Re.ありふれない錬成師で最高最善の魔王、世界最強を超越する 作:天元突破クローズエボルハザード
注:遊び半分の伏字です。因みに正しい文章は『了解だ、大佐。任務を続行する。』です。
ユエ「……ハジメ、もう終わったの?」
ハジメ「あぁ、欲しい情報は十分得られた。今晩、カム達がいる可能性の高い場所に潜入する。
警備は厳重だが、カム達を見つけて即トンズラするだけだしな。潜入するのは俺、ユエ、シアの3人で行く。
香織達は帝都の外にいるパル達のところにいてくれ。直接転移するから。」
ヘルシャー帝国の帝都。その一角にある宿屋一階の食事処にて、俺達は食事をとりながら、情報共有を開始した。
雫「それはわかったけど……そもそも、その情報は正しいの?ネディルって人が嘘を言っている可能性は……。」
あっという間に戻ってきて即座に予定を決めた俺に、雫が呆気に取られつつも尤もな懸念を口にする。
確かに、そのネディルという男が嘘をついている可能性もある。
ハジメ「何、奴の息子()に聞いてきた上に、脳内を少し弄って来たしな。確かな情報だろう。」
幸利「お前っていつもそうだよな!相手の事なんだと思っているんだ!?」
光輝「あの日の感動を返してくれ……。」
なんか失礼なことを言ってくる奴等は無視☆
光輝「なぁ、ハジメ……今更だが、シアさんの家族が帝城に捕まっているんなら、普通に返してくれって頼めばいいんじゃないか?
今ならリリィもいるはずだし、俺は勇者でお前も国王だし……話せば何とかなると思うんだが……。」
すると、光輝が本当に今更な事を言う。
確かに光輝の言う通り、勇者である光輝と、同じく召喚された者であり同盟国の王である俺の言葉であれば、そうそう無下にはできないし、頼めばリリィも口添えをしてくれるだろう。
いざとなれば俺が力を示して強引な交渉をする事も可能だ。可能なのだが……
ハジメ「いや、それは現実的ではないな。
カム達は不法入国者な上、帝国兵を殺している。
何より、兎人族でありながら、包囲されて尚帝国側にダメージを与えられるという異質な存在だ。
それをお願いしただけで『わかりました』と無償で引き渡す訳にはいかんだろう。それでは面子が立たん。」
光輝「それは……。」
ハジメ「であれば、相応の対価――それも限りなく足元を見た、法外な対価が必要になる。
それが政治というものだ。或いは、リリィの交渉にも影響が出るかも知れん。それは避けたい。」
俺の説明に、その可能性は確かにあると、光輝は口を噤む。
無論、俺とて何事も無ければリリィの交渉は極力邪魔するつもりは無く、何かしらの要求をされれば必要に応じて
光輝「対価はともかく、リリィに迷惑をかけるのは……よくない。よくない、んだけど……。」
ハジメ「折角来たのだから、自分も何かしたい、と……。」
光輝「!あぁ、どうにかできないか?」
やれやれだぜ、先程の亜人奴隷の事もあって、じっとしていられない様だな……。全く、世話の焼ける勇者だ。
ハジメ「……わかった、それじゃあ陽動を頼む。こっちの成功率を少しでも上げたいからな。
――奴隷達の収容所が謎の集団に襲われ、それによって亜人達の脱走を許す、なんて事態になればさぞ面白いだろう?」
恵里「兄さん、お願いだから自重しよ?あまりやりすぎるとバレかねないし。」
HA☆HA☆HA☆妹よ、俺に自重と言う言葉などない。ただ突き進むのみだ。
光輝「陽動……あの子達……やる。やるぞ!ハジメ!陽動は任せてくれ!」
ハジメ「そうか、では任せよう。変装道具はこちらで用意する。」
雫「…………はぁ。」
おや、察しの良い雫が何故かこちらにジト目を向けてくる。
光輝を軽く誘導された事か、それとも、必然的に自分も巻き込まれた事に対してか。
ハジメ「折角だ、戦隊戦士をモチーフにした仮面を贈呈しよう。後、この剣と服は光輝の替えの得物と服装な。」
そう言って俺は"宝物庫"から鉱石を幾つか取り出して瞬時に錬成、6つの仮面と一振りの大剣に早変わりさせた。
仮面はメタルブルー・白・黄・ピンク・金・黒に分かれたフルフェイスタイプで、細かな意匠と司会・呼吸を遮らない仕様が成されており、我ながら良い出来だと思う。
雫「ハジメ君……何故、仮面を被る必要があるのかしら?」
ハジメ「勿論、変装の為さ!安心しろ、ちゃんと留め具もついてるから、簡単には外れないぞ。
衝撃緩和もついてるし、とっても軽くて、耐久力も並の剣撃程度なら傷1つつかない優れものだぜ?」
雫「あ、あの一瞬でそこまでのものを……なんて無駄に高い技術力……。」
?どうして口元をヒクつかせているんだい?
