らした布で股を刺激しても出させようとしても変わらない。オスかメスかも不明。可愛いからどっちでも良い。

 

食べる量は差し出しただけ食べていたのだが仕事に追われている私を見てか、私が見てない間にもお皿からちゃんと食べてくれるようになった。自分の体積の何倍も食べているのは大丈夫なのだろうか?

 

 

「領主様!リュー・チャーレマーヌ・クォーティカ・リヴァース様を引き取らせてはいただけませんか?!」

 

「駄目です」

 

「クルル!クァー!!」

 

「……また来ます」

 

 

リューちゃんが威嚇してるし神官には帰ってもらう。

 

リヴァイアスにも僅かにいる竜を信仰してる神官。オベイロスでは精霊信仰が強く、竜は精霊を食べることもあるから「竜を信仰してる」と公言するだけで襲われることもあるそうだ。クーリディアスでは逆だったそうな。

 

こちらにはクーリディアスで信仰されていた竜王の子供がいるから毎日様子を見に来て……引き取りたいと申し出てくる。

 

リューちゃんは嫌がっているようだし、一言言えばそれですぐに引き下がるのだが……結構しつこい。こちらも世話の仕方や文献を調べるのに手伝ってもらったり、なにかの病気がないかと毎日診てくれるのは良いがこの問答はお決まりとなってしまった。

 

 

最近うまく行き過ぎていて怖い。リヴァイアスの事業はもうウハウハである。

 

 

爵位継承と戦争の復旧もあるということで1年は税が免除されているのだがそもそも戦災と言えるほどのダメージがない。フリムちゃん頑張った。

 

オベイロスには塩以外にも魚の干物と凍らせた魚と香辛料、そして交易品をピストン輸送し続けている。持っていけば多分全部売れる。しかも全部王都では需要が大きいはず。

 

代わりにオベイロスからはリヴァイアスでは手に入りにくい布とお金、果物や家畜など様々なものを買ってきてくれる。

 

王都の賭場は拡大して商家として桁違いに成長してるらしい。親分さんがいなくてミュードの嘆く姿が王都の空に見える気もするがきっと気の所為だ。うむ。

 

交易でやってきた人を相手にはオベイロスの布は人気らしく、王都で仕入れたものはリヴァイアスで飛ぶように売れる。リヴァイアスの港にやってくる外国の商人はオベイロス産の布や服を求めてくることも多い。オベイロスで中古で傷んでいてもそれなりにデザインは可愛い服もあったことからきっと新品の布の品質や裁縫の品質は世界レベルで高いのだろう。

 

私のもとに来ていた中古品はボロボロすぎて指で砕けるものもあったが……タラリネ大丈夫かな?今頃洗濯やリメイクで家臣たちを使っているほどに忙しいはずだが……オルミュロイとタラリネとマーキアーの顔も王都の空に浮かんで見える気がする。

 

隷属兵の大半はクーリディアスに帰らせたがそれでも他国から買われた奴隷には帰る場所もないし仕事を作る必要があった。ゴムのような樹液を出す木と草には名前がなかったのでそのままゴムと名前をつけてガンガン栽培した。超魔力水を使ったことでもはや森である。

 

薪用の木も超魔力水で栽培してはみたのだがうまく行っていない。全然燃えないのだ。乾燥までの時間がすごくかかるし、薪にするには急成長させるのは適していない。香辛料は一度乾燥させればそれでそのまま使える。

 

他にも売れるものは売ろうといろいろ考えてみている。塩はあるし野菜の漬物とか。

 

 

塩はアルキメデスのスクリューを使って作っている。クリータの領地で。

 

 

ショートケーキのような断崖絶壁を作り出しているクリータ領地は高さもあるし、すぐ下の海水の質がいい。パイプをものすごく伸ばし、歯車を採用することで水を持ち上げている。見に行ってないからわからないが階段状にすればいくらでも水を持ち上げられるだろう。

 

リヴァイアス領都では交易船も増えてきたし人が活発に行き来することから塩作りには不利な状況となってきた。

 

