水魔法ぐらいしか取り柄がないけど現代知識があれば充分だよね?   作:mono-zo

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第294話 話題の麺料理✕研究

 

学園の視察を終えてうどん屋でラーメンを出す店に行く。

 

何がどうしてうどんを作ろうとしてラーメンが出来たのかはわからない。現状乾麺で作っている「茹でると緩くなりすぎるうどんの麺」を生麺で作成すると良い歯ごたえになるそうだが少し様子を見に行きたかった。それにうちの人間でもパーティで食べていない人もいたし、ミリーが食べたそうにしていたからだ。

 

ミリーはたくさん食べる方だし、服が汚れるのも構わずにガッツリ食べている貴族を見て我慢していたのがわかった。絶望の表情をしていた。しかし、あげたドレスであの場にいたからか我慢したようである。

 

 

「お客さんすいませんが今日は営業してなくてですね……。え、ちょっと、そっちは従業員用の――――

 

「領主様の護衛様だ!すいませんうちの若いやつが」

 

 

うどんの店舗の休みの日に視察に行くと店の中にチェックに入ったローガンが少し止められたようだ。家臣や店員も増えて誰がどんな立場かわからないことも発生しつつある。

 

店舗は休みではあるが食材は集めてもらっている。休みの日には研究開発のためにもリヴァイアスから行き来する人と使えそうな食材を吟味するように言ってある。

 

亜人だけではなく隷属した人も運送には関わっているし、中でも他国の味を知ってる人の意見はとても参考になる。

 

 

私は経済を通して世の中を見るのが好きでよく調べたものだ。食文化は経済に直結する。

 

 

テキーラの原材料はアガベ、スペイン語ではピニャ……だったかな。見た目はパイナップルのようなもので畑に植えられて育つがこれがすごく大きい。きっと今の私よりも質量も大きさもあるだろう。40キロとかあったはず。それを刈り取って、熱して水分を飛ばしてから酒にするのだが、家族の誰もそんな植物は知らなかった。テキーラという酒は皆知ってるのにね。

 

世界中で人間という同じ生物が同じように何かしら食べていたが文化圏が違えば食材も違う。食べてみて「あれが合いそう」なんて発想は私には出来ないし、積極的に発言してもらうように言っている。虫は許さんが……それでも美味しいものが出来るのは良いことだからね。うまく行けば私も皆も美味しいものを食べれる!

 

まぁかなり失敗もあるようだけどそれは必要経費ってことで。

 

それに少し時間もある。シャルルはライアームの息子や姫君方の所在がはっきりとわからないためすぐにリヴァイアスには向かわずに待機するように言ってくれた。試験も採点待ちだけど中途半端だしもう少しやってから出発することになっている。お見合い参加者には王宮で働いてる人もいっぱいいるから仕事の引き継ぎも必要だしね。

 

 

「良いのかなこれ」

 

「あれ食べられるんですか?本当に……?」

 

「聞こえるぞ、下がってろ!」

 

 

厨房ではいくつかの出汁を取るのを試している。料理研究をしてからラーメンを食べる予定だ。

 

まぁ、たしかにこれはちょっと知らない人が見るとあれか……。

 

大量の鍋と作業員の人に頑張ってもらっているが、中身と処理がそれぞれ違う。魚のアラ、魚の骨、貝、見たことのない数種類の昆布、鳥の骨、鳥の足、野菜……それにヘビや動物の内臓だ。どれも「食べられる物」で「王都で需要のないもの」を集めてもらった。半分はリヴァイアスから届いたものだ。

 

それなりに広い厨房に即席のかまどを作り、大量の鍋で煮る。テルギシアに頼んで火を維持してもらっている。

 

料理研究の部分もあるが、それぞれ「氷入りから加熱」と「アクを掬うもの」「アクを掬わないもの」で試している。中火から強火ぐらいでやってもらっているが弱火で煮たほうが良い出汁が出る可能性もあるが、素材の方向性だけ分かれば良い。

 

しかし、大量の鍋の中でもヘビと内臓類は結構見た目がヤバいな……。

 

王都では骨が捨てられるなら「内臓はどうしてるんだろう」と思ったのだが内蔵も捨てられていた。

 

食べられないのならそれで良いのだが、他国から来た奴隷の人によると食べることも出来るらしい。それも美味しい上、土地によっては高価なのだとか。

 

なので試しに一緒に煮てもらっている。煮るのに氷を入れた理由は、イタリアかフランスの技法で氷と一緒に煮始めることで良い出汁が出るというやり方だった……ような?

