水魔法ぐらいしか取り柄がないけど現代知識があれば充分だよね?   作:mono-zo

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第201話 コロシアムっ!!

 

ドゥッガが賭場を作ることを提案してきた。

 

 

「何故ですか?」

 

「リヴァイアス領都は物々しすぎる。戦後だから仕方もないが外から来た商人の口が固くもなるってもんだ」

 

「そんなものですかね?……一応考えてみましょう」

 

 

 

王都になぞらえて……必要なのは賭場と娼館と酒場だろうか。それにオークション会場もあったら良い気もする。

 

確かに小さな砦をたくさん作ったし領都でもまだまだ物々しさが抜けていない。

 

大精霊リヴァイアスによって外から人がこれない鎖国のような状況だったがリヴァイアスの領主着任の噂は良きにしろ悪きにしろ広がっているようで海賊も商人も絶えることなくやってくる。

 

彼らには健全な商売の他に「最先端の世界情勢」のような情報も期待しているのだが……兵士が武装して歩き回っているのも当然のリヴァイアスでは警戒しているのがうかがえる。ドゥッガが言うには賭場のような「息抜きができる場所」もあれば口も軽くなるかもしれないといった提案である。

 

そこまで考えてなかったな。しかし何が良いか……どうせ好きにできる土地はたくさんある。酒場なんかの提案は商売人のストレス解消にもありだろう。大きな施設の必要なものも今なら作りやすいし、どうせ作るなら大々的にやりたい。

 

王都の賭場よりも豪華に作って清潔感のあるものにしよう。どうせなら大きな利益をもたらす事業にしたい。

 

まずは競馬。競争させることでより大きくより強い個体を作ろうとするだろうし、他所から強くて扱いやすい騎獣が集まればうちの騎獣になる機会もあるだろう。移動の途中で怪我や病気で手放すような人は必ず出てくるはずだ。なら怪我は治せばいいし、引き取るお金はある。うむ、作る価値は大いにあるな。

 

馬以外にも乗れる騎獣は多いのだからレースも障害物をおいたり、重い荷物をもたせるなどもしよう。

 

オークションもしよう。前から思っていたが「リヴァイアスに来ればなにか珍品が見つかるかも知れない」というのは経営的に有利になるはずだ。…………そうだ。少し海からも領都からも離した場所に宿泊地、いやリゾート施設を作るのもいいな。

 

船で来た商人の中には船がボロボロの人もいる。この領地で修理してほしいという申し出も多くあるし、修理をしている商人達は宿屋で休養を取っている。戦争があったばかりで外から来た人間を警戒している兵も多くいるのだから居心地は悪いはず。移動手段である船から離れれば悪さもしにくいだろうし安全のための隔離としてはありだろう。

 

賭けに休養地、一石二鳥や三鳥も考えて思考が巡っていく。そうだ、宝くじはしよう。当たってもこちらが儲かる仕組みだし、交易で当選日や受取日に来れない商人もいるはずだ。悪いことを考えてしまうが有り得る話だしね。

 

賭けを考えて行くと以前に見た奴隷による剣闘も脳裏をよぎった。勿論やりたくないしボツだ。

 

 

賭けはひとまず宝くじと騎獣レースを考えていたのだがここは家臣や商人、領民にも意見を聞いてみた。亜人たちには亜人たちの賭け事もあるかも知れないし、他国から来た人もなにか面白い賭けを知っているかもしれない。

 

私が思いもつかないような賭け事が色々でてきたのだが……最も多かったのがコロシアムだ。人が殺し合う、戦いの場だ。

 

 

「いいな!どうせなら盛大にやろうぜ!」

「んなー!」

「BUMOOOO!」

「うるさい!」

「BUMO」

「魔獣は入れるように作りましょうよ!」

「それは盛り上がるな!!」

「迷宮産の武具を賞品に出そうぜ!」

 

「えー……」

 

 

私抜きでコロシアムの提案が具体案も出てきて形になっていく。

 

ドン引きの私だが、皆は盛り上がっているようだ。

 

 

「良い考えじゃないですか」

「見ごたえもあるし、研鑽の場は作っておいたほうが良いわよ。息抜きにもなるしね」

 

「ええー……」

 

 

常識人のエール先生やクラルス先生を見たが二人も賛成のようだ。

 

奴隷のみならず強い戦士や魔法使いが戦う場を作る。これによってここの兵士は刺激を受けるし、賭けにもなるから経済効果も生まれる。外国から挑戦しに来る人もいるのだから「外国の戦い方」も学べる。強い人を将兵として誘うことも出来る。

 

私は人が死ぬ可能性もあり得るコロシアムの運営するのはどうかもと思ったが……兵士たちに聞いても皆賛成だったので渋々許可することにした。

 

 

――――ただ、ルールは私が決める。

 

 

命の危険があると分かったうえで参加の意思がある人は問題ないが、この世界には奴隷の制度がある。

 

戦闘奴隷や犯罪奴隷も戦闘可、ただし、本人の意思を隷属の魔法を使用して確認すること。数回の勝利で解放を奴隷の持ち主は確約すること。一度参加した奴隷は本人の意思の元、解放条件をクリアするまでは次回の参加も本人の意思で決める。これに奴隷の持ち主は意思決定に関与しないこと。勝敗は関係なく、治療期間を儲けることになるがその期間は商人預かりではなくうちで世話をすること。奴隷の治療費と滞在費用は持ち主が負担することとする。

 

