Re.ありふれない錬成師で最高最善の魔王、世界最強を超越する   作:天元突破クローズエボルハザード

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蛇足ですが、檜山はまだ生きています。
そしてネタバレになりそうですが、最終章にてザコ敵として再登場させる予定です。


00:86(急)/Aのお悩み・長くて短い1日

――夕方。

茜色の空が広がり、人影が大きく薄く伸びる頃、王宮の敷地内――

【神山】の岸壁を利用して作られた巨大な石碑の前に、愛子は佇んでいた。

 

忠霊塔前には、今回の騒動で亡くなった人々──

魔人族との戦争や先日の事件、ハジメの改革によって亡くなった貴族達等の遺品や献花が置かれている。

そんな場所で何故、愛子が悄然とした雰囲気で俯きながら何かを堪える様に立ち尽くしているのか。

 

ザッ……ザッ……

 

愛子「!」

と、そこへ、足音が近づいてくる音が聞こえ、愛子はハッとした様に俯いていた顔を上げた。

やけに響くそれは、恐らく自分の存在を知らせる為に態と鳴らしたものだろう。

――普段の()は、そんな雑音を立てたりはしないのだから。

 

ハジメ「こんなところにいたのか、先生。」

愛子「南雲君……。」

視線を向けた先にいたのは、自分の生徒にして現国王――南雲ハジメであった。

夕日に照らされ映し出される橙色よりも輝く瞳を、真っ直ぐ愛子に向けており、その手の中には花束が抱かれていた。

見るからに献花しに来たと分かり、愛子が少し意外そうな表情をすると、その気持ちを察したハジメは苦笑いしながら献花台にパサリと花を置いた。

 

ハジメ「俺にだって、死者を悼む気持ちはあるよ?」

愛子「え?あっ、いや、そんな、私は別に……。」

如何にも心外そうな声音で愛子に話しかけたハジメに、愛子は動揺した様に手をワタワタと動かして誤魔化す。

ハジメは冗談だとでも言う様に肩を竦めると、無言で愛子の傍らに佇んだ。

 

愛子はチラチラとハジメを見るが、巨大な石碑を見上げるハジメは愛子の事を特に気にした様子も無く、話をする気配も無い。

無言の空間に何となく焦りを覚えて、愛子は仕方なく自分から話しかけた。

 

愛子「え~と、そのお花は……。」

ハジメ「ん?あぁ、処刑した旧教会の中にいたかもしれない、真面な聖職者にな。」

愛子「真面な聖職者……と言うと、解放者のラウス・バーンさんのような……。」

ハジメ「あぁ、可能性は正直砂粒未満に等しいが……一応、やっておくのが礼儀だろうと思って。」

愛子「……そうですね……。」

 

ハジメの言葉に、愛子はどこか優しげな表情になった。

敵とあらば容赦無く殺意を向ける印象のハジメだが、それでも人の死を悼む気持ちがちゃんとある事に愛子は嬉しくなったのだ。

態々お供えまで持参して来た事に自然と頬が緩む。

 

ハジメ「……責めないんですか?」

愛子「え?」

しかし、ハジメはそんな愛子に何故か眉を顰めており、意外な問いを愛子に投げかけてきた。

突然の言葉に、愛子は当然首を傾げる。

 

ハジメ「今回の事は、檜山がいずれ暴走するのを見越して、敢えて泳がせていた俺にも非がある。

もし早く止めていれば、恵里が操られることも、多くの人がなくなることも、魔人族の侵攻も無かった筈だ。

だが、俺は自分の事情を優先し、王国にいた光輝達を放置した上、犯罪者共を殺すことを強要した。

クラスメイト達を、政治と戦争の道具として使ったんだ。

俺も、先生から説教の一つや二つぶつけられる覚悟もしてたんだが……。」

その問いに、愛子は微笑みを消して、再び俯いてしまった。ハジメは無言だ。返答を促す事はしない。

どれ位無言の時間が続いたのか……やがて、愛子がポツリポツリと言葉を溢す様に話し出した。

 