 

料理人は私が厨房にいることでビビってるようだが、まぁ仕方ない。企業の社長みたいなのが街の料理店に来れば怖いのかもしれない。虫の構えはやめさせたが慌てようがすごい。

 

 

「交代しよう」

 

「……ん」

 

「<火よ。フェニークスよ。人々に安寧をもたらす火を>」

 

 

赤竜騎士団の団長、プライマーレもいる。

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

学園にはインフー先生がまた危なそうな何かを作っているようでそれをチェックしに来ていた。

 

インフー先生を超魔力水漬けにしていると事情聴取が始まったので同席した。

 

 

「うくく……ぎぎ…………」

 

「では、学園の担当騎士を倒したのは事故だったと?」

 

「はいぃぃいいいい!」

 

「賢者フレーミス!もっとやって!強く!!」

 

「この魔法そういうのじゃないんで」

 

 

蒸気開発は学園の騎士をも倒していた。学園の騎士はインフー先生を危険とわかっていつつも開発途中の圧力機関の蒸気が「お茶を沸かしている最中」と勘違いして近づいて……吹っ飛んだそうだ。

 

キマさんは火の属性の魔法を使える学生であるが賢者でもある。片付けや雑用で怖い思いをしたそうでインフー先生を苦しめるように言ってきた。

 

インフー先生は今までにも何回もやらかしているからなぁ。幸いなことに騎士は近くにいたのでついでに治した。部位欠損のような重傷でもなかったし2人共数時間で治せた。フリムちゃんの超魔力水のレベルは上がっているのだよ。

 

弱ってるインフー先生の事情聴取中に他の賢者も来て「こいつを牢にぶち込んでくれ」って嘆願が多くてびっくりした。もう火の研究棟を蒸気機関の開発だけで延焼と爆破を累計10回は超えたそうだ。そりゃ周りで働いてると怒るよね。

 

だけど国のトップである国王陛下の要望でもあるので研究は続行。プライマーレ騎士団長は苦笑いしていた。

 

 

「少し怪我の様子も見たい。だからしばらくプラーに賢者インフーの監視を頼みたい」

 

「嫌だ」

 

 

動けないチャンスにしばかれているインフー先生の横で怪我をしていた騎士とプライマーレ騎士団長が話し始めた。

 

私も治療中は動けないし、眼の前で会話されると聞こえてしまう。

 

 

「そこをなんとか、お前の方が俺よりも火に強いだろう?」

 

「俺は陛下の命で来ている。親族とは言え勝手をすることは出来んな」

 

「……じゃあ俺陛下に相談してくるわ」

 

「っ!?待てい!!」

 

「ふはは!元々報告が必要だったからな!あれ?良いのか?陛下への報告を騎士団長様のお前が止めて」

 

「チッ、速やかにお役目を果たすと良い。騎士ライアス・シキチア・フェニークス」

 

「ではなプラー!……それとリヴァイアス侯爵、この礼は必ず」

 

「ア、ハイ」

 

 

何やら親しげだったが学園に来ていた騎士もフェニークスの人間だったらしい。鷹のような鋭い眼光でライアスさんを睨んだプライマーレ騎士団長。

 

そこにテルギシアも来て……テルギシアはプライマーレ騎士団長に一瞬で捕獲された。2人共フェニークス家だもんね。お見合いでやらかしたテルギシアへの説教の追加かと思ったら「災難だったな」と伝えていた。

 

テルギシアは私を探していたようだ。基本的に彼女は学生であり、お見合いの参加者でもある。常に満員御礼行列必須のうどん店に行くことは出来なかったので食べたいとお願いをされた。

 

これから料理研究もするし誘ってみるとついてきた。プライマーレ騎士団長、いや、そう言えばプラーと呼ぶように言われていたっけ。……プラーも取り調べが終わって時間も出来たし、貴族の流行を知らずに王宮にいると嫌味の一つも言われるということで参加を希望した。作り方とかは秘密でと確認はした。

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

それまで使われなかった食材だし、美味しくない可能性もあった。だけどそれはそれで魚の餌や動物の飼料、肥料などに出来るかもしれない。

 

出汁は良いものが出来た。

 

特に鳥の足が良い。出来たものは味は薄いが、上品で良い味をしている。水を減らして濃く煮詰めるときっともっと使えるような味になると思う。この昆布はダメだな。使ったことのない品種だが渋いしお湯がネバネバしている。薬の開発にならまだ使えるかもしれないが食品としては無いな。

 

 

「ひっ!!?……なんでもないです」

 

「エール先生?」

 

 

エール先生が声を上げて奇怪な移動をした。直立姿勢のまま、後方に、一瞬で移動していた。

 

 

「なんでもないったらなんでもないです。――――近づけないで」

 

「これ美味しいよ?骨が多いけど」

 

