水魔法ぐらいしか取り柄がないけど現代知識があれば充分だよね?   作:mono-zo

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第367話 魔導省水没(ハンニンスグニワカッタ)

 

情報収集しているとおかしなことが聞こえてきた。

 

魔導省で大乱闘が起きて、建物内部がなぜか水没してしまったらしい。

 

 

それだけ聞いて…………「動機」と「犯人」と「使われた道具」がわかった気がする。

 

 

「原因はラズ「行きましょう」

 

 

微妙にこれ以上の情報を聞きたくなかったけど、やはりラズリーだ。

 

移動しながら聞いてみるとユース老先生の分の水精石もくすねて実験に没頭。そこにユース老先生が突撃。ラズリーはそれを察知して水精石を使った実験道具をかき集めて逃走を図ろうとして――――怒れる大賢者ユース老先生との追走劇が勃発。結果、ラズリーが持っていた水精石の一部が誤作動。魔導省は水に沈んだ。

 

ユース老先生にトルニー経由で御礼状を渡したため発覚したそうだ。

 

ユース老先生は政治嫌いだし王宮には来たがらない。そこにラズリーのような血縁の親族が来たからと渡したのが良くなかったようだ。

 

水精石を渡したのは私だし、水が問題なら私が排除できるだろう。

 

いつもなら閉まっている魔導省の扉も水浸しで開いたままだ。騒ぎの奥に向かうと……何やら様子がおかしかった。

 

 

「ユース老先生」

 

 

後ろ姿を見ただけでユース老先生の怒気が伝わってきた。

 

 

「おぉ賢者フリム……か?いや、そうなのだろうな。噂に聞いたように大人になれる恩寵でも…………いや、この度はせっかくの贈り物を台無しにしてしまって申し訳ない。孫に代わって深く謝罪しよう」

 

 

魔力が立ち上っていたユース老先生だったが、こちらに振り返ると魔力の圧が消失し、ひどく申し訳なさそうな顔で謝罪してきた。

 

 

「いえ、そもそもお礼ですし、それに私が直接持っていかなかったから起きた事故でもあるかと……」

 

「いや、賢者フリムの行動は正しかった。賢者フリムの専門ではない水の精霊石を我が血縁の研究者に渡すのは間違っていないし、儂が王宮に来ないでも良い配慮だったのじゃろう?」

 

「はい」

 

「なら全ての責任はラズリーにある。あやつがまさか精霊石の錬金実験を儂の分まで使ってしまうとは………………儂がしたかったというのに……ゴホン、すまぬの。しかし困ったことになってしまっての」

 

 

よく見れば部屋に人型の石像がある。

 

何かの装置か魔導具かと思ったが、人型で……ちょうどラズリーより一回り大きい。

 

開いたままの口の奥からかすかに呼吸音が聞こえる。

 

 

「どうかしましたか?」

 

「水が溢れ、溺れそうになって仕方なく壁や地下に穴を開けての。闇の迷宮に水やら実験器具を流してしまったんじゃ」

 

「…………あー」

 

「あそこは壁も刃が蔦のように連なっておる。流れてしまった中には無くしては惜しいものもあっての」

 

 

わかる。一回ワープして入ったことあるしね。

 

この部屋だけでも実験器具や魔導具、資料に机、よくわからないもので部屋中ぐちゃぐちゃだ。建物ごと水没して咄嗟の判断なら仕方がないだろう。

 

 

「土の魔法で回収すればよいのでは?」

 

「迷宮の壁では消耗が激しいのもあるが、土の魔法では見えぬ道具を壊さず拾い上げるのは難しい。土の手では触れるだけで壊れる道具もあるでの」

 

「なるほど、じゃあここから集められるだけ集めてみましょう。<水の腕よ。――――探せ。拾い上げろ>」

 

 

地下に水の腕を伸ばし、目を瞑って水の感覚を頼りに下に落ちた物品を探り当てる。水の腕なら刃に当たっても問題ないしね。

 

この状況なら人も流れた可能性もあるし、必要だろう。

 

 

「……リヴァイアス領でも思うたがちょっと力を増してないかの?リヴァイアスの地であれば大精霊の領域じゃし不思議でもないが、ここは王都じゃ。……属性違いの迷宮なのにようやるわい」

 

「あぁ、リヴァイアス領にはエロ……じゃない。家伝の水の書物がありまして、ある程度習得して来ました」

 

 

向こうでまったりしている間に調べ、リハビリがてら遭難者を探すついでに海上で鍛錬も積んだ。

 

ストーカー杖の先にある球状の部分に魔力を込めて本に触れるとエロ本のインクが姿を変えて真っ当な水の魔導書になった。しかも一般的に知られている以上の情報が満載で。

 

内容は様々、水の精霊の祀り方に関わり方、水魔法の訓練方法、ストーカー杖の安置させられた屋敷の掌握方法に杖の従え方、別の水の家の攻略方法、国中にある水の抜け道、海の底にある秘密の場所、地下水脈や…………リヴァイアス流ヤクザも顔負けの交渉術に水魔法流ドスグリプラス刃先から高圧水噴射!刺さった部分は爆散する!!なんて…………かなりエグい情報まであった。

 

名家を含む他家への恨みつらみやあった出来事がびっしり書き記されていた閻魔帳のような本もあったりと………メンタルは一部削れたがフリムちゃんはレベルアップしたのだ。

 

 

「なるほどの!その研鑽は素晴らしいの!孫にも見習わせてやりたいわい!!」

 

 

研鑽……なのかな?まぁいいや、どんどん荷物を引き上げていく。

 

元々水没していたし、水で駄目になったものは仕方ないとしても回収できるだけしておこう。

 

書類、布団、人型の人形、果物、割れた陶器、椅子…………ゴミ?とにかく動かせるものを集めて掴む。あ、トルニーの仮面出てきた。

 

一度入ったことがあるけどこのダンジョンの闇は怖いな。

 

黒く、晴れない靄があるかのように闇がそこに佇んでいる。

 

モンスターは隠し扉やダンジョンのギミックでも起動しない限りほぼほぼ出ないそうだが……全く見えない上、刃物の蔦のようなものが壁になっているし、通路自体が途切れて数メートル落ちたりとあまりにも危険すぎる。

 

結構な範囲で様々なものが散らかっているけど、元から水があったおかげでわかりやすい。

 

面倒なのは刃物のような蔦の中に入り込んだ物体だ。刺さっていたり奥に入り込んで取り出しにくい。強引に取り出すと壊れそうだし……パズルみたいだな。

 

 

「しばらく掛かるので部屋の方の片付けをお願いします。あと落ちた人がいないかの確認をお願いします」

 

「助かる。ありがとうの」

 

「はい」

 

 




ファンレターにファンアートもらえた!……うーれーしーいー(*´∀`*)ヒャッホー
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