水魔法ぐらいしか取り柄がないけど現代知識があれば充分だよね?   作:mono-zo

266 / 391
第247話 カレー の 計画

 

ミリーや肉の盾となったモーモス、親や親族が相手でも一緒にいてくれたリーズとテルギシアにエルストラさん、思ったよりもダメージの酷かったローガ将軍に何故か負傷していたフィレー……それに準備を手伝ってくれた皆をねぎらっていく。あと水弾でいつの間にか負傷していた副審の皆さんも。

 

モーモスとローガ将軍、ローガンを一緒に超魔力水風呂に入れておく。

 

ローガ将軍の怪我は膝と腰の骨が砕けていて動けていなかったし……ローガンも力持ちだけど怪我人にお風呂場は一人じゃ危ない。奴隷時代の恨みも突然噴出する可能性も考えて場を和ませるためにモーモス付きだ。

 

 

「神殿で解放してもらって、話はそれからでよいじゃろう?家にはアールの部屋だって作っている。服も揃えているし、苦労したんじゃからこれからは好きにするがええ。だから行こう!の?」

 

「――――今更戻っても……それよりもフリム様のもとで好きに生きたいのですが」

 

 

ローガ将軍がローガンと再会してすぐ……ローガ将軍はローガンを奴隷の身分からすぐに解放させよう説得したが、ローガ将軍の大きな声にローガンは耳を軽く押さえて若干迷惑そうにしていた。

 

ローガ将軍は一刻も早く弟を隷属の魔法から解放したかったみたいだけどローガンがストップをかけた。解放されるにしても良くしてくれたドゥッガに一言断る方が筋が立つし、やっていた仕事の引き継ぎをしないといけないと思ってくれているようだ。というか結構うちの仕事を楽しんでくれていたみたいである。

 

ローガンは信用できるし役職も「奴隷の統括」だけあって下手な貴族よりも良い服で待遇もかなり良くしていた。ご飯もほぼ私と同じで違いは食器程度だ。

 

 

「それは私が助かりますが、それにしたって解放されてからでよくありませんか?」

 

「ありがとうございます。ケディ兄さん、そういうことで」

 

「うぅむ……しかし、とにかく神殿に行こうか!」

 

「神殿に借りを作るよりもうちにはうちの魔法使いがいるので大丈夫です」

 

 

ローガンは長年奴隷をしていたし隷属の魔法を打ち消すのに高位の術者と時間がかかる。賭場にもそういう魔法使いの伝手はあるようだけど……闇の魔法ならシャルルがいるから今度会いに行く時にでも頼もう。

 

それにしても……働かせすぎて恨まれていなくてよかった。

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

伯父上が王都からいなくなって仕事は減った。そのタイミングで私には制御できない大人化が起きそうだったので休憩することにした。

 

一応「精霊による身体の変化」は尊いことらしいが『いざという時に別人になれる』という現象はいざという場合に私の安全に直結するしできるだけ隠したい。安全のためじゃなくてもお披露目のタイミングは自分で決めていいと思う。

 

 

この現象、自分でも気合を入れると出来る時もあるが可能な限りやりたくはない。

 

 

体が痛くて仕方無いし、この現象を受け入れると5~7歳からプラス10歳ぐらいは成長することになる。

 

ずっとその年齢なら構わないが……15~17歳から戻れなくなって、そこからまた10歳プラスになって、そこからまた……と、どんどん年齢を飛ばすかもしれないのはあまりにも怖すぎる。

 

宰相みたいに「若くなる」のなら良いのかも知れないが逆は本当に恐ろしい。

 

大人化して部屋でぎっくり腰のあとのように痛む体をノロノロと動かし、新たな事業計画を建てる。エール先生とジュリオンとニャールルに大人用の服を作ってもらう。準備中も布を集めていたのだとか……。

 

私には「貴族のドレスのデザイン」はわからない。他の人には秘密だから完璧に三人に任せきっている。お針子の仕事をしているタラリネも今度誘う予定だけど洗濯場の仕事の責任者だし来てもらうにしても仕事の引き継ぎをしてもらわないといけない。

 

 

「やはりこちらの生地がいいのではないでしょうか?」

 

「……では、こちらのドレスにはその生地で」

 

「んなぁーぉ」

 

 

私だって綺麗な服は好きだ。気分が落ち込んでいたり疲れていても、お気に入りの服を着ると気分が良くなることもある。

 

だけどドレスのデザインを考えるよりも事業計画を考えている方が性に合っている。経済は大事だし、その経済には人々の暮らしがかかっている。私にもわかるデザインは覚えてるだけ書き出してエール先生に丸投げしているし、もしかしたら作ってくれているかもしれない。

 

 

伯父上との戦闘のためだけにいろんなものを犠牲にしてきた。単位もそうだが仕事を後回しにしすぎた。

 

 

仕事の中でも一つ急ぎで対処するべき事案があった。

 

リヴァイアスの商品が、王都で過剰在庫となっているのだ。

 

とにかく作って売るように指示したものはいくつかある。リヴァイアスからは塩、ゴムシート、カレールウ、海産物の氷漬けと干物、香辛料、漬物、交易品をオベイロスに輸出し、逆に肉、果物、食材、鉱石、糸と布などをオベイロスから仕入れている。

 

伯父上とのやり取り次第ではオベイロスからリヴァイアスに全員脱出する計画もあった。

 

兵士をリヴァイアスからオベイロスまでの道に配置するために輸送はずっと行っているのもあったが『辺境の地リヴァイアスはオベイロス中央にとって有用である』とアピールする目的もあって、商売は割安で行っている。

 

