Re.ありふれない錬成師で最高最善の魔王、世界最強を超越する   作:天元突破クローズエボルハザード

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今回はハジメさんメインですが、珍しく全て3人称です。それも連続3話。

追記:白河上皇さん、誤字報告ありがとうございます。


00:85B(before)/2000:スロウン・オブ・エイジ

突如として起こった魔人族の侵攻より一夜が明けた。

あの後、リリアーナの陣頭指揮によって、大混乱の只中にあった王宮も夜が明けぬ内に態勢が立て直され、負傷者の搬送や状況の調査が速やかに行われた。

 

それによれば、恵里に傀儡兵化されていた兵士は500人規模に上ったらしい。

また、王都の近郊に魔石を起点とした魔法陣が地中の浅い所に作られていた様で、それがフリードの対軍用空間転移の秘密だった様だ。

恐らく、洗脳されていた恵里が傀儡を使って作らせ手引きしたのだと思われる。

 

国王を含む重鎮達は、既に洗脳時の恵里の傀儡兵により殺害されており、現在【ハイリヒ王国】国王の座は空席になってしまっている。

王宮では、混乱が収まるまでは、リリアーナと無事だった王妃ルルアリアが王都復興の陣頭指揮を取る方針が進められており、一段落ついて落ち着いたら、同じく無事だったランデル殿下が台頭することとなるだろう。

 

しかし、一番混乱に拍車を掛けているのは、聖教教会からの音沙汰が無い事だ。

王都が大変な事になっているというのに、戦時中も戦後も一切姿を見せない聖教教会――

特に教皇イシュタルに、不安や不信感が広がっている様である。

 

【神山】から教会関係者が降りて来ないことを不審に思って、当然確かめに行こうとする者は多かった。

しかし、王都の復興やその他諸々の事情もあり、とても標高8000mの登山をそう簡単に出来るものなどおらず、王宮から接近禁止令が出たこともあり、実際に登頂する者などいなかった。

 

因みに直通のリフトは停止したままなので、未だ地道な登山しか総本山に辿り着く方法はない。

尤も、普通に作動していた場合、ハジメは停止状態にしていたであろうが。

そうして色々な事が判明し、魔人族の襲撃と手痛い仲間の裏切りや死を招いた夜が明けた。

 

あれから恵里はまだ昏睡状態にありつつも、命に別状はないようで、仲が良かった鈴は勿論、彼氏である幸利も安堵していた。

しかし、檜山の悪意による爪痕は予想以上に深く、皆の兄貴分でもあるメルド騎士団長の死亡もそれに輪をかけていた。

それでも光輝達は、ハジメからの指示もあって、リリアーナ達の王都復興に力を貸しながらも、立ち直る為に療養することに専念していた。

 

前線組や愛ちゃん護衛隊のメンバーは、ハジメの実力を知っていたつもりだが、それでも大軍をあっという間に殲滅したブラックホールや"破滅福音(ラスト・ゴスペル)"の様な圧倒的な力までは知らず、改めて隔絶した力の差を感じて思うところが多々あった。

光輝達ですらそうなのだから、居残り組にとっては衝撃的な出来事だった。

 

帰還したメンバーからハジメの生存や実力の事は聞いていたが、実際のハジメの凄まじさは自分達の理解が億分の一にも達していなかった事を思い知ったのだ。

誰も彼も、ハジメの事や彼の仲間の事が気になって仕方ないのである。

 

しかし、何事も起こっていないわけではない。

檜山の裏切りに、いつも一緒だった近藤達は引き籠りがちになっているし、居残り組は身内の裏切りにより疑心暗鬼が芽生えているらしく、以前に増して自室に籠る者が多くなってしまった。

 

こういう時、頼りになるであろうリーダーの光輝は、未だに事態の説明をしないハジメに対して、何故遺体を王宮前に集めようとするのか、よもや恵里の様に生きた人形にでもするのではないかと邪推しており、警戒心を露骨にしていた。

 

光輝自身、慕っていたメルドの死や2度に渡って何も出来ずハジメに救われたという事実に相当落ち込んでおり、自分とハジメの差や香織を連れて行かれた事*1も相まって、ハジメに対しては良い感情も持てていなかったからだ。

それが所謂"嫉妬"であるとは、光輝自身自覚がない。仮に気が付いたとしても、認める事は容易ではないだろう。

認めて、その上で前に進めるか、やはりご都合解釈で目を逸らすか……光輝次第である。

 

龍太郎は脳筋なので頼りにならず、ムードメイカーである鈴も、未だに目を覚まさない恵里のことが気がかりで、現状で動けるのは雫だけだった。

負傷者を治療し終えた香織は、ハジメに呼ばれてから帰って来ておらず、ユエ達も何故か姿を見せない。

事情を聞いていたリリアーナ曰く、「緊急を要する準備に取り掛かっている」とのことだが……とても怪しい。

 

だが、そんな状況でも自暴自棄になったり深刻な程精神を病む者も無く、現実逃避的な意味が強いとはいえ王都復興に向けて動ける生徒達が多々いるのは、偏に愛子や優花達の存在あってだろう。