ハジメ「先ず、光輝。お前は、この番犬風警察ヒーローの仮面だ。如何にもリーダー感溢れるやつにしといた。」
光輝「おぉ、ちょっとカッコいいかも……。」
ハジメ「次に、龍太郎。お前は、この白熊風チャンピオンヒーローの仮面だ。一撃必殺がウリのやつだ。」
龍太郎「お、おう?なんかよくわからんが、くれるってんなら貰っとくぜ。」
ハジメ「次は、鈴。」
鈴「ピ、ピンクかな?かな?ちょっと恥ずかし……」
ハジメ「んなわけあるかい。お前には黄色いイロモノ鬼娘の仮面で十分じゃい。」
鈴「……ねぇ、ハジメン。もしかして鈴のこと嫌いなの?そうなの?」
ハジメ「それと、トシ。お前は、痛快な海賊ヒーローの仮面だ。ダンスもうまくなりそうなタイプの。」
幸利「強制参加かよ!なんだ、さっきの腹いせか!?」
ハジメ「そして、恵里。お前は、黒い一角獣ヒーローの仮面だ。あぁ、顔は変化しないから安心してくれ。」
恵里「何の話?というか、兄さん。この状況、ちょっと楽しんでいない?」
ハジメ「最後に、可愛いもの大好きの雫。」
雫「少し待ちなさい、ハジメ君。もう一つしか残っていないのだけど……まさかよね?」
ハジメ「勿論そのまさかさ、桃色くノ一ヒーローの仮面をつけてもらおう。あぁ、何なら魔法使いでもいいんだぞ?」
雫「そこじゃないわよっ!っていうか、仮面以外にも正体を隠す方法なんていくらでもあるでしょう?」
ハジメ「布だと簡単に外れるからこれしかなかったんだよ。それに、変装系の魔法は俺の手元にはない。」
そう言って優し気な眼差しで、雫に仮面を差し出す。当然、拒否権は無い。
ハジメ「あ~、でもこのまま雫がつけてくれないと、皇帝との会談の時にうっかり雫の可愛い所をしゃべっちまうかもなぁ~?」
雫「ちょっ、何勝手なことをッ!?」///
ハジメ「リリィから聞いたが……にゃにやらにゃんことにゃんにゃん言いにゃがら戯れていたそうじゃあにゃいかにゃあ?」
雫「!?」///
猫語で語り掛けたその一言に、俺以外の全員も優しい眼差しで雫を見つめる。
そして、その空気に耐えられなくなったのか、雫は……
雫「……なんなのよ、この空気。……言っておくけど、私、ホントにピンクが好きなわけじゃないんだからね?
仕方なく受け取っておくけど、喜んでなんかいないから勘違いしないでよ?
