Re.ありふれない錬成師で最高最善の魔王、世界最強を超越する 作:天元突破クローズエボルハザード
もし、いつもと変わらないとお思いでしたら、ご指摘していただいても構いません。
冒険者ギルドを後にした俺達は、雫の案内で予備結界の設置場所へと向かった。
案内されてやって来たその場所は、かなりの数の兵士で厳重に警備されていたものの、国王である俺は勿論、勇者一行の一員である雫は顔パスなので、問題なく通してもらえた。
まぁ、彼等も国王自ら出向くとは思っていなかったので、流石に驚いてはいたが。
着いた場所は、簡素ではあるが補強された壁で四方を囲んだ空間だった。
丁度中央に、描き途中の文様と魔法陣があり、その周りには頭を抱えてうんうんと唸る複数の男女の姿があった。
恐らく、彼等が予備結界の設置準備にやって来た職人達なのだろう。
因みに、本結界は大理石の様な白い石で作られた空間の中にあり、紋様と魔法陣の描かれた全長2m程度の円筒形アーティファクトが起動することで、出現するという仕組みだ。
とはいえ、3つとも特殊な空間遮断型の結界なので、生成魔法で空間魔法を付与する必要がある。
だから普通の錬成師では修復どころか解析も不可能なのだ。普通の錬成師、なら……な?
???「おや、雫殿ではありませんか。どうしてこちらに?」
すると、口髭をたっぷりと生やした、見るからに職人気質な60代位の男が、雫を見つけるなり声をかけてきた。
どうやら、顔見知りのようだ。
雫「こんにちは、ウォルペンさん。私はただの案内兼護衛です。
予備の結界を設置してくれる方をお連れしました。」
ウォルペン「なんですと?もしや……やはり新国王陛下!?」
雫にウォルペンと呼ばれた男は、俺に視線を転じると途端に驚愕の眼差しを向けた。
事前に来訪を伝えられてない要人が来たとなれば、その反応もさもありなんと言えるだろう。
因みに、このウォルペンと言う男、【ハイリヒ王国】直属の筆頭錬成師らしい。
ハジメ「あぁ、楽にして構わん。この後も予定があるのでな。」
しかし、こちらが事前連絡もなしに来たのだから、そうも畏まる必要もないだろうと思い、気さくに手を振って言った。
それに、アレを殺ったらどうせ退位するし……。
さてと、いくら彼等が筆頭錬成師とはいえ、大結界のアーティファクトは先程も言った通り、神代魔法で製作されたアーティファクトなので、彼等では無理があるだろう。
なので、俺はスタスタとウォルペン率いる職人達の間を通り抜け、アーティファクトの設置場所の前に立った。
ハジメ「材質はそうだな……取り敢えず、俺が実験で作った鉱石や王宮内にあった素材を中心に組み立てるか。
念の為、アザンチウムも混ぜておこう。有事の際の自動修復アーティファクトも、部屋の端に隠しておかねばな。」
必要な素材を取り出すと、ちゃっちゃと脳内で構想を組み立てながら、俺は"錬成"を開始した。
紅と黄金のスパークが俺を中心に広がり、周囲にあった素材が次々と融合していくと、望む形へと構築されていった。
その錬成速度と精度に、ウォルペンのみならず彼の部下達が一斉に目を剥き、雫も鮮やかな紅と黄金に目を奪われている様で、「綺麗……。」と呟いている。
そうして、僅か30秒足らずで、本結界と同じ円柱型アーティファクトが完成した。
一先ず自動修復アーティファクトは後回しにして、俺は起動確認の為に、魔力を注ぎ込み結界を発動させてみた。
すると、円筒形のアーティファクトは、その天辺から光の粒子を天へと登らせていく。
直後、外で警備をしていた兵の1人が部屋に駆け込んできて、第二障壁と第三障壁の間に、いくつもの障壁が出現し、内部の第三結界を守護するように、その周囲を覆っていることを告げた。
ウォルペン「……なんという事だ……神代のアーティファクトをこうもあっさりと……!」
ハジメ「よし、同じ分量で残りの個所にも設置するか。と、その前に自動修復機能をつけておかないとな。」
