Re.ありふれない錬成師で最高最善の魔王、世界最強を超越する   作:天元突破クローズエボルハザード

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前座の心理戦、開幕。今回は何時もより長めです。


00:93(後編)/Eとの対峙・少女の秘めた想い

通された部屋は、30人位は座れる縦長のテーブルが置かれた、殆ど装飾の無い簡素な部屋だった。

そのテーブルの上座の位置に、頬杖をついて不敵な笑みを浮かべる……エテ公がいた。

しかも、背後には2人、見るからに手練れと判る、研ぎ澄まされた空気を纏った男達が控えている。

 

そして、部屋の中に姿は見えないが、壁の裏に更に2人、天井裏に4人、そして閉まった扉の外に音も無く2人……

皇帝の背後に控える男2人程ではないが相当の実力者の様だが、この程度で俺を欺こうとは片腹痛いレベルの気配遮断だ。

どうやら謁見は、完全包囲された状態で始まるらしい。

 

ガハルド「お前が、南雲ハジメか?」

すると、俺達が部屋に入るなり、リリィによる紹介も、勇者である光輝への挨拶もすっ飛ばして、皇帝(山猿)はそう問いかけた。

視線は鋭く細められ、真っ直ぐにこちらを射抜いている。

放たれるプレッシャーは、常人からすれば今にも戦闘が始まりそうな強さだ。

 

数十万もの荒くれ者(破落戸)共を力の理で支配する男の威圧。成程、半端なものではないらしい。

その証拠に、光輝達やリリィは少し息苦しそうに小さな呻き声を上げており、思わず後退りをして身構えていた。

が、その程度のプレッシャーであれば、大火山で相対したフリードや海底遺跡の化け物にも及ばないので、俺達(攻略者組+ミュウ・レミア)は平然としていた。

 

一番経験の少ない香織ですら【メルジーネ海底遺跡】では頗る付きの狂気を耐え、不死身に近い怪物と相対して生き残ったのだ。

たかが一国の自称最強(井の中の蛙)程度の威圧では、微風やたんぽぽの綿毛に等しい。

そんな俺達を見て増々面白げに口元を吊り上げる皇帝に、促されるより前にさも当然の様に席に座った俺は……

 

ハジメ「そういうお前が、皇帝ガハルドか……成程、この猿山のボス猿に相応しい粗暴な輩だ。

この程度なら猿の亜人が国を治めた方がマシだな。」

「「「「「ぶっっ!!!!!????」」」」」

ガハルド「……ほぉぉぉう?」

その言葉に、何故かユエ達どころか光輝達やヘリーナ、リリィ付きの衛兵達すら噴き出した。

特に、シアは余程ツボったのか、必死に笑いを堪えている。

 

これまでに見てきた帝国の面々は粗野・下卑た言動が目立ち、またその様な自身の欲求のみに従って生きていた。

であれば、それは最早人間と言うよりただの獣に過ぎん。動物園の猿でも、もう少し真面だぞ?

そして、まさか自分達が蔑視する亜人族よりも下等にみられるとは思わなかったのか、それが本音から来る挑発だと理解したのか、帝国の護衛の面々は最早そのまま血管が破裂するのではないかと思う程、青筋を立てながら顔を真紅に染め、奴等程露骨ではないながらもガハルドも頻りに眉目をヒクつかせている。

 

ガハルド「お前、随分なご挨拶じゃねぇか……?」

ハジメ「事実だろう?