後、小動物が嫌いな人なんてそうはいないでしょ?だから、私が特別、そういうのが好きなわけじゃないから……
だから、その優しげな眼差しを向けるのは止めてちょうだい!」///
耳まで赤くなりながらも、雫は律儀に仮面を受け取った。
羞恥心から必死に否定するものの、シアがこっそり「雫さんなら少しくらいウサミミ触ってもいいですよ?」というとデレッと相好を崩したので虚しい努力だった。
そして、ミュウとレミアをティオ達に預け、俺達は秘密の作戦を開始したのであった。*1
深夜。光一つ存在しない闇の中に、格子のはめ込まれた無数の小部屋があった。
特殊な金属で作られた特別製の格子は、地面に刻み込まれた魔法陣と相まって堅牢な障壁となり、小部屋にいる者を絶対に逃がさないと無言の意思表示をしている。
汚物や血から発生する異臭で、何も見えなくとも極めて不潔な空間である事が分かる。
そんな最低な場所とは、勿論囚人を拘束し精神的に追い詰める事を目的とした牢獄、それも【ヘルシャー帝国】帝城にある地下牢であった。
流石は帝城の牢というべきか、地下牢を構成する金属鉱石の質も然る事ながら、至る所に刻まれた囚人を逃がさない為の魔法陣が実に秀逸である。
脱獄を企てた者、または地下牢に忍び込んだ者、其々に致死に至らない程度の、しかし極めて悪質な苦痛を与える罠が見える所だけでなく壁の中にまで仕込まれている。
トラップを解除する詠唱を正確に唱えない限り、まず勝手な行動は封じられていると見るべきだろう
脱獄出来る可能性等微塵も無く、光一つ無い世界で凶悪な異臭に苛まれつつ小さな部屋に1人押し込まれていれば、常人なら1日と保たず発狂してもおかしくない。
看守とて、通常は唯一の入口である扉の直ぐ外にある詰所で待機しており、決められた時間に巡回するだけで地下牢の暗闇の中に長時間いたりはしないのだ。
だが、そんな最低の空間であるにも拘わらず、現在は何故か余裕有り気な声音の話し声が聞こえていた。
ハウリアA「おい、今日は何本逝った?」
ハウリアB「指全部と、アバラが2本だな……お前は?」
ハウリアC「へへっ、俺の勝ちだな。指全部とアバラ3本だぜ?」
ハウリアD「はっ、その程度か?俺はアバラ7本と頬骨……それにウサミミを片方だ。」
ハウリアE「マジかよっ?お前一体何言ったんだ?
あいつ等俺達が使えるかもってんでウサミミには手を出さなかったのに……。」
ハウリアF「な~に。
何時ものように『背後にいる者は誰だ?』なんて、見当違いの質問を延々と繰り返しやがるからさ。
言ってやったんだよ。『お前の母親だ。俺は息子の様子を見に来ただけの新しい親父だぞ?』ってな。」
ハウリアG「うわぁ~、そりゃあキレるわ……。」
ハウリアH「でも、あいつら、ウサミミ落とすなって、多分命令受けてるだろ?それに背いたってことは……。」
ハウリアI「ああ、確実に処分が下るな。ケケケ、ざまぁ~ねぇぜ!」
聞こえてくるのは、誰が一番酷い怪我を負ったかという自慢話。
最低限の回復魔法を掛けられているので死にはしないが、こんな余裕そうな会話をしていても声の主達は正に満身創痍という有様だ。
それでも、痩せ我慢しつつ軽口を叩く彼等の正体は、帝国に捕まったハウリア達である。
彼等が重傷度で競い合っているのは、別に狂ってしまった訳ではない。既に覚悟を決めているのだ。
帝城の地下牢に囚われている以上、自分達はもう助からない。
処刑されるか奴隷に落とされるか……後者の場合は、それこそ全力全開で自害する所存なので、やはり命は無い。
奴隷の首輪で強制的に同族と戦わされるなど悪夢なので、事前にそう決めていたのだ。
そして、助からない以上は、最後に一矢報いてやるつもりで生き長らえている。
帝国側は、ハウリアの実力が余りに常識からかけ離れていることから、彼等の背後に何か陰謀でもあるのではないかと疑っている。
また、そうでなくても、報告を受けた皇帝ガハルドがハウリア族を気に入り、帝国軍の手駒として使えないか画策している様だった。
戦闘方法、持っていた武器、その精神性、温厚な筈の
その他にも、強者を好む皇帝陛下にとって、ハウリア族は正に宝箱の様な存在だったのだ。
