Re.ありふれない錬成師で最高最善の魔王、世界最強を超越する   作:天元突破クローズエボルハザード

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今回はクラスメイトサイドです。ハジメが落ちた後の彼等の動向、そしてラストには謎が謎を呼ぶ展開が!?
ヒントは、一番下に書かれています。(と言うか、まんま答え)


サイドⅠ:信じる者⇔低俗な悪意

響き渡り消えゆくベヒモスの断末魔。ガラガラと騒音を立てながら崩れ落ちてゆく石橋。

そして……瓦礫と共に奈落へと吸い込まれるように消えてゆくハジメ。

その光景を、まるでスローモーションの様に緩やかになった時間の中で、ただ見ている事しかできない香織は、今日と言う日を悔やんでいた。

 

香織の頭の中には、昨夜の光景が繰り返し流れていた。

月明かりの射す部屋の中で、ハジメの入れたお世辞にも美味しいとは言えない紅茶擬きを飲みながら二人きりで話をした。

夢見が悪く不安に駆られて、いきなり訪ねた香織にも丁寧に接してくれたハジメ。

真剣に話を聞いてくれて、気がつけば不安は消え去り話に花を咲かせていた。

去り際にキスしたことを後で思い出し、羞恥に身悶えるところを雫に弄られたのは、黒歴史だ。

 

そしてあの晩一番重要な事は、香織が約束をした事だ。"ハジメを守れるくらいに強くなる"という約束。

奈落の底へ消えたハジメを見つめながら、その時の記憶が何度も何度も脳裏を巡る。

本当なら追いかけていきたかった、だが彼が最後に言った「生き延びろ」という言葉が、香織を留まらせた、

奈落に落ちる寸前まで、確かに自分に「俺は大丈夫、必ず戻る」と笑いかけてくれた、ハジメの言葉が。

 

香織「……ハジメ君。」

羽交い絞めにされて引き戻されながら、香織は初恋の人の名を口にする。

雫「香織……。」

雫はかけるべき言葉が見つからなった。それは香織の気持ちが分かっているからか、あるいは別の理由か。

 

光輝「香織、気持ちは分かるが今は脱出を優先しよう。ハジメの敵討ちは、それからでも遅くはない。」

それは、光輝なりに精一杯、香織を気遣ったつもりの一言だった。

しかし、今この場で香織には言うべきではない言葉だった。

 

香織「……敵討ち?何を言っているの、光輝君。」

光輝「それは……もうハジメは死ん「違うよ。」香織……?」

その言葉を否定するように遮る香織は、肩を震わせながらつかつかと歩み寄る。

 

香織「ハジメ君は生きてる。そう信じているから。」

光輝「香織……。」

流石の光輝でも、その言葉を否定することはできなかった。何故なら、その眼には涙が浮かんでいたから。

 

雫「……香織。」

そんな香織に、雫は寄り添い、抱きしめた。

香織「雫ちゃん?」

雫「今は……生きましょう。生きて、またここに来て、必ず彼に会いましょう。

その方が、きっとハジメ君だって喜ぶはずよ。」

香織「……うん。」

雫に抱きしめられながら、香織は抑えていた涙が溢れるのを感じ、とうとうその腕の中で嗚咽を漏らしていた。

 

幸利「ったく、トラップさえなけりゃ、こんなことにはならなかったってのによぉ。」

そんな中、幸利はこの状況の原因を口にし、迂闊に罠を起動させた檜山を冷めた目で睨む。

 

檜山「なっ、なんだよ!?俺が悪いって言うのか!?」

幸利「お前以外に誰が要るんだよ、タコ。お前が勝手に先行して、トラップを起動したからこうなったんだろ。

お前のせいで皆死にかけて、ハジメも行方不明になったんじゃねぇか。惚けてんじゃねぇよ。」

檜山「なんだとぉ!」

メルド「やめろ!今は言い争ってる場合じゃない!!」

言い合いになる二人、しかしメルド団長の一喝で一旦静まる。だが、幸利はまだ気持ちが収まらない。

 