事前に通達したにも拘らず、無駄に時間を取らせて待たせた上に、人の女に言いがかりをつける様な番犬を置いておく辺り、碌に躾けも出来ない様だしな。

帝国最強と呼ばれる割には、実力差も理解出来ていないのだから、お前程度にはこれで十分だ。」

ガハルド「……どうやら、姫の話は嘘じゃないらしいな。」

 

すると、やっと実力差を理解したのか、ガハルドは舌戦を切り上げて、俺以外の者達の着席を促した。

それを見て、漸く俺から視線を外したガハルドが、俺の傍に陣取るユエ達を興味深げに、というか門番同様にジロジロと観察し始めた。

特にシアに対しては意味深げな視線を向けており、トネリコはその意図を察したのか顔を顰めていた。

次いで、光輝達の方に視線を向けると……今度は光輝をスルーして、隣の雫に目を向けニヤリと楽しげな笑みを浮かべた。

 

ガハルド「雫、久しいな。俺の妻になる決心は付いたか?」

光輝「陛下!雫は既に断ったでしょう!?」

ガハルドの言葉に雫が何かを言い返すより早く、光輝が反応する。

 

チラリと光輝を見たガハルドは、ハッと鼻で笑うと雫を真っ直ぐに見つめだした。

あからさまな"眼中にない"という態度を取られて、額に青筋を浮かべる光輝。

そんな二人に嘆息しながら、雫が澄まし顔で答え――る前に、俺が口を開いた。

 

ハジメ「おやおや、早速女を狙いに行く辺り、思考が下半身と一致しておられるようだなぁ?ガハルド殿?」

ガハルド「……あぁ?」

その言葉にガハルドはこちらを睨み、光輝はギョッとした様にこちらを見て、2人の注意がこっちに向いた隙に雫がさっさと答えた。

 

雫「前言を撤回する気は全くありません。陛下の申し出はお断りさせて頂きます。私にも、帰るべき場所があるので。」

ガハルド「……つれないな。だが、そうでなくては面白くない。元の世界より、俺がいいと言わせてやろう。

その澄まし顔が俺への慕情で赤く染まる日が楽しみだ。」

雫「そんな日は永遠に来ませんよ……というか、皇后様がいらっしゃるでしょう?」

ガハルド「それがどうした?側室では不満か?ふむ、正妻にするとなると色々面倒が……。」

雫「そういう意味ではありません!皇后様がいるのに他の女に手を出すとか……。」

ハジメ「ごめん雫、その言葉は俺にもダメージが来る。」

雫「ハジメ君は黙ってて!」

ハジメ「はい……。」(´・ω・`)

 

ガハルド「何を言っている?俺は皇帝だぞ?側室の10や20、いて当たり前だろう。」

雫「ぐっ……そうだったわ。と、とにかく、私は陛下のものにはなりません。諦めて下さい。」

ガハルド「まぁ、神による帰還が叶わない以上、まだまだこの世界にいるのだろうし、時間をかけて口説かせてもらうとしようか。

クク、覚悟しろよ、雫。」

 

どうやら、ガハルドは雫を相当気に入っているらしい。強欲な皇帝(エテ公)らしく、断られた位では諦めない様だ。

その鋭い眼光が雫を完全にロックオンしており、雫が心底嫌そうな表情でそっぽを向いていても、全く気にした様子もない。

と、その時。そっぽを向いた先にいた俺と、雫の視線が偶然合った。……あぁ、そういう事ね。

 

ハジメ「ユエ、シア、香織、ミュウ。なんか、雫が色々疲れちゃったみたいだから、お願い。」

雫「!?」

香織「もう、雫ちゃんったら仕方ないなぁ~。」

ユエ「……ん、ネコミミつける。」

シア「私のウサミミもモフりますか?」

ミュウ「雫お姉ちゃんによしよししてあげるの~。」

 

何となく気持ちを察した俺は、ユエ、シア、香織、ミュウを雫の元に向かわせた。

が、何故かその視線は「違う、そうじゃない!」と言っている様だった。……直ぐにデレッと崩れたが。

すると、そんな様子を見ていたガハルドが、改めてこちらに鋭い視線を向けてきた。

それも色々な意味で値踏みするような眼差しを、だ。

 

ガハルド「ふん、面白くない状況だな……。

南雲ハジメ。お前には聞きたい事が山ほどあるんだが、先ず、これだけ訊かせろ。」

ハジメ「……何だ?」

ガハルド「お前、俺の雫はもう抱いたのか?」

「「「「ぶふぅーー!?」」」」

ハジメ「……はぁ?」

 