傷ついている生徒達のケアを優先した愛子は、持ち前の一生懸命さで生徒1人1人を鼓舞し、その心情を聞いて回った。

 

その結果は勿論、元より信頼を寄せる教師なのだから、生徒達の救いになったのは間違いない。

また優花達は元居残り組であるから、彼等の心情はよく分かった。

愛ちゃん護衛隊の精神的ケアは、居残り組にとって確かな支えになっていた様だ。

 

因みに少し話はズレるが、デビッド達愛子護衛隊の神殿騎士達は健在だったりする。

デビッド達は神殿騎士の立場を利用して何度も愛子との面会を要求したり、それが叶わないとみるや独自に捜索する等して教会上層部を相当辟易させた為、地上待機の命令──基総本山への出入り禁止を喰らっていたところ、王都侵攻の明朝より姿を消していたのだが……どうやらその間、とある場所にて拘束・監禁されていたらしい。

 

何故彼等が傀儡兵化や洗脳を免れたのかは分からない。

教会側にとって、後の"神の遊戯"に於いて駒として使うのにその方が都合が良かった、という理由も考えられるが、今となっては確かめる必要性は無い。

 

尚、ハジメさん曰く「先生が彼等にとって女神過ぎて、洗脳できなかったからじゃね?

傀儡兵にしたとしても、きっと先生の事ばかり守って使い物にならないだろうし……そういう意味では、厄介払いされるのは当然かもね。」とのこと。

そんな彼等も今のところ、現実逃避の為、王都復興に精を出している。

 


 

そんな訳で、誰もが半ば現実逃避で心の平穏を保っている中、訓練場において、王国騎士団の再編成を行う為各隊の隊長職選抜試験が行われていた。

因みに、暫定的な新騎士団長の名はクゼリー・レイル。女性の騎士でリリアーナの元近衛騎士隊長である。

同じく暫定副団長の名はニート・コモルド。元騎士団3番隊の隊長である。

 

リリアーナ「お疲れ様でした、光輝さん。」

選抜試験における模擬戦で、騎士達の相手を務めていた光輝が練兵場の端で汗を拭っていると、微笑みながらやって来たリリアーナから、そんな労いの言葉がかけられた。

 

光輝「いや、これ位どうって事無いよ。……リリィの方こそ、昨日の今日で殆ど寝てないんじゃないか?

ホントにお疲れ様だよ。」

光輝が苦笑いで返すとリリアーナもまた苦笑いを浮かべた。お互い、碌に眠っていないのだ。

尤も、睡眠時間が削れている理由は、2人では全く違うのだが。

 

リリアーナ「今は寝ている暇なんてありませんからね。……大変ですが、やらねばならない事ばかりです。

泣き言を言っても仕方ありません。お母様も分担して下さってますし、まだまだ大丈夫ですよ。

……本当に辛いのは大切な人や財産を失った民なのですから……。」

光輝「それを言ったら、リリィだって……。」

 

光輝はリリアーナの言葉に、彼女もまた父親であるエリヒド国王を失っている事を指摘しようとしたが、言っても仕方の無い事だと口を噤んだ。

リリアーナは光輝の気持ちを察してもう一度「大丈夫ですよ。」と儚げに微笑むと、話題を転換した。

 

リリアーナ「あの人達はまだ……戻られていませんか。」

光輝「……あぁ、まだ帰ってきていないな。

……正直言って俺は、ハジメの事はあまり、信用できない。はっきりとした説明も未だにないからね……。」

そう言って光輝が視線を逸らすと、その先には練兵場の中央でクゼリーと話をしている雫がいた。

2人はリリアーナを通して友人関係にある事もあり、かなり親しげな様子で何やら編成の事で議論している様だ。

 

リリアーナは、少し驚いた様な表情で雫から光輝に視線を戻した。

光輝の表情は何とも複雑な色を宿しており、内心が言葉通りだけで無い事は明らかだった。

嫉妬、猜疑、恐怖、自負、感謝、反感、焦燥その他にも様々な感情が入り混じって飽和している様な、表現し難い表情だった。

 

リリアーナは光輝にかけるべき言葉を見つけられず、あの通信以来ハジメ達が何処へ行ったのか、見当をつけ始めた。

空は快晴で、ほんの数時間前には滅亡の危機に晒されていたとは思えない程晴れ晴れとしている。

そんな空模様に何となく能天気さを感じて、少し恨めしい気持ちを抱いたリリアーナはジト目を空に向けた。

 

ハジメ「……悪かったね、信用無くて。」

光輝・リリアーナ「「うわぁっ!!!??!?」」

するとその時、突如として背後から声がかけられ、思わず2人は驚愕の声を上げた。

何故ならその声の主は、先程話題に上がっていた南雲ハジメそのひとだったのだから。

 

ハジメ「こっちはこっちで、少人数で準備にさっさと取り掛かってたというのに……好き勝手言ってくれるなぁ。」

そして当の本人は、先程の会話を聞いていたのか、光輝にジト目を向けていた。

 

雫「ハジメ君!いつの間に戻って……って、香織やユエさん達は?」

その瞬間。案の定と言うべきか当然と言うべきか、雫が光輝とリリアーナの間を割ってハジメに話しかけてきた。当然、それに釣られる様に、先程まで話していたクゼリーや騎士達、愛子と優花達や居残り組も駆け寄って来る。

