水魔法ぐらいしか取り柄がないけど現代知識があれば充分だよね?   作:mono-zo

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第311話 酔倒❢ドワーフ

 

「細かな部分は違っているかもしれませんが、そこはごめんなさい」

 

「酒が飲めれば飲めるだけありがたく! ~~~~の果てにこの~~は~~~~~」

 

「彼は感謝しているようです」

 

「ありがとうございます」

 

 

奴隷兵の中にドワーフの方がいたので通訳に来てもらった。ドワーフの貴族相手に同族であるドワーフの奴隷に同席してもらうのはどうかと思ったが……気にしていないみたいだ。

 

フドンさんの報告は酒宴の前にまとめてもらって目を通してある。

 

とある女性に婚姻の話が持ち上がり、問題の鏡は嫁入り道具だった。嫁入りするお孫さんのためにお爺さんがその鏡に装飾を施した。出来上がった鏡の出来は素晴らしく、結婚するお孫さんはたいそう喜んだそうだ。

 

しかし、その鏡は輸送中に盗難にあってしまい、流れに流れてここに来た。

 

フドンさんの旅装が酷く汚れていたのは陸路をひたすらに走ってきたそうだ。

 

 

「どうやって鏡の位置が分かったのですか?」

 

「ドワーフの技術で……なんと言えば良いのか。鏡は売れる。だけど鏡防御の魔導具、売ってはいけない。国が管理している。儂はそれ追いかけてきた」

 

「もうちょっと詳しくお願いします」

 

 

フドンさんの目的は2つだ。「鏡の回収」と「その鏡を保護する魔導具を回収する」ことである。

 

結構な距離があるのに鏡が割れていないのは保護用の魔導具を使っているからである。鏡自体は交易品としてドワーフも輸出に規制をしていないが保護用の魔導具の方は他国に出してはいけない品であり、それごと盗難にあったらしい。

 

 

……割れたほうが買い替えもあるしドワーフとしては商売になるもんね。

 

 

鏡の木枠の裏にはその魔導具が取り付けられていて、その方角がわかるそうだ。

 

彼は鏡の元の持ち主は縁があるらしい。魔導具の回収も大切だけど盗難を聞いて彼は遠方からわざわざやって来た。……新しい鏡とか別の鏡ではダメなのだろうか?

 

お酒好きなアモスだが流石にケチを付けられた相手がいて、更には護衛対象の私がいる為飲んでいない。――――……飲まずに殺気を撒き散らしている。

 

アモスの周りだけ空気が歪んでいる気がする。もしもフドンさんの言い分が酷いものだったら彼の首は飛んでいたかもしれない、物理的に。

 

不機嫌な彼をどうにかするためにもイリアにも給仕をしてもらって落ち着いてもらおう。本来であればリヴァイアスの問題が落ち着いてからお見合い参加者を呼んで夜会でもして……その時にアモスにドレス姿で会わせてみようと思ったのだけど……まぁ仕事優先だし仕方ないよね。

 

合図をしてイリアにも酒を持って入ってきてもらう。やっぱり軍服やズボンよりもスカートのほうが似合ってるように思う。本人は恥ずかしがるが。

 

 

アモスよ、気持ちはわかるが給仕服のイリアに見とれてるんじゃない!イリアも照れて……2人だけの空間を作るんじゃない!そういう席じゃないからここ!?

 

カタンとほんの小さな音が後ろのジュリオンからした。アモスもなにかに気がついたのか一瞬で背筋を正した。

 

空気が弛緩した気がする。

 

先程までの一触即発と言わんばかりの空気じゃないのなら良いだろう。フドンさんとは私が率先して話す。

 

 

「それにしても美味い!酒薄いがこのカラーゲ、酒に合う!!」

 

「それは良かったです」

 

「だがもっと美味い酒、あると風に聞いた!天上の雫!精霊の涙!ドワーフすら酔い落とす霊酒あると!!」

 

「その評価が正しいかはわかりませんが、一応お話しが進んでから出す予定でした」

 

「ドワーフは酒、よく飲んでから話し合うという決まりあるでます」

 

「それはそちらの決まり、ここはリヴァイアスです」

 

「そうです、すまんかった!」

 

 

あら素直。

 

腹芸が出来そうなタイプではなさそうだが油断はできない。

 

『人至上主義』というものがあるように国によっては他種族を貶めるような宗教が存在する。このドワーフも人を下に見ている可能性があったがそうでもなさそうだ。

 

 

「……それにドワーフの人に飲んでもらったら倒れまして、話し合うのに倒れてしまっては双方にとってよろしくないでしょう」

 

「…………」

 

 

あれ?生唾のみこんだぞこのドワーフ。なんで倒れた同族の話をしたのにそんな反応なんだ?