呆然とするウォルペン達をスルーし、俺は部屋の四隅に自動修復アーティファクトを設置するべく、簡単な素材*1で再度"錬成"を始めた。
すると、雫が苦笑いしながら自分と同じ異世界人であると告げ、ウォルペン達は「道理で……」と納得顔を見せる。
しかし、その序に例の刀も俺の作品だと告げた瞬間、彼等の眼がギラリと獣の様に輝いたのを感じた。
今、作業中だから邪魔しないでほしいんだが……なんて願いが通じる訳もなく、こちらに近付いてきた。
ウォルペン「どうか弟子に!是非、我等を弟子にして下されぇ!!」
ハジメ「だが断る!!というか、邪魔だからあっち行ってろ!!」
俺にしがみ付いて来ようとしたウォルペン等をサッと躱し、柔めに蹴り飛ばしては後続にぶつけて、弾き飛ばした。
何が悲しくて、毛むくじゃらのオッサン共に密着されなくてはならないのだ。
ハジメ「全く……作業中なのが見て分からんのか?これ以上邪魔するなら、マジで怒るぞ?」
ウォルペン「うっ……し、しかし、アーティファクトをあっさり修復し、雫殿の刀まで手がけたと存じ上げます。
我等にはどうやったらそんな事が出来るのか、皆目見当も付きません。それを教えていただければ……。」
案外しつこいなこいつ等。というか、離れてくんね?鼻息がかかりそうで集中できん。
ハジメ「なら相応の礼儀があるだろうが。教えを乞う相手が作業中なら、最後まで待ってろ。」
『は、はい……。』
ちょっとイラついたので、威圧も込めて注意すれば、漸く大人しくなった。本当に手のかかる……。
その後、自動修復アーティファクトも完成し、設置も終わったのでさっさと次の場所に――
ウォルペン「待って下されぇーー!!弟子に!是非、我等を弟子に!!」
ハジメ「チッ、まだいたのか。」
そう零しながらユエと雫を抱えて浮遊し、ウォルペン等を躱していく。
ハジメ「先程も予定があると言った筈だ。弟子を取る時間などない。」
ウォルペン「し、しかし……。」
ハジメ「第一、魔力の直接操作もないのであれば話にならん。それに、技術を教える暇など全くない。以上だ。」
ウォルペン「そんな……。」ガクリ
俺はそれだけ言うと、項垂れて肩を落とすウォルペン達を放置して、ユエと雫を伴ってその場を後にした。
が、既に遅かったようで、現場にいなかった職人達にまで情報が行き渡っており、全ての予備結界&自動修復装置設置までの間、次から次へとしつこく群がってきた。
勿論、威圧と覇王色で気絶させ、全員に減給処分か金的の2択を迫ったら、皆揃って、快く減給を受け入れてくれた。
やれやれ……いいものを作るためなら妥協はしない気持ちは分かるが、それなら猶の事道理を無視してはダメだろうに。
尚、差し引いた金額は、復興費用に回すつもりだ。
そうして騒ぎを収めて王宮に戻った俺は、玉座の間にも執務室にも戻らず、王宮に関わる人員なら自由に出入り出来るテラスルームで、ユエ、雫、途中で合流したミュウ、レミア、トネリコと共にティータイムと洒落込んでいた。
生憎シアはまだ女子達と恋バナで盛り上がっており、ティオは未だに睡眠中だったので、ここにはいない。
勿論その間も俺は書類を確認している。ふむ……この紅茶も悪くないな。
ユエは作業中の俺のカップが空になった事を確認すると、即座に次のお茶を注いでくれており、トネリコは出来るだけ粉が飛び散らない茶菓子を口に運んでくれる。
そしてレミアは、俺がメイドに頼んだお茶請けをミュウの口に運び、ミュウはそれをモシャモシャと頬をリスのよう膨らませながら頬張っている。
そんな俺達の様子に疎外感を感じているのか、雫が頬をヒクつかせているのが見えたので、香織を念話で呼ぼうかな?と考えた時だった。
バンッ!
突然、俺達のいる部屋の扉がノックもされずに、大きな音を立てて開け放たれた。
何事かとそちらに視線を向ければ、10歳程度の金髪碧眼の美少年がキッ!とこちらを睨んでいた。
しかも、周りを
???「お前かッ!香織をあんな目に遭わせた下衆はっ!