 

ハジメ「香織達にはこの後の準備をしてもらっている。その件でリリィを探していてな。」

愛子「?準備って、一体どういう……?」

ハジメ「すまんが、事情説明は後にしてくれ。時間が押しているし……徹夜で動いてたから、若干眠いんだよ。」

簡単にそう返すハジメ。よく見れば、眼元には少しの隈がある上に、少し視線がキツめだ。

無理矢理にでも起こそうものなら、速攻で殴り飛ばされること間違いなしのキレ目だった。

 

ハジメ「それでリリィ、いや、リリアーナ嬢。準備は出来ているか?」

リリアーナ「!……はい。今この場にいない騎士及び兵士、そして国民達には城下に集まる様に周知して御座います。

お母様も先に向かっており、民達への説明を行っているとのことです。」

ハジメ「ご苦労。早朝でも民達が従うのは、君の人気の賜物だな。」

リリアーナ「恐悦至極です。」

『?』

2人のそのやり取りに、その場の全員が疑問符を浮かべると同時に、2人の纏う空気がガラリと変わったのを感じた。

その疑問を口に出すより早く、2人の会話が進む。

 

ハジメ「では、後は宣言するだけか。」

リリアーナ「左様で御座います。」

ハジメ「そうか、ユエ達も既に待機しているし丁度いい……では、始めるとしよう――新時代を。」

リリアーナ「仰せの通りに。」

 

短いやり取りと共に、ハジメはリリアーナを伴って歩き始める。

他の皆が呆然としている中、リリアーナに「皆さんもついてきて下さい。」という言葉が告げられ、皆警戒心を抱きながらも後を追って歩き始めた。

 


 

そうして2人を追って辿り着いた先は、王都を一望出来るバルコニーの様な場所だった。

眼下にある広場には、リリアーナの言葉に集まったハイリヒ王国の国民達がいた。

そして彼等の眼の前には、大人2人分はあろう高さの柵が立っており、その内側には、今回の襲撃で亡くなった国民や、恵里の傀儡となった人々、或いはその傀儡や魔物に殺されてしまった人達の遺体が敷き詰められていた。

 

ザワザワ……*2

 

そして国民達は、やってきたリリアーナの姿が見えると、「何事か!?」とと騒ぎ出した。

しかし、彼女が「静粛に。」とでも言うかのように軽く手を翳すと、その言葉の意味を理解し、ピタリと喧騒が止んだ。

そして、民衆に何やら演説をしていた王妃ルルアリアは、リリアーナとハジメが来たことを確認すると、衝撃的な言葉を口にした。

 

ルルアリア「……それでは、先程も申し上げました通り、たった今、ハイリヒ王国新国王の即位式並びに、その政策について静聴いただきたく思います。」

『!?』ザワザワ……*3

その宣言に、ハジメとリリアーナ以外の全員が驚愕の喧騒に包まれた。

当然、集まった国民達は騒ぎ始め、クゼリー達は勿論、光輝達も動揺していた。

 

ハジメ「静まれ!」

『!』

そんな彼等を、ハジメは大声で一喝し、民衆が静まったのを見計らうと、堂々とルルアリアの横に並び立った。

ハジメが横にやって来たのを確認すると、ルルアリアはリリアーナが持ちだした国王の証――

王冠を両手でそっと持ち上げ、ハジメの頭上に掲げた。

 

その光景に民衆が困惑する中、ハジメは両腕を合わせて首を垂れ、ルルアリアに対して跪いた。

ルルアリアは下げられたその頭へと王冠を運び、そっと乗せるのであった。

その一連の行動を見て、事態を理解した一部の者以外を置き去りに、ハジメはそっと立ち上がり、民衆に向き直ると、腰元にドライバーを出現させ、両端に触れた。

 

ハジメ「変身。」

その言霊と共に、ハジメの全身が黒い靄の様な物で包まれたかと思えば、黄金の稲妻がその上を奔り、鎧を象っていく。

最後に、血で真っ赤に染まったかのように紅く光る複眼が一瞬輝き、圧と共にその姿を現した。

 

『≪オーマジオウ!!!≫』

 

その姿は正に、王の威厳をこれでもかと体現したかのような姿だった。

あまりの貫禄に、困惑していた民衆は自然と静まり返り、騎士達も何時の間にか平伏の姿勢を取りかけていた。

そして、ルルアリアがリリアーナを伴い、恭しく頭を垂れて3歩下がると、ハジメは宙に手を翳した。

 

ブォンッ!

 

すると、空中に巨大なディスプレイが、S・F作品のように7つ浮かび上がった。

国民達がそれに驚く中で、光輝達異世界組は「もう何でもありだなぁ……。」と今更感を感じながら他人事の様に思っていた。

そして、ハジメの宣言が始まった。

 

ハジメ「【ハイリヒ王国】の、延いてはトータスに住む全ての民よ、ごきげんよう。私の名は南雲ハジメ。

勇者と共に喚ばれた異世界人であり───たった今、ハイリヒ王国新国王の座に就いた、"最高最善の魔王"である。」

 

"この男は今何と言った?" "勇者様と同じ異世界人?" "この国の王座に就くって?"