愛子「……正直、そう簡単には割り切れません。

檜山君が恵里さんを操って大勢の人々を殺した事は、確かに許される事ではありません。

……そういえば、檜山君は?」

ハジメ「さぁ?あの後、魔法封じの枷と"誓約の首輪"を強制装着しただけだし、一応生きてはいるんじゃね?」

 

一部は嘘である。

この男、実は檜山を拘束した後、確かに魔法封じの枷と"誓約の首輪"を強制装着はした上、生かしてはある。

が、その代わり檜山の息子()を潰しては再生を繰り返し、頭部に恐怖の幻覚を見せるアーティファクトを無理矢理つけさせ、四肢の骨を粉微塵に粉砕したので、殆ど死に体にしたことも事実だ。

一応、戦争が終わり次第元に戻すつもりではあるものの……どのみち、檜山には地獄しかない。

 

愛子「そう、ですか……でも、出来る事ならこうなる前に、南雲君に止めてほしかったと思います。

それでも、私にはハジメ君を責める資格はありませんから……。」

愛子は、両腕を組む様にして肩を震わせ、二の腕を摩った。まるで冷え切った体を温めようとしているかのように。

 

ハジメ「それは、自分にそれを止める力が無かったから?」

愛子「……。」

無言の肯定。よく見れば目の下には化粧で隠しているが隈が出来ており、ここ数日眠れていない事が明らかだった。

もしかすると、悪夢でも見ているのかもしれない。再び降りる静寂。ハジメは何を言うでもなく無言のままだ。

場の空気に居た堪れなくなったのか、愛子が覇気のない声音でハジメに尋ねる。

 

愛子「……南雲君は……辛くないですか?」

ハジメ「人を殺した事か?相手が敵である以上、特に何とも思わないな。それが外道相手なら尚更だ。

気紛れに生かすことはあっても、惜しいと思う価値も無ければ殺すだけだしな。

まぁ、俺の大切に手を出すなら情け容赦なく殺すけど。

それに一々罪悪感を感じてたら、守れるときに守りたいものも守れないだろ?

だから、殺した事実から目を背けず、向き合って背負い続ける覚悟も、俺は出来ている。」

愛子「……。」

 

ハジメの言葉に、愛子が辛そうに顔を歪める。

誰よりも多くを背負い続ける覚悟も、己の信念を貫き通し続ける心の強さも、そして民が為に国を纏める王としての姿も、愛子を更に締め上げる要因となった。

 

愛子「……誰も……責めないんです。」

そしてとうとう、堪りかねた様に愛子は言葉を漏らした。

愛子「誰も、私を責めないんです。

クラスの子達の私を見る目は変わらないし、王国の人々からは、称賛じみた眼差しさえ向けられます。」

その表情は苦悶に満ちており、相当悩んでいたことが見て取れる。

 

事実、クラスメイト達はハジメの凄惨な政策の印象が強すぎて、愛子が処刑台に立ってイシュタルの首を落としたことにあまり実感が持てず、生徒を道具として扱うなと堂々と主張してくれたことへの嬉しさの方が勝っていた。

一教育者としてのその姿勢には、王国の貴族や役人達は洗脳を解いてくれたと感謝している位だ。

 

愛子「デビッドさん達にも全て話しましたが、彼等でさえ『少し考えさせて欲しい』とその場を離れるだけで直ぐに責める様な事はしませんでした。

私は、彼等の大切なものを、自らの手で根こそぎ奪ったというのにっ!」

愛子の噛み締めた唇から血が滴り落ちた。愛子は、責めて欲しかったのだろう。

 

人を殺すという行為は……重い。

狂人や性根の腐った者、或いは覚悟を決めたり割り切ったりした者でもない限り、普通は罪悪感や倫理観という名の刃によって己の精神をも傷つけるものだ。

 

