……今回から移転話ではないので書き方とか結構変わってるかも……
面白くないかも知れないけどごめんなさい。
翌朝銀時が目を覚ますと、学院中が騒がしかった。どうやら昨日起こった建物崩壊泥棒事件が関係しているようだ。
騒ぎの様子を聞くと、宝物庫から秘宝の『破壊の杖』が盗まれたようである。
学院中の教師たちは宝物庫の前に集まり口々と好き勝手喚いている。
「なんだこれは!!衛兵は何をしていたんだね?」
「衛兵?これは今話題の土くれのフーケの仕業だろう?所詮衛兵は平民!!あてになるわけがない!!」
「全くだ!!それより当直の貴族は誰だったんだね!!」
ミセス・シュヴルーズは震えた。昨晩の当直は自分であったのだ。しかし、まさか魔法学院を襲う盗賊がいるなど夢にも思わず当直をサボり自室でグウスカ熟睡していたのである。
「そう言えば、ミセス・シュヴルーズ!!当直はあなたなのではありませんか!!」
教師の一人が追及を始めた。ミセス・シュヴルーズはビクンっと震えボロボロと泣き出してしまった。
「も、申し訳ありません……」
「泣いたって、お宝は戻って来ないのですよ!!」
泣き出したミセス・シュヴルーズを睨み付けるモブ教師。
すると突然ビシッと手が上がった。
「センセー、モブ君が女子を泣かせてまーす」
「モブ君サイテェー」
銀時が言うと隣に居たギトーが裏声を出して叫んだ。
ギトーは長い黒髪に漆黒のマントをまとい、ニタニタ笑いながら銀時が茶化すモブ教師を見つめる。
そして、コルベールを視線に移すとニタニタ笑ったまま言った。
「ほら、ハゲじゃなかったミスタ・コルベール。ギンが呼んでますよ」
「ちょっ、ナチュラルにハゲって言わないで下さい!!いい加減泣きますぞ!!……って私が先生役なんですか!?」
「え?普通そうでしょう?ギンが男子生徒、私が女子生徒ですから」
ギトーは当たり前のようにきっぱり言う。以前のギトーならこんな茶番劇には参加しないのだが、とある事件から銀時と知り合い仲良くなってからはよくよく一緒に馬鹿なことをするようになった。
もし、あの事件がなく銀時と知り合ってなければあそこでミセス・シュヴルーズに怒っていたのはギトーだっただろう。
「本当にあなた変わりましたね」
コルベールがしみじみと呟くとギトーは楽しげにニンマリ笑い、銀時のいる方へと指を指した。
「ええ、善き出会いがありましたから。っとミスタ・コルベール、早くしないとモブ君の心折れますよ」
「あややや、確かにギントキは手加減ないですからな」
ギトーに言われコルベールは先生役として慌てて銀時の元へと向かった。
さて、騒ぎも何とか収まり銀時たちは昨日の目撃者っという名目で学院長室へと来ていた。
間違ってもモブ教師を泣かしたからではないのであしからず。
ルイズ、キュルケ、タバサが立っているのに対し、銀時は学院長の椅子に座りボーッと三人の説明を聞いていた。時折眠そうにアクビをしているところから見るにあまりこの事件に関心がないように見える。
「なるほどあまり手がかりはないようじゃな。……ウム、これからどうすれば……」
オスマンが呟くように言うとチラッと銀時に視線を移す。銀時は視線を気にせずポリポリと置かれていた茶菓子を口に運んでいる。
「ああー、こんな時は強く頼りになる主人公が動いてくれるのが物語の鉄則なんじゃが。のう、ミスタ・コルベール」
オスマンはチラッチラッ何度も銀時を見ながらコルベールに同意を求めた。コルベールはオスマンの言いたいことが分かり苦笑いを浮かべる。
「アッハハ、そうですな」
「そうじゃろう!!そうじゃろう!!どこかにそんな優秀な主人公はいないじゃろうか?例えば銀髪とか」
一体何が例えばなのだろうか完全に銀時を見ながらオスマンは言う。銀時は茶菓子を食べながら眉を寄せた。
「ね、ねぇ。ギントキ……あれってあんたのことなんじゃ」
ルイズが銀時に小さな声で話しかけた。銀時は眉を寄せて首を振る。
「いやいやいや、違うだろ。他人の空似って奴だ。大体学院の問題は学院の者が解決すべきだろ?」
居場所も分からないのにただでさえよくわからない異世界の町を歩き回るのはごめんだと思ったのか銀時は自分知りません宣言をした。
しかし、ルイズは銀時の言葉を聞くとハッとしたように勢いよく手をあげる。
「オールド・オスマン!!わ、わたしがフーケを探しに行きます!!」
「は?」
ルイズの言葉に銀時はポカーンと口を開ける。他のメンバーも同じような顔をしてルイズを見つめた。
「いやいやいや、ちょっと待ってルイズさん。え?お前自分が何言っちゃってるのか分かってる!?」
銀時が聞くとルイズは胸を張ってきっぱり言った。