クリータであれば重力によって海水は流れるから塩作りのための要塞を作ることが出来たし、蟻の巣のようなボルッソの秘密部屋も塩の貯蔵にも使える。

 

ボルッソが長年いただけあってあの地域はボルッソの自由にできる領域だ。あの辺りはボルッソファミリーだからこそ改良が容易い。水車も建物も石の魔法で出来るだろう。軸にはベアリングを使ってみてもらえばちゃんとした耐久実験にもなるだろう。水量はくみ上げて一定だしね。

 

更に高さを活かして水路と水車を使えば小麦を挽いたりスパイスを粉末にする生産拠点にも出来る。更に高さを活かして船を崖につけてそのまま荷物を積むことも可能なはずだ。いつの間にかボルッソはベアリングの長さを伸ばして量産し、荷物を運ぶためのベルトコンベア、いや、ベルトはないからコンベア?……ベアリングコンベアを作っていた。

 

大きな利権は欲を生み出すことになるし、いつかクリータが独立しようと画策する可能性もあるにはあるが……リヴァイアスの一部になっているし、うちと王家から睨まれているから大丈夫だろう。生産拠点にできればいいんだけど。

 

 

オベイロスでは岩塩が主流であるが海塩も人気だ。しかも現状リヴァイアスで作る塩に大きな税がかかっているわけでもない。

 

戦後復旧のためだとシャルルが強権を振るった。流石にレージリア宰相も苦言を呈したようだがシャルルはこの領地を盤石にすることを望んでいるように思う。

 

しかし、成り上がり者の私をボロカスに貶す貴族もいるが……そんな私が儲かっていると聞くと妬みも激しい。王宮の貴族が「新しい事業の責任者にしてくれ」と馬鹿なことを言ってくる。これがすごく面倒だし難しい。有能なら良いのだ。しかしそうとは限らない。だが彼ら本人の資質よりも、彼らを雇うことによって彼らの実家がこちらの味方になるというメリットがあるからこそ難しい。まぁ簡単にその席はやらないが。

 

次々に送られてくる刺客の選別と再利用もやり方がシステマチックになってきた。なにせ数が多い。

 

彼らのご実家には「こちらはリヴァイアス侯爵として一度厳しい教育をするがそれでよろしいか?出来るのであれば本人の資質に応じた職につけましょう。私は成り上がり、古き慣習よりも実力のあるものを求めます。これから譜代の家臣となろうというのなら相応の実力と忠誠があって然るべきでしょう。なに、実力さえあればすぐに出世できましょう」とかいって許可を取っておいてから地獄のように厳しい訓練から始めている。

 

杖を取り上げ、ボルッソファミリー製隔離新兵訓練施設で厳しい訓練を受けさせる。歪んだ性格の持ち主でもここであらかた調教される。

 

初めは教育後にワーたちの監視で事足りたのだが、あまりにも数が増えて受け入れがパンクした。そのため訓練施設で矯正し、まともであれば副官として亜人をつけた上で働いてもらっている。報告をワーたちがまとめるし、猫を被っていれば訓練所に出戻りである。

 

武官候補ならそこから王都よりも生き生きとしているドゥッガに任せるようにした。足りていない文官になってもらったほうが助かるのだが脳筋戦士のような貴族子弟を文官にしても邪魔にしかならないと指摘されたので仕方なしである。

 

ドゥッガは王都では「伯爵」という上級貴族の「筆頭家臣」として働いていた。貴族社会で挨拶をしたり、部下の統制、家内への指示と様々なことをしていたが貴族社会に慣れていないことで苦労をしていた。

 

キエットにかなり助けられて経験を積んだようだがかなりやりにくそうにしていた。なにせ部下になるのは「王都の貴族子弟」である。厳しくすれば親が来ることもあるし逃げ出されることもあった。

 

しかし、今の職場は「王都から遠く離れた東のリヴァイアス」と「海を挟んだ国のクーリディアス」である。ドゥッガのもとに配属された貴族子弟は地図を持たないし逃げ場はない。ある程度やりすぎても問題にならない。

