ゼロの白夜叉   作:近衛陸

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夕方にまた投稿に来ます~


第3訓 使い魔は主人を馬鹿にしない

銀時が目覚めて、最初に目にしたものは怒った様子のルイズだった。

 

「あんたねぇ、使い魔が主人より遅く起きるなんてどういうこと?」

 

どうやら銀時がルイズよりも遅く起きたことが気に入らないようだ。

けれどそれは仕方がないだろう。銀魂ファンなら知っての通り銀時は朝に弱い。なので早起きなんて出来るわけがない。

 

「あー……銀さん朝は弱いから……」

 

銀時は欠伸をしながら起き上がる。

そんな銀時に、ルイズはため息をついた。

 

「全くもう、明日はもっと早く起きなさい!!じゃないと朝飯抜きだからね!!」

 

そう言うと不機嫌そうにルイズは銀時の準備が済むのを待つ。すでに制服を着ているところから察して、銀時が寝ている間にさっさと服を着替えたようだ。

 

 

 

「ふぁーい」

 

銀時は、分かったのか分かってないのか微妙な声を出すと洞爺湖を腰に差した。

そして、ふと昨日聞きそびれたことを思い出しチラッとルイズを見た。

 

「そういや、お前名前は?」

 

銀時の言葉にルイズは眉を寄せた。

しかし、名乗ってないことを思い出すと生意気そうに言った。

 

「あんたこそ、名前何よ」

 

「あ?俺ァ、坂田銀時だ」

 

銀時は一瞬眉を寄せるも最初に名乗るのが礼儀かと思い直し自分の名前を名乗った。

 

「ふぅーん、ギントキね」

 

ルイズはじっと銀時を見つめると名前を覚えるかのよう呟いた。

そして、少し胸を張るときっぱり言う。

 

「わたしは、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールよ!!」

 

「なるほど、ルイズ・フランダース・ブランド・アリエールな」

 

ルイズの名前は長ったらしくて最初しか覚えられなかったのだろう。銀時は適当に言葉を並べて言った。

 

「違うわよ!!何聞いてんのよあんたは!!だいたい最後に至っては洗剤名じゃない!!」

 

ルイズはそう言うも銀時はもうすでにそう覚えてしまった。

まぁ、最初の名前があってるだけでもよしとしよう。

 

 

 

 

 

とりあえず、お互いに名前が分かったところで、ルイズと銀時は朝飯を食べるために部屋から出た。

 

部屋を出るとまるで待ち構えていたかのようにある女が近付いてきた。

 

 

 

女は燃えるような真っ赤な赤い髪に豊満な胸。

服がキツいのか、それとも色気を出したいのか分からないが、ブラウスのボタンを上から2つ目まで外している。

 

女はルイズを見つけるとにやっと意地悪気に笑った。

 

「あら、ルイズじゃない。おはよう」

 

ルイズは女を見ると嫌そうに眉を寄せて挨拶をする。

 

「……おはよう、キュルケ」

 

「それって噂の使い魔?」

 

キュルケは銀時を指差して笑った。ルイズは眉を寄せる。

 

「噂?」

 

「ええ、ゼロのルイズがあろうことか平民を召喚したって」

 

にやにや笑いながら言うキュルケ。明らかに馬鹿にした言い方だ。

 

(うぜぇな。何こいつ?何このおっぱい星人?そのデカメロン八百屋で売り出してやろうか!!)