し、しかも、香織というものがありながら、そ、その様な……許さん、絶対に許さんぞ!」
……今日はやたらと変な奴に会うな。なんて思っていると、当の少年は拳を握り締め「うぉおおおお!」と雄叫びをあげながら勢いよくこちらに向かって駆け出した。
殴る気満々だったようなので、取り敢えずミュウの護身用にと試作した、"衝魂"付与ビー玉を一つ手に取り、適当に投げつけておいた。
ありえない速度で放たれたビー玉は、見事に少年の股間を――股間?
???「ぱうっ!?」
……少年はプルプルと震えながら股間を押さえ、その場に蹲った。
ま、幸いにも潰れてはいないようだし、大丈夫だろう。それにあの威力だし、少しの間は立ち上がれない筈だ。
「で、殿下ぁ~!貴様ぁ~、よくも殿下ぉ~!」
「叩き斬ってやる!」
「覚悟しろぉ!」
すると、今度は少年を追いかけて来たらしい老人や護衛と思われる男達がいきり立って、こちらに飛びかかってきた。
何に怒っているのかがさっぱり分からなかったが、嫁達と愛娘とのティータイムを邪魔しに来たのは分かったので、ビー玉を全弾放ち、寸分違わず全員の顎と股間を打ち抜いてやった。
当然、全員股間を押さえた後に顎に奔った衝撃で気絶し、その場に倒れこむ。
すると、その間にも先程の少年が、その場に蹲りながらもこちらをキッ!と睨みつけ、そのままこちらに突進しようとしてきた。
流石にしつこかったので、飛ぶ指弾を威力控えめで連射してやれば、出来の悪いマリオネットのように床をのたうち回った。
そうして静寂が戻った頃には、レミアはミュウの視線をインターセプトしており、ユエは気にせず紅茶を飲んでいた。
そして、口をポカンと開けて呆けていた雫が何か言いたげにこちらに視線を向け、トネリコが少年等に回復魔法をかけようとした時だった。
シクシク……
室内にすすり泣く声が聞こえ始めた。
その発生元である少年は、まるで暴漢に襲われた女の子の様に両足を揃えてしなだれながら、床に顔を埋めて泣き声を上げていた。
どうやら先程のちょっかいだけで心が折れたらしく、濡れたズボンの下に水溜まりが出来始めていた。
あれだけ威勢を出しておきながら、この程度とは……なんとも脆いものよ。
と、そこへ丁度タイミングよくリリィがやって来た。
やり過ぎだと叱る雫、俺の膝の上で平然と茶請けをもきゅもきゅと食べているユエとミュウ、その様子を「あらあら、うふふ。」と微笑ましそうに見て現実逃避するレミア、頭を抱えるトネリコ、そして我関せずと紅茶に口をつける俺に、泣き崩れる少年とその周りで倒れるおっさん共。
リリィは、それらを見て何やら状況を把握したのか、片手で目元を覆うと天を仰いだ。
リリアーナ「遅かったみたいですね……。」
ハジメ「リリィ。何やら知らんが、君によく似た子が突っかかってきたぞ。
知り合いじゃないなら、不法侵入者扱いで警吏に突き出しといてくれ。」
リリアーナ「……私の弟です……。」
ハジメ「なんと。」
言われてみれば……思い出した。確か、名をアンデルs「ランデルです。」……そうそう、それだ。
ということは、"元"王太子で義弟(仮)になるな。
すると、周りの奴等は旧王家の支持者……というより、ランデル君個人を支持する者達、ということか。
"不穏分子"として切り捨てても構わんが、生憎リリィの仕事を増やすわけにもいかん。減俸処分で済ませておこう。
そう考えていると、リリィがそれはもう深い溜息をつきながらランデル君を助け起こし、状況説明をしてくれた。
話を聞くと、どうやらランデル君が突撃に至ったのは、香織の事が原因のようだ。
彼は香織に相当お熱だったそうで、よく安全な場所――というより、自分の傍――に置きたがっていたらしい。
そして、そんな香織と親しい光輝をライバル視して、よく突っかかっていたそうだ。
尤も、香織には既に俺という好きな人がいたので、どちらにしろ玉砕は避けられなかったわけだが……。
そんなこととはつゆ知らず、以前とは変わり果てた香織に遭遇し、愕然としたランデル君はどうしてそんな事になったのかと理由を問い詰めた。
