水魔法ぐらいしか取り柄がないけど現代知識があれば充分だよね?   作:mono-zo

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第200話 教育っ!!

 

シャルルと話していた行事もあっていずれ王都に行かないといけないし、今のうちに開発を加速したいのだが……圧倒的に足りないものがある。それは『教育』だ。

 

学園から来てくれた人の中には学園の孤児の人たちもいたが文字も書ければ機転も利く。理解力や応用力がある。

 

だが一般的にそんな人材はごく少数で、文字も読めなければ指示が通じない人も多くいる。多くの人は最低限の教育というものも受けていないのだから当然と言えば当然なのかもしれないが……もったいない。

 

私は知っている。前世では教育を受けていたがゆえに世界を変革するほどの発明が日々なされていることを。もちろん天才ばかりを求めているわけではない。世の中を支える基盤を作るのは大多数の人間だと私は考える。

 

 

――――……だから教育施設、学校を作った。

 

 

識字率がもっとあれば、いや、ボディランゲージでも良い。とにかく意思疎通する方法がもっとあればこの領地で種族間の不和が起きることはなかっただろう。

 

彼らの喉では共用語を話すのはリヴァイアスの翻訳スープなしでは無理だ。だが、もしももう少し教育がされていれば……いや、仲間意識はあっただろうし統治機構の完全な瓦解まではいかなかったようだが、そのような状況では意思疎通はもちろん難しく、勿論技術の進歩や革新は起こりづらい。

 

言葉が無くなっても良いように、私がいなくともこの領地が発展していけるようにするには教育が必要だ。

 

領民全体の能力が上がれば、きっとこの領地はもっと良くなる。教育さえ受ければ彼らの将来の可能性も広がる。

 

 

「これうちの畑でとれた野菜です!」

「ありがとうございます。後で皆で食べましょうね」

「こーちょーせんせー!おはようございまーす!」

「おはようございます」

「さがなどっできだど!」

「後で食べましょうねー」

 

 

生徒たちに挨拶されて食材を渡される私。……微妙な気分でもある。

 

なにせ私は王都では学園の生徒、しかも単位ゼロ。だけどリヴァイアスでは校長先生。幼女なのに、校長先生。

 

ラディアーノかアーダルム先生を校長にしたかったのだがラディアーノにはクーリディアスでの仕事があるし、ギレーネの悪行をかばったというのに要職につけるのはやはり駄目らしい。アーダルム先生は行方不明だ。研究が楽しいとかでクーリディアスのどこにいるかわからない。

 

有能な貴族師弟を要職につけても良かったのだが一応私を校長にしておくことでいつでも教職につけた人をクビに出来る。それだけの強権があれば後任者にも強い権力をもたせることが出来る。王都や他国、他の領地の貴族が何かしらの無理を言ってきても爵位が物を言うそうだ。だから私が校長先生である。

 

実務は教頭先生や他の先生が担当する。アーダルム先生が帰ってきたら教頭先生に任命したい。

 

教育内容は一般常識や文字、それに道徳や生活で便利な知恵などだ。

 

特に道徳や生活の知恵は必要だ。亜人はそれぞれ姿や生活様式も違っていてそれぞれのルールがある。だが「よそ者が入ってきたら武器を持って皆で競って追い立てる」とかは駄目だ。領内で……領民同士で行っている部族もいるし、恐ろしい。

 

各部族には各部族の文化もあるしできるだけ尊重したいが全てが全てそのままで良い訳がない。明らかにアウトなものは止めるとして、せめてリヴァイアスの仲間同士では殺し合うなと厳命する。

 

とりあえずは各村落や部族から少人数ずつでも良いから子供も大人も関係なく生徒として受け入れた。できるだけ子供中心で。

 

文字を知らない親御さんの子供に文字を教えても「そんな知識役に立つのか?やめちまえ」と言われるかも知れないし、生活に使えそうな便利な知識を毎日一つは必ず教えた。

 

「摩擦による簡単な火起こしの方法」や「テコの原理」など誰でも簡単にわかる知識を教えることで生徒を通して領民に「学ぶことへの利点や有益性」を少しずつ理解してもらっている。

 

 

「泳げないんだけど」

「泳ぐってどうするの?」

「え?お前ら泳げないの!!?」

「どれだけ息止められるか勝負しようぜ」

「しょっぱい!」

 

 

この領地にも意外と泳げない人もたくさんいた。

 

領都は海に接しているが陸地で生きる人には水に入らないような人もいる。ただ彼らにも川や湖、橋などで水と関わる機会はあるし、溺れた時なんかで対処できる知識は伝えるべきだ。

 

 

「りょーしゅせんせーはなんでふくきてるのー?」

「ばっかお前、毛がないんだから当たり前だろ?」

「あ、そっか!」

「つめたーい!!」

 

 

海でやっても良かったが交易船もいるし、プールを作って海の種族の監視下のもとで泳ぎの練習をしてもらっている。私もだが、エール先生やクラルス先生にも水着を着てもらった。

 

水辺で泳ぐ人もいるし、海の種族もいることから普通に水着はあった。

 

 

「は、恥ずかしいのですが!?」

「裸の子もいるし何が恥ずかしいのかしら?」

「こらそこー!遊びでも人を沈めるなー!!」

 

「似合ってますよー、えへへー」

 

 

恥ずかしがるエール先生の白い肌が輝かしい。クラルス先生はボンキュボンだし、ジュリオンは健康的に肉がついてる上に胸も身長も凄く大きい。

 

それぞれ思い思いの水着を装着しているが、エール先生は布面積多めのビキニに膝まである長めのパレオが綺麗だ。クラルス先生は……肩から胸の下まで布地があるタイプの水着で布の下からヒモで背中で結んでいる。えっちぃ気がしないでもない。ジュリオンはなんとスクール水着である。背中は翼があるから大きくひらいたタイプ。