 

銀時は心の中でそう呟いていた。ルイズは馬鹿にしてくるキュルケを睨みつける。

 

「うるさいわね!!あんたの使い魔はどうなのよ!!」

 

ルイズの言葉にキュルケはにんまりと笑う。

 

「あたし?出てらっしゃい。フレイム!!」

 

キュルケが使い魔の名前を呼ぶとのそのそと大きなトカゲが現れた。色は真っ赤で何故か熱気でムンムンしている。

 

「何こいつ」

 

銀時はトカゲを見てボソッと呟く。

すると、キュルケは自慢そうに胸を張った。

 

「あら、あなた火トカゲ見るの初めて?」

 

(火トカゲ……)

 

銀時はじっと火トカゲを見る。火トカゲは口からチョロチョロと小さな火を出しており、尻尾の炎が大きく燃えている。

 

ルイズがキュルケと何か言っているのを聞き流しながら銀時は考え込んだ。

そして、何か分かったのか火トカゲからキュルケに視線を移した。

 

「なるほど、流石異世界だわ。性別まで違うとはな」

 

何かを納得するかのように頷く銀時にルイズとキュルケは言い争いをやめ、銀時をじっと見つめた。

 

「それで、今日はジム戦か何かで来たのか?サ○シ君」

 

銀時の言葉に訳が分からずキュルケは目をまん丸くさせた。

 

「え?え?」

 

「いや、それにしても驚いたわ。で?ピカ○ュウはどこよ?」

 

「え?何?ピカ?え?」

 

キュルケは困ったようにルイズに助けを求める。しかし、ルイズは助けない。

キュルケが困ってる間も銀時はペラペラとまくし立てた。

 

「と、とりあえず先に行くわ。さようなら」

 

淡々と続く銀時の言葉を遮り、キュルケは逃げるようにせかせかと去っていた。

 

「あれ?」

 

銀時は不思議そうに首を傾げた。

 

「全く、あんたは何言ってんのよ!!……けどあの女ざまぁみろだわ」

 

ルイズは銀時に向かって呆れるように呟くも、キュルケの困った顔を思い出し心底嬉しそうに言った。

 

 

 

 

 

ここは、トリステイン魔法学院の食堂である。

食堂には長いテーブルが3つ並んでおり、学年ごとですわるようだ。

 

食堂の正面向かって左から3年、2年、1年といったところである。

ちなみに、ルイズは2年なので真ん中のテーブルだ。

 

どうやら、この学院の教師、生徒は3食ともこの食堂でとるらしい。

 

「すげぇ、豪華だな」

 

銀時はテーブルの上に飾られた豪華な飾り付けを見て小さく呟く。

そんな銀時にルイズは得意げに言った。

 

「ふふん、メイジはほぼ全員が貴族なのよ。だから貴族にふさわしい食卓じゃないとダメなの。ホントは平民なんて一生入れないんだけど……わたしの優しさに感謝するのね」

 

「へぇー」

 

銀時はキョロキョロしながら食堂を見渡す。そして、ふと周りにたくさんの像が並んでいることに気づき首を傾げた。

 

「なぁ、ルイズ。あれ、なんだ?」

 

「あれはアルヴィーズって名前の小人の彫像よ。あの像はね。夜中に動くのよ。正確には踊るんだけど……」

 

「え?……いやいやいや、ナイナイ。聞き間違い聞き間違い聞き間違い」

 

ルイズの言葉に像を見ると顔を青くし、言い聞かせるようにぶつぶつと呟く。

 

「ちょっと何してるの?いいから、椅子をひいてちょうだい!!」

 

ルイズが言うと、銀時はとりあえず椅子をひいた。

そしてひきながら夜中は食堂に近寄らないと心に刻んだ。

 

ルイズが座ると、銀時もその隣に腰をおろした。

 

「おぉ、ごちそうだ」

 

銀時はキラキラと瞳を輝かせた。目の前には豪華な料理が並んでいた。さっそく食べようと目の前のでかい鳥のローストに手を伸ばす。しかしそれを掴む前に手を叩かれた。

 

「…なんだよ?」

 

銀時は叩かれた手を擦りながらルイズを見る。すると無言でルイズは床を指差した。そこには皿が一枚置いてあった。

 

「皿だな」

 

「えぇ、皿ね」

 

「なんか食べ物入ってる……けどもしかして」

 

銀時は嫌な予感がしてルイズをチラッと見た。ルイズはにっこり微笑み……

 

 

 

 

 