いきなり告げられた宣言に、王国民全員が驚愕の喧騒に包まれる、

無理もないだろう。突然、見知らぬ人物が即位宣言をしても、混乱するだけだ。

 

当然、集まった国民達は再び騒ぎ始め、光輝達はどういう事だと今にも掴みかかろうとするが、それはリリアーナに止められる。

そんな彼等をハジメはチラリと見やるが、直ぐに国民達に視線を戻し言葉を続けた。

 

ハジメハジメ『まぁ、名も知らぬ男がいきなり王位につくなどと、信じがたい事態なのは重々承知している。

そこで、だ。私がこの国の王となった経緯を、皆に説明しよう。この世界の人類が真に滅ぼすべき敵についても、な。』

 

そう言ってハジメは語り始めた。

今まで攻略した5つの大迷宮、そして本人達から聞いた、反逆者と呼ばれた"解放者"達の歴史を。

そして地球(ほし)の本棚にて判明した、エヒトの正体・トータスの真の歴史・繰り返されてきた歴史の陰謀を。

 


 

ハジメ『───以上が、この世界で信じられてきた神……否、異界人エヒトとこの世界の真実である。

それを聞いて私は思った、その様な邪悪を邪神を信仰し崇拝する教会の信徒達と、それに先導された歴代の王族の愚かさを放置すれば、遠くない内に多くの人々が混乱に陥る。

種族も年齢も性別も関係なく悪意に曝され、やがて崩壊の一途を辿るだろう、とな。』

 

その真実の数々はあまりも驚きに満ちていて、民衆達は大いに戸惑っていた。

何せ、自分達が崇め奉っていた神が、実は過去に信仰心を昇華させて神と呼ばれるようになっただけの異世界人の一人で、人間族以外の種族はエヒトが遊び半分で作っては、互いに人同士で争わせていた、などと聞けば、自分達は一体なんのために戦っていたのだ!?と思うだろう。

そんな民衆の不安・困惑を目にしたハジメは、そこで一度言葉を切り、握り拳を胸に当て、話を続ける。

 

ハジメ『……約束しよう!私は無能な愚王共とは違う、確かな力と信念を以て、諸君らの安寧を守ると!

神の様な不確かなものに縋る必要の無い、"人の為の統治"をここに!神代は既に去った、今は人の世である!

一人一人が自らの力で以て時代を切り開くのだ!"人の時代"なのだ!』

 

その力の籠った宣言は、確かな人の未来を紡がんとする王の信念が、民衆達の耳に、眼に、心に、確りと届き、響き、刻まれたのだろうか。

リリアーナが制止する間もなく、喧騒はピタリと止み、再び民衆の視線はハジメに集められた。

 

ハジメ『私を王として仰いでくれるならば、諸君等に恩恵を与えよう。この様に、な。』

そう言ってハジメは、天に手を翳した。

するとその瞬間、ハジメの掌から金・蒼・白の3色の光が、波の様に放たれ王国全体を包みこんだかと思えば、空中に王都全体を覆うほどの大時計が出現した。

 

その針は遡る様に逆回転し、その針が回るにつれ、信じられないことが次々と起こり始めた。

街中に転がった瓦礫が独りでに動き出し、元あった場所に戻ったかと思えば、崩れ去った筈の建造物が元の形を形成してゆき、驚いている聴衆達の身体に刻まれた傷が塞がっていく。

 

そして、柵の内側の遺体、恵里によって傀儡になっていた騎士や兵士、死亡した民衆や国の重鎮等が、まるでビデオの逆再生のように激しく動き出したかと思えば、息を吹き返しては、自分が生きていることが信じられないのか、その感触を確かめては辺りを見回していた。

 

その光景に、光輝達は驚愕に包まれる。

ハジメの底知れなさを理解していた愛子や優花達は勿論の事、事前に説明を受けていたリリアーナ達ですら、驚愕で開いた口が塞がらなかった。*4

 

そして、神すら及ばないであろうその所業がもたらした光景を見た国民達は、理解が追い付くまでの一瞬の沈黙の後――

その素晴らしき大偉業に、大歓声を挙げた。

 

「新国王陛下、万歳!」

「南雲ハジメ陛下、万歳っ!」

「ハイリヒ王国、万歳!」

「ハイリヒ王国に、栄光と希望を!」

「ハイリヒ王国に、大いなる幸福を!」

「貴方様に、永久の忠誠を誓います!!」

『我らが新しき国王、"最高最善の魔王"南雲ハジメ陛下に!万歳!!万歳!!万々歳!!!』

 

広場は嵐の様に、ハジメを称える声が湧き上がっては止まない。

それは民衆だけでなく、リリアーナや後ろに控えていた騎士・兵士達も同様で、生き返った者達も巨大なディスプレイを通じ、皆一様にハジメを称えては、興奮冷めやらぬ様子で周りの者達とその感動を享受する。

その様に困惑する光輝達を他所に、満足がいったのかハジメは歓声を制して尚も続ける。

 