 

蛇の頭を落としてくれているミリーが蛇の頭をエール先生に差し出した。腕をさすってひくついた笑顔ですすっと移動したエール先生。明らかに動揺している。

 

エール先生はヘビが苦手だったはず。王都では食べられないそうだが食材としては優秀らしい。けど見た目がなぁ。

 

それぞれ出た汁と可食部位を味見していく。

 

ヘビは微妙である。出汁も微妙で肉も骨がたくさんあって、旨味も薄く、骨が多い。骨ごと食べれるそうだけどちょっと歯ざわりが悪いし食べにくい。

 

ホルモンは……茹でるには微妙だな、ゼラチン質と皮っぽい部分は歯ごたえがありすぎる。部位によってはゴムみたいになっていて消化できなさそうだ。いくつかの種類は面白い味をしている。ポン酢と合いそう。

 

ちょっと興味本位で生の内蔵を沸騰したお湯に湯通しして、水でさらし、もう一度同じ工程をして……網で焼いてみた。

 

煙も結構出るが前世のシマチョウやハツ、レバーに当たる部位でやってみたのだが、美味しい。いやこれ抜群に美味しい。包丁で薄めにスライスして隠し包丁も入れてみた。2度ほど下茹でして臭みは無くなっているし、茹でたものとは食感も旨味も違う。以前作っていた辛めの焼肉のタレとも相性が良い。

 

 

「……ボク、この組み合わせが良いと思う」

 

「何をしている!?」

 

 

湯掻いた麺にスープではなく焼いたホルモン類を載せ焼肉のタレと……マヨネーズを追加して混ぜ始めたテルギシア。

 

プラーさんは麺はスープと一緒という固定観念でもあるのか、あーあという顔をしている。

 

出来た焼きそばのような麺をテルギシアは食べたが……無表情のまま固まった。原因は推察できる。

 

 

「なるほど、一口良いですか?」

 

「……ん」

 

 

試食会のようなものだし遠慮せずに一口いただく。うん、微妙。

 

麺の湯切りが甘く、タレとマヨネーズの味がお湯でぼやけていて……正直不味いと言ってもいい。

 

しかしイメージが湧いたので試してみる。

 

麺を思い切り湯切りし、水でしめてから一旦放置。炒め用の鍋に少し脂を溶かしてからいくつかの薄切りの肉といくつかのホルモンを焼き、それと細切りにしたあまり水が出ないタイプの野菜を投入。肉にも野菜にも火が通ってることを確認し麺を投入、焼肉のタレを少し絡めて皿に出す。マヨネーズは皿の端に盛っておく。

 

 

「どうぞホルモン焼きそばです。食材は全部今思いついたものなので相性の有無を言ってくれるとありがたいです」

 

「……おー」

 

 

麺表面の水分が飛んで少し焼いたタレが絡み、抜群に合う肉とホルモン。

 

若干ホルモンのサイズが分厚くて噛み切りにくいしザラつきはあるもののすごくいい味である。野菜のいくつかはありだけどいくつかは……無しだな。マヨネーズとは面も肉も野菜も相性が良い。麺の上に細く出すようなことは出来ないから皿の端に載せたし調節が難しい。麺も基本がラーメン用の太めの縮れ麺だからか若干固すぎる。でもこの組み合わせは結構……いや、かなりありだ。少し顎が疲れはするが味は抜群に良い。改良ポイントはあるが。

 

 

「……侯爵は料理上手。作り方教えて」

 

「はい。少し改良できそうな部分もありますね」

 

「……ありがとう。リーズに食べさせたい」

 

 

それぞれの具材の火入れを調整して、野菜の選定と麺の種類と茹で加減を少し変えれば更に美味しく出来ると思う。麺も歯ごたえを改良できそうな気もする。それにしてもテルギシアはリーズが好きだなぁ。

 

 

「良いですね!今度食べてもらいましょう!」

 

 

麺の茹で具合、肉の厚み、ホルモンの選定と切り方、野菜の選定をしてもう一度焼肉のタレで焼きそばを作る。

 

 

「……美味しい。ありがと、侯爵!」

 

 

テルギシアは何を考えてるかわからない部分もあるが、リーズのことは大切なんだろうな。

 

研究会が終わったら普段通りのラーメンを出してもらって一緒に食べた。…………いや、あれ?ここうどん店のはずなんだけどなぁ。まぁミリーも猛烈に食べてるし良いとするかな。

 




水ぐらをネットに投稿し始めて2年経ちました(*´ω`*)このサイトだと投稿は最近ですけどね!

読んでくれる皆様あっての作者です。いつも本当に有難うございますm(_ _)m
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