異世界ダンジョン配信~回帰した俺だけが配信のやり方を知っているので今度は上手く配信を活用して世界のことを救ってみせます~   作:犬型大

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大都市へ1

「ここともお別れか……」

 

 スダッティランギルドが解散することになったが、解散しますでただ終わりではない。

 名前だけの集まりもあるが多くのギルドはちゃんと冒険者ギルドに登録をしてある。

 

 解散の申請を出す必要がある。

 今回は町を離れて商会に向かうので出立の準備も必要だ。

 

 田舎の町なのでスダッティランギルドはそこそこ重宝されていた。

 意外と上手く町に溶け込んでやっていたし挨拶回りなんてことも必要である。

 

 イースラたちも食料を買ったりして色んな人と関係を深めた。

 振り返ってみればそんなに長いこといたわけでもないのにみんなはイースラたちも去ることに残念がって、そして応援してくれた。

 

 そして色々と準備をしてとうとう出発の日を迎えた。

 ベロンはギルドハウスのドアを閉じてそっと手を当てる。

 

 巡り合わせが良くていいギルドハウスを手に入れられた。

 もしかしたら後ろに商会がいる可能性も考えたけれど考えるだけ無駄なので運が良かったとだけ思うことにした。

 

 出発のはベロンたちだけではなくイースラたちも一緒だ。

 

「イースラ」

 

「これは……」

 

 ギルドハウスの鍵を閉めたベロンは鍵をイースラに投げ渡した。

 

「もう戻ることはないかもしれないが何か役に立つことがあるかもしれない。どの道俺は使わないから好きにしろ。いつか使ってもいいし金が必要なら売ってもいい」

 

「……ありがとうございます」

 

「いいさ、感傷に浸っても仕方ないからな」

 

 イースラもここに戻ってくるつもりはないけれど、貰えるものなら貰っておく。

 どこかで使うこともあるかもしれない。

 

「それじゃあ行こう。次の町まで急げば日が落ちる頃には着くはずだ」

 

 ほんのわずかの名残惜しさも残しつつスダッティランギルドはこれで完全に無くなることとなった。

 

「ベロンさん、今までありがとうな」

 

「あんたたちのおかげでしばらく安心して過ごせた。どっか行っても元気でやるんだぞ」

 

「……みんな」

 

 町を出ようと歩いていると人が集まっていた。

 それはベロンたちを見送ろうと集まってくれた町の人たちである。

 

 感謝の言葉、見送りの言葉、応援の言葉。

 これだけの人たちに囲まれていたのだなとベロンは改めて思い知る。

 

「泣いてるの?」

 

「ああ……冒険者を辞めることに変わりはないけど……やってきたことに間違いはなかったんだなって」

 

 ベロンは涙を流していた。

 隣を歩くスダーヌは優しく微笑みながらハンカチでベロンの涙を拭ってあげている。

 

「はぁーあ……羨ましいな……」

 

「デムソの兄貴にもきっと良い人見つかりますって」

 

「お世辞はいらん」

 

 思いを打ち明けあってからベロンとスダーヌの距離はとても近くなった。

 二人の熱い関係を見てデムソがため息をつく。

 

 ポムが慰めるけれど片腕のない男を好きになってくれる人がいるもんかとデムソはまた深くため息をつくのだった。

 

 ーーーーー

 

「そういえば、言っておかなきゃというか、やっておきかなきゃいけないことが一つあった」

 

 予定ギリギリで町に着いた。

 宿が閉まる直前だったけれどなんとか部屋を借りることができたので一安心である。

 

 次の町までの時間の都合で早い時間にバタバタと出てきたが、改めて今後の予定についてベロンは確認しておくつもりだった。

 部屋にみんなを集めて予定を確認する前にやっておかねばならないことがあることをベロンは思い出していた。

 

「やっておきかなきゃいけないこと?」

 

「俺たちはギルドを解散させたが冒険者であることに変わりはない。同時に配信者の身分もまだ維持したままだ」

 

「それはそうね」

 

「ダンジョン攻略の時に配信をつけたままになっていたんだけど、イースラたちがうまく回してくれていた。ダンジョンの再構築……だっけか。そんな珍しい窮地に視聴者がかなり多かった。パトロンも多くきていてな」

 

 これまでにないほどのコメントやパトロンが来ていた。

 視聴数によるポイントも入って意外と多くのポイントがそのままになっていたのである。

 

 デムソのことやスダッティランギルドの解散などがあって後回しにされたままだった。

 しかし冒険者を辞めると決めた今ベロンはポイントをどうするのか考えてある。

 

「ポイントだけど……イースラたち三人に全部送ろうと思う」

 

 ベロンは得られたポイントを全部イースラに送るつもりだった。

 冷静さを失うこともなく配信を回し続けたのはイースラであるし、最終的にみんなを助けたのもイースラである。

 

 これから三人はベロンたちと別で活動していくようであるし餞別として贈ってもいいのではないかと思ったのだ。

 

「いいんじゃないか」

 

「私もいいと思うわ」

 

「もちろん異議なんてないです」

 

 デムソ、スダーヌ、ポムも反対意見はなかった。

 きっとイースラならポイントを無駄にすることなく使ってくれるだろうという思いもあった。

 

「それじゃあイースラに送ることにしよう。クラインとサシャにはお前が分配してやれ」

 

「分かりました」

 

 ベロンからポイントが送られてくる。

 それはダンジョンの分だけではなくベロン個人のポイントやここまで貯めてきたポイントも含まれていた。

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