そういう者にとって、責められる、罰を与えられるというのは、ある意味救いでもある。

愛子自身も、無意識にそれを求めたのだろう。しかし、それは与えられなかった。

イシュタルの処刑を愛子が行ったのは、そもそもハジメが光輝達に処刑役をさせたことが原因で、ハジメ達も愛子が処刑役をするのを止めなかった以上、責める訳にはいかない。

 

しかし、感じる苦しみは人を殺した者が背負う業であり、理屈でどうにか出来るものではない。

声を荒らげた事を恥じたのか、申し訳なさそうに体を縮こまらせ、苦悩する愛子。

そんな彼女に、ハジメは優し気な視線を向け、質問を投げかけた。

 

ハジメ「あの時、約束したことは覚えてる?」

愛子「え?」

ハジメ「いや、言ったじゃん。先生はこれからも、この先何があっても、先生でいてくれるって。」

愛子「!」

 

ハジメの唐突な質問に、愛子は思わずキョトンとした表情になるも、その後の指摘でハッとなる。

当時の事を思い出したものの、その時は自信を持って「当然です!」と答えた筈の愛子は、即答することが出来なかった。

それは、人殺しが教師など名乗っていいのかという疑問が脳裏を過ぎったからだ。

 

愛子は、歯を噛み砕かんばかりに噛み締め、表情を歪ませた。

途轍もない葛藤が愛子の内心で渦巻いているのが手に取るようにわかる。

答えられない愛子に代わって、ハジメはそれを予想していたように話し出した。

 

ハジメ「きっと他の人が先生だったら、あんなに生徒の為に一生懸命になってはいなかった筈だよ。」

愛子「一生懸命だなんて……先生はただ、ああすることでしか、生徒の皆さんを守れなかっただけですよ……。」

ハジメ「そのおかげで、先生が出来る事をし続けてきたからこそ、俺達生徒は救われたんです。」

愛子「!」

ハジメ「俺は、俺達は、畑山愛子が自分達の先生で良かったと、ずっと思っています。」

顔色も悪く今にも崩折れそうな愛子は、ハジメの口から飛び出した言葉に、目を見開いた。

 

ハジメ「だからさ……これからも俺達の先生として、罪悪感を忘れないでいてほしいっていう、生徒のちょっとした我儘を聞いてくれたらなぁ~……って。」

そう言いながら、ハジメは愛子の方に向き直り、真っ直ぐに視線を合わせた。

自分を見つめるハジメの瞳に、どこか包み込むような温かさが宿っている気がして、愛子はまるで吸い寄せられるように見つめ返す。

 

ハジメ「いつでも正しくあれる程、人間は良くできてはいないけどさ……悪い事をしたら謝るっていう、青臭くて眩しいけど当たり前な人間らしさは、きっと大事なものだから。

この先、俺達は間違えることは何度もあるけど、その人間らしさを忘れない限り、幾らでもやり直せると思うんだ。

だから先生には、俺が"人間らしさ"を忘れない見本として、その罪の重さを忘れないでいてほしい。

それが、俺達にとって誇らしい先生への"罰"だよ。」

愛子「!南雲君……。」

 

愛子の心は、苦悩の中でも"先生"であり続けろと言う、その我が儘で優しい言葉に、まるで暗雲を払われるような衝撃を覚えた。

確かに、自分のした決意と行動の結果を受け止めることは大変なことだ。

ましてそれが痛みを伴うものなら尚更。逃げてしまいたくなるし、折れてしまいそうになる。

生来の性格が、或いは決意と覚悟がそれを許さないから余計に苦しい。

 

だが、そんな自分の姿が、たとえどんなに間違えてしまったとしても、大事なことを思い出させてくれるという人がいる。

それだけで心の支えに、助けになるという人がいる。愛子は思った。

 

――ああ、本当に、何て我が儘。何て、容赦がなくて優しい我が儘だろう。

愛子の頬を透明な雫がするりと零れ落ちた。

今まで、自分がやったことなのに泣くなんておこがましいと、耐えてきたものがあっさり決壊してしまった。

ホロリホロリと涙を流す愛子に、ハジメが後ろを向きながら、両手を大きく広げて言った。

 