唐突に阿呆らしい事を真剣な表情で尋ねるガハルドに、雫を含め、光輝達が吹き出した。

ガハルドの背後に控える護衛達ですら「陛下……最初に聞くのがそれですか……。」と頭の痛そうな表情をしている。

そこそこ知性はある様だな……常識は論外だが。

 

雫「ちょっ、陛下!いきなり何をっ……!」

ガハルド「雫、お前は黙っていろ。俺は南雲ハジメに聞いてんだよ。」

当然、雫が泡を食ってガハルドにツッコミを入れようと声を張り上げる。

しかし、ガハルドはそれを無視して俺に視線を向けており、俺はそれに呆れ顔で返した。

 

ハジメ「阿呆らしい、完全に発情期の猩々だな。

それも、自分のものでもないのに"俺の"等とは……そこらのガキでももう少し真面な品性をしてるぞ?

大体、そんなどうでも良い事を聞いて、今更何になる?」

ガハルド「お前、一々一言多いな。どうやら、雫はお前に心を許しているようだからな……。

態度から見て無いとは思うが、念の為だ。」

ハジメ「お前に答える義理は無いな。後、しつこいアプローチは嫌われるぞ?」

ガハルド「チッ……まぁいい。では、雫の事はどう思っている?」

その質問に、何故か部屋中の視線が俺に集まった。……どいつもこいつも、何だその視線は。

雫は……若干、耳が赤くなり始めている気がするな。まぁ、取り敢えず本音を告げるとしよう。

 

ハジメ「オカン気質で苦労人。」

雫「OK、その喧嘩買ったわ。表に出なさい、ハジメ君。」

ハジメ「でも、猫と猫語で話したり、指輪を眺めてニヤニヤしたりと、可愛らしい一面もあるなとも思う。」

雫「疾ッ!」///ゴォッ!

ハジメ「あぶなっ。」パシッ!

何故か補足したのに、鞘で殴られそうになり、咄嗟に受け止めた。

 

ガハルド「……まさかの回答だが……まぁ、いいだろう。雫、うっかり惚れたりするなよ?

お前は俺のものなのだからな。」

雫「だから、陛下のものではありませんし、ハジメ君に惚れるとかありませんから!

いい加減、この話題から離れて下さい!」

ガハルド「分かった分かった。そうムキになるな。過剰な否定は肯定と取られるぞ?」

雫「ぬっぐぅ……。」

ガハルドの物言いに思わず呻き声を上げるも、苦笑いした香織達に慰められながら、雫はドカッと座り直した。

 

ガハルド「南雲ハジメ。お前も、雫に手を出すなよ?」

ハジメ「そんな無駄話をする為に態々読んだのか?羨ましいな、暇そうで。」

ガハルド「無駄話とは心外だな。新たな側室、或いは皇后が誕生するかもしれない話だぞ?

帝国の未来に関わるというのに……。まぁ、話したかったのは確かに雫の事ではない。わかっているだろう?

お前の異常性についてだ。」

 

そして、雫を絡めてこちらを観察する時間を十分稼げたのか、ガハルドはガラリと雰囲気を変え始めた。

今までの覇気を纏いつつもどこかふざけた雰囲気を含ませていたのとは異なり、抜き身の刃の様な鋭さを放ち始めると、ガハルドは俺達との謁見の時間をとった最大の理由に切り込んできた。

 

ガハルド「リリアーナ姫からある程度は聞いている。

お前が大迷宮攻略者であり、そこで得た力でアーティファクトを創り出せると……

魔人族の軍を一蹴し、2ヶ月かかる道程を僅か半日足らずで走破する、そんなアーティファクトを。真か?」

ハジメ「それがどうしたというのだ?なんだ、欲しいのか?」

ガハルド「当然だ、だがお前には、そのアーティファクトを帝国に供与する意思が無いんだろ?」

ハジメ「生憎素材が無いのでな。それに、モンキーには贅沢過ぎる代物だろう。」

ガハルド「ふん、一個人が、それだけの力を独占か……そんな事が許されると思っているのか?」

ハジメ「はて?私以外に許可を貰う必要等あったか?」

ガハルド「……。」

 