 

アレルギーのチェックで別のドワーフに飲んでもらったら倒れた。少しずつ飲んでもらって問題なしとお墨付きをもらったあとに少しずつ過ぎて酒飲みには可哀想かもと思ってご褒美に「好きなお酒一杯だけ」ってご褒美を言ったら蒸留酒を大きなジョッキに一杯飲んでひっくり返ったのだ。

 

 

「鏡のことは抜きにして貴方から見て貴国の商人の行いについて聞きたいのですが」

 

「あれは斬首にしても当然、考えられる」

 

「それは何故ですか?」

 

「ん……一つの理由、他国の領内で諍い、起こすした」

 

「たしかに」

 

「二つの理由、彼は貴族に親戚がいる、紙読む通りでは貴族の命令、~~だから他国で争いを起こした言うようなもの。それは許されん」

 

 

斬首だ斬首とジェスチャーしてくれる。上から下に何かを振り下ろすように……多分首を切る側の仕草だ。

 

貴族のバックアップがあるぞと吠えたわけだし、戦争の可能性を考えると現役貴族の立場としては怒っても仕方がないのかもしれない。

 

 

「なるほど、どのように処断しても貴殿から、そして国元から文句は来ませんか?」

 

「文句は言えない。むしろやりたい。……だけど貴族から、文句が来るかもしれます」

 

「詳しくは通訳に言ってもらえますか?」

 

「できれば自分の口で話すしたい。それでこそドワーフ。だけどこの国の言葉ちょっと理解していない、また後で正しい、伝える」

 

 

自分の口で語るのは流儀のようなものだろうか?詳細はおそらく後で教えてくれるようなのでそれは助かる。

 

伝わらなければそもそも意味がないのだから。

 

 

「ありがとうございます。では続きをどうぞ」

 

「商売には頼み事もたくさんある。だから奴を殺したからうまく行かなくないいう輩でてくる。この国に態度悪いのは……国が遠い。精霊の力、侮っている」

 

「というと?」

 

 

できるだけ通訳を使わないように話してくれるのは誠意かもしれないが聞き取りにくいな。

 

 

「オベイロス、ではない国。精霊が力を振るわない。だからそう~~いや……恐怖、恐怖がない。分かってない」

 

「なるほどそれだけ聞ければ彼の件は充分です。次に鏡の件ですがアモス将軍になにか直接伝えることはありますか?」

 

「はい、直接伝える機会与えてくださり、感謝。こちらは窃盗団を追い回すしていた。はじめはそう思っていた。立派な人が持っていて困惑した。説明しようとして、このままでは機会もなくなると無礼にも近づいた。~~を、違うか、兵を傷つけてしまった。何より女性への品に口を挟んでしまった。本当に申し訳ない」

 

「……」

 

「アモス、言いたいことがあればどうぞ」

 

「……結果として貴殿は生き残ったが俺は頸を落とすつもりだった。殺したつもりが生きていた。その上で貴族と知ってしまってはな。――――……立場上貴殿の処遇は主が決めるべきだと考えている」

 

「すまんかった!」

 

 

悪人ならやっちゃって問題ないと思ったがフドンさんは非常に協力的で、彼には彼の理由もあった。

 

領主の立場としては処断してもいいが……落とし所を探るのは難しいな。何より部下から私へのプレゼントに関する問題だし。

 

 

「しかし困りましたね。鏡を私が受け取ってもわだかまりが残りそうな気もします。しかしアモスの気持ちを考えれば受け取ったほうが良い」

 

「こちら、どうしてもあの鏡が必要ですして……買い取った金額、こちらが支払うので――――いや、それでは無礼、過ぎる。………………ではこうする、いかがです?」

 

 

チラチラと私とアモスを見るフドンさん。そのまま通訳さんに話しかけた。

 

通訳のドワーフさんは軽く飛び跳ねて私とアモスを交互に見てブンブンと首を振ってフドンさんとそのまま何かを話した。

 