ハジメ「ま、その代わり俺も、先生が泣きたい時や、どうしようもなく苦しくて折れそうな時は、いつでもこの背中を貸しますよ。

だって、俺は先生の生徒で王様だから。そういう時は、先生の不安も悲しみも全部、受け止めます。」

愛子「っ……本当に……貴方という人は……。」

 

先生が泣いていることに気がついてなんていませんよ?と言わんばかりに背を見せ、肩越しにニカッと笑うハジメに、愛子は泣き笑いをしながら近寄ると、ポスッとその背中に顔を埋めた。

その間に、ハジメも防音用の結界を張り、どれだけ大声で泣いても大丈夫なようにする。

 

愛子「では……少しだけ貸して貰いますね。」

ハジメ「おう、幾らでもどうぞ。」

気軽に応えるハジメに愛子は頬を緩めつつ、その身を預ける。

そして、溜め込んだものを吐き出すように涙を流しながら、改めて誓いを立てた。

 

すなわち、守るべき生徒達の為に教師で在り続けると。そして、共に罪を背負い続けると。

どこかの我が儘なで王様な教え子が見ていてくれるというのなら……なんか行ける気がしたのだ。

2人の影が大きく東に伸びる。暫らくの間、日暮れの中ですすり泣く声が、石碑近くで響いていた。

 


 

その後、漸く泣き止んだ愛子と連れ立って王宮に戻ったハジメは、やたら頬を染めて恥ずかしげに俯きながら、そそとハジメの傍を歩く愛子に、「まぁ、気長に待ちますか……。」と内心で呟きながら、ユエ達の元へと戻るのであった。

そして案の定、ユエ達に部屋に連れ込まれて、問い詰められたのは言うまでもない。

 

尚、デビッド達神殿騎士について、王宮に戻る途中で偶然出会った彼等だったが……最終的に愛子愛が圧勝したらしい。

元々、愛子の護衛についてから、価値観に多様性が生まれつつあった彼等だったが、ウルでの出来事もあった上に、王都に戻ってから愛子と強制的に引き離され、安否の確認も出来ないまま下山させられた事や、その時の教会関係者等の言動で不信感が募っていたらしい。

 

そこに聖教教会や世界の真実が重なって、相当ショックではあったものの、やはり愛子を憎むことは出来ないという結論に至ったようだ。

どこかやけっぱち感が漂っているような気がしないでもなかったが……

 

これからは、"豊穣の女神"を信仰しつつ、王国の一騎士として復興や守護に努めることにしたようである。

一周回って、愛子への愛が変な感じに昇華されているような気がしないでもないが……きっと彼等にも色々あるのだろう。

 


 

シア「まったくもう、ホントにもうっ!ですよっ!」

香織「ハジメくん……少し自重しようね?」

ティオ「ふふふ、流石ご主人様よ。ほんの少し目を離した隙に止めを刺すとは……。」

ハジメ「どうしてそうなるのさ……。」

 

王宮内の食堂にて、夕食をつつきながらシア達のどこか責める様な声が響く。

それを向けられている俺はというと、目の前の王宮料理を口に運びながら、何故責められているのか甚だ疑問に思っていた。

 

ミュウ「みゅ、愛子お姉ちゃんも、パパが好きー!って顔に書いてあったの!」

レミア「あらあら……ミュウ、それ人前では言ってはダメよ?」

トネリコ「ハジメさんも、ちゃんと愛子さんの事を見てあげてくださいね?」

ハジメ「いや、見るも何も明日ここを発つし……。」

尚、俺の右隣に座っているユエは何も言わないが、どこか困った人を見る様な目を向けている。どうしてこうなった。

 