恵里「トシ君、言っても無駄だよ。どうせ天之河君の前で土下座したら、彼が庇い立てて無罪になるし。

だから今は、ね?」

トシ「……わかってる。」

そんな彼に恵里が寄り添い、何とか宥める。その指摘に幸利も冷静になり、一旦抑えることにした。

 

メルド「よし……お前達、急いで上層に上がるぞ!遅れず着いてくるんだ!」

状況が落ち着いたことを察し、メルドは一同に号令をかける。

しかし、目の前でクラスメイトが一人死んだのだかもしれないとあって、クラスメイト達の精神にも多大なダメージが刻まれている。

誰もが茫然自失といった表情で石橋のあった方をボーっと眺めていた。

中には「もう嫌!」と言って座り込んでしまう子もいる。

 

光輝「皆!ハジメの言った通り、今は全力で生き残る事だけ考えるんだ、撤退するぞ!」

そんな彼等に、光輝が声を張り上げる。その言葉に、クラスメイト達はノロノロと動き出す。

トラウムソルジャーの魔法陣は未だ健在だ。続々とその数を増やしている。

今の精神状態で戦う事は無謀であるし、戦う必要も無い。

光輝は必死に声を張り上げ、クラスメイト達に脱出を促した。メルドや騎士団員達も生徒達を鼓舞する。

そうして漸く、全員が階段への脱出を果たした。

 

上階への階段は長かった。

先が暗闇で見えない程ずっと上方へ続いており、感覚では既に30階以上、上っている筈だ。

魔法による身体強化をしていても、そろそろ疲労を感じる頃だ。

先の戦いでのダメージもあり、薄暗く長い階段はそれだけで気が滅入るものだ。

 

そろそろ小休止を挟むべきかとメルド団長が考え始めた時、遂に上方に魔法陣が描かれた大きな壁が現れた。

クラスメイト達の顔に生気が戻り始める。メルド団長は扉に駆け寄り詳しく調べ始めた。

フェアスコープを使うのも忘れない。その結果、どうやらトラップの可能性は無さそうである事がわかった。

魔法陣に刻まれた式は、目の前の壁を動かす為の物の様だ。

メルドは魔法陣に刻まれた式通りに一言の詠唱をして魔力を流し込む。

すると、まるで忍者屋敷の隠し扉の様に扉がクルリと回転し奥の部屋へと道を開いた。

扉を潜ると、そこは元の20階層の部屋だった。

 

「帰ってきたの?」

「戻ったのか!」

「帰れた……帰れたよぉ……っ!」

クラスメイト達が次々と安堵の吐息を漏らす。中には泣き出す子やへたり込む生徒もいた。

光輝達ですら壁に凭れかかり、今にも座り込んでしまいそうだ。

しかし、ここはまだ迷宮の中。低レベルとは言え、いつどこから魔物が現れるかわからない。

完全に緊張の糸が切れてしまう前に、迷宮からの脱出を果たさなければならない。

メルドは休ませてやりたいという気持ちを抑え、心を鬼にして生徒達を立ち上がらせた。

 

メルド「お前達!座り込むな!ここで気が抜けたら帰れなくなるぞ!

魔物との戦闘はなるべく避けて最短距離で脱出する!ほら、もう少しだ、踏ん張れ!」

少しくらい休ませてくれよ、という生徒達の無言の訴えをギンッと目を吊り上げて封殺する。

渋々、フラフラしながら立ち上がる生徒達。光輝が疲れを隠して率先して先をゆく。

道中の敵を、騎士団員達が中心となって最小限だけ倒しながら一気に地上へ向けて突き進んだ。

 

そして遂に、1階の正面門となんだか懐かしい気さえする受付が見えた。

迷宮に入って一日も経っていない筈なのに、ここを通ったのがもう随分昔の様な気がしているのは、きっと少数ではないだろう。

今度こそ本当に安堵の表情で外に出て行く生徒達。正面門の広場で大の字になって倒れ込む生徒もいる。

一様に生き残ったことを喜び合っている様だ。

だが、一部の生徒──

香織、雫、幸利、恵里、その様子を見る光輝、龍太郎、鈴、そしてハジメが助けた女子生徒等は暗い表情だ。

 

