異世界ダンジョン配信~回帰した俺だけが配信のやり方を知っているので今度は上手く配信を活用して世界のことを救ってみせます~   作:犬型大

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友の運命を変える4

「昔は魔物を討伐しても運ぶのが大変だったらしいけど今は魔物袋っていう便利なもんがあるんだよ」

 

 魔物の死体は皮や牙、肉として利用価値があるのでギルドなどで引き取ってくれる。

 しかし魔物も小柄なものばかりではなく大きなもの、重たいもの、持ちにくいものなど様々存在している。

 

 そのため倒して持ち運ぶことも簡単ではなく色々な方法を工夫して魔物の死体を持ち帰っていた。

 持てる量だけ倒してその都度持ち帰る人、自分で魔物を解体して高く売れるところだけを持ち帰る人、馬車を持っていく人、一度魔物の死体を集めて持ち帰る時だけ人を雇う人など方法も多くある。

 

 魔物持ち帰り方法の中でも冒険者の憧れの方法が一つある。

 それは魔物袋と呼ばれる道具を使って魔物を運ぶ方法である。

 

「魔物袋っていうのは空間魔法っていうすごい魔法があって、空間魔法によってただの袋に見えるあの袋にはすごい大きな空間が広がってるんだ。そしてその中魔物を収納しているってわけさ」

 

 空間魔法というかなり特殊で習得が難しい魔法がある。

 そして空間魔法の一つに空間を作り出すという魔法があって袋の中に目には見えないような広い空間を作り出すことができる。

 

 空間魔法によって作り出された空間に魔物を収納しておけば袋の分のスペースで多くの魔物を持ち運ぶことが可能になるのだ。

 不思議なことに魔物分のも重さも感じることはなく、多くの魔物を簡単に持ち運べるので魔物袋はみんなの憧れなのである。

 

 特殊な魔法を必要とする魔物袋はありふれたものではない。

 手に入れようと思えばかなりのお金と運が必要になり、魔物袋そのものに大きな価値がある。

 

「今は魔物袋のレンタルがあるんだよ」

 

 魔物袋は冒険者憧れのアイテムの一つであったのだが大きな変化が起きた。

 魔物袋が比較的安くレンタルできるようになったのだ。

 

 どこから借りられるかというと配信者受付から借りられるのである。

 配信者受付まで行って保証金とレンタル料を払えば誰でも借りられるようになった。

 

 このおかげで魔物の討伐もより捗るようになった。

 配信という文化が現れてからの大きな変化の一つといってもよかった。

 

「へぇ〜」

 

「よく学んでいるな」

 

「ええと……バルデダルさんに教えていただきました」

 

「バルデダルさんが……」

 

 デムソはバルデダルのことを見る。

 バルデダルはベロンが連れてきた人なのだがベロン、デムソ、スダーヌの比較的年齢が近いのに対してバルデダルだけは明らかに年上の存在である。

 

 色々なことをできて実力も高い不思議な人というのがデムソの感想だ。

 ただあまり馴れ合いをする人ではなく、少しだけ苦手意識もあった。

 

 講釈を垂れるような人でもないのでイースラにそのようなことを教えているのは珍しいと感じた。

 

「気に入られてるんだな」

 

 デムソはチラリとポムを見た。

 ようやく息が整ってきたぐらいのポムを見るとため息をつきたくなる。

 

 それに比べたら素直で働き者のイースラたちのことを気にいる気持ちもよく分かる。

 なんだかんだでデムソもイースラたちのことは悪く思っていない。

 

 最初は配信の足しになるのか不安なものだったが今の働きぶりを見れば配信での足しにならなくとも十分に価値があったと感じている。

 

「クライン」

 

 デムソは魔物袋をクラインに手渡した。

 

「次魔物倒したら回収係はお前がやれ」

 

「あっ、はい!」

 

 レンタルできるといっても魔物袋が高価なものであることに変わりはない。

 失くしたら保証金を没収される上に魔物袋をレンタルしてもらえなくなる。

 

 基本的に赤の他人には触らせすらしないものであるのだがデムソはそれをクラインに任せることにした。

 持ち逃げしたりしないで真面目に仕事をするだろうと信頼してくれたのだ。

 

 最初に選んだ道は行き止まりだったので戻って別の道を行く。

 しっかりと進んだ道に目印をつけて進んでいくと同じようにケイブアントが現れて戦いになった。

 

 危なげなくとはいかないけれどしっかりとケイブアントを倒して今度はクラインがせっせとケイブアントの死体を回収する。

 疲れたのかやや下がり気味になったポムは逆にいい感じの位置どりになっていたのは不幸中の幸いだった。

 

「ここも行き止まりか」

 

 二本目の道も着いた先は少し広めな部屋で行き止まりであった。

 

「次に行こう」

 

 割と勢いはいい。

 この勢いのまま行こうと次の道に行く。

 

「なんか色が違うのいるね」

 

 三本目にしてようやく変化が訪れた。

 一度ケイブアントと戦って進んでいくとまたしても小部屋のような場所にたどり着いた。

 

 しかしそこは行き止まりではなく奥に道が続いていて、さらには魔物も待ち構えていた。

 ただのケイブアントではなく体が赤っぽく顎が大きい。

 

「あれは兵隊アリですね」

 

 バルデダルが赤いケイブアントの正体を呟く。

 

「何か違うのか?」

 

「これまで相手してきたケイブアントはいわば下っ端……あの赤い個体はリーダー的な戦闘向きの個体です」

 

「じゃあ警戒して戦わないとな。デムソ、あの赤いのを引き付けてくれ。その間に周りにいる黒いのを倒す」

 

「わかったが早くしてくれよ?」

 

「努力はする」

 

 ベロンたちが一気に部屋の中に飛び込んでいってケイブアントに襲いかかる。

 デムソは盾を構えて赤いケイブアントの前に立って引き付け、その間にベロンたちが周りにいる黒いケイブアントを倒していく。

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