異世界ダンジョン配信~回帰した俺だけが配信のやり方を知っているので今度は上手く配信を活用して世界のことを救ってみせます~   作:犬型大

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ポイントの使い道1

「お前は何者だ?」

 

 討伐が見事完了してイースラたちは酒場に集まっていた。

 酒場で飲み会して無事を祝い働きを労うのがいつものことなのである。

 

 イースラたちは普段討伐に参加しないのでこれが初めての参加である。

 みんながテーブルについて食事を待つ中イースラはベロンに隅のテーブルに呼ばれた。

 

 同じ席にバルデダルもいて、ベロンは鋭い目をしてイースラのことを見ている。

 何者だという質問はイースラの正体も問うているのだが、どうやってハイウルフを倒したのかという意味でもある。

 

 ハイウルフは名前の通りハイである。

 普通のウルフがいて、ハイとつくウルフがいるのだ。

 

 何を持ってハイとつくのか。

 それは能力的にウルフよりも一段落上であるためにハイとついているのである。

 

 普通のウルフだって侮れば簡単に人間など倒してしまう。

 それなのに強いハイウルフを最も簡単に倒してしまっていた。

 

 それも特に抵抗した跡も攻撃された跡もなく一撃で首を切り落としていたのである。

 能力のある熟練した冒険者ならハイウルフも一撃で倒せるだろう。

 

 しかし子供であるイースラはおろか冒険者としてそれなりにやってきているベロンたちだって一撃で綺麗に首を切り落とすのは難しい。

 ただの孤児院出身のガキのはず。

 

 まともな剣すら握ったことがないのにどうやってハイウルフの首を切り落としたのかベロンは気になっていた。

 

「……変なものが体から出てきて」

 

 どこまで打ち明けるか迷った。

 全て打ち明けるつもりはないけれど適当に剣を振ったら倒せたなんて与太話で騙せるほどベロンもバルデダルもバカじゃない。

 

 嘘をつくのは好きじゃないが時には必要である。

 相手を騙したいなら嘘にほんの少しの本当を混ぜるのだ。

 

「なんだか分からなかったけど……二人を守ろうと必死で……」

 

 オーラを使えたことは隠さないで伝えることにした。

 ハイウルフを倒すのにただ剣を振り回したではどうしても説得力に欠けてしまう。

 

 ただあたかも今覚醒したかのように装う。

 元々オーラを扱えましたでは説明もめんどくさい。

 

 なので危機的状況で仲間を助けるためにオーラが目覚めたということにしておいた。

 

「確かに……そうした例もありますね」

 

 必要に迫られてオーラが使えるようになるという話は時々聞くものだった。

 

「ピンチでオーラが目覚めたか……」

 

 孤児院の子供が元々オーラを使えたなんて可能性を考えるよりもたまたま目覚めたオーラを使ってたまたまハイウルフを倒した可能性の方が現実味がある。

 

「お前、冒険者として活躍する気はあるか?」

 

「……あります」

 

 今の段階からオーラが扱えるならイースラには相当才能があるとベロンは思った。

 ベロンやデムソはオーラを扱えない。

 

 ポムは言うまでもなく、ベロンはギルドやパーティーとしての限界を感じていた。

 オーラを扱えることは冒険者として必須ではない。

 

 しかしオーラが扱えることと扱えないことの差は歴然であり、一人いるだけで冒険者パーティーとしての格が上がるといってもいい。

 オーラが扱えないベロンたちではこれ以上冒険者として上を目指すことは難しかったのである。

 

 そこにオーラが目覚めたイースラが現れた。

 まだ子供であるので過度な期待はできないがもしかしたらもう一段階上にいけるかもとペロンはニヤリと笑った。

 

「バルデダル……オーラと剣の扱いを教えてやれ」

 

「…………本当によろしいのですか?」

 

「構わないさ。正直ポムより見込みもありそうだ。なんなら残り二人もやる気がありそうなら教えてやれ」

 

「かしこまりました」

 

 回帰前は特に期待されることもなかったのだけど真面目にやってきたおかげか今回はサシャとクラインも少し目にかけてくれているようだ。

 

「それでは近く、訓練を始めましょうか」

 

「よろしくお願いします」

 

 実際キッチンで剣を振り回すのは無理があった。

 バルデダルに教えてもらえるなら堂々と訓練することができる。

 

 このことが凶と出るか吉と出るかはイースラにも分からない。

 けれど回帰前と明らかに違った関係を築き始めていることだけは確かだといえる。

 

「まあ今日はこれぐらいにしよう。あいつらも待ってることだしな」

 

 他のメンバーたちは別のテーブルでイースラの話が終わるのを待っている。

 チラチラと視線を向けているしこれ以上待たせておくのも酷である。

 

 せっかくのオーラユーザーの機嫌も損ねてはならないとベロンはテーブルを立ち上がった。

 

「行きますよ」

 

 バルデダルに促されてイースラもテーブルを移動する。

 

「それじゃあまず報酬の分配からだ」

 

 席についてまずやることは注文ではない。

 依頼の報酬や魔物を冒険者ギルドに引き渡して得られた代金は一度ベロンが受け取っている。

 

 それからちゃんとみんなにお金を渡していくというシステムをスダッティランギルドではとっていた。

 依頼成功後の飲み会で渡すのもいつもの習慣になっている。

 

「まずはガキどもだな。少ないけど受け取っとけ」

 

 ベロンは小袋に入れたお金をイースラたち三人に渡す。

 袋も小さければ重さも軽い。

 

「イースラは頑張ったようだから少しだけ多めだ」

 

 そうベロンはいうけれど少額硬貨が一、二枚多いというだけの話である。

 荷物持ちだけして討伐には参加していないのだ、もらえるだけありがたいので文句は言わない。

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