 

私に仕える筆頭家臣であるドゥッガが働いているのであるからそれ以上に働くのは当たり前で……ゴミ箱出身の貴族子弟達は毎日けちょんけちょんにしごかれるようだ。

 

 

「最近海賊が減ってきたが、仕事はいくらでもあるからな。力の必要な下働きからやらせている」

 

「彼らも本気だからこそ要職の席を求めて来ているようですし、厳しくしてもらっても大丈夫ですよ。オホホホホ」

 

「そうだな、クハハハハハ!」

 

 

クーリディアスで襲ってきた船の修復作業が進んでドゥッガ親分の船団も拡大されてきた。彼の部下にはうちで要職につきたい貴族子弟たちは多くいるが、やはり賄賂が当たり前の世界だけあって金で要職を求めてくる人も多い。

 

人手不足とは言ってもそのポストについてもらうにはやはり忠誠心や能力、そして成果も必要で……大きく篩いにかけている。わざとらしい私とドゥッガの笑い声もいつものこととなったが、部下の前で楽しげに話しているからこそドゥッガは自由に力を振るうことが出来るのだ。

 

無視できないほどの大貴族の子弟たちが無能だった場合には海岸線沿いで灯台守をさせていたりする。敵が来る可能性もあるが味方が暗くなってから座礁しないようにしないといけない。この世界にはGPSもないし、夜は陸が見えないと距離感が掴めなくなるからね……一応大事な仕事ではあるが。うん、文句があるなら帰ってもいいですよ。

 

 

私の上下水道構想はちょっと違う形で実現された。スライムは汚物を浄化するので各家庭単位でスライムはいるし、下水先にもスライムがいることで海に流しても問題のないぐらいに水は浄化される。

 

下水は排水に合わせて拡大し、スライム浄水設備を増やすだけで済んだ。幸いスライムならリヴァイアスの恵みの雨で増えていたしその辺にいるから拾ってきてもらった。

 

歓喜の雨、恵みの雨、リヴァイアスの雨、言い方は様々だが、それらはクーリディアスでも発生した。故にスライムも発生したのでクーリディアスである程度捕獲してもってきてもらった。

 

上水道は思ったようにはならなかった。蛇口を捻れば水がどこでも飲めるともなれば便利だと思ったのだが……ゴムも見つかったばかりだし技術的問題で蛇口を作ることは出来なかった。しかし、小さな水路を領都中に通すことで「手紙の運搬」や「私が使える水が常にある」などのメリットから水路は作られることとなった。

 

領都内に情報網を作ろうというボルッソたちの発案は非効率だと思ったのだが……結果がどうなろうとも技術の積み重ねになるかもと思って許可を出した。

 

私の作る「美味しい料理」や「アルキメデスのスクリュー」「ベアリング」は既に完成形を知っているから出来るもので……本来あるはずの「技術の積み重ね」がない。

 

何かが発展するためには成功も失敗を積み重ねてこそ盤石なものとなる。だから彼らの試みももしかしたらなにかの発展をするかもしれないし、失敗したら失敗で良い。

 

もしかしたらこの世界なりの便利さが生まれるかもしれないしね。

 

 

そうして……手紙用の水路はいつの間にか変な進歩をしていた。

 

 

手紙を浮かべるどころか、水路は広がり、海にいた種族が常駐している。

 

テロスが海の種族でも働ける環境を作ろうとしたようである。陸地なのに小舟を引いてる人魚がいて驚いたものだが、彼ら海の種族の人もクーリディアス一周の遠征後からリヴァイアスへの貢献をしたいようでしっかり働いてくれている。

 

海で対処できない魔物がきたり天災に襲われれば城門内に逃げることが出来るが、あまり陸地で出来る生産活動はこれまで参加できていなかったので良い試みだと思う。これまで海の種族代表としてずっと陸で働いていたテロスは喜んでいた。

 




手紙を動かす水路→海の種族も移動できる水路

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