通訳さんとフドンさんはしばらく何かを話して、通訳さんがまとめてくれた。

 

ドワーフの貴族さんが提案してきたのはより良い鏡を贈るので代わりにそちらの鏡を引き取らせてほしいと言う願いだった。

 

というのも孫娘の婚儀のためにと用意された鏡はフドンさんの友人が施したもので、その友人は作り終えてから寿命で亡くなってしまった。そしてその細工は特別なものであり――――婚姻相手に愛を誓うといった古語が彫られているそうだ。

 

 

この話を聞いてアモスが了承した。私への贈り物でその意味を知っていたのかと言わんばかりの姉とイリアが追求してそんなことはないと言うアモス。強制的に受け入れざるをえない状況となった。

 

イリアは闇落ちしてそうな顔をしてコワカッタ。

 

うん、知らずに贈ったら仕方ないけど、知ってて贈ったら弟にとって姉という天敵が目覚めかねない。あれだけ怖い気配をしていたアモスが動物病院に連れて行かれた犬猫のようにブルブルと動揺していた。頭をガッツリ掴んで持ち上げられて吐かされていた。

 

まぁ知ってても知らなくても……その鏡を私が受け取って、その古語の意味に誰かが気づいたなら後々大問題になりかねなかった。険悪に終わるよりもよっぽど話し合いになったしそれで良い。

 

他にも細かな話し合いをし、その後の酒宴は思ったよりもすぐに終わった。

 

話もまとまり、商人の貴族についても対応しようと申し出てくれて……ジュリオンのアイアンクローによってちょっと頭からなにかの汁がでてピクリとも動かないアモス以外は和やかに食事することになった。

 

 

「私の作ったお酒です。精霊がなにかして光ってるので体質に合わなければ遠慮せずに吐き出してくださいね」

 

「お、おぉ……」

 

「こちらがリヴァイアス酒、オベイロスの水の家では酒造りを行っています。タナナやレーム家の方がお酒作りは盛んだったそうですがうちでも作っていました。それに特殊な加工をしました」

 

 

ガラスのコップに注がれるリヴァイアス酒こと蒸留酒。

 

口を開けたままそれを呆然と見守るフドンさん。わかるよ、光ってるもんね。

 

 

「こちらは竜酒、竜の血と薬草が余っていたのでドワーフの指示の元仕込んでみました。こちらも体に悪いと思ったら吐き出してください。こちらはテキーラもどきでこっちは薬草酒、それでこっちは――――」

 

「い、いい?!こんなにも!!?~~~このフドン!ここで悪さしたが?!」

 

「今後の友誼のためでもありますし、あれ?ドワーフに聞いた作法に合わせてみたんですが」

 

「北側の作法!ここまでの良酒一度に出す?!い、良います!?全部飲むよろしい?!」

 

「かまいません。勿論お酒はどうしたって傷んでいる可能性もありますので飲めないと思ったら遠慮なく吐いて別の酒にしてくださいね」

 

 

ドワーフとの酒宴だしドワーフの奴隷数名にドワーフの酒宴の作法を聞いていた。

 

特に地位が高い貴族が集まって飲む場合。数と種類を出しておけば毒が入っていても許してくれるらしい。

 

酒造りは精霊という謎工程があるだけあって出来たお酒が体質に合わなかったり毒になっている可能性もある。ちょうどいい作法だと思った。当人たちいわく単純に飲みたいから量や種類さえあればちょっとぐらい問題があっても問題とならないらしい。

 

テキーラとウイスキーっぽい酒も謎の精霊熟成によってできていた。私は舐めただけですぐ口をすすいだがお菓子作りや料理の香り付けに良さそうである。もう数年寝かせたいが、良いお酒なら今後の交易のためにも貴族の彼にはドワーフの国で大いに宣伝してもらいたい。スポークスマンとなってくれることを期待する。

 

 

「では……不幸な行き違いもありましたが、今後の交流のためにも――――乾杯っ!!」

 

「かんぱいっ!」

 

 

そしてドワーフの彼はたっぷり注いだリヴァイアス酒を一気飲みして――――即倒れた。

 

リヴァイアス酒って蒸留酒だしな……こっちにはない文化だし、もしかしたらドワーフの国にもないのかもしれない。

 




病院行ったら予想以上に時間が経ってました(´・ω・`)ビックリ
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