そんな帝国側の思惑を察しているハウリア達は、命尽きるその瞬間まで、帝国側を馬鹿にする様に楯突いているのである。
覚悟も決まっているから、重傷度で競い合うという阿呆な暇潰しも出来るのだ。
因みに、この地下牢に満身創痍で入れられて、それでも尋問という名の拷問の為に牢から出された時、にこやかな笑みを浮かべるハウリア族は、既に関わる帝国兵の殆どに恐怖を宿した目で見られている。
ハウリアA「今頃は、族長も盛大に煽ってんだろうな……。」
ハウリアB「そうだな。……なぁ、折角だし族長の怪我の具合で賭けねぇか?」
ハウリアC「お?いいねぇ。じゃあ、俺はウサミミ全損で。」
ハウリアD「いやいや、お前、大穴すぎるだろ?」
ハウリアC「いや、最近の族長、増々言動がキレた時の陛下に似てきたからなぁ。
……特に新兵の訓練している時とか……。」
ハウリアE「ああ、まるで陛下が乗り移ったみたいだよな。あんな罵詈雑言を浴びせられたら……有り得るな……。」
ハウリアF「まぁ、陛下なら抑々捕まらねぇし、捕まっても即抜け出して内部から消滅させてきそうだしな!」
ハウリアG「だな!きっと、地図から消えるぜ!」
ハウリアH「陛下は、容赦ないからな!」
ハウリアI「寧ろ鬼だからな!」
ハウリアD「いや、悪魔だろ?」
ハウリアE「それを言うなら、魔王の方が似合う。」
ハウリアA「おいおい、それじゃあ魔人族のヘボ魔王と同列みたいじゃないか。
陛下に比べたら、あんなのそこら辺の石ころだよ。」
ハウリアB「じゃあ魔神は?」
ハウリアC「オイオイ、それだと魔人と呼び方が被るだろ。あんな雑魚共と一緒にするなんて、陛下への侮辱だぞ?」
ハウリアG「それなら……魔王級に神懸かってるってことで魔神王とか?」
ハウリア's「「「「「「「「「それだ!」」」」」」」」」
ハジメ「……誰が、
ハウリア's「「「「「「「「「……え。」」」」」」」」」
暗闇の中で盛り上がっていた満身創痍のハウリア達のウサミミに、呆れと怒気を孕んだ声が響く。
随分と聞き覚えのある声に、ハウリア達が凍りついた様に黙り込む。
暗闇の中、まるで肉食獣をやり過ごそうとしている小動物のように息を潜める。
ハジメ「おい、何を黙り込んでいる。さっきまでの元気はどうした?誰が鬼で悪魔で魔王以上の魔神王だと?
人の事をあんなイカレた精神をした恥ずべき生命体共と、同じ様に言っておいて弁明も無しか?えぇ?」
ハウリアH「ハハハ、わりぃ、みんな。俺、どうやらここまでのようだ。……遂に幻聴が聞こえ始めやがった……。」
ハウリアI「安心しろよ、逝くのはお前1人じゃない。……俺もダメみたいだ。」
ハウリアF「そうか……お前らもか……でも最後に聞く声が陛下の怒り声とか……。」
ハウリアB「せめて最後くらい可愛い女の子の声が良かったよな……。」
いるはずのない相手の声が聞こえて、色んな意味で幻聴扱いするハウリア達。現実逃避とも言う。
そんな彼等に、声の主であるハジメは、現実を突きつける。傍らのユエがパッと光球を出し、地下牢の闇を払拭した。
途端、帝城の地下牢に浮かび上がるハジメの姿。
ハウリア's「「「「「「「「「げぇ、陛下ァーーーー!!?」」」」」」」」」
ハジメ「静かにしろ、バレるだろうが。」
ユエ「……意外に元気?」
シア「見た目、かなり酷いんですが……心配する気が失せてきました。」
ハウリア族の面々は、見るも無残な酷い怪我を負いながら、薄汚い牢屋の奥で横たわり、起き上がる様子もないにもかかわらず、どこぞの武神にでも会ってしまったかのような素っ頓狂な声を上げた。
ハジメ、ユエ、シアは、そんなハウリア達に呆れ顔だ。
ハウリアA「な、なぜ、こんなところに陛下が……?」
ハジメ「詳しい話は後だ。取り敢えず助けに来た。にしても、全く……襤褸雑巾の様な有様の割に燥ぎよって。
タフになり過ぎだろ。」
ハウリアB「は、はは、そりゃ、陛下に鍛えられましたから。」
ハウリアC「陛下の訓練に比べれば、帝国兵の拷問なんてただのくすぐりですよ。」
ハウリアD「殺気がまるで足りないよな?温すぎて、介護でもされてるのかと思ったぜ。」
ハウリアE「まぁ、陛下の殺気は、それこそ数十通りの死を幻視したり、大軍を一瞬で消し去るレベルだから仕方ないけどな。」