その結果、どうやら"ハジメくん"とやら、つまり俺が原因らしいと理解し、更にその香織が正に恋する乙女の表情で俺の事を語る事から、彼は真の敵が誰なのかを漸く悟ったようだ。
……流石に幾度も夜を共にしたことまでは、知られていないと信じたい。
そして、「香織に元の体を捨てさせる様な奴は碌な奴じゃない!」と決めつけて突撃した先で、心から香織に想われておきながら他の女に囲まれている俺を目撃し、怒髪天を衝くという状態になったそうだ。
彼としては、正に魔王に囚われたお姫様を助け出す意気込みで俺に挑んだ訳だが……この始末☆という訳だぁ。
殴るどころか近づく事すら出来ずに片手間で弄ばれて、情けないやら悔しいやら、遂にポロリと涙が出てしまったようだ。
リリィに抱き起こされ、つい「姉上ぇ~。」と抱きついたランデル君。
その様を見て、公爵家の将来を不安に感じていると、何故か雫から呆れの視線が突き刺さった。
だが、ランデル君にとって不幸はまだ終わっていなかったらしく、彼がリリィの胸元に顔を埋めて泣きついた直後、香織が部屋にやって来たのだ。
香織「あっ。ランデル殿下、それにリリィも。……って、殿下どうしたんですか!?そんなに泣いて!」
ランデル「か、香織!?いや、こ、これは……決して姉上に泣きついていた訳では……。」バッ
リリィから素早く離れて、必死に弁解するランデル君。
好きな女の前で、姉に泣きついて慰めてもらっていたなど男の子として口が裂けても言えないのだろう。
が、香織は、ランデルが泣いている状況と俺の存在、雫達とリリィの表情で大体の事情を察し、久しぶりに爆弾を落としてきた。
香織「もう……ハジメくんでしょ?殿下を泣かしたの。年下の子イジメちゃだめだよ。」
ハジメ「いや、なんか知らないけど煩かったから、ちょっと揶揄っただけだぞ。」
ランデル「グッ!」
自分は真剣だったのに、俺からすれば撃退ですらなかった事に、ランデル君はショックを受けていた。
しかし何よりダメージが深かったのは、自分が被害者側だと当然の様に判断された事のようで、胸を抑えて呻いている。
香織「揶揄うって……ちゃんと"手加減"してあげたの?殿下はまだ"子供"なんだよ?」
ランデル「はぅ!」
しかし、そこで更なる追撃。
好いた女から子供扱いされた挙句、手加減を前提にされる屈辱に、ランデル君が更に強く胸を抑えた。
ハジメ「目立った外傷もないんだし、大丈夫だろ。少々股間にダメージは残っているかもしれんが……。」
香織「でもリリィに"泣きついて"いるじゃない……それにほら、額が赤くなってる。
折角"可愛らしい顔"なのに……
殿下はちょっと"思い込みが激しくて"、"暴走しがち"だけど根は"いい子"だから、出来ればきちんと"相手をしてあげて"欲しいな……。」
自分がリリィに泣きついていた事をばっちり認識され、男なのに可愛いと評価された挙句、姉からもよく注意される欠点を次々と指摘され、更に追加の子供扱い。
ランデル君は遂に、ガクッと両膝を折って四つん這い状態に崩れ落ちた。
リリィ・レミア・トネリコは「あらら。」「あらあら。」「あちゃ~……。」と困った笑みを浮かべているが、雫と何時の間にか復活したおっさん共は「もう止めてあげてぇ、殿下の心のライフは既にゼロよっ!」と内心悲痛な声で叫んでいそうな顔をしてた。
そしてユエは我関せずの態度で、ミュウにお茶請けを頬張らせている。
しかし、香織は追撃の手を緩めない。崩れ落ちたランデル君を心配して駆け寄り身を案じる声をかけた。
香織「殿下、大丈夫ですか?やっぱり打ち所が悪かったんじゃ……。」
ランデル「……いや、怪我は無い。それより、香織……香織は、余の事をどう思っているのだ……?」
すると、満身創痍のランデル君は、思い切って香織の気持ちを聞く。……自分から傷つきに行くとか、マゾか?。
そんな憐れむ目で彼を見る俺。そして、香織の答えは至極真っ当であった。
