Re.ありふれない錬成師で最高最善の魔王、世界最強を超越する   作:天元突破クローズエボルハザード

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お待たせいたしました。いよいよ第7章開始です。


第7章:亜人解放戦争
サイド-Ⅷ:リベリオンの咆哮


???「……隊長、伝令部隊の奴が持ってきた話は……本当でしょうか?」ボソリ

真白の深い霧の中を進む、1人の男が呟いた。

青年と呼べる様な年若い男は、浅黒い肌に先の細い耳を持っていた。紛う事無き魔人族だ。

その声は、すぐ隣にいる厳格な表情が似合う年嵩の魔人族の男の耳に届き、眉間の皺を【ライセン大峡谷】の如く深くした。

 

???「……セレッカ副隊長、今の発言は伝令部隊が欺瞞情報を撒いているという意味か?」

セレッカ「い、いえ。そういう事では……申し訳ございません、ダヴァロス隊長。」

厳めしい顔に似合った厳しい声音に、セレッカと呼ばれた魔人族の青年は慌てて頭を振った。

 

ダヴァロスはジロリとセレッカを睨む。明確な叱責が含まれた眼光だ。

その視線が彼等の更に後に続く魔人族達に向いた事を考えれば、言いたい事は明白。

即ち、部隊の副長クラスにある者が、不用意な発言をするなという事だ。

 

ダヴァロス「我等が樹海に突入する寸前に、魔物を潰す覚悟で伝えに来た急報だ。間違いあるまい。」

セレッカ「ですが、まさかあのフリード様が重症を負わされた上に敗走などと……!?」

ダヴァロス「それ程の強敵が、人間側にいた。そういう事だろう。」

セレッカ「そんな馬鹿なっ!?あのフリード様ですよ!?

白竜(ウラノス)がいて、他の魔物も……それでもその様な……っ!」

 

必死に声を抑えてはいるが、瞳の奥の動揺は隠せていない。

ダヴァロスは再度叱責を込めた鋭い眼差しでセレッカを睨んだ。

ぐっと言葉を飲み込むセレッカを横目に、しかしダヴァロスは心の内で「無理もない。」と思った。

 

彼等、ダヴァロス率いる【魔国ガーランド】所属・特務小隊が、【ハルツィナ樹海】にある筈の"真の大迷宮"を攻略する為に祖国を出発して早2ヶ月が経とうとしていた。

亜人族のテリトリーである【ハルツィナ樹海】は、晴れる事の無い真白の濃霧に覆われた秘境だ。

この樹海では、視界はもとより方向感覚すら狂わされる。

亜人族と樹海原生の魔物だけがその天然の脅威を無視できるのだ。

 

現在の【ガーランド】は総大将フリード・バグアーの指揮の下、各地の大迷宮攻略を積極的に進めている。

魔人族の英雄たるフリードの力の源が、"真の大迷宮"を攻略する事で得られる神代の魔法であるからだ。

フリードは一人でも多くの魔人族を自分と同じ神代魔法の使い手とする事で、魔人族全体の更なる強化を図る算段だった。

 

ダヴァロスは【ガーランド】における古強者という分類で、魔王やフリードの信頼も厚い男だった。

今回の樹海遠征において隊長を任せられるというのは、彼ならば"真の大迷宮"を攻略するに足る人材だと判断されたからでもある。

 

彼自身、期待や信頼に応えたいという意気込みの他、己の力への自信から"真の大迷宮"攻略も不可能ではないと考えていた。

何より、彼には心強い手札があった。

 

「ギィギィッ!」

「ヂヂヂヂッ!」

 

小さく、金属が擦れる様な音。それは鳴き声だ。彼等が率い、そして騎乗している魔物達の。

それがフリードより与えられた強大な戦力。樹海の濃霧が齎す不利を無視でき、尚且つその戦闘力は呆れる程のもの。

他の大迷宮や都市攻略の任務を受けた者達も、同じく強力な魔物という手札を与えられていた。

 

この力があれば……作戦開始当時には、誰もがそう考えながら不敵な笑みを浮かべたものだ。

魔人族の栄光は約束されたのだと、後は世界の全てに自分達の崇める神と種族の偉大さを叩き込んでやればいいだけだと、自信に満ち溢れていた。

 

 

──何時からだろうか、その自信と確信が揺らぎ始めたのは。

 

 

樹海攻略には濃霧が齎す不利を無視出来る魔物の存在が不可欠だ。

"真の大迷宮"攻略の他、亜人族との戦いもある以上は数もそれなりに必要。

そうすると、とてもではないが飛行型の魔物による空輸は不可能。

 

