水魔法ぐらいしか取り柄がないけど現代知識があれば充分だよね?   作:mono-zo

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第198話 開発っ!!

 

仕事に縛り付けられている私だが楽しみもある。領地の発展が凄まじく進むことと領民に活気が生まれていることだ。

 

以前シャルルと屋台を回ったときには少し閑散としていた印象だったのに、今では大声で客引きをしあっていて活気にあふれている。

 

カレーやマヨネーズの量り売り、たくさんある氷でかき氷を作ってる屋台……私の影響を受けたものもあって嬉しく思う。営業停止にしたはずの私の石像店はエール先生によって許可が出されたようだ。また営業停止処置にしなければ……。

 

この活気を持続させたいし新たな開発物を出してみよう。まずは『ロールアイス』だ。

 

金属の筒の中に氷を入れてその筒を回転させる。筒の表面に果物をこすりつけることで果肉が凍って張り付き、ある程度層になれば切り離してそのままアイスとなる。装置を手動で回転させることとなるが……これがまた美味しい。

 

オベイロスには多種多様な果物があるが、何種類もかけあわせて作るこのアイスは見栄えもいいし味もつくり手によってオリジナリティが溢れていてとても良い。こんな食べ方はこの国にはなかったので目新しく見える。

 

しかし、品種改良されてない果物の味は安定して美味しい訳では無いが……その辺は店主たちの腕の見せ所かな。

 

 

「これは、王宮でも出せますよ!とても美しいですし!!」

「うぅん!たまらないわぁ」

「んなぁー!」

「とても美味しいです」

「クァー♪」

 

 

開発してすぐだし、領民を呼んで食べてみたのだが大人気だ。

 

出来たアイスは果物の色がカラフルで見栄えもするしとても美味しそうに見える。リューちゃんもアイスに頭を突っ込んで食べている。

 

私の知ってる前世の知識のものを作り出し、それが受け入れてもらえる。なんとも気恥ずかしいような、前世の開発者に申し訳ない気も少しはするが……世界が違うしなぁ…………。

 

蛇口のように失敗するものもあるがロールアイスは大当たりだった。小さな子も喜んでいたし有り余ってる果物の使い道としてはとてもありだと思う。

 

 

「りょーしゅさま!おかわり!」

「ください!!」

 

「順番に並んでねー、まだ食べてない子を優先するんですよー」

 

「私あっちの子呼んでくる!」

「僕らの無くなるじゃん!?」

「ばっか!そんなこと言ってっとお前がいないとき呼ばねぇぞ!」

「……そっか!兄ちゃん呼んでくる!!」

「これつかって!りょうしゅさまー!」

 

 

ロールアイスはものすごく受けていた。暫くの間は他所の商人にバレないように城の中で作ってもらおう。原理は単純だしね。

 

青臭さの強い果物は使いにくいが砂糖や牛乳もいれることでアイスクリーム感が増すし、牛乳と砂糖を抜きでみずみずしい果物を多くすればシャーベット感が強くなる。

 

まだまだ何種類もの果物を削り取るこのアイスは開発段階だ。果物の組み合わせもわからない。領民の子から手渡された果実を使うようにジュリオンに渡すとすぐにアイスにしてくれたのだが……。

 

 

「にがー!」

 

「苦いねー」

 

「こっちも!」

「ハー様!お願いします!」

 

 

手渡されたアイスを食べるとピンクグレープフルーツのような苦味がブワッと口に感じられた。

 

子どもたちとケタケタ笑いながら美味しい組み合わせを試していった。流石に魚は駄目だ。やめなさい。

 

 

氷を作れる人はオベイロスにもいるし、このアイスはウケるだろう。シャルルのおばさんもお菓子が好きそうだしこれも出してみるかな。もうちょっと砂糖があれば良いのだが……。

 

 

「これ美味しーよ!りょーしゅ様!食べて!」

「こっちもこっちも!」

「はーさま!!こっちも!こっちも」

「はいはい」

「頭がっ!!?」

 

 

差し出されるアイスは嬉しいがそろそろお腹が冷えてしまいそうだ。子供とキャーキャー笑いながら食べるアイスは美味しかった。

 

 

しかし、遊んでばかりもいられない。価値の高いものを作ろうと考えた結果、更に新たに開発したものが2つ。『蒸留酒』と『ミネラルブロック』である。

 

 