香織「殿下の事ですか?そうですね……時々、リリィが羨ましくなりますね。
私も、殿下みたいなヤンチャな弟が欲しいなぁ~って。」
だろうな。てか、自分の息子でもいいかなぁ、っていう視線をこっちに向けるんじゃあない……。
ランデル「ぐふっ…お、弟……。」
そして、笑顔で落とされた爆弾によって、ランデル君に追加ダメージ。
雫やおっさん達がが「何故自ら傷口に塩を塗るような真似をっ!」と泣きそうな顔になりながら、ランデル君に視線でもう止めるように訴える。
が、そこは男のプライドが許さないのか、それとも変な気合が働いたのか、彼はとうとう切り出した。
ランデル「では……あんな奴がいいというのか?あいつの何処がいいというのだ!」
そう言ってランデル君は俺をキッ!と睨みながら、言外に「目を覚ませ香織!余の方がいいに決まっている!」と訴える。
俺にとっては分かり切ったことなので、ティータイムの手を止めないどころか、ミュウの頬をぷにぷにし始めた。
すると、雫とリリィが若干羨ましそうにしていたので、交代してあげたら2人とも表情を緩ませていた。
レミアも微笑みながらミュウの頭を撫で、ユエも後ろから抱きついていた。
トネリコも結果が分かっているのか若干苦笑いだが、自分の体を俺に寄せており、端から見ればハーレムとしか言いようが無い光景が出来上がっていた。
香織「え?な、何ですか殿下、いきなり……もう~、恥ずかしいですね。でも……ふふ、そうですよ。
あの人が私の大好きな人ですよ。何処がって言われたら全部、としか……ふふ。」
そして、香織は見事にランデル君に止めを刺した。
再び俯いたランデル君は、四つん這いのままプルプルと震えだす。
それを心配して香織が手で背中を摩りながら声を掛けるが、ランデル君はガバッ!と勢いよく起き上がると、香織の手を跳ね除けて入口へと猛ダッシュした。
そして一度、扉のところで振り返ると――
ランデル「お前等なんか大っ嫌いだぁぁああああああ!!!」
と、大声で叫び走り去ってしまった。去り際に、彼の目尻がキラリと光ったのは気のせいではないだろう。
遠くから「うぁああああああん!!」という泣き声か雄叫びかわからない絶叫が聞こえ、突然の疾走に唖然としていたおっさん達も「殿下ぁ~!」と叫びながら、慌ててランデル君を追いかけ、部屋を出て行った。
ハジメ「……リリィ、"元"とはいえ、王太子があの様では心配ではないか?」
雫「ひ、他人事みたいに……貴方が泣かしたんでしょうが。」
ハジメ「止めを刺したのは香織だが。」
雫「くっ、反論出来ない……。」
ランデル君が初恋を桜の花びらの如く散らせた後に駆けていったのを眺めながら、俺が呟き雫がツッコミを入れる。
香織は、一体ランデルはどうしたのかと追いかけようとしたが、それはリリィが止めた。
リリィも、遅かれ早かれランデル君の初恋は散ると分かっていたようなので、後で弟を慰めるつもりだろう。
まぁ、彼にはいずれ、この国を背負ってもらう必要がある。失恋程度の挫折なら、自力で越えて貰わねば。
……ほんの少しだが罪悪感はあるので、次に会う時は優しくするつもりだが。
リリィは開けっ放しの扉をしっかり閉めると、香織を伴って俺達の方へ歩み寄って行く。
どうやらランデル君を追いかけて来ただけでなく、俺達に話もあった様だ。
テーブルを囲むように皆で座ると、リリィは「コホン。」と咳払いして口を開いた。
リリアーナ「話と言うのはですね、ハジメさんが伝えたこの世界の真実についての国民の認識把握調査の事なのですが……存外、正確に伝わっている様です。
やはり、"元"教皇イシュタルを始めとした、神山含む全主要都市の司教以上の階級者達を、一斉に拘束及び粛清したことに加えて、光輝さん達勇者一行と、"豊穣の女神"である愛子さんが、進んで前に立ってそれを行った事で、事態の重大さが伝わったのでしょう。」
ハジメ「そうか。
保身目当てに自首してきた教会関係者の対応、報酬目当てで無実の者を濡れ衣で貶めようとする輩は?