その返しに、ガハルドが目を細めると、その覇気が更に増した。

ガハルドの背後にいる護衛達も、ガハルドに合わせて殺気を放ち始める。

併せて、部屋の周囲に隠れている者達の気配が更に薄まっていった。正に一触即発の状態だ。

 

リリアーナ「ガ、ガハルド陛下!何を考えてっ……!」

その様子にリリィが顔面蒼白になりながら焦りだし、緊迫する空気に光輝達が顔を強ばらせ臨戦態勢をとる。

しかし、ガハルドの視線は依然として俺を捉えたままだ。それに対して俺は――

 

ハジメ「邪魔だ。」パチンッ!

ただ一言、指を鳴らした。その瞬間、護衛達の肉体が火・水・氷・雷・風・闇・土・光(それぞれ)の魔法を諸に喰らった。

ある者は炎に包まれ、ある者は氷漬けになり、またある者は風刃や土の棘でズタボロになり、他にも水で溺れかけ、幻影で混乱、雷で感電、光の剣で貫かれたりと、満身創痍だった。

一瞬の事で反応出来なかった皆を他所に、俺は瞠目するガハルドに対し、愉快気に笑いながら言ってやった。

 

ハジメ「あぁ、すまない。てっきり侵入者か何かかと思って迎撃してしまったよ。

仲間や妻達が心配で、ついうっかり、そこの兵隊君まで巻き添えになってしまったみたいだねぇ……。」

すると、ガハルドは冷や汗どころか脂汗をも流し始め、膝を笑わせていた。

 

ハジメ「おやおや、どうしたんだい?顔も青褪めているじゃないか。二日酔いにでもなったのかい?」

ガハルド「……フン、気のせいだろ。……それにしても、お前が侍らしている女達もとんでもないな。

おい、どこで見つけてきた?こんな女共がいるとわかってりゃあ、俺が直接口説きに行ったってぇのに……

1人ぐらい寄越せよ、南雲ハジメ。」

ハジメ「止めておいた方が良いと思うなぁ。本当の魅力すら分からないお猿さんじゃあ、無駄に腐らせるだけだし。」

まるで誤魔化す様に、話題の中心を俺からユエ達に移そうとするガハルド。だが残念、魔王()からは逃げられない。

 

ガハルド「テメェ……!」

ハジメ「おいおい、そんなに怒ってたら余計に老けて、皴と部分禿が増えちゃうよぉ?」

何処かボーッとした様子でのらりくらりと返す俺に、ガハルドは何度も青筋を立てている。

が、ここで憤慨しても思う壺だと思ったのか、咳払いをして気を取り直す。

 

ガハルド「俺としては特に、そちらの兎人族の方が気になるがね?

そんな珍しい髪色の兎人族など見た事がない上に、俺の気当たりにもまるで動じないその気構え……

最近捕まえた玩具を思い起こさせるんだが、そこのところどうよ?」

ガハルドの"玩具"発言に、シアの目元が一瞬ピクリと反応するが、隣のユエがテーブルの下でそっとその手を握り、悟らせない様にする。

 

ハジメ「あはは、ガハルドくぅんは玩具遊びが好きなんだねぇ。実に子供らしくて可愛らしいじゃないか。」

ガハルド「ッ……!……心当たりがないってか?何なら後で見るか?

実は、まだ何匹かいてな、女と子供なんだが、これが中々─―「フ……フハハハハハ!!」……なんだ?」

いやはや、実に稚拙なカマかけだ。既にカムを通じて、捕まった者は全員連れ出している。確認もしたしな。

 

ハジメ「いや、なに。弱い者虐めが大好きで欲張りなガハルド坊やの事だ。

きっと余所からこっそり盗んだものだから、罰が当たって取り上げられたのだろう?

