異世界ダンジョン配信~回帰した俺だけが配信のやり方を知っているので今度は上手く配信を活用して世界のことを救ってみせます~   作:犬型大

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誰も知らない配信の仕方2

 サシャがそこを押してみる。

 

「えと……これはどうしたらいいの? どう……ぎょうしゃ……しんせい……を……うけます……か?」

 

 今度は文字数が少ない画面が表示された。

 “同業者申請を受けますか?”という文字の下にハイとイイエが並んでいる。

 

 サシャはなんとか文字を読んだけれど意味は分かっていないようだ。

 

「左のハイを押してくれ」

 

「うん……あれ!?」

 

 ハイを押した瞬間イースラの前にある画面がサシャの目にも見えるようになった。

 

「おっ、なんだこりゃ! 二人の前にも……」

 

 クラインも同じく操作をするとイースラとサシャの前に画面が現れた。

 サシャの方もクラインの前に画面があるのが見えるようになっていた。

 

「同業者申請をすると面倒なことしなくても画面を見られるようになるんだよ。あとは俺がやる」

 

 全部説明していたら日が暮れても時間が足りない。

 今は一つ一つ説明することはなくイースラが画面を操作する。

 

 サシャとクラインは画面の後ろからその様子を見ているしかできない。

 後ろからでも画面は透けているのである程度何をしているのかは見えるけれど、何をしているのかは理解できない。

 

「パーティーは分けといて……カメラアイを登録……今日はとりあえず配信を録画……」

 

 イースラは迷いなく画面をポチポチといじる。

 一度目のついた箱であるカメラアイの目がカッと光ってサシャとクラインは驚いていた。

 

「とりあえず設定はこんなもんだな。あとは時間がある時にそれで、二人にやってもらいたいことがあるんだけど……」

 

 ーーーーー

 

「ええと……サシャのお料理練習チャンネル? です。私がサシャです。頑張るので……よろしくね。これでいいの?」

 

「ああ、それでいい」

 

 並べられた食材を前にしてサシャが事前にイースラから伝えられていたセリフを言う。

 セリフを言う恥ずかしさから顔をほんのりと赤くしたサシャは言われた通りに手を振る。

 

 クラインはカメラアイを持って目玉をサシャに向けている。

 クラインの目の前に表示されている画面にはカメラアイを通してみた映像が映し出されている。

 

 それを見ながらカメラアイの方向や角度をうまく調整してサシャが真ん中に映るようにしていた。

 

「そして俺がアシスタントのイースラです」

 

 クラインがカメラアイを動かして今度はイースラを映し出す。

 

「このチャンネルではサシャが色々と料理を覚えていくところを配信したいと思います。料理初心者のサシャが成長するところ見守ってもらえればと嬉しいです!」

 

 イースラはニッコリと笑顔を浮かべる。

 あまり見たことない笑顔にクラインは背中がゾワッとしていた。

 

「今日はトマトでネストロースープを作ろうと思います」

 

「ネストロー?」

 

「そっ。トマトがよく採れるネストロー地方で作られるスープだ。まあ難しいこともないから簡単に作れるよ」

 

 クラインは上手くイースラとサシャが二人とも映るようにカメラアイを調整している。

 

「まずは手を洗って、それから食材を切っていこう」

 

 イースラとサシャは手を洗い、包丁を使って今回使う食材を切っていこうとする。

 

「まずはトマトだな。これは適当に。煮込むからそんなに気にしなくても大丈夫だ」

 

「えと……こ、こう?」

 

 改めて包丁を使って何かを切るということにサシャは緊張を覚えていた。

 

「ダメダメ、手はこう」

 

「あっ……」

 

 孤児院での手伝いも危ないからとほとんどはシスターモーフがやっていたので鍋のかき混ぜや配膳ぐらいだった。

 トマトをガッツリ手で押さえてしまっているのでイースラがサシャの手を取って正しく押さえるように教える。

 

「指丸めて……そう。伸ばしたまま切ると危ないからな」

 

 指を丸めて食材を押さえるやり方を教えようとイースラの手がサシャの手を包み込み、サシャの顔がトマトぐらい赤くなる。

 何を見せられているんだとクラインは渋い顔をしているけれど投げ出したくなる気持ちを抑えてカメラアイをしっかりと向け続ける。

 

 サシャが食材を切っている間にイースラはかまどに火をつけて鍋を置く。

 

「んじゃ食材入れていこうか」

 

 切ったトマトなんかを鍋に入れて焦げつかないようにかき混ぜながら煮込んでいく。

 

「いい匂い」

 

 火にかけているとトマトが熱されて香りが立ち上る。

 こうした匂いも配信先に伝えられたらなとイースラは思う。

 

 煮込んでいくとトマトがいい感じに崩れてスープになっていく。

 時間もあるし弱火にして焦ることなくじっくりとスープを煮込んでいる間にパンを切る。

 

「こうでしょ!」

 

 サシャは指を丸めて食材を押さえてイースラを見る。

 ちゃんと教えてもらったことを忘れていないサシャのアピールは可愛らしく、イースラも笑顔を浮かべてうなずく。

 

 パンを切ってフライパンで焼く。

 

「はい、完成です!」

 

 スープとパンをさらに盛り付け、焼いたベーコンを添えて、チーズを軽くナイフで削って振りかけると料理の完成である。

 パンが落ちないように気をつけながらカメラアイに向けて料理の完成品を見せる。

 

「クライン、料理を近くで撮ってくれ」

 

「こうか?」

 

「もっとこう美味そうに見えるように」

 

 最後にテーブルに料理を置いてクラインが近くで料理を撮る。

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