水魔法ぐらいしか取り柄がないけど現代知識があれば充分だよね?   作:mono-zo

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第254話 婚約者候補 の お茶会

 

定期的に集まるお嬢様方。

 

金をかけた服を着て、金をかけた飯を食って、金をかけた……何かを飲む。

 

安全のためにはこの会は必要とわかっているから参加しねーといけねー。本当にだるい。まぁ今日は取り巻きの奴らはいないからまだ気が楽だ。

 

こいつらは婚約者候補の中でもまだマシな方だ。

 

だけどやる気もねーし、マジでかったるい。

 

 

「貴女方はどうするおつもりですの?」

 

「陛下は私にしか興味がなさそうですしね。皆様には良い男性にあてがわれることになるのかしら」

 

「……ケッ」

 

 

あーやだやだ。女同士の探り合い。

 

ヒラヒラした服を着て、まともなことを話してるようで裏で何を考えているかわからない嫌な会。俺はそんな服は似合わないし着ないが。

 

流行りがどうとか、どこぞの貴族がどうだとかくっだらねー。

 

 

「ポヨ様はいかがでしょう?」

 

「興味ねー」

 

 

まぁ付き合いは大事だ。

 

話してると誰でも知ってる噂話を知らないと家や命が消し飛ぶこともある。鬱陶しくて仕方ないがこれも仕事だ。食わせてもらってるしこれぐらいしねーといけねー。

 

それに今回はシャルトルのへーかも逃げられない。ライアームのとっつぁんの子供らがやってくる。ついでか辺境領地の未婚の貴族も一度に多く来る。

 

戦争よりはマシだが宮中は確実に荒れる。

 

だからその前に候補の中でも上の俺等が話すことになったのだが……俺はこういうの嫌いなんだ。誰がまともだとか誰が誰を騙したことがあるとか、気が滅入る話ばかり。本気で逃げ出したくなる。今は楽しみもないしな……はぁ。

 

 

「興味がないということは貴女は王妃の座を狙ってるということでしょうか?」

 

「あぁん?まぁそうだな。そういうこった」

 

 

一応は婚約者候補だ。あんななよっちいのは趣味じゃねぇんだが他に候補もいねぇし仕方がない。

 

対外的には俺も王妃を狙わねーといけねー。興味もないのにめんどくせー。

 

 

「なるほど、外国からの姫君やライアーム前王兄殿下の御子息方の情報も出揃いましたし……貴女方は他に話すことはありますか?」

 

「ねぇよ」

 

「私はありますわ!」

 

「なんでしょうか?」

 

 

仕切りたがりのセルティーにどうでもいいことを話したがりのリュビリーナ。令嬢の中で家格もあるしまだまともなこの2人のどっちかが王妃でいいんじゃねーかな。

 

見慣れた顔ではあるが話の内容が内容だけに嫌になる。さっさと酒を飲みてぇ。

 

 

「リヴァイアス侯爵についてですよ!私達はどうお迎えするべきでしょうか!」

 

「まぁ」

 

「……馬鹿が」

 

「馬鹿とはなんですか!馬鹿とは!!品がありませんわね!」

 

 

話題に上げて良いかもわからない話題をわざわざ出してきやがった。

 

リヴァイアス侯爵と言えば貴族の中でも悪口ばかり言われてる少女侯爵だ。どこの出身かわからなかったのに、とんでもない躍進をして……へーかの心を射止めたと話題の少女だ。

 

なにせ誰も入れない執務室に2人だけになってずっと出てこないのだ。もうこれは決定だろう。

 

しかし、侯爵は貴族からすげー嫌われてる。出自もわからなかった小娘がいきなり伯爵、リヴァイアス侯爵領を継いでクーリディアスとかいう外国を丸ごと傘下に収めた。普通だったら侯爵になるなんざ何十世代もかけねーと無理だ。つーか他国を丸ごと倒すってどういうことだよ。

 

腐れ吸血泥貴族共は良い思いをできなかったのだ。賄賂や領地に利権をよこせと常日頃からローブの下に溜め込むド腐れ共である。どう考えたって良い気分はしてねーはずだ。

 

侯爵も侯爵で金は嫌いとかで賄賂に良い顔をしない家風だそうだ。

 

愉快なことに10にも満たない若さゆえか嫌がらせしてくるド腐れ共はちょっかいを掛けてやり返された。どんなのかは俺等は会わせてもらえねーから知らねーが……若くって良いねぇ。

 

奴らは締付けてくるへーかもじじーも敵視してるんだろーな……自分らの親分だろうに何やってんだか。

 

まともそうなリヴァイアス侯爵とへーかの婚儀が成立すれば立場が悪くなるとわかっているのだから奴らは邪魔するはずだ。

 

とは言え国の中核はド腐れ共だ。奴らが国を動かしてる。最近はへーかが精霊契約の儀式をしてくれているからまともなやつも増えたが…………それでもだいたいが腐ってるし、腐った中に活きの良いやつを入れたってすぐに腐っちまうもんだ。

 

マシなやつは後ろからローブを切られるしあまりに飛び抜ければ杖を盗まれる。なかなか出世は難しいわな。

 