いくら戦闘力に自信があるといっても、流石に完全に防備を整えた一国と正面切ってやり合うつもりは無い。

ギリギリまで隠密行動をする必要性があるという点からも、目立つ行動は避けたかった。

その為、彼等は南大陸中央にある【ガーランド】から【ライセン大峡谷】沿いに東へ進み、南大陸側にも数百kmに亘って存在する樹海へ地道に陸路を進んできた。

 

樹海に到達してからは森の浅い部分を北に向けて進軍、故に【ガーランド】からの伝令と連絡を取り合う事は可能だった。

そしてその間に届く知らせは、各地で同胞達が戦果を上げ、或いは神代魔法を会得したという知らせ……である筈だった。

 

 

●特命:大規模穀倉地帯の壊滅及び豊穣の女神殺害

 

──失敗。担当した特務部隊員所属レイスは死亡、貸与された魔物……全滅。

 

●特命:真のオルクス大迷宮攻略及び、可能なら勇者の勧誘

 

──失敗。担当した特務部隊員所属カトレアは死亡、貸与された魔物……全滅。

 

●特命:アンカジ公国の壊滅

 

──失敗。担当した特務部隊員所属ローゲンは帰還、貸与された魔物……喪失。

 

 

次々に届く有り得ない知らせ。

情報共有の為に創設された伝令専門部隊の兵は、現れる度に歓喜とは程遠い強張った表情をしていた。

そして、亜人族の国【フェアベルゲン】が近づき、樹海の深部へと進軍する直前に届いた信じ難い知らせ。

 

 

──フリード将軍グリューエン大火山にてイレギュラーと交戦

──無事、帰還。しかし、火山の神代魔法を以てしても、傷1つつけられなかった上、見逃される形で敗走。

 

 

無敵無敗と謳われた、魔人族の英雄が赤子の様に弄ばれ、退けられる……この知らせを受けた時に衝撃は計り知れない。

念の為にと、隊長格にだけ情報が渡る様伝令に配慮を求めておいて良かったと、ダヴァロスは心底思ったものだ。

でなければ今頃、この小隊の士気はガタガタになっていただろう。実際、副隊長がこの動揺ぶりなのだ。

ダヴァロスとて、動揺はある。だがそれ以上に、憤怒の感情が胸の内にあった。

魔人族の栄光に影を差す存在、選ばれし種族たる自分達に楯突く愚者共への、煮え滾る様な怒りが。

 

セレッカ「隊長、前方に集落。亜人共のテリトリーに近づいた様です。」

そんな感情を抱えながらも、ダヴァロスはセレッカの報告に頷く。

負ける要素の無い自分達こそが、吉報一番を祖国に届けるのだと気持ちを滾らせる。

 

ダヴァロス「聴け、お前達!

現在、フリード将軍による王都侵攻作戦と、ディヴォフ小隊による帝都破壊及び皇帝暗殺作戦が進行している!

両者共、間違いなく吉報を祖国へ持ち帰るだろう。我々だけ手ぶらで帰れば末代までの恥だぞ!!」

その発破に、セレッカを含め部下達の戦意は膨れ上がった。

ギチギチ、ヂヂヂッと、同じく戦意を高める──新種の魔物の軍勢と共に。

 

だが、ダヴァロスは知らなかった。王国の大本命たる王国侵攻作戦。そこへそのイレギュラーが向かっていた事を。

そしてイレギュラー本人が居らずとも、かの大樹海には彼が鍛えし、最凶の首狩り兎一門がいる事を。

最も確実と思われた大樹海こそが、最大の鬼門であったという事を。

 


 

深い霧に包まれた森。

トータス(この世界)最大の秘境にして、7大迷宮の1つにも数えられる危険地帯――【ハルツィナ樹海】だ。

その中では、濃霧が作り出す真白の世界が一寸先の視界すら閉ざし、魔法的・技術的の区別なく如何なる探索方法も尽く狂わされる。

 

故に、そんな樹海の中でも正常な感覚のまま活動できる強力な魔物に対処することなど不可能に近く、また、この秘境において唯一影響を受けない種族――

亜人族が護国の為に凶刃を振るってくるとなれば、正に"帰らずの森"である。

一度踏み込んだが最後、人間族も魔人族も二度と出ることは叶わない。

 

