異世界ダンジョン配信~回帰した俺だけが配信のやり方を知っているので今度は上手く配信を活用して世界のことを救ってみせます~   作:犬型大

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新人研修3

「全員グループができたようだな」

 

 そうこうしている間に他のグループも固まっていた。

 上手いことイースラたちもグループになれたのでそのまま訓練に挑む。

 

 訓練は説明された通りに魔物の討伐である。

 

「さて、同じことは説明しない。魔物を倒してこい。以上だ」

 

 自由に散らばって自由に魔物を倒してくるだけであるが言葉通りに受け取ってもいけない。

 魔物は倒して終わりではない。

 

 素材として買い取ってもらえるなら持って帰る必要があるし、死体が必要ないなら魔物の中にある魔力の塊である魔石というものを取り出して死体は処理する。

 言葉通りに受け取ってただモンスターを倒すだけでは多分後々怒られることになるだろう。

 

「みんなにはこれも連れて行ってもらう」

 

「それはなんですか?」

 

「カメラアイというものだ。今や配信が一般的なことは君たちも理解しているだろう。これは配信のために必要なものだ」

 

「ということは俺たちも配信されるということですか?」

 

「その通りだ。これは高いし壊さないように気をつけろ。魔物ではないからな」

 

 ちなみに訓練で不正はできない。

 なぜならそれぞれのグループの様子は自動追尾型のカメラアイによって配信されているからである。

 

 イースラたちがこれまで扱ってきたカメラアイはただの四角い箱に目についているようなもので、それに棒がついているぐらいがせいぜいであった。

 しかしここで使われるカメラアイはそれよりも上のグレードのものである。

 

 四角い箱に目がついていることは変わりないのだが、翼が生えていて対象を指定すると自動である程度の距離をとって自動で撮影してくれるのだ。

 撮影係を必要とせず手ぶらでも配信できるのである程度以上になれば手持ちのカメラアイから切り替える人も多くいる。

 

 各グループに一匹のカメラアイをつけられるなんてさすが大型ギルドは金を持っているなとイースラも思う。

 配信は他の人が見られるだけでなく、訓練を監督するギルド員も見られる。

 

 カメラアイを通してみているのだから不正などできないのだ。

 

「よし、いけ! 時間は夕刻まで。遅れれば減点だ」

 

 他のグループは一斉に走り出す。

 その後を追いかけてカメラアイも飛んでいく。

 

「行かなくていいのか?」

 

「行くさ。ただ俺たちはここらの出身じゃないから地理に聡くないんだ。どこに行ったらいいと思う?」

 

 スタートダッシュが大事な事は分かるけれど、闇雲にどこかに走り出したとしてもうまく行かないことの方が多い。

 イースラたちはまだまだ町に来たばかりである。

 

 基本的にはギルドの中で訓練して過ごしているのだから町の外はおろか町のこともまだあまり分かっていない。

 魔物の討伐としてどこに向かえばいいのかをムジオとコルティーに尋ねる。

 

 行くべきところや行っちゃいけないところなど事前に作戦や計画を立てるのも魔物討伐としては大切なのだ。

 

「えっと、ここは町の南側だから……」

 

 ムジオが腕を組んで考える。

 

「行ける距離ならシノシの森、ダンカデン平原、シノゴの森……かな?」

 

 今イースラたちがいるのは町から少し南に来たところである。

 町の南側には広い平原を挟み込むようにして二つの森が存在している。

 

 森はそれぞれシノシの森とシノゴの森と呼ばれていて、間に挟まれる平原はダンカデン平原と名付けられていた。

 

「多分みんなはダンカデン平原で魔物を探すと思う。あそこには倒しやすい弱い魔物が多いから」

 

「私たちもダンカデン平原に行く?」

 

「うーん……」

 

 安全に狩りをするならダンカデン平原なのかもしれない。

 ただイースラはあまり乗り気ではなかった。

 

「森の方は?」

 

「んーと……行くならシノシの森の方が魔物が弱いかな?」

 

「あんまり大きな違いはないと思うけどシノゴの方が奥に行くと強い魔物がいるはずだよ」

 

「じゃあ今回はシノシの森に行こう」

 

「平原じゃないの?」

 

 なんで簡単な平原じゃないのかとサシャが不思議そうな顔をする。

 

「訓練なのに簡単なもんばかりやっても楽しかないだろ。それに弱い魔物ってのは意外と厄介だ」

 

「厄介? 何がだよ?」

 

「お前が平原に住んでる弱い魔物だとする。いきなりなんか知らないけどたくさん冒険者がきて追いかけましたらどうする?」

 

「どうするったって……」

 

 クラインは考える。

 

「逃げるぐらいしかないかな?」

 

 どう考えたって答えは逃げるしかない。

 戦って華々しく散るなんてのも悪くはないかもしれないと思いつつも弱い魔物がそんなことするとも思えない。

 

「その通りだよ。弱い魔物は逃げるんだ。脅威を察知すれば隠れるし、普段から色んな人が出入りするだろうから魔物の数もそんなに多くはないだろう」

 

「なるほどね。みんな向かえば魔物は少ないし取り合いになるってことだね」

 

「正解だ、サシャ」

 

 弱い魔物は逃げる。

 初心者の練習にはいいのかもしれないがイースラたちはもはや初心者を脱している。

 

 さらに訓練は魔物を倒した数を見られている。

 逃げ回る魔物を追いかけて倒しても時間はかかるし、見ている監督官も多分いい顔はしないだろう。

 

 逃げる魔物相手では数も伸びないし倒した内容も評価されない。

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