Re.ありふれない錬成師で最高最善の魔王、世界最強を超越する   作:天元突破クローズエボルハザード

101 / 106
お待たせいたしました。今回で第5章は終了のエピローグです。


サイド-Ⅹ:2018-ターニング・フォーチュン

【ハイリヒ王国】の王宮敷地内にある騎士や兵士用の食堂に、どこかイライラとした雰囲気の女子生徒──

園部優花の姿があった。

優花はただでさえ切れ長な目元をギンッと吊り上げながら、睥睨する様に食堂内を見渡す。

幾人かの兵士と思われる青年達が、そんな優花の視線を受けてビクッと体を震わせた。

 

優花「ここにもいない……か、あぁもうっ!アイツ等、肝心な時に限ってっ!」

栗色の髪を少々乱暴に掻き上げつつ、優花は苛立ちを露わにする。そして更に兵士達をビクッとさせつつ踵を返した。

 

優花「訓練場にも、隊舎にも、食堂にもいない。……やっぱり、街に出たって事?」

独り言を呟きながら、優花は王宮正門の門番詰所へと進路を取る。ズンズンと音が聞こえてきそうな足取りだ。

奈々「優花っち!」

進撃するかの様な勢いの優花に声が掛けられた。パタパタと走って来たのは宮崎奈々だ。

 

奈々「こっちにはいなかったよ。そっちは?」

優花「食堂にはいなかったわ。さっき玉井くんと妙子にも会ったけど、やっぱりいないみたい。

2人共、他の施設を見に行ってくれてるけど……多分王宮内にはいないんじゃない?」

奈々「だよねぇ。私も相川君達とさっき会ったけど、やっぱりいなかったって。あぁもう!

こんな時にアイツ等、何処ほっつき歩いてんのかなぁ!愛ちゃん先生の護衛失格だよ!」

奈々が頭を抱えて「うがーっ!」と叫んだ。

 

2人──正確には愛ちゃん護衛隊のメンバーが探しているのは、同じ愛子の護衛隊であるデビット率いる神殿騎士達だった。

3日前、生徒達との夕食の席に現れなかった愛子。

 

代わりにやって来た教皇イシュタルによれば、ハジメの異端者認定について「覆す事が出来るかもしれない。」と急遽本山に入ったのだと言う。

審議や手続き等で直ぐには戻れないが、2~3日もすれば顔を見せるだろう、と説明を受けた。

 

事前に愛子と接触していた雫から、愛子より重要な話があると聞いていたので当然優花達は訝しんだ。

取り敢えず愛子の所へ行こうと本山入りを訴えたのだが、異端者認定の対象である人間と親交のある者をこのタイミングで入山させる訳にはいかないと断られ、不安に思いながらも2~3日ならと待つ事にしたのだ。

 

しかし3日目の今日。既に昼を過ぎたこの時間になっても、愛子に関する情報が何も手に入らない。

本山行きのリフトは停止したままで、教会関係者も要領を得ない説明しかしない。

痺れを切らした優花達は一先ず、デビット達神殿騎士に現状を尋ねようとしていた訳だ。

 

しかし、昨日の夕方までは姿を確認していたデビット達まで今日の朝には姿を晦ませてしまった。

何処を探してもいないのだ。最早街に行ったとしか考えられないのだが、この状況で愛子溺愛者である彼等が街中をふらつくとも思えない。

 

優花「……嫌な、感じね。」

優花は歯噛みしながら、ここ最近の王宮内の異様な雰囲気と、姿を消していく身近な人々を思い、まるで背筋に虫が這っているかの様な恐怖を覚えた。

 

雫「優花?それに奈々も……?」

するとそこへ、雫がやって来た。

優花達へ呼びかけながら、しかし誰かを探している様に周囲へチラチラと視線をやっている。

 

雫「デビットさん達は……その様子だと、まだ見つかってないみたいね。」

優花「うん。そっちも、団長さんとは会えなかったみたいだね。」

その言葉に、雫は憂いを帯びた表情で目を伏せる。

 

あの日から姿を見せなくなったのは愛子だけではない。

メルドやリリアーナを筆頭に、雫の専属侍女兼友人であるニアを始めとした幾人かの使用人達。

他にも訓練等で親しくなった騎士や兵士等も、何かと理由をつけて会えなくなっている。*1

 

奈々「ねぇ……優花っち、雫っち。……大丈夫、だよね?」

雫・優花「「……。」」

奈々が、どこか怯えた様子で問うた。だが二人共、いつもの様に「大丈夫!」と即答する事が出来なかった。

──何かが起きている。漠然とした不安感が、2人から余裕を奪い去ろうとしていた。

 

雫(こんな時に、貴方がいてくれたら……。)

優花(こんな時に、アイツがいてくれたら……。)

無意識に、雫と優花は同じ方向を見た。それは遥か西の空。思い浮かべた人物は同じ。

滅茶苦茶で、理不尽で、キレた時は恐ろしいが、疑い無く頼りになる一人の少年魔王の背中だった。

 


 

暗い何処かの部屋。それなりの広さがあるその場所に、幽鬼の様に立つ無数の人影があった。

誰も彼も微動だにせず、ただ佇んでいる。

そんな人間味の無い集団が整然と並ぶ部屋の奥に、更に2人の人影があった。

 

こちらは生気に溢れ、間違い無く人間だと言える。

だが、"真面な"という形容詞をつけられるかと問われれば、答えは"否"だろう。

真面と言うには、瞳に宿る狂気の色が強過ぎた。

 

???「さて、漸く準備も整ったね。あぁ、本当に、ワクワクするよ。

あの時から、ずっと思い焦がれていた瞬間が、もう直ぐやって来る!この世界へ喚ばれて……本当に良かったっ!