そんな生徒達を横目に気にしつつ、受付に報告に行くメルド団長。

20階層で発見した新たなトラップは危険すぎる。石橋が崩れてしまったので罠として未だ機能するかはわからないが報告は必要だ。

そして、ハジメの死亡報告もしなければならない。

複雑な気持ちを顔に出さない様に苦労しながら、それでも溜息を吐かずにはいられないメルドだった。

ホルアドの町に戻った一行は何かする元気もなく宿屋の部屋に入った。

幾人かの生徒は生徒同士で話し合ったりしている様だが、殆どの生徒は真っ直ぐベッドにダイブし、そのまま深い眠りに落ちた。

 


 

そんな中。檜山大介は一人、宿を出て町の一角にある目立たない場所で膝を抱えて座り込んでいた。

顔を膝に埋め微動だにしない。

もし、クラスメイトが彼のこの姿を見れば激しく落ち込んでいる様に見えただろう。だが実際は……

 

檜山「ヒ、ヒヒヒ。ア、アイツが悪いんだ。雑魚のくせに……ちょ、調子に乗るから……て、天罰だ。

……俺は間違ってない……白崎の為だ……あんな雑魚に……もう関わらなくていい……俺は間違ってない

……ヒ、ヒヒ。」

暗い笑みと濁った瞳で自己弁護しているだけだった。

 

そう、この男は自分の欲望の為だけに悪魔に魂を売り渡した愚か者だ。

あの時、ハジメさんにバレていたにも拘らず、何度も火球を放っていた檜山は、香織の気持ちを独占する(勝手な偏見)ハジメこそが悪者であって、自分はそれを香織の為に殺したと、自分に言い聞かせながら暗い笑を浮かべる。

 

流星の如く魔法が乱れ飛ぶあの状況では、他から見れば誰が放った魔法か特定は難しいだろう。

まして、檜山の適性属性は風だ。証拠も無いし分かる筈が無い。

だが、我らがハジメさんはしっかりと見据えていた。しかも自分を嘲り笑い、挑発までしてきたのだ。

あの後、魔法を連発しすぎたせいで体調が少し悪くなったが、檜山にとっては些細なことだった。

 

檜山の脳裏には忘れたくても、否定したくても絶対に消えてくれない光景がこびり付いている。

ハジメが奈落へと転落した時の香織の姿。どんな言葉より雄弁に彼女の気持ちを物語っていた。

今は疲れ果て泥の様に眠っているクラスメイト達も、落ち着けばハジメの死を実感し、香織の気持ちを悟るだろう。

香織が決して善意だけでハジメを構っていた訳ではなかったという事を。

 

そして、憔悴する香織を見て、その原因に意識を向けるだろう。

不注意な行為で自分達をも危険に晒した檜山の事を。

上手く立ち回らなければならない、自分の居場所を確保する為に。

もう檜山は一線を越えてしまったのだ、今更立ち止まれない。

 

檜山「ヒヒ、だ、大丈夫だ、上手くいく、俺は間違ってない……。」

再び膝に顔を埋め、ブツブツと呟き出す檜山。

 


 

???「―――。」

???「……。」

その一部始終を聞いていた者たちが、すぐ近くにもいることも知らずに。




深淵卿が見てる。深淵を覗く時、お前もまた深淵に見入られている。
真実は時に、チョコの様に甘く苦い。

P.S.4/8から1週間の間も毎日投稿します。

アンケートその1の結果以外で、追加で登場させてほしいキャラは?

  • ボボボーボ・ボーボボ
  • 五条悟
  • ディアボロ(黄金の風)
  • 銀さん
  • ブロリー
  • ユウキ(SAO)
  • カービィ
  • ヨシヒコ
  • 鬼灯様
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  • シャドウ(影の実力者)
  • エボルト
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