彗星と悪魔に見出された彫金師はホロにじのメンバーを兼任するようです   作:んな~~~~~

2 / 7
初めまして、彫金師Vtuberの天星槭です

──────失礼します

 

書類をもらった数日後、俺は…にじさんじを経営しているえにから本社に足を運んだ。

 

名前と用件を伝えると、どうやらすでに手が回っていたらしく、なぜか社長室に案内された。

 

「君が天星君か。今日は来てくれてありがとう」

 

「いえ、こちらこそ書類を送ってくださりありがとうございます」

 

「ウチのでびる君が君をどうしても入れてほしいと言ってね。まさか君だとは」

 

そう、この社長と俺は初対面ではない。

 

──────あなたがおでん屋で飲んだくれて通りすがった俺にダル絡みしてきたおっさんだとは思いませんでした

 

「手厳しいね。その節は君に迷惑をかけたし、無事に駅まで送ってくれたことには感謝もしている」

 

──────それで、俺は面接に来たのですが。もしかしてにじさんじでは面接を社長がやるんですか?

 

「いやいやまさか。一日に5件くらい応募が来るのに、私がすべてこなすのは無理があるよ」

 

──────では、なぜ俺はここに?

 

「単刀直入に。にじさんじに入らないかい? 初めて見たときから思ったんだが、私は君のキャラクターを高く評価している」

 

──────……でびさんからも勧められたし、俺もやぶさかではないのですが、一つ問題が

 

「なんだい?」

 

──────あなた方が俺の家に書類を送った日、もう一つ書類が届いたんです

 

「……もう一つ?」

 

──────株式会社カバーからでした。内容は『ホロライブのメンバーとして働かないか』というものです

 

「……そうか。YAGOOも君に目を付けたのか」

 

──────実はYAGOOさんにも会った事がありまして

 

「なんだと! どういった経緯で?」

 

──────話していませんでしたが、俺はとある工房で彫金師をやっています。彫金術を使った

 

「ふむ」

 

──────顧客として、YAGOOさんから仕事を受注したことがあるんです。イベント用にホロライブ出演者全員の飾りを作ってほしいと

 

「それで?」

 

──────仕事をしっかりこなしたら『君もホロライブに入らないか』と誘われました

 

「ガッデム!」机バン!

 

社長が見事な台パンを決めた。

 

「完全にあっちの方が引き込みやすいじゃあないか……クソっ」

 

──────一応、明日にでもカバー本社に赴こうと思っているので。ご一緒していただけると幸いです

 

「…いいだろう。ほかならぬ君の頼みだ必ずカバーの魔の手を退け、にじさんじに君を加入させてやる!」

 

…楽しくやれればどちらでもいいんだが。はっきり言って。

 

──────では、俺はこれで失礼します

 

息まく社長を尻目に、俺は踵を返した。

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

翌日。予定通り俺は社長とともにカバー本社に足を運んでいた。ちなみに仕事は休んだ。融通が利くのがバイトのいいところだよね。

 

「さあ、行こうじゃないか!」

 

──────失礼します

 

「やあやあ、よく来た……ね?」

 

株式会社カバー創業者、谷郷元昭。

 

通称YAGOOさんは俺の隣にいる社長を見て表情を固めた。

 

──────YAGOOさん。こちら、ご存じだと思いますけど、株式会社えにからの田角リクさんです

 

「こんにちは。今日は天星君のことで話が合ってね」

 

「……わかりました。とりあえず、お座りください」

 

言われた通り、椅子に座る。

 

「まず、君を呼んだ理由だが、知っての通りホロライブに入ってはくれないかというものなんだ」

 

──────はい、でもなぜ俺を?

 

「ホロメンの一人から、推薦を受けてね。「公園でピアノを弾いている男性が歌もうまいから選考してほしい」とね。調べてみたら君のことだった。昔の仕事のこともあるし、ぜひとも入ってほしいと思ったんだ」

 

──────……俺を推薦したのは、誰ですか?

 

「星街すいせいさんだよ。話によると、本人の前で「天球、彗星は夜を跨いで」をうたったそうじゃないか」

 

俺はYAGOOさんの言葉に絶句した。

 

──────…星街、すいせい?

 

「ああ」

 

──────彼女が、そうだったん、ですか

 

「大丈夫かい?」

 

──────いえ……嬉しくて

 

本当、やっと会えた。

 


 

──────『……引っ越すことになったんだ』

 

『え、じゃあ…』

 

──────『お別れ、だよ』

 

『……いつか、また…』

 

──────『ばいばい、すいちゃん』

 


 

──────そうですか。星街さんが……

 

「……天星君……」

 

「どうだろう、ホロライブに入らないかい?」

 

──────うーん、甲乙つけがたいですね。……そうだ

 

俺はにやりと意地の悪い笑みを浮かべる。

 

──────二人にホロライブとにじさんじのプレゼンをしてもらって、いいと思うほうに入ろうと思います

 

「任せたまえ!」

 

「負けるわけにはいかない…!」

 

数時間後

 

「そっちのほうだって天星君を自分の都合で入れようとしてるじゃないか!」

 

「はぁ? 飲んだくれたオッサンに言われたくないですぅ―!」

 

「てめぇもオッサンだろうがぁぁぁぁ!!!!」

 

──────…なんか、醜い論争だな

 

というか、そろそろ帰ったほうがいいと思う。ほら、秘書の人も動揺しちゃってるよ。

 

──────あーえっと、わかりました。じゃあこうしましょう

 

俺は折衷案を出す。

 

──────俺がホロライブとにじさんじのメンバーを兼任する。というのは

 

「兼任?」

 

「なるほど……」

 

そこから数日、俺がVtuberとして活動を行うにあたり、いろいろなことをした。

 

──────え? イラストはしぐれういさんが描いてくれることになった!? あ、よろしくお伝えください

 

マネージャーさんにいろいろ教えてもらいながら、ちょっとずつ初配信に向けて準備を整えた。

 

そして――

 

 

 

 

 


 

 

──────Twitter内の主な反応──────

 

・なんかホロライブとにじさんじが同日に新メンバー発表するんだけど

 

・なんやろな#ほろにじ新人同時発表

 

・ついに兼任が出るのか

 

 

──────…盛り上がってるねぇ

 

初配信10分前。俺は (ツイッター)内をサーフィンしながらつぶやいた。

 

──────こっちもこっちで大変なことになっとるし

 

 

──────チャット──────

・発表はよ

 

・どんなキャラなんだろ

 

・サムネ的に男性っぽい?

 

・ついにホロライブも男性メンバー加入か

 

・いや男の娘かも

 

・それ結局男なんよ

 

 

──────さて、始めましょうかね

 

俺は深呼吸を一つ、そして配信を開始した。

 

 

──────おはよろろ~。彫金師Vtuber天星槭です!

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。