ゲフッゲフゥと血を吐きながら、なお軽口を叩くハウリア達とその言葉に、両隣のユエとシアから何とも言えない眼差しがハジメに向けられる。
優しいウサギさん達を、こんな有様にしたのは誰だ?お巡りさん、この大魔王です。
ハジメはそんな彼等に呆れた様にハァ…と溜息を溢すと、地下牢内のトラップを確認し、さっさとトラップの解除を始めた。
魔法陣によるトラップは、通常、正しい
それは魔法陣に込められた魔力を、詠唱によって操作し散らすというプロセスを経て無力化するからだ。
魔法陣を壊すという方法もあるが、大抵、壊れた瞬間に発動するか、少なくとも壊れたことを他者に知らせる機能が付いている。
それ故に、隠密性を維持したいなら詠唱による解除が望ましい。
しかし、それは『詠唱による魔力の操作』しか出来ない場合の話だ。
逆に言えば、『魔力の直接操作』が出来る者なら、
あっさりと、帝国が誇る絶対監獄である帝城地下牢を無力化したハジメは、更に錬成で次々と格子を開けていき、ユエの再生魔法でハウリア達全員を即座に完全回復させた。
しかも序と言わんばかりに、遠方のトラップを態と発動させ、その近くにいた帝国兵に被害を被らせると言う、正に魔王な所業まで行う始末。
これこそが、ハジメさんクオリティーなのである。
ハウリアF「はぁ、相変わらずとんでもないですね。取り敢えず、陛下……」
ハウリア's「「「「「「「「「「助けて頂き有難うございましたぁ!」」」」」」」」」
ハジメ「構わん、シアの為だしな。それより、カムの姿が見えんな。何処だ?」
ハウリアG「それなら……」
すると、ハウリアの1人が、今の時間はカムが尋問されている事、詳しい尋問部屋の位置をハジメに教える。
彼等は、「是非、自分達も族長救出に!」と訴えてきたが、手伝ってもらう程のことでもなく、却って足手纏いでしかない。
なので、ここまで普通に侵入して来たハジメ達に任せるのが一番だと彼等も分かっていたので、一言言えば大人しく引き下がった。
尤も、ハジメの『命令』に何故かゾクゾクと身を震わせているのが不思議であったが……。
そんな彼等を尻目に、ハジメは何時もの様にオーロラカーテンを展開すると、パル達のいる岩石地帯へと繋げた。
ハジメ「ここからなら、帝都から少し離れた場所にある岩石地帯に繋がっている。
パル達が待機してるから、先に待ってろ。」
ハウリアA「Yes,Your Majesty!陛下、族長を頼みます!」
目の前で起きた非常識に唖然とするハウリア達だったが、ハジメの言葉にハッ!と我を取り戻すと、『まぁ陛下だからな!』と直ぐに納得し、惚れ惚れするような敬礼をした。
そして、躊躇いなくオーロラカーテンを通っていった。よく訓練されたウサミミ達だ。
一応、超長距離空間転移用の試作品もあったのだが、今回は安全性を考慮し、何時ものオーロラカーテンでいくことにしたのだ。
ハウリア達が転移したのを確認したハジメ達は、カムの居場所に向かった。
厳しい警備を持ち前のスキルと魔法で突破して易々と目的の場所に辿り着く。
外の見張りをサクッと音もなく倒して扉の前に着くと、中から何やら怒声が聞こえてきた。シアの表情が強張る。
中にいるであろうカムが酷い目に遭わされているのではないかと、軽口を叩きながらもボロボロだった先程の家族を思い出して心配する気持ちが湧き上がったのだ。
それを見てハジメは、ジンバーチェリーの能力で耳を済ませ、カムの様子を探ろうとする。
が、次の瞬間、聞こえてきた声にドアノブにかけられた手が止まった。
カム「何だその腑抜けた拳は!それでも貴様、帝国兵かっ!
もっと腰を入れろ、この『インパクト!』するしか能のない『グミ!』野郎め!
まるで『ガッチャーンコ!』している『リボルブオン!』の様だぞ!生まれたての子猫の方がまだマシな拳を放てる!
どうしたっ!悔しければ、せめて骨の1本でも砕いて見せろ!出来なければ、所詮貴様は『バディアップ!』という事だ!」
帝国兵1「う、うるせぇ!何でてめぇにそんな事言われなきゃいけねぇんだ!」
カム「口を動かす暇があったら手を動かせ!貴様のその手は『レッカバットウ!』しか出来ない恋人か何かか?