ハジメ『我が誇らしき民達よ。諸君等の忠誠と心からの賛辞に、感謝する。

さて、諸君。話は変わるが……此度の様な悲劇は、エヒトを妄信した教会上層部に原因があると、私は考えている。

であれば当然、そのような事態が二度と起きぬ様、元凶は排除せねばならぬ。諸君らもそう思うだろう?』

 

するとハジメは、話題を自身の統治から、教会の罪状へと切り替える様に、国民達に問いかけた。

それに対して国民達は、ハジメの言葉の意味を探るよりも、その言葉を信じる事こそが正しいとでも言うかの様に、皆次々に首を縦に振る。

それを確認したハジメは、自身も国民達に頷きを一つ返して続けた。

 

ハジメ『であれば、だ。早速だが諸君、私はこれより2つの策を行う。』

そう言うとハジメは、2本指を立てて声を張り上げ宣言し、腕を振り下ろした。

すると、まるでディスプレイが真っ二つになったのように裂けたかと思えば、あっという間に先程までと同じ大きさのものが2つに増えていた。

内一つには勿論ハジメが映っており、その画面を確認すると、声を張り上げ宣言した。

 

ハジメ『先ず一つ!

明日この広場にて、今回の襲撃事件を企てた、"元"聖教教会教皇イシュタル・ランゴバルト、並びに教会幹部100人の公開処刑を行う!』

その宣言に、国民達はまたも歓声を上げる。

 

ハジメ『この者達は、国に仕える聖職者の代表でありながら、敵方の扇動者に唆され王国に混乱を齎した。

また、神権政治と称して王族を傀儡とし、長年に渡って世界の情勢を狂わせ、戦争の引き金を起こし続けた。

更には、多くの無辜の民を犠牲にしておきながら私腹を肥やした愚か者共だ。

如何ともしがたいその罪状、許されざるものである!よって、一族郎党諸共皆晒し首の極刑に処す!』

そして、もう一つのディスプレイに、イシュタルの顔が浮かび上がり、国民からハジメを称える声とイシュタルへの罵倒が噴き上がる。

 

同時に、光輝や神殿騎士達は教皇が元凶の一因だった事に目を見開いており、教会に不信感を抱き始めていた雫や愛子、優花達等はどこか納得した表情を見せていた。

そして同時に、クラスメイトである恵里や檜山が処刑対象でなかったことに安堵していた。*5

 

ハジメ『そして民達よ、私や勇者一行はそのような輩によって召喚された。

その事実に少なからず不安を持つ者もいるだろう。その不安は大いに分かる。

また裏切られるのではないかと、心配しているのだろう?』

 

ハジメの問いかけに、国民達は声に出さないながらも心中で頷いていた。

自分達より圧倒的な力を持ち、絶対的な味方だと思われている召喚組。

そんな彼等を召喚したのは、教皇ら教会元上層部だという事実は、彼等がほんの僅かでも疑念を抱くには充分過ぎるのだ。

ましてや、その勇者本人が自分達に刃を向けたらと想像すれば……

──しかし、国民がそんな疑念を抱く事も、全てはハジメの思い(計画)通り。

 

ハジメ『だが安心するがいい!

我等の勇者はそんな皆の不安を払拭し、心からの安心を齎すべく、自ら汚れ役を引き受けてくれるらしい!

決別と決意の表明として、罪人達の介錯役をすると申し出た!』

光輝「なっ──!?」

ハジメがそう宣言した瞬間、当然ながら光輝が驚愕と反感を抱き掴みかかろうとして……

突如、2人組の何者かによって組み敷かれる。

 

浩介「……悪いな、天之河。ハジメからこうするように頼まれていてな。」

幸利「だからここでじっとしてろバカ勇者。それとも、その首も一緒に並べてやろうか?」

その2人は、ハジメと共に旅をしていた清水幸利と、何時の間にか現れた遠藤浩介だった。

両者とも、以前とは何処か違うよう雰囲気を漂わせており、特に浩介は自分達と同じ位だった筈だ。

それが何時の間にか、光輝を幸利と2人がかりで抑え込める程とは……雫達も思わず瞠目する。

 

ハジメが今言った事は、要するに光輝に死刑執行という名の"殺人"をさせようという事なのだから、その反応は予想出来ただろう。

ハジメはさも事前に相談して決めた風に語っていたが、実際の所そんな事は全くしていない。ハジメの独断だ。

 

ハジメ『次に。私に忠誠を誓わず未だ聖教教会に与する者、及び異界人エヒトを支持する者についてだが……。』

そう言ってハジメは、掌に漆黒の球体を出現させたかと思えば、それをすぐに消してしまう。

同時に、ディスプレイに映っていた遠方の教会が、漆黒の大嵐と共に消失した。

その光景は、この場にいながら僅かにハジメへ不信感を抱いていた聴衆の心をへし折るには充分だった。

 

ハジメ『その様な輩は国に背くテロリストと看做し、世界規模で指名手配とする!

無論、その者等を信仰を理由に匿った者達も同罪だ。

教会の建造物に立て籠もろうものならば、先程のように諸共に消し飛ばす。』

まさかの、突然で容赦も躊躇もない虐殺に誰もが息を呑み、一部の者達は泣き崩れた。

しかし、それも計算に入れていたハジメは、それに勝る報酬を発表した。

 

ハジメ『無論、諸君等に得の無い話では無い。

生死を問わず捕らえた者、及び捕縛に協力した者達全員に、神代のアーティファクトと一億の報奨金のどちらか、諸君等の望む方を褒賞として出そう!

