異世界ダンジョン配信~回帰した俺だけが配信のやり方を知っているので今度は上手く配信を活用して世界のことを救ってみせます~   作:犬型大

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運命に抗うもの3

「クライン、後ろだ!」

 

「おっと……悪い!」

 

 クラインの後ろに迫ったケイブアントのことをイースラが切り裂く。

 

「ふぅ……なんとかなったな」

 

 気づけばポムを追いかけてきていたケイブアントは全滅していた。

 

『つええ……なんだこいつら?』

『ガキに見えるけどガキじゃないのか?』

『三人もオーラユーザーが集まってるとか異常だろ』

 

 イースラたちの戦いはバッチリ配信されていた。

 誰にでもオーラユーザーになれる可能性はあるといっても実際誰でもオーラユーザーになれるわけじゃない。

 

 持っている魔力の量や魔力量の拡張可能性、才能などいくつもの要素が絡む。

 若いうちに魔力運用法を学んで魔力を扱い始める、他のオーラユーザーと切磋琢磨できる環境というのもまた大きな要素だった。

 

 クラインもサシャもイースラが整えた環境に加えて才能があった。

 サシャは魔法使いになったので魔力を扱う才能があったことは分かっていた。

 

 ただクラインについては少し心配だったのだが、クラインも上手く才能を芽吹かせてくれている。

 

「二人とも怪我はないか?」

 

「うん、大丈夫」

 

「お前が助けてくれたおかげでな」

 

 初戦にしては大変かなと思っていたがサシャもクラインも怪我なく立ち回ってケイブアントを倒していた。

 

「クライン、魔物袋でケイブアントを回収しておいてくれ」

 

「ん、分かった」

 

 こんな時でもお金のことは忘れず頭の片隅に置いてある。

 魔物袋はクラインが持っている。

 

 倒したケイブアントを放置していくのも勿体無いので一応持って帰る。

 

「ポム、状況は分かるか?」

 

 一度戦ったことでサシャとクラインは比較的落ち着いている。

 一方でポムの方はまだ動揺していて顔色が悪い。

 

「わ、分からない……気づいた目の前にアイツらがいて……」

 

 ダンジョンに再構築があることはあまり有名ではない。

 再構築そのものが一般に起こることではなく、人が入っている最中に起こることも滅多にない。

 

 つまり知らなくても無理はないことなのだ。

 再構築に巻き込まれても死ななかったのでポムも多少の運はあるようだ。

 

「他のみんながどうなったのか分かるか?」

 

「どうなったか……最後にベロンの兄貴とスダーヌさん、それとバルデダルさんとデムソさんがそれぞれ近かったのは見たぐらいだ」

 

「じゃあそれぞれ一緒にいる可能性が高いな」

 

 一人ならともかく二人ならなんとか戦える可能性もある。

 

「早く他のみんなを探しに行こう」

 

 人は多いほど良い。

 配信はまだ止まっていないのでベロンは生きている。

 

 近くにいたというのならそのままスダーヌも一緒にいるだろう。

 再構築がどうとか説明するのも面倒なのでポムにはカメラアイを任せてダンジョンの中を進んでいく。

 

「うわああああっ!」

 

「悲鳴……これは!」

 

 遠くに聞こえるカサカサ音に警戒しながら歩いていると悲鳴が響き渡ってきた。

 男の声で、かなり切迫したように聞こえてイースラたちに緊張感が走る。

 

 イースラたちは声の方に走り出す。

 

「デムソさん、大丈夫ですか!」

 

「腕……腕がぁ!」

 

 走っていくと広い場所に出た。

 そこにはケイブアントがいて、バルデダルとデムソもいた。

 

 そしてデムソは左腕の肘から先がなくなっていた。

 

「離れなさい!」

 

 バルデダルは茶色いオーラをまとっている。

 周りには多くのケイブアントの死体が転がっていて、バルデダルはオーラをまとった剣で赤いケイブアントを牽制している。

 

「くっ……立ちなさい! 痛みに怯んでいる暇などありませんよ!」

 

 バルデダルとデムソが協力してケイブアントを倒したようだが数が多すぎる。

 赤いケイブアントもいて、どこかでデムソが遅れをとったようだった。

 

「チッ……いくぞ! お前はそのまま隠れて配信してろ!」

 

 できれば怪我をする前に合流したかったが遅かった。

 イースラたちはバルデダルを助けに走る。

 

 ポムはいるだけ邪魔なので敵にバレないように隠れていてもらう。

 

「大丈夫ですか!」

 

「君たちは……それにオーラ?」

 

 イースラだけではなくサシャとクラインもオーラを使っている。

 思わず助けにバルデダルは目を見開いた。

 

「いいからまずはこの状況を乗り越えましょう!」

 

 二人がオーラを使えることを説明している時間などない。

 

「あいつ……ボスですか?」

 

「おそらくそうですね」

 

 赤いケイブアントの奥に赤黒いケイブアントの姿が見えた。

 赤いケイブアントよりも一回り大きくて赤いケイブアントが守るように立ちはだかっている。

 

 一体だけの異常な個体。

 ダンジョンのボスだとイースラはすぐに察した。

 

 バルデダルとデムソは再構築は生き延びたものの運悪くボスの近くに運ばれてしまったようである。

 

「このまま逃げましょう」

 

 相手の数が多い。

 バルデダルを含めてオーラユーザーが四人いるけれどサシャとクラインは経験が浅い。

 

「どれぐらい持ちそうですか?」

 

「なぜそれを……」

 

 加えてバルデダルにもあまり戦い続けられない事情があった。

 

「いいから!」

 

「……もうあまり余裕はありません」

 

 気になることは多いが疑問を解消している暇があるなら目の前の敵に集中すべき。

 イースラは戦いながら周りの状況を確認する。

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