ああ、実際の恋人も所詮『プログライズ!』なのだろう?『アーユーレディ?』なお前にはお似合いの『レベルアップ!』だ!」
帝国兵1「て、てめぇ!ナターシャはそんな女じゃねぇ!」
帝国兵2「よ、よせヨハン!それはダメだ!こいつ死んじまうぞ!」
カム「ふん、そっちのお前もやはり『カイガン!』か。帝国兵はどいつこいつも『ソイヤッ!』ばっかりだな!
いっその事『プリーズ!』と改名でもしたらどうだ!この『カメンライド!』共め!
御託並べてないで、殺意の一つでも見せてみろ!」
帝国兵1「なんだよぉ!こいつ、ホントに何なんだよぉ!こんなの兎人族じゃねぇだろぉ!誰か尋問代われよぉ!
代わってくれよぉぉぉ!」
帝国兵2「もう嫌だぁ!こいつ等と話してると頭がおかしくなっちまうよぉ!誰か代わりに来てくれぇぇぇ!」
そんな叫びが部屋から漏れ聞こえてくる。ハジメ達は全員無言だった。
ドアノブに手を掛けたまま、捕まって尋問されている筈のカムより尋問している帝国兵の方が追い詰められているという非常識に思わず顔を見合わせ、それに加えてカムの発する罵声にハジメは眉間を押さえた。
ハジメ「流石に品が無さすぎる……敵の煽り方についても矯正が必要だったか。」
ユエ「……帰る?」
シア「……いえ、すみませんが一応、助けてあげて下さい。自力では出てこられないと思うので……。」
そんな状況に、シアが在りし日の優しい父親を思い、遠い目をしながらハジメに頼む。
実際、威勢はよくてもカムが自力で脱出できる可能性はないので助ける必要はあるのだろうが……
カム「ふん!口程にもないっ。
この深淵蠢動の闇狩鬼──カームバンティス・エルファライト・ローデリア・ハウリアの相手をするには、まだ早かった様だな!」
そして扉の向こうからは、なんとも
ハジメ「寿限無かアイツは。てか、例のパンデミックはカムにも原因がありそうだな……。」
ユエ「……ん。考え過ぎて収拾がつかなくなった感じ。」
シア「うぅ……父様は私に何か恨みでもあるんでしょうか?娘を羞恥心で殺そうとしてますぅ。」
それを聞いていたハジメは更に頭を抱え、シアは顔を両手で覆ったまましゃがみ込んでしまった。
ダメージは深刻らしい。そして、ダメージの深刻具合は、尋問官達も同じだったようだ。
帝国兵2「だから、訳分かんねぇよ!くそっ、もう嫌だ!こんな狂人がいる場所にこれ以上いられるかっ!
俺は家に帰るぞ!」
帝国兵1「待て、ヨハン!仕事だぞ!っていうか、何かそのセリフ、不吉だから止めろよ!」
ドタドタと扉に近づいてくる音が聞こえる。
ハジメは「やはりみっちりマンツーマンの方が良かったか?」と思いながら、扉の前で拳を振りかぶった。
そして、バンッと音を立てて扉が開いた瞬間、拳を突き出す。
ヨハンと呼ばれていた尋問官の1人が、一瞬「え?」という驚愕と困惑に満ちた表情をしたが、次の瞬間には顔面に轟拳を埋め込まれて部屋の奥へと吹き飛ばされた。
ハジメは、そのまま部屋に踏み込み、一瞬でもう1人の尋問官に接近すると硬直しているのを幸いと同じく殴りつけて気絶させた。
そして、気絶した男2人をちょっとマズイ体勢で重ねて放置する。発見した人が色々誤解しそうな格好だ。
カム「まさか……陛下…ですか?」
ハジメ「あぁ、そうだよ。全く……品位を捨てて逞しくなりおって……。」
取り敢えず、先程の色々な意味でぶっ飛んだ二つ名とか名前についてはスルーだ。
カム「は、ははは。どうやら夢ではないみたいですね……。おぉ、ユエ殿にシアまで。」
一瞬、夢でも見ているのかと自分を疑った様子のカムだったが、先程のハウリア達以上にボロボロでありながら力のある声音でハジメ達に返答する。
思考力も鈍っていない様で、どうやらハジメ達が自分を助けに来てくれたのだと直ぐに察した様だ。