アーティファクトは全て私が手掛けたものだ!武具に防具は当然、"宝物庫"に"神水"まであるぞ!

諸君の協力を、私は心待ちにしている!我こそはと思う者達は、騎士団の詰所へと名乗り出るがいい!』

 

その報酬を聞いた瞬間、先程まで泣き崩れていた者達含めて国民は、"神代のアーティファクト"と"一億の褒美金"という言葉に沸き立ち、全員が歓声を挙げては狂喜乱舞した。

それ程までに神代のアーティファクトの力は凄まじいのだろう。

特に、錬成師としても名高いハジメが手掛けたのであれば尚更だった。

 

そして、政策に満足の表情と自分を讃える歓声が聞こえたのを確認したハジメは、リリアーナ達を引き連れて踵を返した。

後には興奮で騒ぐ国民達だけが残され、彼等は一様に新しい時代の産声に歓喜した。

 


 

光輝「おい!さっきのは一体どういう事だ!?俺は一言も聞いてな───ぐはッ!?」

幸利「黙ってろってさっき言ったばかりだろうが。いい加減にしろや。」

抗議の声を上げようとした光輝が幸利によって床に叩き伏せる光景に目もくれず、国民から姿が見えなくなるまで部屋の奥に移動したハジメは、変身を解除した。

そして――

 

ドサッ……

 

『!?』

突然、その場に倒れこんだ。

あまりの出来事に、雫や愛子たちは勿論、リリアーナ等や騎士達、果ては床に組み伏せられたままの光輝ですら、驚愕を隠せなかった。

唯一冷静なのは、光輝を叩き伏せたままの幸利だけであり、その目は呆れたものを見るような眼をしていた。

 

幸利「あ~あ……だからあれ程無茶するなって言っておいたのに……

前にもアンカジでやったら、ぶっ倒れそうになってたじゃねぇか。」

『!?!?』

幸利が口にした衝撃的な情報に、他の面々は思わずギョッとなった。先程の様な奇跡を、アンカジでも起こしたのか!?と。

しかし、それを確認する前に――

 

グゥゥゥゥゥ・・・・・・

 

『……。』

大きな腹の音がその空間に響き渡った。そして、ハジメが一言。

ハジメ「ゆ、ユエ達に、サポートして、もらっても、ギリギリ、だった……今にも、餓死しそう、だ……。」

その場にいた全員が、何とも言えない表情になる一言だった。

 

ティオ「おぉ、やはりこうなってしもうたか……。」

そして、この事態をに備えて近くにいたティオが、倒れて動けないハジメに肩を貸した。

ティオ「えぇ~と……すまぬが、誰かもう1人、手を貸してくれんかの?食堂まで運びたいのじゃが……。」

が、いくら竜人族とはいえ彼女も女の子。少し恥ずかしそうな表情で、助力を求めるのであった。

 

幸利「あぁ、それと園部。悪いが先に食堂でシアさん達の手伝いを頼めるか?」

優花「えっ、私が?」

幸利「実家がレストランなんだろ?ハジメも話してたし。」

優花「うっ……。」

そして、優花先導の元、ティオと助太刀に入った龍太郎に肩を貸してもらいながら、ハジメと愛子達は食堂に向かうのであった。

 


 

ハジメ「ガツガツ!バリバリ!ムシャムシャ!バクバク!ゴクゴクゴク……プハァッ!」

食堂に着いてすぐ、何時用意されたのか、テーブルに所狭しと乗せられた大量の料理を前に、ハジメは一心不乱にそれらを口に入れ始めた。

 

シア「それが終わったら次こっちをお願いします!それと並行してこれも!」

レミア「あらあら……これは思ってた以上ですね……!」

優花「いやいや、いくら何でもこの速さはおかしいでしょ!?あいつ、どれだけ食べているのよ!?」

その速さは尋常ではなく、調理場の面々が悲鳴を上げる程だ。

既に王宮のコック達は口を動かす余裕もなくなっており、ただ料理を作るだけの機械になりかけていた。

 

浩介「あ、あんなにあった料理があっという間に……まるで四次元ポケットだな。」

雫「……そういえば、お爺ちゃんとの修業?で何日か断食もしてたわね……。」

そんなハジメの様子を、先程同様なんとも言えない表情で見ている雫達と、ある意味状況は混沌としていた。

 

ユエ「……ん、もっと持ってきて。私のハジメニウム補充の為にも。」

ハジメ「むぐむぐふんごふぐふがふぐごっくん(俺の血はそんな成分みたいな名前してないぞ)。」

雫「食べながら話さないの……。」

因みに、ユエは先程の演説の際に、再生魔法で建築物を元に戻すお手伝いをしており、それで魔力を大量に消費していたので、絶賛ハジメさんから吸血中だ。

そのせいか、ハジメさんの食事の量がいつもの比ではなく、何時も食事を作っているシアでさえてんてこまいになりかけていた。

 