「だって、ギントキ言ったじゃない!!学院の問題は学院の者が解決すべきだって!!」
「いやいやいや、確かに言ったけどよォ」
ルイズの言葉に銀時は肯定する。するがそれは自分が巻き込まれないようにするための言葉にすぎない。
「ふん、ヴァリエールには負けられませんわ」
ルイズの言葉を聞くとキュルケも手を上げた。するとタバサまで手を上げる。
「え?タバサ。あんたはいいのよ?」
「心配」
キュルケが言うとタバサはゆっくり首を振りきっぱり言った。キュルケはタバサの言葉に感動をし、ルイズはタバサにお礼を言う。
銀時はいい雰囲気の三人を見て口端をひくつかせた。これは確実に行くフラグが立っている。
「け、けどよォ。やっぱ手がかりひとつなく行くのはやっぱり無謀というか……」
ブツブツ呟きなんとかフラグを回避しようとする銀時。その時である、突然学院長室のドアが勢いよく開いた。
「フーケの居所が分かりました!!」
パカッパカッ、ガタゴトっと馬の蹄の音と舗装されていない道を走る音が馬車の中に響く。
馬車といっても昔のお偉いさん方が乗るようなものではなく屋根無しの荷馬車のようなものだ。
銀時は荷馬車の隅で座り込みハァッとため息をつく。
荷馬車の中ではキュルケが案内役をかって出たミス・ロングビルになにやら話をしているところだった。
(あー、めんどくせぇ。なんで俺こんな目に……ってかすぐ居場所分かるとかマジ空気読めよ!!しゃくれの……なんだっけ?
た、確か伸ばし棒あったような……えっと……バ、ババァー?)
完全に敵の名前を覚えてない銀時はとりあえずそれっぽい名前を作り満足する。そして、まだつかないのかと前方に視線を移すがつきそうにない。
銀時はまたため息をつき、今度は横をチラッと見た。横にはタバサが無表情で本のページをめくっている。銀時は少し気になり覗いてみるが異世界語なのかなんて書いてあるのかわからない。
「なぁ、それ面白い?」
銀時が本に指を指して聞くとタバサは本から目線を上げる。そして、銀時をじっと見つめるとゆっくりと口を開いた。
「……ユニーク……」
「…………えっと、これは図書館にカード作りに行くフラグたってたり?」
「……意味がわからない」
銀時の言葉を聞くと不審そうな顔をし、また本へと視線を戻すタバサ。
さて、そんな会話と言えるか言えないか、銀時とタバサが会話をしていると馬車が止まった。目的地についたのかと一瞬思ったが、どうやら違うらしくここから先は徒歩で向かうようだ。
銀時は荷馬車から降りると少し固まった身体を伸ばすよう伸びをする。そして、今からあるくであろう目の前の道を見据える。
目の前には鬱蒼と生い茂る森があり、その森の奥へと向かう小道がある。
小道の先は木々に囲まれているせいかどんよりと暗い雰囲気が漂って不気味だ。
「暗くて怖いわ」
キュルケはそう呟くと銀時の腕を取り絡ませる。ムギュッと豊満な胸を銀時の腕に押し付けて来る限り、怖いっというのはとても嘘臭い。
「ちょっとキュルケ!!あんた何やってんのよ!!」
銀時とキュルケの状態に気付いたルイズが眉間に皺を寄せ、キュルケを睨む。
キュルケはそんなルイズを見てにんまり口端をあげた。
「だってぇー怖いんだから仕方がないじゃない。ねぇ、ダーリン」
キュルケは銀時の腕にスリスリとすり寄った。銀時は眉を寄せるが相手はガキだと割りきり好きなようにしろっといった感じでノーリアクション。
そんな銀時を見たルイズは何を勘違いしたのか額に青筋を浮かべ、銀時の空いてる方の腕を取りグィッと自分の方へと引っ張った。
「何ヘラヘラしてるのよッ!!ちょっとこっち来なさい!!」
「ヴァリエール!!あたしのダーリンを引っ張らないでもらえる!!」
「はぁ?誰が誰のですって!?こいつはわたしの使い魔なの!!」
グイグイグイグイ二人とも銀時の腕を左右に引っ張る。端からみれば銀時はモテモテで羨ましく見えるのだが、当人から見ると……
「い、いたいたいたいッ!!ちょっ、引っ張んのやめてぇ!!さけるさけるゥゥウ!!た、助けて長門さんンンッ!!」
左右に引っ張られる痛みに耐えながらタバサに助けを求める。タバサは本をパタンッと閉じると少しワクワクした様子で頬を赤らめた。
「これが有名な大岡裂き…………それと長門じゃないタバサ」
「ち、ちがっ!?裂きじゃなくて裁きだから!!いててぇ……ってか裂いちゃだめぇぇえ!!」
叫ぶ銀時をタバサはいつ真っ二つに裂かれるのかワクワクとして見ていた。
「…………あの子達進まないのかしら」
四人のテンションについていけないミス・ロングビルは小道の入口でオロオロと先に行ってもいいのか悩んでいた。