水魔法ぐらいしか取り柄がないけど現代知識があれば充分だよね? 作:mono-zo
行方不明者が多数出た事件だったが犯人不明な部分はあったものの被害者ゼロで完璧に終わったかと思ったが…………事件は別の場所でも起きていた。
謁見の間だ。
エルフとドワーフが持ってきたリヴァイアスへの謝罪と感謝の品々……シャルルがいない間にあれだけの財宝を差し出されたため、シャルルとレージリア宰相が確認してから私の元に来る予定だった。
そのうちエルフの持ってきた超希少な品が数点、ドワーフの品はおそらくそれなりの数が所在不明となっている。
ドワーフの「壺に財宝を詰めて」「持っていって割る」という謝罪や感謝の方法にはいくつかの意味がある。
大きな壺に財宝を詰めて、相手の元に持っていって割る。
相手の前で割ることで運び人の不正を防ぎ、持って帰らない。それは謝罪や感謝を押し付けるような意味もあるそうだ。見た目にもインパクトが有るため大きな謝罪や感謝の場合にのみ使われる。そもそも装飾品や宝石をそれだけ集めて相手に渡すようなことは普通できない。ドワーフならではの方法である。
財宝を詰める過程で隙間は可能な限り減らすようで、限界まで宝石や金貨、装飾品といった財宝が詰め込まれる。そのため目録がある程度雑であった。
この「ある程度目録が雑」なため「無くなった品がわからない」点が問題だった。だが確かに目減りはしているらしい。
誰も入れないように封じられた謁見の間からの窃盗なんて考えられなかった。
しかし、レージリア宰相は外でシャルルの護衛をしていたが行方不明事件を聞いてまず謁見の間に向かったそうである。
第一発見者であるレージリア宰相は豪華な服を脱ぎ捨て、パンツ一丁から……パンツを下げてまで無実を訴えた。
仮にそこから見つかっても欲しくはない。
ただ無くなったもので確実だったのが『古代巨神の爪』に『火の魔法の底上げができるもの』、それに『怪我を治したりする聖具のセット』だった。
そこまで希少なものはあまりの魔力で消えたり、勝手に作動することもあるそうだ。しかし一つや二つではなく、複数点無くなっていることもあってやはり窃盗が疑われる。しかしエルフとドワーフは別々で財宝を持ってきたからこそなにかの作用が起きた可能性もなくはない。
レージリア宰相も行方不明事件はエルフとドワーフが来てから起こった事もあって財宝の中に良からぬものがあったんじゃないかという可能性を考えて謁見の間に向かったらしいが……いつからそれらが無くなっていたのかはわからないそうだ。
その可能性も無くはないが…………エルフとドワーフが来る前から行方不明者はいたはずだし可能性は低い。
あまりにも希少な品の紛失、ともかくエール先生と駆けつけたクラルス先生、ポヨ大臣によって全裸の無敵宰相は討伐された。
無くなったものは国宝とかの扱いだったもんね。全裸で無実を訴えたくなるのもすこしだけわかる。
「悪は滅んだ」
なんとなくボコボコにされてクラルス先生に踏みつけられているレージリア宰相を見てそう呟いた。
……いや、レージリア宰相は無実っぽいけどさ。
「儂は何もやってない……」
「幼いフリムちゃんを全裸で待ち構えるのは悪でしょ?さっさと服着てよお父さん」
「…………いや、それどころでは――――すまんかった」
これ以上の恥を晒すなと言わんばかりにクラルス先生が剣を構えてレージリア宰相は謝った。
レージリア宰相からすればクラルス先生は娘だもんね。娘の据わった目から本気と理解したのだろう。
自分も「もしも自分の父親が幼女を全裸で待っていた」としたら……介錯するかな。腹を切る前に。
まぁ結局のところは行方不明事件に続いてこちらも犯人がわからない。
行方不明事件の犯人と窃盗の犯人は同一犯かな?それでこの窃盗は「俺は健在だ」と見せつけるために行った犯行という可能性もあるか?いや、時間的に違う気もする。
そもそも行方不明事件は「闇の迷宮に自国他国関係なくお見合い大会に参加していた魔力の低い人物の意識をなくしたうえで連れ去っては戻す」という目的も動機もわからない事件だった。
貴族がやったのか、上位存在がやったのか、それとも他国や別のなにかだったのか。
探しに行った分身体のオルカスは「なんかぶっ殺した」と言っていたけど……気持ち悪さが残るな。
とりあえず、ここにある財宝はうちに運ぶことになった。そして無くなった分は調査が始まるそうだ。そのため一旦ここで解散である。
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ちょっとシャルル達は用事があるようなのでミィアの宮に向かう。
財宝の目録確認でかなりの時間が経ってしまった。
「お、来たな。大変だったな」
「はい!よろしくお願いします!!……つまらないものですが受け取ってください」
大人モードで結構な時間体が戻らなかったことからミィアの力で前世の家族と会うのを避けていた。
ミィアの闇の精霊の力で時間も世界も違う前世の家族と夢の間会えるわけだけど、時間の経過がこちらと向こうでは違っている。一週間あけてから会いに行くと向こうは半日後だったこともある。
驚かせたくなくて大人モードのまま会いに行くのを避けていた。
しかし……ほんと精霊って理不尽かつ謎の力を持っているな。
「お、気にしなくてもいいのに……まぁいっか」
友人の部屋に行くのだ。身綺麗にして手土産の一つぐらい持っていかねば。
いつもは私の元に来るミィアだけど「たまにはミィアの部屋に行きたい」と言ってみたらすんなり招待してもらえた。
ホントは少し前に予定を組んでいたけど謁見の間の財宝の一件で手間取ってしまった。
「おねぇ様!こっち!こっちですわ!!」
リュビリーナが寝間着になってミィアのベッドに先に入った。
「お前まで呼んでないけど」
「あら、なにか問題でもありまして?」
当然かのように先に布団に入っていったリュビリーナだけど、私も呼んではいない。
「いや、良いんだけどさ。変わったなお前」
「ふふっ、おねぇ様のおかげよ」
「私は何もやってないです」
元々筆頭婚約者と呼ばれる間柄だけあってミィアとリュビリーナの仲は良かったらしい。
以前のリュビリーナは「ちょっと調子に乗ったお嬢様」みたいなタイプだったらしいけど、今のリュビリーナは懐いたポメラニアンのようだ。何もしなくてもずっと尻尾ブンブンなってるタイプの。
情報でしか知らないけど、以前からの友人であるミィアからすればリュビリーナの豹変に一言言いたくなっても不思議ではない。
「私が枕になりますわ!」
「寝にくい、邪魔だ」
「うぐっ……貴女まで枕にして良いとは言ってませんわ」
リュビリーナは並べられた枕の前に寝転んだ。私達の枕になるべくベッドに対して真横に。
そのリュビリーナのお腹にどかっと頭を乗せたミィア。
「ここは俺の部屋だ。枕は黙ってろ」
「ぬぐぐ……あ、お姉様!」
「静かに寝ましょうね」
私は腕のあたりを枕にして寝よう。ベッドは柔らかいし、私の頭程度の重さなら腕も大丈夫だろう。
リュビリーナはちょっと鼻息荒いけどミィアがいれば大丈夫なはず。周りにエール先生やミィアの従者もいるしね。
心配しなくても私が嫌がることはしないしリュビリーナは無害なはずだ。ほんのちょっと変態なだけで……。
ドワーフの壺については予想している読者がいて面白かったですw
コメントありがとうございます!最近は1サイトに一つは独自の作品をおいていこうと画策してます!(重複投稿したらまた新しいの投稿するのも楽しみ!)