カム「いや、折角の再会に無様を晒しました。
しかも帝国の腰抜けクソ野郎共を罵るのに忙しくて、気配にも気づかないとは……いや、お恥ずかしい。」
シア「……父様、既にそういう問題じゃないと思います。直ぐにでも治療院に行くべきです。
勿論、頭の治療に……ていうか、その怪我で何でピンピンしているんですか。」
カム「気合だが?」
ユエ「……ハジメの魔改造……おそろしい。」
ハジメ「失礼な。俺だってこんなに
拘束を解かれたカムは本当に恥ずかしそうに、折れてあらぬ方向を向いている指で頭をカリカリと掻く。
シアの辛辣なツッコミにも平然と非常識な返答をした。
再生魔法を掛けるユエが、寧ろカムにではなくハジメに恐ろしげな眼差しを向けている。
不本意ではあったが、原因は厨二病の感染だけでなく、自分にもあるので、ハジメは反論できなかった。
完全に回復して自分の体の調子を確かめるようにピョンピョン跳ねているカムを尻目に、ハジメはオーロラカーテンを再び開いた。
ハジメ「他の者は一足先に逃がした。行くぞ。」
カム「Yes,Sir!……あっ。陛下、装備を取られたままなのですが……。」
ハジメ「構わん、新たに改良版を一式貸与する。」
カム「新装備を頂けるので?そいつぁ、テンションが上がりますな、ククク……。」
怪しげな笑い声を上げるカムの尻を蹴り飛ばし、どこか達観した様子のシアを引き連れ、ハジメとユエもオーロラカーテンをくぐ……ろうとする前に、ハジメは一度立ち止まった。
ユエ「……ハジメ?」
ハジメ「む……あぁ、少し所用が出来た。先に戻っていてくれ。直ぐに向かう。」
不思議そうな顔をしつつも、ユエは了承したと言わんばかりに頷き、オーロラカーテンを潜り抜けた。
そして、ハジメはとある場所へと向かうのであった。
一方、少し時間は戻り、ハジメ達が帝城に侵入した頃。警鐘が鳴り響く帝都の夜に、突如、光が迸った。
光の奔流は闇夜を切り裂いて直進し、瓦礫撤去作業に従事していた亜人奴隷達が寝泊りしている掘っ立て小屋地区――そこにある帝国兵の詰所を吹き飛ばした。
明らかに魔法攻撃と分かるソレは最小限まで手加減されたものらしく、詰所の外壁が吹き飛んだだけで中の帝国兵は無事な様だ。
尤も、大半が衝撃で気絶しているが。それを成したのは、月を背負って悠然と佇む6人の人影。
小隊長「何者だ、貴様等!帝国に盾突いてただで済むと思っているのか!」
その人影に向かって、駆け付けた帝国兵の小隊長らしき人物が怒声を上げる。
すると、6人の人影はそれに返事をするかのように、それぞれ名乗りを上げた。
光輝「百鬼夜行をぶった斬る!!地獄の番犬!デカマスター!!」
雫「揺らめく霞、桜が舞い散る乙女道!モモニンジャー!!」
龍太郎「弾ける筋肉、白氷の肉弾頭!ゴジュウポーラー!!」
鈴「鬼に金棒、両手に花、2本の角は地獄耳!オニシスター!!」*2
幸利「陽気で痛快、海賊のパワー!ツーカイザー!」
恵里「鋼の心で折れぬ一角、貴方の心も一点突破!ゴジュウユニコーン!!」
当然のように決めポーズをする6人。最後は即座に一か所に集まって、またもや決めポーズ。
光輝「天下御免の精鋭部隊!」
『仮面レンジャー!見参!』
その名乗りと共に、背後で爆炎とカラフルな煙が上がったのは、きっと幻覚である。
勿論、その正体は光輝達勇者パーティである。
彼等の目的は帝都で騒ぎを起こし、ハジメ達の帝城侵入を手助けする事だ。
尚、名乗り口上はハジメさんが
その様子に混乱しつつもヒートアップした帝国兵達が、遂に「仮面野郎共をとっ捕まえろ!」と襲いかかり始めた。
しかし、相手は表層とはいえ【オルクス大迷宮】の前人未踏領域を踏破してきた異世界召喚チート達だ。
その上"魔力操作"も習得しており、その強さは心身ともに格段に上がっている。