 

国の中央はリヴァイアス侯爵を歓迎していない――――表では祝っておきながら。

 

 

そんなリヴァイアス侯爵をどうするか?決まってる。笑顔で歓迎していますって言って見守るだけだ。話にするだけ愚かだ。

 

 

「王妃の最有力候補と言えばあの方です。丁重に歓待すれば良いのでは?」

 

 

そういう考え方もできるか。歓待か……戦うか、助けるか、無視するか。

 

改めて考えてもやり合うのはねーな――――調子に乗ってんなら裏に呼び出してしめるしかねーが。

 

 

「そういう考えもありますね。でも私は嫌ですよ?貴族の常識をこれまで無視してきたような彼女が王妃に?――――無いでしょう」

 

「貴女は敵対を選ぶのね?」

 

「敵対って……そんなんじゃないって!でもぉ私が王妃になるんだから彼女は私に傅くべきじゃないかしら?」

 

「……くっだらねー」

 

 

へーかに相手にもされてないのに王妃気分か……。

 

まぁ身分のある俺らの中で一番熱心だし、下の奴らと比べりゃまだなぁ…………。

 

 

「おい、お前はなにか言うこと無いのかよ?」

 

「…………これがこうで……ん?あれ?なんか言ったかね?ポヨ令嬢」

 

 

4人でいるのに頭でっかちの研究馬鹿は何も話さない。というか俺も出来れば声をかけたくはなかった。

 

 

「ラズリーも魔法だか魔導具だかなんだか知らねーが茶会に変なもん持ってくんなよ。せめて俺等の面ぐらい見ろよ」

 

「吾輩、ここで話を聞いて情報を得るだけでいいと思うのだよ。……世話はうちの家人がしているだろう」

 

 

歴史に記された大賢者ともうすぐ歴史に記されるであろう大賢者の末裔。家格も名声もあるけどこいつは俺以上に令嬢として終わってる。いつもよくわからん変なことばかりしてるから存在自体忘れてたぜ。

 

そもそも風呂にも入らずになんか鉄臭く黒く汚れている。女性らしい身なりをしないのは俺もだからそのままでいてほしいものだが。……まぁ他の取り巻きは入れない場所を提供してくれただけいいか。

 

この家の連中は政治になんて興味もない。

 

 

「ほ、ほら、貴殿らの好きな新たなお茶だ。だから意見はなしでいいだろう?」

 

 

少し顔を見ていると目をそらされた。

 

そして出されたお茶。飲んでみると……不思議な旨味と塩気のある面白いお茶だった。甘ったるくなくていいな、これ。

 

 

「うめぇな、ありがとよ。なんて茶だ?」

 

「リヴァイアスで作り始められたコンブ茶だそうだ。吾輩も朝に飲み始めたんだがなかなかに良いと思ってな」

 

 

聞いたことはないがリヴァイアスのものか。

 

最近はカレーやらロールアイスやらと美味くて面白いものが多くでてきてやがる。特にリヴァイアス酒はもうないと落ち着かねぇ。体の芯からあったまるしな。

 

 

「とても滋味深いお味ですわね」

 

「私にはぁちょっとぉ……砂糖をいただけますか?」

 

 

この茶に砂糖を?正気か?

 

まぁ好みか。無視してるとラズリーがなにかの書類を取り出してこちらをチラチラ見始めた。相変わらず普通に話すのが難しいやつだな。魔法の話になるとよくわからんことまでまくし立ててくるのに。

 

 

「ポヨ令嬢、話とは関係ないのだが以前に頼まれた調査報告がやっと上がったようだ」

 

「あん?なんだそれ?」

 

 

俺がこの頭でっかちになにか頼んだだろうか?全く覚えがないのだが……。

 

 

「以前下町で頼んだだろう?」

 

「あ、あー!さっさと言えよ!」

 

 

頼んだのは何年も前だぞ?俺も忘れてたのにまだ調べてたのかこいつ!?

 

 

「あら?ポヨ令嬢に御執心の殿方がいらしてたの?」

「気になるぅ!」

「えーと、待つんだ。この書類の山の何処かに詳細が……わ!さわるなさわるな!どこに何があるのか吾輩が把握してるんだから触られると……」

 

「うるせぇ!」

 

 

ずっと探して、諦めかけてたのに……今更見つかるなんて!?

 

頭でっかちの部屋の書類を漁って探す。似顔絵も描かれて……これだっ!!

 

 

「――――……決めた。俺はリヴァイアス候とやり合うことにする!」

 

 

少し押さえつければどうにかなるか?それとも杖で――――

 

「それよりも貴女は母君をなんとかしてくださいまし」

「……無理言うな」

 

 

セルティーに言われて一気に気が滅入ってしまった。

 

……そりゃそうなんだが………………あんなの俺にはどうしようもねぇよ。

 




あらためてただいまです。
ラノベ書いてることがバレても、手放しで応援してくれた第二の父のような人。
「面白いもん」「続き待ってる」って言われたのが耳に残ってます。何処まで出来るかはわかりませんが、書いていこうと思います。
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