幸利「未亡人の次は教師って……ハジメ、お前はギャルゲーの主人公か?」

ハジメ「誰が鈍感系主人公じゃ!どちらかと言うと、俺はラスボス系主人公だ!」

恵里「でも兄さん、日本にいた時もよく女性客から人気があったって、エリザベスさんが――」

ハジメ「恵里、その話は止めてくれ。ユエ達の眼が怖いから……。」

 

そんな感じで盛り上がっていると、光輝達を含むクラスメイトや先生がやってきた。

予め食事をする時間は聞いていたが……もうその時間か。

すると、何やらこちらが気になるのか視線を向けており、ある者は興味津々な様子で、ある者はどこか気まずそうに、またある者はどういう態度をとればいいのか分からないと戸惑った様にそわそわしている。

別に話しかけてこようが、取って食う訳でもないのに……因みに、先生は別の意味でこちらをチラ見している。

 

香織「あっ、雫ちゃん!こっちだよ!」

雫「香織。隣いいかしら?」

香織「勿論だよ!」

ニコニコと使徒のクールフェイスで人懐っこい笑みを浮かべる香織に、雫も自然と頬を緩めて隣の座席に座った。

 

香織が体を変えたという信じ難い事実に最初は戸惑っていたクラスメイトも、その笑顔に香織の面影を見たのか僅かに場の雰囲気が和む。

体は変わっても、香織の持つ和やかな雰囲気はクラスメイト達の心を穏やかにする様だ。

 

寧ろ、俺が姿を消してピリピリとしていた頃に比べれば、以前の香織が戻ってきた様で嬉しそうにしているクラスメイトも多いらしい。

光輝が勇者として成長したこともあって、転移前の賑やかさに戻り始めているしな。

 

そして、雫が座席に座ると、その隣に光輝が、向かい側に先生が、その隣に鈴が座った。先生は丁度ユエの隣だ。

続いてクラスメイト達が他の座席に座っていく。

尚、何故か鈴がユエを見て座る際、「お姉様のお側……し、失礼します!」と言いながら妙に緊張している姿が見られた。

当然、ユエは「……何故お姉様?」と首を傾げる。因みに、トシと恵理は俺の斜め前だ。

……そういえば、浩介は何処行った?*1

 

そして、光輝達が席に着くと、王宮の侍女達が一斉に動き出し、俺達と同じメニューの配膳を行っていった。

とその時、ユエの頭越しに先生と目が合い、途端に先生の頬が薄く染まり、恥ずかしげに目が逸らされる。

それでもチラチラと俺を見た後、内緒話でもする様に声を潜めて声をかけてきた。

 

愛子「あ、あの、ハジメ君……、さっきのは……その、出来れば……。」

ユエは自分越しに話をされて若干居心地悪そうに身動きするが、恐らく、大人で、かつ、教師でありながら俺に泣きついた事が恥ずかしくて口止めしたいのだろうと察し、何も言わなかった。

それに気づいた俺はユエに内心で感謝しつつ、先生に視線を送る。

 

すると、何故か先生はビクッと体を震わせ、更に耳まで染め始めた。

目を合わせた時点でとっくに気づかれているとは思うが……そんな先生の様子に、雫達が俺へとジト目を向けてきた。

幸い、他の生徒には位置的に死角となってバレていない様だが、比較的近くにいる前線組は訝しそうな眼差しを向けていた。

 

おい、そこの男子3人。「あの野郎。とうとう愛ちゃんに止め刺しやがったなっ!」とかいう怨嗟の視線止めろ。

宮崎と菅原は苦笑いしており、園部のみ如何にも「興味ありません!」といった様子だが、その視線はもの凄い頻度でチラチラとこちらに飛んでいる。

 

ハジメ「何かあったっけ?」

愛子「ふぇ?」

なので、全力ですっとぼけた。

先生にも視線で「合わせて。」と送ると、一瞬呆けていた先生も、秘密にしてくれるのだろうと察したのか、苦笑いしながら「いいえ、なんでもありません。」と答えてくれた。

……までは上手くいったけど、頬が緩んでいるのも隠してほしかった。

 

ミュウ「パパ、ミュウはお腹がすいたの!」

なんとなく女性陣からの視線が痛いが、流石はミュウ。空気を察して助け船を出してくれた。うちの娘は天才だな!