だからこそ、【ハルツィナ樹海】とは亜人族にとっての拠り所であり、樹海という天然の要塞に守られた安息の地であった。

その最たる場所が、【フェアベルゲン】だ。

 

ありとあらゆる種族が暮らし、最大戦力を有する亜人族の国家。

樹海の外では魔法を使う人間族や魔人族には敵わず、奴隷と言う立場に甘んじるしかない彼等でも、この樹海の中、【フェアベルゲン】を中心とした組織的防衛を行う限り敗北は無い。

 

――筈だった。その日までは。

 

炭化した草木。ごっそりと削り取られたように消失した樹海の一部。

そして、その先にある変わり果てた【フェアベルゲン】。慟哭が木霊し、怒号が響き渡る。

静謐と濃霧による、真白の世界が崩されたのだ。

 

美しかった森の都は、煙と血、炭化した家々で見る影もなく、地面は夥しい軍靴と無数の獣の足跡で踏み躙られていた。

亜人族達の故郷を襲った者達の姿は、既にない。が、亜人族の方も、多くの人の姿が無かった。

殺された、と言う意味だけではない。連れ去られたのだ。

 

???「何とも酷い様だ。折角死守したというのに、この惨状とは……。」

残された者、生存者達が右往左往している【フェアベルゲン】の、今は崩壊した正門の上に都を見下ろす人影があった。

 

焦げ臭い風がヒュルリと吹く度にウサミミが靡く。

モフモフした感じがとてもキュートだが、その下の顔を見た瞬間、或いはケモナーにあっては絶望すらするかもしれない劇画タッチの厳つい顔があった。

歴戦の将校の如き雰囲気を漂わせるウサミミなおっさんの正体は――カム・ハウリア。

兎人族の一部族にして、ハジメ直属の暗殺部隊であるハウリア族の族長だ。

 

シュパパパパパッ!

 

そのカムの周囲に、次々に影が舞い降りた。見下ろせば、正門の下にも何時の間にか無数の人影が集まっていた。

勿論全員、ハウリア族だ。

どいつもこいつも、温厚で争い事が苦手な世界一気弱で脆弱な種族じゃなかったのかとツッコミを入れたくなるほど、歴戦の軍人のような雰囲気を漂わせている。

 

もう目つきがヤバかった。

【フェアベルゲン】が酷い有様だというのに、何故か全員悲観した様子もなく、獣じみた不敵な笑みを浮かべていらっしゃる。

 

???「族長。各集落の情報、集まりましたよ。」

カム「聞こう。」

腕を組んでいる姿がやたらと香ばしいカムに、これまたウサミミなのに頬に十字傷をこさえ、やたらと迫力のある青年が報告の為に口を開く。

 

報告の内容は、【フェアベルゲン】とその外にある集落を住んでいたハウリア以外の兎人族達の安否確認についてだった。

それによれば、相当な数の兎人族が連れ去られたらしい。

 

カム「部隊の損害は?」

???「まさか。ハウリアにそんな間抜けはいませんぜ。多少負傷している奴もいますが、戦闘不能は皆無でさぁ。」

カム「よし。選抜部隊を編成しろ。後を追う。部隊長は私だ。残りは次の襲撃に備えて陣地を構築し直しておけ。」

???「了解!」

 

打てば響くように応え、敬礼を以て返すウサミミ青年。

カムはその場に集った数十人のウサミミ達を背後に控えさせ、眼下の一族へ顔を向けると、思わず「この人殺し!」と罵ってしまいそうな凶悪な目つきを巡らせた。

そして一拍。静かだが、何かを押し殺したような恐ろしい声音が響く。

 

カム「我等の領域を侵しておきながら、のうのうと生きているゴミ共がいる。」

集うウサミミ達からぬるりとした殺気が漂う。

カム「我等の同胞を攫い、虫けらのように扱う気なのだろう。」

正門の近くを偶然通りかかった熊人族の男が、殺気立つウサミミ達を見て「ひいっ!?」と悲鳴を上げながら逃げて行った。

一応、熊人族は亜人族の中でも格別に強い種族なのだが……彼の表情は、まるで森の中で熊に出会った少女の様だった。

 

カム「許せるか?このような蛮行を。」

静かにカムが問う。すると、

「「「「「否ッ!否ッ!否ッ!」」」」」

応えるように怒号が木霊する。要救助者の搬送に治療にと走り回っている人達が一斉にビクゥッと震えた。

 