ハジメ「ふぃ~、食った食った……一先ず、動けるレベルまでには回復したか。」

やがて、少しずつではあるが減速し始め、漸くハジメがある程度回復して食事の手を止めた頃には、辺り一面に皿の山が出来上がっていた。

その光景を愛子達は、ただただ唖然として見ていることしか出来なかった。

見慣れているティオですら苦笑い顔だ。が、ミュウは気にせずハジメの膝の上にちょこんと座っていた。

 

優花「や、やっと終わった……。」

シア「ですぅ……。」

レミア「予想以上、でしたね……。」

一方、厨房ではシア・レミア・優花の3人が息も絶え絶えになっており、コック達に至っては全員倒れ伏しており、一様に安らかな笑顔でサムズアップを浮かべていた。

尤も、完食した当の本人は「食いしん坊万歳。」と呑気に零しているが。

 

ハジメ「さて、そういえば何やら用があるらしいが……出来るだけ手短に頼む。この後も政務がどっさりだし。」

光輝「待ってくれ!そもそもどうしてお前が――!」

雫「光輝、少し黙ってて。私達が話すから。」

愛子「天之河君、少しだけ先生に話させて下さい。」

そして、適当な返事をするハジメに言い募ろうとする光輝だったが、そこへ雫と愛子がストップをかける。

気勢を削がれる光輝だったが、雫や愛子なら冷静に反論してくれるかと思い引き下がる。

 

愛子「南雲君、色々と聞きたいことはありますが……先ず、どうしていきなり国王に?」

ハジメ「そうだな……理由は大きく分けて2つある。」

そう言ってハジメは、2本指を立てて説明する。

 

ハジメ「一つ。この世界で本格的に動くに当たって、権力を手にした方が動きやすいと思ったからだ。

ここまでの旅で、守るべきものがだんだん増えてきたからな。

自分の国が欲しいという個人的な理由もあるが……疲弊している民達の希望にもなろうと思ったのも事実だ。

まぁ、各国の立て直しと戦争が終わり次第、政権はルルアリア殿に返還するつもりだが。」

 

"何かを守る為に、相応の権力や地位が必要になる"という考えは、リリアーナや愛子、雫も理解が出来るものだった。

愛子も不慣れな地で生徒達を守る為に、自分の才能を人質に"豊穣の女神"という名声を得て、王国の圧力から生徒達を守ってきたのだ。

そして、意外にもあっさりと王位を手放す趣旨を伝えるハジメに、光輝達も少し驚いていた。

 

ハジメ「意外か?別にこのまま統治を続けるのもありだが……それでは、依存の対象が変わるだけだ。

折角、民達が教会の依存から離れたというのに、またそうなっては意味がないだろう?

そも國とは統治するものであって、支配するものではない。尤も、永遠に捉われた阿呆には分からんだろうが……。

兎に角、これからの時代は、民達が自らの足で歩きだす必要がある。私はその土台に過ぎん、ということだ。」

 

その思想は、神の如き力を持ちながらも、民が為の王とあり続けんとした、ハジメなりの覚悟の表れであった。

途中、何処かの自称神(笑)に対する罵倒も含まれていたようなきがするものの、ハジメはハジメなりに王国の民を、この世界の人々を守らんとしていたのだと、聞いていた者達も少しずつ理解した。

 

ハジメ「何より……俺には帰る場所があるからな。

父さん達も帰りを待っているし、ユエ達も連れていきたいからさ……先ずは自分の近くから助けていかないと。」

『!』

そして、彼自身も帰郷を望んでおり、その為の足掛かりを作らんと奮闘した結果、ここまで来たのだ。

ハジメが見せたその表情が、それを雄弁に語っていた。

 

ハジメ「そしてもう一つ。異端者認定を取り消すのに、一番手っ取り早いと思ったから。

だから、教会が隠し通そうとした真実を暴露し、奴等を悪とすることで、俺の指名手配を取り下げさせたって訳。」

その言葉を聞いて、雫や愛子も遅ればせながら思い至り、それ以外の者達はハジメが異端者認定を受けていた事が初耳だったので、一様に驚愕の表情を浮かべた。

 

ハジメ「まぁ、そのままことが進んでたら、お前達とも戦わされていただろうな。

その場合、少なくとも戦闘不能程度で済ましていたな。

流石にクラスメイトの殺害は良心が痛む……いや、殺してもなんともない阿呆は1人だけいたか。」

光輝「なっ!?俺達が負ける訳が「たった一撃で沈んだ奴が何言ってんだ。」ッ……!」

その説明に光輝が反論しようとするも、ハジメにバッサリと切られる。

 

雫「残念だけど光輝、私達はどう足掻いてもハジメ君には勝てないわ。それどころか、彼がその気になれば皆死ぬ。

それが事実なのよ。」

愛子「八重樫さんの言う通りです。メルドさんを一度殺した神の使徒を、南雲君は簡単に殺せます。相手がどれだけ多くても。」

優花「ごめん、天之河君。悪いけど愛ちゃん先生の言う通りよ。南雲は私達全員で挑んでも、傷一つ付けられないわ。」

龍太郎「わりぃ、光輝。俺も勝てる気がしねぇんだわ。

なんつぅんだ、こう……直感ていうか、本能っていうか……とにかく、"勝てない"ってのが分かるんだ。」

浩介「天之河、俺も同じ意見だ。

たとえどれだけ大勢で囲んだとしても、ハジメならあっという間に全員殺せる気しかしない。」

光輝「そんな、皆まで……!」

 