銀時は床に座ってぼぉーっと皿を眺めた。皿の中には小さな肉のかけらが浮いたスープに硬そうなパンが二切れがぽつんと置いてあった。

 

万事屋では食べ物が無いときもあったので、それに比べれば肉がある。充分に豪華だ。しかし、先ほど眺めた豪華な料理の近くで食べると泣けてくるのは何故だろう。

 

生徒達が一斉に祈りの言葉を発した。途中ささやかな糧という言葉が出てくる。

 

(どこがささやかな糧だよ。これがささやかなら俺がいままで食べてた物はどうなる)

 

銀時はそう思うとため息をつき、ルイズの服をクイクイと引っ張る。

 

「何よ」

 

ルイズはチラッと銀時を見つめた。

 

「なぁ、少しわけて」

 

銀時の言葉にルイズは少し考えると鳥の皮をはいで渡した。

 

「銀さん、肉も欲しいんだけど」

 

銀時は再度ルイズにおねだりをする。

ルイズはダメっと言おうとするも口を開けたまま少し頬を染める。

おねだりモードの銀時は瞳をキラキラと輝かせ、後ろの背景もどうやったのかキラキラと輝いていたのだ。

 

「す、少しだけだからね!!」

 

ルイズはそう言うと肉を切り銀時に渡した。

銀時はそれをおいしそうに頬張った。

 

 

 

 

 

魔法学院の教室は、石でできた大学の講義室のようだった。講義を行う先生が、一番下の段に位置し、階段のように席が続いている。銀時とルイズが中に入っていくと、教室にいた生徒たちが一斉に振り向いた。そしてクスクスと笑い始める。

 

(なんだ?)

 

銀時は不思議そうに首を傾げる。

ルイズは周りの様子を出来るだけ気にせず椅子へと座った。

銀時が隣に座るとルイズは眉を寄せるも諦めたかのようにため息をついた。

 

銀時は椅子に座るとふわぁっと欠伸をし、机に顔を伏せスゥスゥと寝始めた。

 

 

 

 

 

気持ち良さげに眠る銀時。しかし、その眠りは突然の爆発音で起こされた。

 

「な、なんだ?」

 

銀時はビクッと飛び起き周りを見る。

周りはパニック状態でとても騒がしかった。

 

「なんでそんなボロボロなんだ?」

 

銀時は、何故かボロボロ状態になってるルイズを見て首を傾げる。

 

どうやら、周りの生徒達の文句を聞いているとこの状況はルイズが魔法を失敗したせいであった。

 

 

 

 

ルイズがめちゃくちゃにした教室の片付けを始めた。早くしないと昼ごはんを食べ損ねてしまう。たとえルイズから少し分けてもらったとしても……ただでさえ朝ごはんがアレだったのだ。食べ損ねるのは遠慮したい。銀時が黙々と片付けをしているとルイズが話し掛けてきた。

 

「どうせ、あんたも心の中でわたしをバカにしているんでしょう」

 

「はぁ?」

 

机を拭いていた、銀時は手を止めルイズを見つめた。その顔は何言ってんだコイツっといった顔だ。

 

「わ、笑いたければ笑えばいいわ」

 

明らかに虚勢を張って言うルイズ。

 

「バカだろ。お前、俺はメイジじゃねぇし魔法が使えようが使えまいがどうでも良い。それによォ……テメーは一生懸命頑張ってるじゃねぇか。そんな奴を笑うほど俺ァ腐ってねぇよ」

 

きっぱり言う銀時にルイズは目を丸くした。初めてだった……親も教師も誰だってそんなことを言ってくれたことがない。

 

ルイズはとても嬉しく思った。しかし、素直に礼を言うなんて出来ない。

 

「ま、まぁ、使い魔がご主人様を馬鹿にするわけないわよね!!」

 

「はいはい。じゃあ、お嬢様。片付け再開するぞ」

 

銀時とルイズは片付けを再開した……っといってもほとんど銀時が片付けた後なのだが。黙々と片付け、なんとか昼休み前に終わらした。

 

 

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