 

ジュリオンはゴムの開発で作られた水着の性能テストも兼ねてかスクール水着を選んだ。質感は記憶の中のスクール水着とは違うが見た目はそれである。水中で目立たないことを目指して濃い藍色で作られているし、見た目と学校であるということもあってスクール水着である。競泳水着かも知れないけど。

 

指先や腕、肩にも初めは装着していたが着替え中にすぐ破れた。流石に腕や肩と違って可動域の狭い体では破れなかったが……本人は動きやすさがどうとか言って破ろうとしている気がする。若干分厚くて固そうな布地だが胸が大きくでている。体に合わせて作られたものだろうけど破れないか心配である。

 

生徒の中にはそもそも服も着ない種族の人もいた。ある程度は自由にしてもらっているし用意もしたのだが余り使う人はいない……水に慣れてもらって、いくつかの泳ぎ方を教えた。

 

 

「わぷっ!?」

 

「おっと、大丈夫ですか?フリム様」

 

「大丈夫!」

 

 

杖無しで泳ぐとなかなかに難しい。変身による体の痛みはなくなったが魔法無しで泳ぐのにはこの体はなかなかに難しい。

 

エール先生は泳げたし、手伝ってもらっていたのだが後ろから来た子にぶつかって少し水を飲んでしまった。

 

充分遊んで、泳ぎの仕方もいくつか学んだ。水に対してパニックになっても良いことがないことや、ただ浮くだけ方法も実践した。

 

ゴムで作った試作のボールを使って遊んだりもして……授業は終わった。

 

 

「さて、泳ぎの練習はここまで!少し慣れたからって勝手に泳いだら駄目ですからねー!終わってからみなさんお風呂入りますよー!」

「「「はーい!」」」

 

 

プールは海水だったし真水で洗わないと海猫族の子供なんて毛に塩の結晶ができてしまいそうだ。

 

皆でジュリオンの大きな背中や翼を洗った。クラルス先生、どこからピンセット出したんですか?尻尾の鱗が気になる?駄目ですよ。

 

習ったからと言って勝手に泳がないようには念押しをして……いや、学習意欲の高い彼らは勝手に練習しようとするはずだから大人たちには水辺で注意するように言っておこう。

 

まだ泳げない人もいるが……できれば何度も授業を重ねて魚の取り方や、水辺に来る魔獣の脅威、養殖、着衣での水泳、離岸流の恐ろしさなども教えていきたい。

 

学校で学ぶ学習内容はまだまだ試行錯誤もしているが「木登り」や「山登り」、「投石」なんてのもある。魔獣に襲われることもあるし……この地に合った教育が必要だ。

 

それより問題はボルッソとメディッサだ。

 

ボルッソには100以上の子供がいたが新たに生まれた子やボルッソの子かもしれないと言われる子も含めて200人を超えた。色んな意味でとんでもないと思うのだが……彼らは土魔法によって建物や道をガンガン作っているし、今では都市開発に欠かせない存在となっている。

 

彼らの裏切りを考えて十人ごとに組分けし、どこか一組でも何か犯罪や不適切な行為を犯した場合に連帯責任で罰を与えるというの制度を取っている。

 

ボルッソは自国の王様を落とし穴にかけ、宰相をエール先生と近衛兵もろとも吊り天井で殺そうとした。普通に考えれば族滅、彼らも殺されて当たり前だったのだからこれらの処置は温情が過ぎると家臣にも言われる。

 

彼らが裏切らず、生かすための処置だったのが……それを彼らもわかっているようで懸命に働いてくれている。

 

学校ができれば順番にではあるが彼らにも教育を受けて貰う予定だと伝えるとボルッソとその妻のメディッサはものすごく張り切っていた。本来ならボルッソの家族には食べ物も粗末なもので服だって着させないのが当たり前だそうだ。王様を攻撃したのはあまりにも大きな罪だからだ。

 

だが普通に食べてもらっているし、ちゃんとまともな服を着てもらって、ちゃんと屋根のある家のベッドで寝てもらっている。

 

これだけでも「ありえない待遇」とメディッサは理解していて、子どもたちに何度も言い聞かせていると報告を受けている。そこに更には教育も受けさせると私は伝えたのだ。

 

メディッサは泣いて私の靴に額を当てたし、怖いぐらいに忠誠心を向けている。子どもたちの母親だからこその感謝かも知れない。……なら反逆なんてしないでほしかったがその方が勝算もあったのだろうし、クーリディアスに攻め込まれては領民も自分たちも危なかったはずだから彼らの立場で考えれば仕方ない部分もあると思う。

 

メディッサも才女として有名だったことから教育の重要性は理解している。……教職についてもらおうかな。

 

ボルッソもメディッサも子供のことは大切らしく、ものすごく感謝された。――――感謝されすぎた。

 

 

この結果、学校の前に私の像の豪華版が出来ていた。

 

 

ドラゴンと船を踏みつけて杖を掲げる私。白に緑の筋が入った大理石のような豪華な質感。領地で売られているキラキラした石も飾り付けられていて、生徒が祈りを捧げていたりもする。――――反射的に使った水の砲弾では破壊できなかった……。

 

 

エール先生に止められてしまったが、いつか!必ず!こっそりと破壊してくれるっ!!

 

 

……後に知ったのだが、ボルッソの像のみならず、メディッサも私を信仰の対象のように生徒に教育していたという。経典?捨てて下さいそんな物。

 




楽しんでくれる人がいるんだから、やる気にもなるというもの(●´ω`●)
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