特に、件の司祭一家に手を出すような愚者はいないよな?」
リリアーナ「出頭した方達には先日同様、踏み絵と信仰破棄の宣誓・署名を行った後に、隔離・選別を行った上で、監視を続けています。
誓約の首輪のおかげで、後から反故にするような方もおりません。
濡れ衣を着せる様な方も、今のところゼロです。フューレンでの活躍が、一種の抑止力になっているのでしょう。
シモン司祭一家も、国王命令で安全な場所に保護しています。それにしても……見事な采配ですね。
これなら以前言っていた、万が一エヒトが攻めてきた時の対策にもなりそうです。」
ハジメ「俺だけではとても手が回らんよ、リリィの手腕もあってこその結果だ。」
まぁ、まだまだ片付けるべき問題や、取り掛かりたい政策も山程あるが……。
雫「?対策って何の事?」
ハジメ「あぁ、奴から信仰心を取り上げることで、その力を削ぎ落とす作戦さ。
神という奴等の強さは基本年功序列――より多くの歳を重ね、より多くの民に信仰されることで、それを糧として強くなる。
が、そのエネルギーに比重を置きやすい分、不安定な部分もある。今回の作戦は、そこを突いたという訳だ。」
それこそが、この世界の真実を包み隠さず明かした理由。
結果、奴の信仰は廃れ、糧となる筈のエネルギーも激減……じきに皆無となるであろうが。
ま、だからと言って俺も神なんぞにはなりたくはないし、先生もマジの女神にするわけにはいかんがな。
雫「あぁ、成程。この世界はエヒトの一神教だから……。」
ハジメ「Exactly!
特に、最も信者が多いこのハイリヒ王国が丸ごと離れたのだから、少なく見積もっても2割は削れただろう。
加えて、既にアンカジのランズィ殿やエリセンの重鎮等とも情報は共有済みだから、後は一つずつ街を切り離せば、残るは帝国と魔人国家【ガーランド】だけになる。」
とはいえ、エリセンとはまだ、出生率管理制度の撤廃や、海産物貿易の拡大についての交渉が必要だがな。
雫「はぁ~……ホルアドで再会した時からずっとそうだけど、本当に色々考えているのね。
とんでもない位の行動力もあるのだけれども……。」
ハジメ「これでも、出来る限り先を見越して動いているつもりだぞ?為政者の基本だし。
まぁ、確かに大体は思いつきで行動してるせいか、脳筋っぽいだろうが……。」
雫「ふふ、別に脳筋だなんて思ってないわよ。頼りになるって言ってるの、褒め言葉として受け取っておいて。」
こちらを頼もしげに見つめる雫の言葉に、肩を竦めて返す。
すると、何故かユエ、香織、トネリコの視線が雫に突き刺さる。一体どうしたのだろうか?
……いや、何となくは分かっているのだけれども。雫もそれに気が付いたのか、ビクッと体を震わせた。
雫「えっ、何?何なの?」
香織「2人とも、どう思う?」
ユエ「……ん、まだ大丈夫。あくまで友人レベル。」
トネリコ「ですね……けど、何かの拍子でもしかしたら……。」
香織「そう。"まだ"なんだね……。」
ユエ「……ん。要注意。」
トネリコ「あはは……。」
……本人の前でする内容の会話じゃないと思うんだが。
3人のヒソヒソとした相談声が聞こえてくるので、居心地悪そうにしていた雫をレミアとミュウに任せると、俺は相談中のユエ達を放置して、リリィと今後の詰めを行うのでった。
次回、第5章終了。
ハジメさんがライダー以外の能力を手に入れるとしたら?
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全スーパー戦隊の力
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全ウルトラマンの力
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その他全特撮ヒーローの力
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全サーヴァントを召喚、使役する能力
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全てのスタンドを扱える力
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全ての魔術・魔法を扱える力
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全ジャンプ作品の力を扱える
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全サンデー作品の力を扱える
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全コロコロ作品の力を扱える
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全マガジン作品の力を扱える
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全てのラノベ作品の力を扱える
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別の世界に能力そのままで転生できる能力
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一億年ボタン
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全てのロボットを操縦できる能力
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無限残基
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女難に巻き込まれなくなる
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倒した敵の全能力を得る能力
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全スマブラキャラの力
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その他全ゲームキャラの力
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その他(活動報告でリクエスト)