水魔法ぐらいしか取り柄がないけど現代知識があれば充分だよね? 作:mono-zo
リューちゃんに拐われて急遽始まったBBQだったが、たくさん食べて満腹で帰った。
結果的に騒動は起こしたが良い時間となった気がする。
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行方不明事件が終わってすぐということもあって国が本気をあげたのだろう。うちの人間のみならず騎士もたくさん追いかけてきて迷惑をかけてしまった。
うちのリューちゃんが拗ねただけなのだが……そんなわけでせっかく来てくれた人に「良い肉」を振る舞うことにした。
リヴァイアスに居た猶予期間、食事に関しても新たな試みを行っていた。
――――……美味しい食事は人生を豊かにする。
前世における飲食店では近年、肉そのものの研究が進み……確かな経済効果を生み出していた。
肉は新鮮な状態でも美味しいが「熟成」されることでより旨味を増す。そしてそれらは店舗で提供されることが多くなった。
肉を適正な状態で寝かせることでより美味しくなる。
だけどこの「熟成」はなかなか難しく、一歩間違えればひどく腐敗する。厄介なのは「味は良くても腐敗しているか熟成しているかわからない」場合だ。
美味しくてもお腹を壊せば意味がない。リヴァイアスでは肉の種類は豊富だし、肉祭りのようなものもあったが……きっとこの「熟成肉」の技法が成立すれば商売になり、経済効果を生み出せると目論んだ。
製法が確立するまで手間はかかるが付加価値をつけられる素晴らしい技術である。そこでリヴァイアス領で色々試してみた。
前世では納豆や乳酸菌、それに白カビのような「健康に問題のない菌やカビ」を使うことで肉を熟成する方法がある。ワインや酒を肉の表面に塗ったり、ハムのように塩を塗り込んで干したり、温度や湿度の管理をしっかりして……などなど、肉に対して様々な科学的アプローチがされていた。
前世ファミリーと話した知識の中にドライエイジングがやウェットエイジングの知識もあったし、正解を知っていてリヴァイアス領には試せる肉が豊富にあったからこそ――――すぐに成果は出た。
でも私が指示してばかりでは「こちらの世界だからこそ出来る熟成法」を見逃しそうだったので自由に試してもらった。
果汁に漬け込む料理人もいれば長期保存を考えているとでも思われたのか塩漬けにしている料理人もいた。魔法使いによる「表面を焼いてから放置する」「風を当て続ける」「水に沈める」「土に埋める」などは興味深かった。お肉をより美味しく出来ると伝えたからか皆本気だったな。これらの試みはお酒のようにうまくはいかなかったが。
部位ごとにもそれぞれ実験してもらい、ある種の科学実験のように熟成肉の研究を総当りで調べた。
人に任せた熟成方法では「調合した香辛料をまぶして脱水効果のある葉に包んで冷暗所に吊るす熟成法」と「壺に薄めのタレとヨーグルトのような発酵した液体に漬け込む熟成法」が確立している。これらを熟成と言って良いのかは不明だがそれでも充分に美味しく、それでいて前世の熟成法とは別方向の美味しさを感じられる。
……まぁ数々の失敗もあるのだけど、そこは仕方ない。ここに至るまでに一体何人が腹痛を訴えてきたことか……それでも懲りずに止めないあたり皆、肉への渇望がすごかった。
あと皆命じてすぐに「うまい肉が食べたいのか?」と自慢の肉料理を瞬時に作って持ってきたがそうじゃないんだ。
成果が出てきた頃に王都にお呼び出しされたわけだが……ちょうど王都には巨大な氷室もあるし、うちでやっている飲食店も増えている。王都でも熟成肉のストックは出来ていた。
「ほぁー……フリム様、これおいひーよぉ」
「ミリー、口が開いてますよ」
「もっほたへる!」
幸せそうにミリーが熟成肉を食べている。
肉の選定とカットはマーキアー姐さん。獣人の血を引いているから鼻が良く、腐敗しているかすぐに分かるらしい。そして熟成後に切り落とす変色部のカットも手早い。
持ってきてもらった熟成肉は薄く切ってもらって、改良を続けている焼肉のたれをセットで食べてもらう。
「その肉は私が焼いていたものだ!」
「美味かったぞ」
「貴様ぁ!ならばっ!!?」
「俺の肉が!?……それは焼けてないような」
「これはこれでうまい。いや、これぐらいのほうが美味いぞ!!」
「なにぃ?!」
「この焼肉のたれうまー」
「飲むな、量が足りないんだぞ」
「言われた通り良く焼いて食え」
焼肉の薄く、切られた肉を見て初めは「何だこの小さい肉は?」と懐疑的な印象だったはずなのに今では奪い合って食べている。
「ほーら、ザブトンとトモサンカクですよー。好きなたれから選んで食べてくださいねー」
「『ざぶとん』?」
「肉の部位名です」
どうせなのでたくさんの部位の熟成肉を持ってきてもらったし、反応を見ている。
熟成に成功してもトリミングである程度カットされるが、元々硬くて食べられないような部位が食べられるケースもあった。
捨てられるか捨てるぐらいならと無理に食べていただけの部位が美味しくなるかもしれないとあっては……やらないなんてもったいない。
奪い合っている騎士の反応でもわかるけど、ミリーは本当に幸せそうに食べている。
「幸せぇ」
「美味しいは正義ですね!」
「うん」
一口食べるごとに目を閉じて味わうミリー。
一体その体のどこにそれだけ入っていくのかは疑問だけど……その反応が嬉しい。
表面がサクサクし、噛めば凝縮された旨味が広がる揚げた肉。好みのタレにつけて肉と脂本来の味を楽しむ焼いた肉。とろりと柔らかい煮込んだ肉。
どれも美味しく、それだけでお店を開けるだろう。
そろそろ「焼肉専門店」か、もしくはお米もあるし「肉丼店」でもしようかと画策している。騎士の様子を見るに多分商売にできそうだし。
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熟成した肉で楽しんでもらって、私もお腹いっぱい食べて……なんだか心地よい気分で城に帰ることが出来た。
心地よい時間を過ごして――――お風呂は面倒だけどお風呂に入ってすぐ寝ようと思っていたのに、なんかレージリア宰相が窃盗の容疑で捕まっているようである。
そして全裸で私を待っているらしい。ついにボケたのかもしれない。
最近の活動。新作書いたり、皆様に言えないホニャララしてたり、カクヨム・小説家になろう・ハーメルンにそれぞれ一作品は独自の作品を置こうと画策してたりします。サイトの色もありますしね。
僕は少しでも皆様に楽しんでいただけると嬉しいなと思って書いてます。いつも評価や感想(/>ω<)/アリガトー✨️