カム「今までと同じく、泣き寝入りするか?」

「「「「「否ッ!否ッ!否ッ!」」」」」

カム「そうだ、否だ!断じて否だ!我等はもう、ただ逃げ惑い、耐え忍ぶだけの軟弱な種族ではない!あってはならない!敬愛する我等が陛下(ロード)の名に懸けて!!」

カムさんヒートアップ。拳を握り、天を衝くように掲げる。

 

カム「教えてやろう!最弱の牙がどれほどのものか!叩き込んでやろう!本当の恐怖と言うものを!」

「「「「「虐殺ッ!暗殺ッ!首狩りッ!万歳ッ!」」」」」

ガサガサッと音がした。見れば、狼の様な魔物の後ろ姿が見える。どうやらどさくさに紛れて忍び込み人を襲う気だったようだが、ウサミミ達の恐ろしい掛け声を聞いて一目散に逃げ出したらしい。

 

魔物も裸足で逃げ出すウサミミ達の殺意……

部下(家族)達の血気盛んな様子に満足そうな微笑みを浮かべたカムは、次の瞬間、大きく息を吸い、カッと目を見開くと、

 

カム「帝国の愚者共に――目にもの見せてくれようぞぉおおおおっ!!!」

鉄槌を下すが如く、拳を振り下ろして雄叫びを上げた。応えは当然

「「「「「YAHAAAAAAAAAAAAAッ―――!!!」」」」」

樹海を揺るがさんがばかりの雄叫びだった。

 

何処からか「敵襲ッ!敵襲ッ!」という緊迫した怒号が響いてくる。

ウサミミ達の発するあまりの殺意と戦意に、再び敵が攻めてきたと勘違いしちゃったらしい。無理もない事だが。

 

俄かに混乱が広がっていく【フェアベルゲン】。

そんなものはお構いなしに、奈落よりいでし魔王により魔改造されたウサミミ達は雄たけびを上げる。

怒り狂ったウサギ達の、その魔手が、遂に樹海の外へと伸ばされるのであった。

 


 

シア「ハッ!?」

ハジメ「?どったの、シア?」

【ハイリヒ王国】の王宮の一室にて、いきなりウサミミをピンッと立てながら、立ち上がったシアに、ハジメが不思議そうな表情で訊ねた。

ユエ達も何事かと視線を向けている。

 

シア「あ、いえ、すみません。なんだか、父様達がヒャッハー!している気がして……。」

ハジメ「あぁ、そういえばどうしてっかな?

万が一、魔人族とドンパチしていたとしても、戦場が樹海なら大丈夫だとは思うが……。

ま、これから樹海に向かうわけだし、自分で思ってる以上に再会が楽しみなのかもしれないね?」

少し笑いながらそういうハジメに、シアは少し恥ずかしそうにウサミミを竦めながら頷いた。

 

シア「かもしれません。皆元気かなぁ。危ない事してないといいですけど……。」

ハジメ「祈るしかないねぇ……帝国や魔人族が余計なちょっかい出してこないことを。」

シア「そっちですか!?」

ハジメ「だって、あいつら簡単に殺られるようなタマじゃないし。」

シア「それはそうですけど……うぅ、なんだか無性に心配になってきました。

皆、何があっても無事でいて、大人しくしていますように!」ピコピコ

 

家族に届けと言わんばかりに、ウサミミを動かしてお祈りするシア。

まさかこの時、その家族が一国を相手に喧嘩を売っているとは想像だにしていない。

そして、その喧嘩がこの世界における亜人族全体の立ち位置を大きく変えることになるとは、やっぱり思いもしないシアであった。




次回からハジメさんサイドです。但し、3人称が少し続きますので、その辺りはご了承ください。

ハジメさんがライダー以外の能力を手に入れるとしたら?

  • 全スーパー戦隊の力
  • 全ウルトラマンの力
  • その他全特撮ヒーローの力
  • 全サーヴァントを召喚、使役する能力
  • 全てのスタンドを扱える力
  • 全ての魔術・魔法を扱える力
  • 全ジャンプ作品の力を扱える
  • 全サンデー作品の力を扱える
  • 全コロコロ作品の力を扱える
  • 全マガジン作品の力を扱える
  • 全てのラノベ作品の力を扱える
  • 別の世界に能力そのままで転生できる能力
  • 一億年ボタン
  • 全てのロボットを操縦できる能力
  • 無限残基
  • 女難に巻き込まれなくなる
  • 倒した敵の全能力を得る能力
  • 全スマブラキャラの力
  • その他全ゲームキャラの力
  • その他(活動報告でリクエスト)
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