僕は今、とっても幸せだよ!」

哄笑が響き渡る。幸せだと正の言葉を口にしながら、そこに込められたのは圧倒的なまでの悪意と嘲笑。

捻じれて狂った感情の欠片。

 

その様子を、隣の人影は冷めきった眼差しで見つめている。仲間意識が皆無なのは明白だ。

だが冷めていながらも口元にうっすらと浮かぶ笑みは、哄笑を上げる人影と同じくたっぷりの悪意と嘲笑に塗れていた。

 


 

同時刻。大陸の果ての王国にて、凄まじい光景が広がっていた。

圧倒的な数の魔物が、整然と並んでいるのだ。その数、裕に10万は超えているだろう。

どれもこれも【オルクス大迷宮】の深層レベルの力を有している事は、その身に纏う禍々しい気配が示している。

正に蹂躙という言葉が、形を持って顕現したかの様な光景だ。

驚いた事にその何体かには、人が騎乗している様だった。この集まりが、単なるスタンピードでない事は明白だ。

 

そんな魔物と、騎乗者達の前方の空に、天空より一体の強大にして壮麗な魔物が舞い降りた。

陽の光を反射して煌めく純白の鱗が、神威すら感じさせる。

天空を統べるのは己であると、無言で訴えるような威容を纏う白竜の背には、やはり、人が騎乗していた。

赤い髪を風に靡かせ、白竜の背で凛と立つ姿に、地上から歓声が上がる。

 

???「神託が降りた。神の代弁者である我等の魔王陛下から、勅命が下った。──異教徒共を滅ぼせと。」

厳かで、しかしどうしようもないほど使命感を帯びた声音が地に降り注ぐ。

再び、爆発的で熱狂的な歓声が上がった。

 

???「知らしめてやろう。神意を、我等の強さを。

我が物顔で北大陸を闊歩する愚か者共に、身の程というものを!」

踏み鳴らされた大地が揺れ、狂気の絶叫が大気を震わせた。

奇しくも薄暗い部屋の人影と、南の果てで大群を統べる男が宣言したのは同時だった。

 

──さぁ、始めよう!僕が幸せになるための、僕のための物語を!

──さぁ、雄叫びを上げろ!我等が主に勝利を!開戦の時だ!

 


 

 

狂人も魔人も、教会も国も、果ては神を騙る者ですらも気づかない。

これから起こる事象が、全て茶番であることに。その全てが、異界の魔王によって踏みつぶされることに。

そして、ただ一人、それら全てを知る者は、世界のどこでもない、何もない空白にポツンと佇む、荘厳な玉座に腰かけていた。

 

???「お前がどのような歴史を歩むか、楽しませてもらおう。若き日の、私よ……。」

そう呟きながら、手の中にあった時計の螺子(ネジ)を回し続けるその王は、黒と黄金で象られた鎧を身に纏い、紅く煌めく「ライダー」と描かれた複眼で、その世界を見ていた。

その仮面の下で浮かべる笑みは、奇しくも最高最善の魔王を目指す少年のそれと、とてもよく似ていた。

 

最高最善の魔王を目指す少年は、ただただ進む。己の運命に導かれる様に。

信頼しあえる仲間と共に、未来を切り開く為。

そして、神意と狂気と裏切りで彩られた陰謀を踏み砕き、信念と暴力を持って、己の望む結末に創りかえる為に。

*1
浩介「……俺は?」




次回、いよいよ第6章開幕です!お楽しみに!

ハジメさんがライダー以外の能力を手に入れるとしたら?

  • 全スーパー戦隊の力
  • 全ウルトラマンの力
  • その他全特撮ヒーローの力
  • 全サーヴァントを召喚、使役する能力
  • 全てのスタンドを扱える力
  • 全ての魔術・魔法を扱える力
  • 全ジャンプ作品の力を扱える
  • 全サンデー作品の力を扱える
  • 全コロコロ作品の力を扱える
  • 全マガジン作品の力を扱える
  • 全てのラノベ作品の力を扱える
  • 別の世界に能力そのままで転生できる能力
  • 一億年ボタン
  • 全てのロボットを操縦できる能力
  • 無限残基
  • 女難に巻き込まれなくなる
  • 倒した敵の全能力を得る能力
  • 全スマブラキャラの力
  • その他全ゲームキャラの力
  • その他(活動報告でリクエスト)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。