更には、雫だけでなく、愛子、優花、龍太郎、浩介に次々に否定され、光輝は愕然とする。

実際、光輝は変身処か武器すら持っていないハジメに一撃で気絶させられており、その実力は分かっているのだが、それを光輝の頭は否定したがっていた。

しかし、そんな事情は知ったこっちゃないと言わんばかりに、ハジメは続けた。

 

ハジメ「まぁ、そういうことだ。とはいえ、王族の血を引かぬ者が王位を継承するのは特例だしな。

一応、リリィとは形だけの契約婚を結んでいるから、万が一そこをつかれても問題は無いとは思うが……。」

光輝「なッ!?リリィ、婚約ってどういう事だ!」

唐突に落とされた爆弾発言に光輝は勿論のこと、雫達も驚愕する。

 

リリアーナ「ハジメさんは元々、王国出身でもこの世界の住人でもありません。

であれば、王座に就く為の正当性を示す為には、それなりの理由が必要になります。」

雫「それが、リリィとの婚約という事なのね?」

リリアーナ「はい。尤も、婚約というより、雇用契約に近い物ですが……。」

すると、何とも言いづらそうな顔をするリリアーナの代わりに、ハジメが補足を入れた。

 

ハジメ「あぁ、誤解の無い様に言っておくが、諸々の問題が片付いて俺が退位次第、問題ばかり起こした俺をリリィが振って捨てた形で、婚約を破棄するつもりだ。

國を立て直す為とは言え、契約で縛り付けるのは性に合わん。不測の事態が起こった際も同様だ。

それに、帝国の王子とやらとの婚約話も上がっているらしいからな。

ま、リリィが本当に俺を好いているのであれば、判断はリリィに任せるが……ざっと、こんなところだろう。」

 

実にあっさりとした説明だったが、同時に納得がいくものだった。

婚約破棄と言えば、普通は破棄した側された側にも火の粉が飛び交うものだが、ハジメは敢えてその火の粉を自分だけに集中させ、リリアーナの尊厳を守るつもりだったのだ。

それに期間も定められているので、リリアーナが誰と婚約するかは自由だとも捉えられる。

 

雫「国王になった理由は分かったわ。でも……光輝に教会の人達を処刑させるっていうのは?」

すると、雫がふともう一つの疑問を思い出し、訊ねる。

その質問に、光輝は冷や水を掛けられた様に我を取り戻し、反抗の姿勢を示した。

 

光輝「そ、そうだ!俺が処刑なんて……人殺しなんてするものか!」

ハジメ「あぁ、そう。ならいいよ、別にそれで。」

『……え?』

が、ハジメは特に咎めることも無ければ、適当な様子で答えた。

その言葉に、光輝は勿論、他の者達まで困惑していた。

 

ハジメ「それで?もう話すことはないなら、俺はもう行くぞ。

これから生き返った貴族や騎士達の扱いを決めなきゃならん。それじゃ。」

唖然とする一行を尻目に、ハジメは席を立ち上がると、吸血し終えたユエにミュウを預け、さっさと部屋から出て行った。

リリアーナもその後ろに慌ててついて行き、扉がパタンと閉められた。

 


 

ハジメ「……あ、そういえばアイツ等、さっきの演説の内容、ちゃんと理解しているよな?」

そして、思い出したように呟くハジメさんだったが、当の本人達はハジメの即位の衝撃が強すぎて抜け落ちていた模様。

*1
光輝の中ではそういう認識

*2
ザワ……ザワ……ザワ……ザワ……ザワ……

*3
ザワ……ザワ……ザワ……ザワ……ザワ……

*4
尚、諸事情で別の場所で見ていたユエ達は自慢げにしており、ミュウに至っては「パパはとっても凄いの!」とはしゃぎ、それをレミアが微笑ましそうに見ていた。

*5
尚、恵里は洗脳状態にあったので当然無罪にしており、檜山はハジメ自ら制裁を加えたことを、まだ誰も知らない。




次回、衝撃の展開!?

ハジメさんがライダー以外の能力を手に入れるとしたら?

  • 全スーパー戦隊の力
  • 全ウルトラマンの力
  • その他全特撮ヒーローの力
  • 全サーヴァントを召喚、使役する能力
  • 全てのスタンドを扱える力
  • 全ての魔術・魔法を扱える力
  • 全ジャンプ作品の力を扱える
  • 全サンデー作品の力を扱える
  • 全コロコロ作品の力を扱える
  • 全マガジン作品の力を扱える
  • 全てのラノベ作品の力を扱える
  • 別の世界に能力そのままで転生できる能力
  • 一億年ボタン
  • 全てのロボットを操縦できる能力
  • 無限残基
  • 女難に巻き込まれなくなる
  • 倒した敵の全能力を得る能力
  • 全スマブラキャラの力
  • その他全ゲームキャラの力
  • その他(活動報告でリクエスト)
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