蒸留酒は酒を蒸留するものだ。この世界ではある程度発酵が進んだ酒に発酵を止めるために鍋で加熱する処理はあったが「蒸気を集めてその蒸気を酒にする」という酒はなかった。

 

前世の曖昧な記憶で作った蒸留器は金属でなくて大丈夫かとも心配したがボルッソに指示すれば石製の蒸留器がすぐに出来た。ただ、形はうまく出来たが、蒸気がなかなか冷えなくて……改造を重ねていくうちになかなかに大きなものになってしまった。

 

家臣たちは「お酒をよくわからないものに使うなんて!?」と微妙に反対してきたが医療品にもなるし、数年すれば価値のある酒にもなると説得すれば納得してくれた。

 

私の発明品にクラルス先生とエール先生がものすごい目で見てきていた気もするがスルーする。

 

薬学に詳しいクラルス先生は蒸留の工程に心当たりがあるようで更に進んだ洗練された装置の作成を指示したことに驚いていた。エール先生は隠れてお酒を飲んでいたのかと言う意味だと思う。

 

お酒は近代の経済を学ぶと必ず出てくる。アメリカの禁酒法や密造酒についてはわかりやすい事例である。日本では「風が吹けば桶屋が儲かる」なんて言葉から社会の時間に学ぶが……やっぱり経済って面白い。人の心理や行動も経済につながるのは興味深い。

 

たしか前世で深く調べたが酒作りの工程でなにか良くない部分もあったはず。思い出せ私!……あれだ。石油が生成過程の温度で様々なものに変わるように、お酒も中にある成分の中でも毒素が微量にあって熱し始めか熱し終わりに集まりやすい…………ような?でもそれって原料による??

 

お酒を加熱し、蒸気を発生させる。蒸気を冷やして液体にしてそれを熟成させれば飲める。これは確かだと思う。ただ、蒸気の最初だったか最後が問題のはず。加熱したお酒の中に存在する毒素が最初に出やすいのだった。もしくは加熱過程ではなく熟成過程後に集まるのだったかな?むむむ、曖昧な知識がもどかしい。

 

 

「この酒は……味は良くないですがものすごくつよいでっすね。ごほっ!ごふっ!」

 

「数年寝かせれば美味しくなるとおもいます」

 

「このままでもドワーフには高く売れそうですが」

 

「どうせなら美味しい方が良いと思います。寝かせれば寝かせるだけ美味しくなるので私が大人になったら一緒に飲みましょうね!」

 

「ぜひ!」

 

 

軽く咳き込んだジュリオン。竜人は種族的に酒に強いらしかったし、出来た酒から目を離さなかったので試飲してもらった。

 

一応出来てすぐの危険かもしれない分は混ぜないように言っておいたのだが……目に見えない精霊はお酒が大好きらしく、明らかに液体になってすぐのものが貯まる前に光るなにかにさらわれて消えていった。

 

ま、まぁ良いか。詰め替える樽や石製の瓶も記録してもらう。

 

ボルッソファミリー製の瓶でも蒸留後に熟成は出来るのか、それとも木の方が良いのか、木は乾燥させたものが良いのか、いぶしたほうが良いのか、火で焼いた樽のほうが良いのか。更に木の品種もどれが美味しくなるのかなどなど試してもらう。こういうのはやはりデータの積み重ねが必要となる。

 

オベイロスでは果物は多くあるし、糖分があれば酒は作りやすい。水の家ならお酒はたくさん作るものらしいし、他の家でも水の家の品質には及ばないまでもお酒はそこそこ作られているそうだ。それらを蒸留酒に作り直すことが出来るのだから……原材料の面で蒸留酒事業は有利なのだ。

 

しかし寝かせる間の収入はないし、酒は腐敗で駄目になる可能性もあるのだから初期費用や失敗のリスクは大きいかもしれないが……やる価値はあるはずだ。前世の歴史がそれを証明している。私が大きくなる頃には美味しくなっておくれ。

 

 

「もったいないですね」

 

「飲んじゃ駄目ですよ。3年も待てば美味しくなると思いますしね」

 

 

ジュリオンとアモスは酒好きなのか樽詰めされていく蒸留酒を惜しそうに見ていた。

 

お酒が全滅しないと良いのだが……ちょっと怖い気もするが、うまく出来たら皆喜んでもらえるかな?

 




「評価とコメントならあっちだ」
「あっちはここすきだったよ!」
「そうか?わりぃわりぃ、なら推薦だけしていってやろう。これでいい酒が飲める」
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