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「やめて ◾️◾️!」
気が付いたらその声は聞こえていた。
ぼんやりとした視界の中、高い声が廃墟と化した街の中に響く。
なぜ廃墟とわかったのか?そもそもこの呼びかける声の主は誰なのか?
どんな顔なのか、自分とどういった関係だったのか何も思い出すことはできない。
「◾️◾️!ねえ!◾️◾️!」
先ほどよりも大きな声で聞こえる。
呼ばれているのは自身の名前なのだろうか、そんなことを考えていると視界が暗転する。
意識はある。
ただ上下の間隔がない、まるで水の中を漂っているかのような感覚に陥る。
どれほどの時間をその暗闇で過ごしたのだろうか、気が付くと先ほどの場所とは真逆の真っ白な空間にいた。
俺はあたりを見渡した。
遠く遠くまで続く空間。そこに俺はいた。
そして俺は見つけた。たった一つの椅子を。
俺はその椅子に近づく。
誰も座っていないそれに向かって歩みを進める。
「おい」
どこからか声がすると同時に、俺は地面に伏した。
体が重い。
動かしづらい体に逆らって声の方向へと視線を動かす。
俺は椅子の方に目線を上げると、先ほどまでいなかったはずの真っ黒な人影が椅子の上にいた。
人影は俺を見ていう。
「そろそろ起きろ、そしてさっさと俺を解放しろ」
どういうことか理解が追い付かない。
そう口にしようとしたとき、人影は俺の方を見るなり額に手を乗せけだるそうに話し始める。
「あーくそ、あいつのせいか。まあいい、その時が来たら解放してもらうとしよう」
そう吐き捨てると、人影は俺に向けて左手を伸ばす。
その手を頭に乗せると俺の周りが明るくなっていく。
「おれはお前だ、名前はソル。お前は目覚めた先で力を身につけろ」
そして、人影は一つ間をおいて最後の一言を言い放つ。
「神を殺せ──」
* * *
バリバリバリッと言った砕ける音とともに俺は目が覚めた。
先ほどまでの非現実的な世界とはうって変って、今自分がいるのは洞窟だった。
怪しく光る水晶の光を頼りに周辺を見渡す。
「これに包まれていたのか...」
あたりに散らばる水晶に目線をやる。
俺は手ごろな大きさの水晶を拾い上げると、水晶の光を使って空気が流れ込んでくる先へと歩みを進めた。
洞窟の中には淡く光るコケとどこから流れ込んできたのかわからない水しかない。
きっと冒険家がこの洞窟に足を運んでも退屈しのぎにすらならないだろう、と感じた。
外にたどり着くまでの道のりはさほど危険なものではなかった。
進むにつれてだんだんと暖かくなってきたようだ。動物の鳴く声も聞こえてきた。
俺は手で光を遮りつつ外に出る。
暖かな陽光に包まれるこの感覚、ずいぶん久しぶりだ。
外に出てしばらくすると光に目が慣れたのか洞窟の外の光景がよく見えるようになる。
俺はその景色を見て立ち尽くすことしかできなかった。
日の光と周辺の山々、そして窪地に存在する大きな都市。自然と人工物が生み出す景観。
俺はそれに感動を覚えた。
* * *
「ついに彼も目覚めたか…」
白い花畑にいた彼は続けて呟く。
「"神"としての計画を進める時が来たね…」
彼は墓標を後にしてある場所へと向かった。
こんにちは!scilla bluebellです!
今回は僕のトランセンデンスを読んで下さりありがとうございます!
物書きとしては初心者ですがガンバていきたいです!
また今後はあとがきにキャラの細かな設定について触れていければいいなと思います!
それではまた次の物語で!