つまり奴隷が参加する場合、奴隷はこちらで預かり、戦うか止めるかの選択は奴隷の意思を尊重する。まだ決めてないが10回勝利したら奴隷から解放するが9回目で主人がやめさせるなんかは駄目だ。持ち主に不利な条件にしたが持ち主からすれば勝利することで賞金が持ち主に入る。リヴァイアスに預けた奴隷が成果を上げるか、すぐに負けるかは分からないが……そうだな、賞金以外にもなにか特別な賞や権利を作ろう。コロシアムの壁に「自分の商会や自分の家門の宣伝をしても良い権利」や「船を停留しても良い権利」「税金の免除」「リゾート地の宿泊許可証」なんかも設定して良いかも知れない。

 

罪を犯した犯罪奴隷が解放されるかも知れないが、彼らには管理できる区画で自由にしてもらってその後の様子を観察すればいいかな。犯罪自体がでっち上げの可能性もあるし奴隷になった原因も確認ができない。改心しない悪党であればその区域で犯罪を犯すだろうしそうすれば鉱山送りだ。改心しているのであれば段々と市民と同じ待遇にする。

 

 

「子供だから甘い」と思われてもいい。

 

経済は人の心が大切となる。商人、奴隷、運営、ここに来る市民。それら全てがWin-Winの関係を目指そう。…………きっと少しは治安が悪くなるだろうが、悪いことばかりではなく市民の防衛意識の向上も期待できる。

 

考えろ私。……うん。奴隷に限らず、参加者は本人の意思の元に同意してもらうことは確定だ。うむ、奴隷に無理やり殺し合わせたりするのが当たり前の世界だ。しかし、そうだな。奴隷のいる場所や奴隷のいる場所にはプライバシーはなくなるかも知れないが商人にも見えるようにして八百長を防ぐためとかにすれば良い……かもしれない。部屋も大部屋や独房で奴隷を殺されないように出来るかも……一律で独房にすれば管理ができないと思う。いや、ボルッソファミリーであればうまく建築出来るかもしれない。普通に腕自慢として参加しても賞金が出るようにしてこの領地で「強さ」を奨励しよう。というか奴隷だけじゃない市民や貴族も参加するよね。それはそれで制度を考えないと。参加時には人質が出来ないようにするとか。

 

 

「うーーーん」

 

「クァルルル」

 

「色々考えてるだけです。大丈夫大丈夫」

 

 

……色々考えても不備が出るのは当たり前だが、最初にしっかり構想を練り込んでおけばそれだけトラブルは避けられるはずだ。

 

やっと戦後処理もうまくこなせたというのに考えることは多いな。……いや、一部貴族関係でうまくいってはいない。「リヴァイアスにいて防衛をしたのだからクーリディアスの利権を寄越せ」なんて……宿屋にいて戦いもせずに言う輩もいたものだから…………仲違いはどうしようもないものだった。

 

近隣の貴族は私の力を見て友好的に「これから東の貴族としてよろしくお願いします」といった姿勢が通常だが「言って貰えれば儲けもの」とでも思ったのかとんでもないことを言ってきた貴族もいて……一部仲良くはなれなかった。私を子供と思っているのか舐められているのだから話は通じない。子供だけど。

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

細やかな問題はほぼ無くなって安定し、やっと手が空いて開発に専念できると思ったのに……王都からお呼び出しがかかった。元々シャルルには行事があるからそのために必ず帰ってくるように言われていた。

 

開発楽しかったのに、経済を自分で作るの楽しかったのに……。新たな魔法で料理を作るのも楽しくなってきたというのに…………。

 

 

「出来たものは配って下さい」

 

「「「にゃー」」」

 

 

考えながらも片手間で使っている新たな魔法、スチームだ。燃料として水素と酸素を使いたかったがそれは危険すぎて断念した。しかし、お湯が作れるなら温泉卵は作れる。だったら蒸気でなにか作れないかと考えたのだ。

 

試しに熱以外の蒸気も操ろうとしてみた。超音波式の加湿器のように常温でも蒸気は作れるはずで……作れはしたが蒸気となって水の塊から離れればそれ以上は操れなかった。

 

そこで考えた。――――操れなくても蒸気をそのまま料理に使えば燃料の消費は減らせるんじゃないかって。

 

加熱した水の蒸気を使って蒸し料理を作れるようにしたのだ。人が増えたのだから薪の使用量は増えた。火の魔法使いにも仕事はしてもらっているがやはり不足気味だ。

 

インフー先生が地方では汚れた水をそのまま飲んでいるからとあの爆弾を作った理由も少しは理解した。

 

前世では電気やガスもあって災害時以外に燃料に事欠くことはなかった。お金さえ払えば安定して料理が作れた。

 

衣食住の中でも最低でも食べないと人は生きていけない。食を作るために可燃物が必要なのにここでは薪の確保も難しい。

 

森林保護のためにも……私のできる限りではあるが蒸し料理を作るようにしている。

 

あまり「蒸す」という料理法は浸透していなかったが「蒸し餃子」と「蒸しパン」を作ってみた。大きな容器を作って私の政務中でもいつでも蒸せるようにした。

 

この国のパンは固いものが普通だし、蒸しパンの柔らかさは至高だ。餃子も肉や野菜にスパイスで肉汁たっぷりなトルコ料理のようになってしまったがこれはこれで凄く美味しい。肉汁たっぷりピリ辛スパイス!凄く美味しい!

 

……次はシュウマイも作ってもらおうかな。

 




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