今日も静かに誰か来る   作:通りすがりのカードゲーマー

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朱焔

「ッ…!?ハァハァ…ゆ…夢…?」

 

過去の夢を見た。

終われ殺されかける夢

ずっと忘れていた過去の傷

 

ふと思ってしまう。

 

「…俺は…いいのか…?」

 

自分の手を見る、震えている、鏡を見る、真黒な自分がいる、顔を見せず髪すら見せない自分の姿…

いつもと変わらない舞台裏の姿

見つからないように隠れ、名前すら明かさず、過去に恐怖し怖がる

 

「…これでいいのか…?」

 

過去に囚われたこの姿、永遠にこの姿のままだと思っていた。

けどあの夢、変われっていうことじゃないのか?

色んな友達を見てきた、過去から変わって今を生きてる友達を…見習うべきなんじゃないのか?

 

「…俺は…」

 

久しぶりに表舞台に足を運ぶ

 

「…もう、弱い時の俺に戻らない!」

 

昔、主役で使っていた衣装を取り出す。埃を被っている

そして…自分を勇気づけるように自分の名前を言う

 

「俺の名前は…朱焔 彼岸」

 

これから、元の姿で名前で生きていこう、こう思えた。

 

天空闘技場、15階。

そこに1人佇む少女。

 

少女はゆっくりと振り返り、目が合った。

 

そして、笑って言う。

 

雪華『…来たんだね、黒衣さん。』

 

 

雪華このアルケミ大陸で初めて話し友達になれた人だ、俺の大切な友人

 

彼岸「…あ、そっかお前にも本名言ってなかったな…改めて…俺の名前は朱焔 彼岸…改めてよろしく」

 

挑戦者はそれを言うと武器を構える、目の前の少女からもらった武器を

 

雪華『…彼岸さん……そっか。』

 

さらに笑顔になる。

 

雪華『改めてよろしく、彼岸さん。…それと、その武器…ちゃんと大事に使ってくれてるんだね、嬉しいよ。』

 

そう言い、同じ武器を構える。

 

彼岸「…そりゃな、友達からの貰い物だ大切に使うよ」

 

二人ともハンマーを手にすると

 

カウントがはじまる

 

3

 

すこし距離をとる

 

2

 

語ることは少ないほうがいい、終わったらまた話そう、そう思う今は戦いに集中しよう

 

 

1

 

 

 

 

雪華『…もう始まっちゃったか。対戦、よろしくお願いします!』

 

そう言い、まずは旅人の知恵を展開し、双竜の力を解放する。

 

彼岸「…先に言っておこう俺にはなぁ!バフなんてないだから!先手必勝!ライトニングボルト!」

 

バフを積んでいる雪華に雷を放つ

 

雪華『…避ければ無問題、ってね』

 

雷の落ちた衝撃で風が生じ、長くなった髪がふわりと舞う。

 

雪華『…さて、回ろうか』

 

くるくると回るように舞を踊る。

何度も回り、見とれてしまうほどの舞。

そして、終わる頃。

突如強い風が吹く。

 

彼岸「ッチ!避けられた挙げ句竜巻の舞か!」

 

距離が空いているはずなのにこっちに直で風がくる…!

 

雪華『さあて、行くよ?』

 

竜巻が発生した。

先程の雷の影響か、いつもより少し威力が増している。

そして、彼岸の体が浮き上がる。

 

彼岸「やっば!?」

 

体勢を崩してる状態で浮かされた

 

彼岸「早く立て直さなきゃ…!」

 

おそらくここで風が止まったら顔面から地面にぶつかる…!?

 

雪華『おぉー!高いね〜!』

 

地面にしっかり立って下から眺めている。

もはや観戦である。

 

彼岸「こんにゃろ!」

 

空中で体勢を立て直し上から魔法のファイヤーボールとライトニングボルトを撃ちまくる。

 

 

雪華『おっと!』

 

疾風迅雷で素早く移動し、避ける。

 

雪華『…うーん、そろそろ終わりかな?』

 

そう言った途端、竜巻が止んだ。

 

彼岸「くっ…!…一か八かだオラぁぁぁぁぁ!」

 

ガン!

 

重力に従い、彼岸が地面に落ちていくが地面にぶつかると同時にハンマーを振り下ろし勢いを殺す。

 

彼岸「全くよぉ…腕が痺れる…!」

 

手を一度思いっきり振り痺れを解こうとする

 

雪華『ぷくく、降りるの下手っぴ~』

 

お前は獣人だから多少高いとこから降りるのが得意なだけだろ?と言いたい…がグッと堪えて…

 

彼岸「うるせぇ妖狐…お返しってことで!…流星の雨をここに!メテオストライク…!」

 

彼岸が魔力を纏った手を前に出すと上から無数の岩が落ちてきた

 

雪華『おぉ〜、何度見ても絶望的な絵面〜…じゃあ、こっちも!』

 