未だハジメ達には及ばないとは言え、並の兵士如きが敵う筈も無く、次々と蹴散らされていく。
「ちくしょう!仮面のくせに強すぎる!」
「おのれぇ!」
帝国兵が地面に這いつくばりながら悪態と共に呻き声を上げる。
すでに3個小隊ほどが戦闘不能に追い込まれていた。堪りかねた指揮官が思わず叫ぶ。
指揮官「くそっ、貴様等、一体何が目的なんだ!」
その質問に、
光輝「亜人族の奴隷を、我々に全て寄越せ。」
指揮官「何ぃ!」
光輝「貴様等山猿のやり方では、亜人族を無駄に消費しているだけだ。我々の方が上手く有効活用できる。
だから寄越せと言っている、それともそんな簡単な事すら理解できない間抜けなのか?あぁ、猿だから当然か。」
帝国兵はまさかの要求に声を荒げた。それもそうだろう。
驚異的な戦闘力を持った謎の集団というだけでも厄介なのに、その目的が帝都の復興作業に欠かせない大切な労働力の奪取となれば、血気も逸るものだ。
「貴様ぁッ!」
兵士の一人が、上から目線で話す
龍太郎「させるか!」
しかしその攻撃は、間に割り込んだ
他の兵士も
実はこの動作、仮面の内側、目元の部分に魔力で光る文字が次々に浮き出る際のスイッチなのだ。
先程光輝が口にしていた勇者らしからぬ煽りは、光輝の要求をハジメなりにアレンジした台詞で、考案が完了する頃には鬱憤を少しでも吐き出せたのか、光輝の表情が少し和らいでおり……雫が、幼馴染の将来が心配になったのは言うまでもない。
雫「聞きなさい、帝国の虫けら共。私達の目的は、もう一つ。この帝都の現状を確認する事よ。
自称皇帝のボス猿は駆除し損ねたけれど、その割には随分と痛手を負った様ね?
まぁ、使いっ走りには荷が重かった様だけど……あの程度の奴等にこの様とは、国の低度が知れるわね。」
その言葉に、帝国兵達は勿論、光輝達も仮面の下でギョッとした表情になった。
「まさか、まさか貴様等は魔人族!?そうか、帝国の被害状況を確かめに来たのか!」
帝国兵の勘違いを指摘せず、仮面ピンクはそのまま続ける。
これで、魔人族には仮面を被った精鋭部隊がいると言う噂が立つ事になった。
雫「とはいえ、今回は視察が本命。故にここで退いてあげましょう。けれど、覚えておきなさい。
今回の件で、
「な、なんだっていうんだ……」
異様な雰囲気に恐れおののく帝国兵達へ、
雫「夜、シャワーを浴びている時、その背後に……寝苦しさに目を覚ました時、お腹の上に……
誰もいないはずの廊下の奥に、デスクの下に、カーテンの隙間に、鏡の端に、夢の中に……仮面を見ることになるわよ。」
抑揚のない淡々とした語りは不気味の一言。帝国兵達は一斉に生唾を飲み込み、そして思った。
「こえぇ……」と。確かにホラーである。
仮面レンジャー達は、それで目的を果たしたとでもいうように「とぅ!」という感じで建物から裏路地に飛び降り、闇の中に消えていった。
そして、慌てて帝国兵達が駆けつけた時には、まるで夢幻のように忽然と姿を消していたのだった。
後に、帝国兵の間で「桃忍仮面の恐怖~奴はいつも君を見ている」という都市伝説が広まるのだが、それはまた別の話。
なぜ、自分だけと……と、桃忍仮面の中の人が崩れ落ちたのも別の話である。
本作のハジメさんにとって、神=大概ろくでなしと言う認識です。
……ライダーや戦隊の神様は良いのかって?彼等は元人間かつ世界救ったりしてますから……。
もし、ハジメさん以外の別キャラ視点でオリジナル番外長編(web 原作アフターを除く)を作るとしたら、誰を主人公にする?
-
ユエ
-
シア
-
ティオ
-
レミア
-
ミュウ
-
香織
-
雫
-
トネリコ
-
リリアーナ
-
愛子
-
星野アイ
-
幸利
-
恵里
-
光輝
-
浩介
-
龍太郎&鈴
-
優花
-
両親サイド
-
良いから本編プリーズ
-
その他(活動報告でリクエスト)