尚、女性陣で唯一、ユエだけが俺の肩をポンポンと叩き、更に「あ~ん。」をしてくれた。

……正直、暴力系ヒロインは出来れば避けたい。まぁ、今の嫁達にそんなヒロインはいないけど。

 

シア「ハジメさん。あ~ん、ですぅ。」

すると、逆サイドに座るシアが、俺の袖をクイクイと引っ張った。

どうやら恋敵が増えそうな事に憤るよりも、アピールに時間を費やすべきだと判断したらしい。

頬を染め、上目遣いでそそとフォークを差し出している。

 

その際、ウサミミをひっそりと俺に寄り添わせることも忘れていない。

素晴らしいあざとさだった。当然、躊躇うことなくパクッと食いつく。

モグモグと口を動かしていると、シアは嬉しそうにウサミミを揺らし、ついでにウサシッポもフリフリした。

すると、ティオ達も黙ってはいられないのか、慌てて料理にフォークを突き刺す。

 

香織「ハ、ハジメくん、私も、あ~ん!」

ティオ「ご主人様よ。妾のも食べておくれ。あ~んじゃ♪」

ハジメ「おっとと、一人ずつにしてくれ。俺も口は1つしかないんだから。」

勿論、パクッパクッと食いつくと、香織もティオもほわ~んとした表情になった。

 

レミア「はい、あなた。あ~ん♪」

トネリコ「では、私も!ハジメさん、あ~ん♪」

ハジメ「……いただきます。」

そしてこちらもパクッパクッと食いつく。またもやほわ~んとなる。

 

ミュウ「みゅ!ミュウもあ~ん、するの!」

ハジメ「はむっ……う~ん、美味しい!ありがとうねミュウ!」

あまりの可愛さにナデナデすると、こちらはゆる~んとした表情になる。可愛い(本気)。

 

雫「何、この空気……半端なく居心地が悪いのだけど……。」

そんな中、雫が何故か頬を引き攣らせていた。隣の光輝や龍太郎、鈴も同じように居心地悪そうにしている。

トシと恵里は呆れつつも平然としているが……はて?

後、先生、なんで一人ノリツッコミしてんの?何考えているかは敢えて聞かないけど……。

 

すると、他の女子生徒は突然の甘い空気に先程までのぎこちない空気を霧散させて、こちらをチラ見しながらキャッキャッと騒ぎ始めた。

俺に畏怖している様な目が、一瞬で恋バナのネタを見る様な目に変わっていた。

何があってこうなったかって?初オルクスから読んでいる読者の皆様ならわかることだ。*2

 

一方、男子連中も、畏怖の宿る目から、メラメラと燃え盛っていそうな嫉妬と羨望の眼差しを向けてきた。

ま、気持ちは分からんでもない。だって、俺の嫁達は最高の美女・美少女達だもの!!

特にシアに視線が行っているのは、ケモ耳属性が持つ魅力に引き付けられているからだろう。

 

まして今のシアは、俺の隣で実に可憐な微笑みを振りまいており、時折ピコピコと動くウサミミは破壊力抜群なのだ。

現に俺も、初夜はモフモフしまくりたい衝動に襲われたものだ……あぁ、色んな意味で最高の夜だった。

詳しい説明はって?それはここで語れないなぁ……?

 

しかし、彼等がいくら嫉妬と羨望に身を焦がそうと、どれだけ異世界の美少女達と仲良くなる秘訣を聞き出したかろうと、何を言えるわけでもない。

我、国のトップで魔王ぞ?まぁ、別に良からぬことを考えない限り、何もしないけどさ。

 

すると視界の端に、何故か頬を染めたままジッとフォークを見つめる香織の姿が見えた。

香織は少し目を泳がせると、何か決意した様に申し訳程度に料理を乗せてパクッとフォークを口にし、再び頬を染めた。

 

いや、思春期かっ!そもそもキス以上の事もしたから、今更でしょうが!