殿様商売をしてもオベイロスには無い商品は売れるだろう。しかし国の大多数を占める民や商人のような有力者にとってリヴァイアスが「侮れないほどの経済力を持ち、敵に回すのは良くない」と知ってもらうためにも商売は良心的に行っていた。

 

リヴァイアスの民にとっては度重なる総動員令は大変かもしれないが……皆やる気を出してくれていて助かる。しかしその結果……倉庫も賭場も、運ばれてくる在庫が凄まじく場所を取っている。

 

前世の「ペットボトルのドリンク」はとてもよく考えられていたのだと改めて思う。人の手で運搬ができるサイズのダンボールに詰められる。単純に2リットルで6本。1.5リットルで8本ほど。1リットル1キロで考えると一箱の内容物だけで12キロ程。500ミリでも24本入りで同じく12キロ。段ボールの強度も加味されて、よく考えられた「人が運びやすい重さ」になっている。容器の重さも考えればもう少し重いはずだが箱の強度や運搬中に衝撃を与えられた時のリスクマネジメントも想定されているのだろう。

 

物を売るためにあらゆる事を考えられてその形になったわけだが、輸送や管理のしやすさは本当に凄まじいものだ。

 

しかしこちらにペットボトルのような軽く丈夫なものはない。勿論段ボールもだ。

 

こちらではボルッソファミリーによる少しぶ厚め割れにくい陶器が容器が基本だ。重いし割れることもある。

 

割れにくい形状と詰めやすい大きさやサイズを研究してもらった結果、壺型と宝箱型が採用された。

 

四角い箱が一番塩を運ぶのに最初は良いと思ったのだが……揺れによって容器が割れることもある。しかも重い。重ければ馬車やリアカーのような運搬用の車のほうが先に壊れてしまうのだ。軽々と運送してくれる筋骨隆々な亜人の皆さんが背負って運ぶのは最終手段である……鍛錬のためなのか荷物を馬車に載せずに背負う人も多い。

 

 

リヴァイアスとオベイロスの間では亜人の皆さんによる安全な商圏が出来上がっている。

 

貴族や賊も最初は襲いかかってきていたようだが輸送量が多いし道の前か後ろには必ずリヴァイアスの別働隊がいる。しかも「オベイロス憎し」「純粋な人間憎し」「商人憎し」の風潮もあって警戒心も仲間意識も強い。賊のような「魔法使いのいない敵」が相手では亜人の強靭な肉体が負けるわけがない。

 

更に筆頭家臣であるドゥッガの「賊は狩って舎弟にする」という働きに習って……賊や餓えて襲いかかってきた民、更には獣も狩ってここまで連れて来る。

 

貴族も少しは悪さをしたような部分もあったようだが以前から「復讐推奨」なリヴァイアス侯爵家にはあまり無茶はできない部分もあるようで表立って問題になるほどではない。

 

やっと飼いならせたワイバーンと鳥人部隊を中心とした航空戦力もいれば強靭すぎる肉体を持つ亜人、他国から集められた数の多い隷属兵、クーリディアス元正規軍のような魔法使いまでリヴァイアスにはいる。彼らに文句を言うものはいない。いや、正しくはなにか言って来ているかもしれないがどうとでも出来る武力がこちらにはある。そもそも悪いことはしていない。

 

国の中枢が腐ってるから私への婚儀の申込みの命令をしてくるような面の皮がダイヤモンドのようなゴミ貴族もいるがそれを無視してしまえるほどの武力がこちらにはある。

 

道中の貴族にも商圏の恩恵は少なからずあるからか大人しくなっている。しかし、ピストン輸送するということは王都では一時的に人が宿泊する施設が必要なわけで……更に商品も容器もたくさん積み上げられて……場所が、場所が足りない。

 

何故かはわからないが私の部屋の近くで寝たがるリヴァイアス出身の兵士たち。廊下で寝るほどに場所がないのはわかっていたがなにやらローテーションを組んでいるようである。

 

ジュリオンが指示してる気がするが、用意したベッドで寝てもらおうにも「これも訓練ですので」と廊下で寝てしまう。軍のやり方に口出しするのもなぁ……。

 

 

そんなわけで在庫過多で場所を取る食材を減らすべくレストランを新設する。カレールウと海産物の消費量を増やしたい。

 

 

オークションではとんでもない価格で売れているカレールウだが一般に広がらないと大衆に認知されないし消費量が知れている。うちの関係でも作って出してはいるが身内相手ではなく王都の人間を相手にしたい。

 

カレーも海産物も同じお店で提供するか、それともカレー専門店にしようかな?カレーは輸送費も香辛料の希少性もあってどうしても割高になってしまうがそれでもたまにの贅沢に食べれる程度の価格設定には出来るはず。最初は在庫が埋め尽くしていたりする屋敷と賭場と倉庫の現状を考えて一ヶ月ぐらいはオープン記念価格にしたって良い。

 

リヴァイアスからの塩と香辛料は飛ぶように売れているが、魚とカレールウは無くても良かったものだしそこまで売れていないのがなぁ。魚は種類が多くてオベイロスの人に良し悪しがわかっていないのか、氷漬けにしているため種類によっては味が落ちるし高い金を出しても美味しくない場合もある。カレールウはそもそも平民にはあまり広がってない。塩があるからと漬けて持ってきているリヴァイアスの漬物も早く消費したい。

 

うーむ、総合的に何でも出すレストランにしてもいいし、それぞれでカレー専門店やカレーうどん専門店を立ち上げても良い。これからずっと売っていくんだからカレーが定着するように考えねば……あ、貴族社会では香辛料が流行ってると聞くしなにかしらでゴミ貴族からお金を吸い取れるシステムを作れないかな?

 




よかったら評価やレビューやコメントなどなどしてくれると僕が喜びます|д゚)ジー
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。