と、同じようにメテオストライクを発動する。

上がかなりの地獄絵図…。

 

彼岸「じゃあこっちはこっちでやり合おうか…!」

 

ハンマーを構える、バフが乗ってる相手のほうが有利であることは誰もが見てわかるが…

 

彼岸「こっちには…これがある…!」

 

手にバチバチと電流が走る

 

雪華『……そーだね、じゃあ……』

 

と言うと、早速勢いよく懐に入り込む。

 

雪華『行かせてもらうね』

 

そうしてハンマーで一撃与えようとする。

 

彼岸「あっぶねぇ!」

 

なんとか初撃を防ぎもう片手で雷撃を放とうとする

 

雪華『危ないのはこれからじゃない?』

 

と言い、さっきかなり離れたはずなのに、鼻が当たるほどの至近距離に来る。

…双竜の影響か、はたまた疾風迅雷だったのか。

 

彼岸「ッ!」

 

直ぐ様、雷撃を止めようとしたが遅かった、ハンマーをモロに食らう

 

雪華『…遅い』

 

ガンッ!!

 

音が響く。

彼岸が吹き飛ばされる。

 

手加減はある程度してくれているから死にはしないが、かなり痛いだろう。

 

彼岸「ガブ…!」

 

腹にかなり衝撃が走り

数回地面に転がっていますようやく勢いが収まった

もう満身創痍だ

 

彼岸(はぁはぁ…やっぱり俺が主役なんて……)

 

マイナスな思考に走ってしまう

 

彼岸(けど…!誓ったんだ…!俺のため…!そして!今まで見て来た友達のため!俺は…勝つ!)

 

振り払い、敵に目を向ける

 

歯を食いしばり、立ち上がる。

 

雪華『…いいね、黒衣さん…いや、彼岸さんはそうじゃなきゃね。』

 

そう言い、また笑う。

 

彼岸「はぁ…はぁ…もう…終わらせてやる…!」

 

届かないとしても…!やる…!もうMPなんてもんも残ってねぇ、使える魔法もほぼねぇ…!けどなぁ…!

 

彼岸「ここでやらなきゃ…!行けねぇんだよ…!」

 

指先に魔力が集まる

 

雪華『…へえ…』

 

また面白いものを、という顔で見る。

 

彼岸「……全てを切り裂き、轟かせ!最大出力…!ライトニング…ボルトォォォォォ!!!!

 

 

あの日よりも強力になった魔力を

指先に集中、雷に変え、雷を発射する…発射したその反動に彼岸が後ろ吹き飛ぶ

 

雪華『……っ!?』

 

早い。見えない。

そう思った時にはもう遅い。

 

彼岸の放ったライトニングボルトは、雪華の左肩を貫いた。

 

彼岸「左肩か…よ…」

 

行方を見ていた彼岸はそのまま倒れた。

 

 

雪華『………まったく、人をMP切れで倒れさせる気かな…?』

 

と必死にハーモニーの調べと回復の風でどうにか左肩の傷を癒した。

もちろん、彼岸の傷も。

 

回復され、仰向けのまま目を開く…そうか…負けたか…

 

彼岸「…俺の負け…か…」

 

主役の初戦は…負け…か…

 

あぁ…悔しい

 

雪華『…引き分けですよー』

 

と横で尻尾を振りながらむすっとした顔で言う。

 

雪華『さっき、私もう立てなかったし。意識保つのでギリギリだったもん…もっと余裕でしっかり勝ちたかった〜!』

 

彼岸「あえ…?引き分け…そうか…引き分けか…」

 

先程感じていた悔しさが何処かへ消えてしまった。がそれと同時になにか清々しさを感じる

 

彼岸『…雪華ありがとうな、なんかスッキリした。最初に戦ったのがお前でよかったよ』

 

雪華『ふふん、もっと感謝してくれてもいいんだよ?』

 

彼岸「…そうだな、この感謝はまた後でしよう…今は…酒場に戻ろうぜ…ほら手」

 

傷は回復したが、疲労感は残っている中なんとか立ち上がり手を差し伸べる

 

手を取り、雪華も立ち上がる。

 

雪華『はーい…あ、1回帰る途中で大魔道士のローブ落ちてたけどいる?』

 

と聞く。

 

彼岸「お、くれ…と言いたいが…お前が持っとけ…」

 

雪華『え〜、じゃあ売っちゃお〜!』

 

彼岸「おう、そうしろそうしろ…最近マーがないって言ってたから余計にな」

 

雪華『ふふ、これで今日は素敵なステーキでも食べちゃおうかな〜』

 

…寒気がしたな…

 

彼岸「はいはい、今日は俺の奢りだから好きなだけ食べろよ」

 

雪華『ほんと!?やったあ!遠慮なくいっぱい食べてやろーっと!』

 

と一気に元気が出たのか走り去っていきすぐに俺もその後を追って行った…

 

ちなみにマーはスッカラカンになった。

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