と、内心でツッコミを入れていると、ユエが香織をジッと見つめていた。

それに気がついた香織が、目を合わせたと同時に、痛烈なツッコミが入った(言葉の矢が解き放たれた)

 

ユエ「……変態。」

香織「!?ち、違うよ!何て事言うの!わ、私は普通に食事しているだけだし!」

ユエ「……と言いつつ、ハジメ味を堪能。」

香織「し、してないってば!だ、大体、そんな事言ったら、ティオこそ変態でしょ!

ほら、こんなに堂々とフォークを舐めてるんだよ!」

ティオ「レロレロレロ、んむ?」

 

顔を真っ赤にしてユエに反論する香織は、ビシッ!とティオを指差した。

その先では、普通にフォークを口に含んでモゴモゴレロレロしているティオが、キョトンとしていた。

如何にも「何か問題でも?」といった表情だが、ティオが咥えているフォークには何も乗っていない。

明らかに別のものを堪能していた。

 

ハジメ「ティオ、流石にそれはダメ。ミュウの教育に悪いよ。」

ティオ「むぅ、仕方なかろう。

ここ最近トラブル続きなのじゃし、こういう時に堪能しておかねば、欲求不満になるのじゃ。」

ハジメ「じゃあ部屋で思う存分……全員、臨戦態勢かよ。」

不用意な一言を口にしてしまった瞬間、ティオだけでなくユエ達の眼がギラリと輝いた。

 

当然、女子達は再びキャッキャッと騒ぎ始め、男子共は何やら呪いの言葉を吐き出し始めた。

更に先生が、「複数の女性と寝るなんて、ふしだらです!」と、先生らしい*3説教を始め、それに対してシアがうっかり口を滑らせ、俺とユエ達の夜の関係が暴露されてしまい、そのせいで更にクラスメイト達がヒートアップ、かつ、一部男子達が立った為に立ち上がれなくなったり……と、食堂は中々にカオスな空気と化していった。

 

全く……今日は寝るまで姦しい日々だった。

●冒険者ギルドで"金"ランクの冒険者を1人漢女にした。

●王都中の職人をわからせてきた。

●現公爵家嫡男で元王太子をボッコにし、更にその初恋を散らした。

●先生と遭遇してその悩みを受け止め、更に異性としてみられるようになった。

●夕食時には稀代の色王扱いとこの騒動。

 

明日は出来れば早い方が良いんだが……ま、ここは家族サービスということで。

果たして、ハルツィナ大迷宮では何が待ち構えているのか。

期待に胸を膨らませながら、俺は大切な人達をギュ~ッと抱きしめるのであった。

*1
浩介「いや、普通に近くの席にいるんだが……。」

*2
メメタァ!

*3
多分、個人的憤りもあると思う




これにて、王都動乱編は終了です。次回より第6章「ハウリアVS帝国」をお楽しみください。

追記:白河上皇さん、誤字報告ありがとうございます。

ハジメさんがライダー以外の能力を手に入れるとしたら?

  • 全スーパー戦隊の力
  • 全ウルトラマンの力
  • その他全特撮ヒーローの力
  • 全サーヴァントを召喚、使役する能力
  • 全てのスタンドを扱える力
  • 全ての魔術・魔法を扱える力
  • 全ジャンプ作品の力を扱える
  • 全サンデー作品の力を扱える
  • 全コロコロ作品の力を扱える
  • 全マガジン作品の力を扱える
  • 全てのラノベ作品の力を扱える
  • 別の世界に能力そのままで転生できる能力
  • 一億年ボタン
  • 全てのロボットを操縦できる能力
  • 無限残基
  • 女難に巻き込まれなくなる
  • 倒した敵の全能力を得る能力
  • 全スマブラキャラの力
  • その他全ゲームキャラの力
  • その他(活動報告でリクエスト)
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