水魔法ぐらいしか取り柄がないけど現代知識があれば充分だよね?   作:mono-zo

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第392話 夜の舞踏会(ミンナオドロウ!)

 

しばらく落ち込んだナンナを慰め、お酒を飲んでいたが……最終的にオルカス達が話し合いが終わったと感知したのか突撃されてお茶会は終了した。

 

…………私からは分身体のやってることはわからないのに、オルカス側はわかるってずるくない?

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

貴族院は私の分身体を操るオルカス達によってしばかれたそうだ。

 

オルカスは私の記憶と知性がある。一度さらりと見ただけの手紙を全て記憶していたようで……その相手を見つけ次第、いや、探し出してボコった。

 

何体かは反撃されて消滅したが、オベイロスは精霊を祀る国であり、その行為はよろしくない。

 

精霊への攻撃は明確な罪であるため王宮では逮捕者は続出した。それにオルカスは一体やられれば群れて襲いかかりに行ったらしく、反撃に成功したとしてももれなく全員酷い目にあったようである。少なくとも王都在住の無理を言ってきた貴族は……。

 

 

オルカスは大掃除をしてくれたようである。

 

 

色々と私へのヘイトが高まりそうだなとか、戦闘による被害によってダワシさんが土魔法による修理に出動しているとか聞きたくない部分もあるけど……まぁうん、オルカスのやることだから私にはどうすることも出来ないんだ。

 

騎士が失踪事件の犯人探しに走り回っているというのに、オルカスが自由すぎて邪魔してしまっているようで申し訳ない。

 

もしかしたら失踪事件の犯人もオルカスが倒してくれた可能性もあるけど、オルカスに話を聞くのは困難だ。スーリのように言葉も必要な情報が足りてないわけでもなく、ハーリューのように言葉は多くとも行動と一致していないように見えるわけでもないが――――私は玩具状態になるから。

 

そんなこんなでこの一件は犯人不明という微妙に気持ち悪さは残るものの……解決したと言えよう。

 

私は追放されずに済んだし、行方不明者はリストに載っている限り全員が救出された。

 

いつまでも消えないオルカスは私がきついけど、時間の経過でいつか消えるだろう。

 

 

オルカスにはどうせなのでイベントを手伝ってもらおう。

 

 

シャルル参加の夜会でのダンス。

 

いくら私のダンスが上手くなろうとも、それは多分「ある一定以上の評価を受けられる程度」であって「突き抜けて素晴らしい」とはならないはずだ。

 

そこまでの評価を求めているわけではないけど、私の評価が他国の姫君との比較で悪かった場合、それは明確に国の歴史に残るだろう。……悪い意味で。

 

この国の貴族なら、「オベイロスのダンスをオベイロスの侯爵が、他国の人間より下手だった」と……そうなればリヴァイアスの評価に繋がるし、陰湿なのが基本の貴族社会であれば後世まで語り継いでくるはず。

 

悪評が立つのは悪役令嬢ムーブをしているし仕方ない気もするけど、それはよろしくないし――――ちょっと本気を出した。

 

 

「一曲お相手願えますか?」

 

「喜んで」

 

 

星がはっきり見える夜、外で恭しくシャルルにダンスを申し込まれる。

 

多くのお見合い参加者がいるが、まずは私とシャルルとのダンスだ。

 

 

「<水よ>」

 

 

工夫はする。

 

水をいくつも私達を中心に周囲に漂わせるだけ。ただ、使うのは超魔力水。

 

光る水が漂っていて、さぞ幻想的に見えるだろう

 

会場の中央、他に誰もいないそこにシャルルに手を引かれて向かう。

 

今日のために靴の裏側には水でも氷でもすべりにくい特殊な加工をした。

 

 

「ルカリム、オルカス、リヴァイアス…………皆……一緒に踊ろ!」

 

 

考えたのが『精霊付きダンス』だ。

 

会場も外で、しかも夜だ。ファーストダンスは私とシャルルだけで周りに人はいないし、精霊なら一緒に踊ってもいいだろう。

 

崇められる存在である精霊。彼らと一緒に踊ればこの国で文句を言う人はいないし、他国の姫であっても文句を言えばこの国の貴族から顰蹙を買う。

 

普段私の髪の裏にいる水の精霊達。

 

皆楽しそうに、踊る私達の周りをくるくると泳いでくれている。

 

私は慣れているけどシャルルは精霊たちに取り囲まれてちょっと焦ったのか取り繕った笑顔のまま踊っている。

 

 

「フリム、いつもありがとうな。苦労をかけている」

 

「私はやれることをやってるだけです」

 

 

このやり方なら少し暗い失敗しても恥をかかないだろうという計算もあった。

 

近くに誰もいないしシャルルと話す余裕もある。

 

少し後悔を滲ませたような顔をしているシャルル。……まぁこのヘタレなシャルルがもっとうまくできていればと思わない部分も無いではないが、彼なりには頑張っているようだし、文句を言っても仕方ないだろう。

 

 

「まぁ苦労もしていますが」

 

「が?」

 

「楽しんでもいますよ!」

 

 

悪いことをするやつが悪い。よってシャルルを恨んだりするのはお門違いだ。

 

手を握るだけでわかる努力をシャルルはやっている。努力しているシャルルに文句を言っても仕方ないだろう。

 

それに今はこのダンスを楽しんでいる。

 

一緒に踊る精霊は満足そうにしている。ルカリムは水を震わせているし、リヴァイアスは私達を中心に頭上に円を描くように泳いでいる。オルカスは分裂し、他の精霊は私達を中心にくるくると回ってくれている。

 

……残ってた分身体はミリーやエール先生を遠くから連れ出してきて近くでダンスしたり、海猫族ダンスを踊っていたりする。何体か分身体のオルカスと、そうじゃないオルカスで踊ってる個体もいるな。私の後ろに漂っている杖も一緒に。

 

私達の足元でオオサンショウウオっぽい精霊がヒトデっぽい精霊を噛んだまま首を振ってこちらを見てるように見えるけどきっと捕食ではないはず。うん、多分気の所為。飲み込もうと首を振っている訳じゃなく踊ってくれてるんだ。そう信じたい。

 

ルカリムは綺麗だし、オルカスは可愛い。リヴァイアスはいてくれて安心できた。

 

前世には精霊はいないし、この世界だからこその楽しみ方かもしれない。

 

 

精霊付きのダンス。やってみると案外楽しかったな。

 

 

満足したのか分身体は居なくなっていた。

 

踊り終わると私も子供の状態に戻れたので着替えて戻るとシャルルに呼ばれてまた踊ることになった。

 

久々の子供状態で歩幅が違いすぎて踊りにくかったが途中からシャルルに抱き上げられてオルカス達と手を取ってくるくる踊った。ルカリムとも踊ったが意外ときっちりしていて紳士だった。

 




いつも評価や感想……

(/>ω<)/アリガトウゴザイマース✨️
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