それなのに、無くしたはずの玩具が"ある"と、嘘を吐いてまで虚勢を張る姿が余りにも滑稽で、な……。」

ガハルド「ぐ、ぐぐぐぐっ……、そうかよっ……。

そういえばなんだがな……そいつらは、凄まじい業物のショートソードや装備も持っていたんだが……

姫もお前なら我もなく飛びつくと聞いていたが、そこんところどうなんだ?稀代の錬成師?」

ハジメ「たかだか棒切れ程度で自慢のつもりとは……余程、わんぱくな性格と見える。」

ガハルド「こ、このクソガキが……!

……処で、昨日、地下牢から脱獄した奴等がいるんだが、この帝城へ易々と侵入し脱出する、そんな真似が出来るアーティファクトや特殊な魔法は知らないか?」

ハジメ「子供が作った秘密基地に、そんな大袈裟な物は要らないだろう?」

ガハルド「……聞きたい事はこれで最後だ。何を得られれば帝国につく?」

ハジメ「坊ちゃんはおつむ……ではなく、おむつの世話をしてほしいのかい?」

ガハルド「あぁぁぁぁぁぁぁ!!もう良いっ、結構だっ!!!」ドンッ!

 

自分から吹っ掛けてきて自分がキレるという、ある意味面白いムーブをしてくれたガハルドは、ガリガリと頭を掻くと、卓を叩きつけて悪態をついた。

歯が砕けんばかりに食いしばるその表情には、"苦虫を噛み潰した"という表現では足りない程の不快感が張り付いている。

 

目の前の男が"自分に抗う相手"ではなく、"自分を小馬鹿にして弄ぶ相手"だった事が相当気に食わなかったのか、

それとも手練れとも言える自身の護衛をやられた事に憤ったのか、はたまた猿だの坊やだのと貶してきた事に腹を立てたのか……

何れにしろ、力尽くでは敵わず、権力を翳しても馬鹿にされるだろうと帝城から追い出す事も出来ないので、ガハルドはとても不満げだった。

 

その様子に、シアは勿論の事、ユエ達や光輝達、特に自分をだしにされた雫も溜飲が下がったのか、黙って見ていた。

と、その時。何やら時計を確認しだし、時間が来たのか、ガハルドは徐に席を立った。

因みに、護衛達に発動した魔法は既に解除しており、回復も既に済んでいる。

 

ガハルド「フゥ~……まぁ、最低限、確認すべき事は出来た。……今のところは、この位で良しとしておこう。

ああ、そうだ。今夜、リリアーナ姫の歓迎パーティを開く。お前達も是非、出席してくれ。

姫と息子の婚約パーティも兼ねているからな。

真実は異なっていてもそれを知らないのなら、"勇者"や"神の使徒"の祝福は外聞がいい。頼んだぞ?」

 

そう言ってガハルドは、突然落とされた爆弾発言に唖然とする光輝達を尻目に、憎々し気な視線を俺に向けると、そのままフラフラな護衛を連れて部屋から出て行った。

バタンと扉の締まる音が響き、それによってハッと正気を取り戻した光輝達がリリィを詰問する。

 

光輝「リリィ、婚約ってどういう事だ!一体、何があったんだ!」

リリアーナ「それは……たとえ、狂った神の遊戯でも、魔人族が攻めてくれば戦わざるを得ません。

我が国はハジメさんのおかげでどうにか持ち直し、國の舵取りも十全になる可能性が出来ましたが、他の国はそうではありません。

そして、我が国に並ぶ大国でありながら決定打の無い帝国には、我が国との関係強化は必要な事なのです。」

何でもない様に語るリリィに、光輝は絶句する。代わりに雫が厳しい表情で尋ねた。

 

雫「それが、リリィと皇子の結婚という事なのね?」

リリアーナ「はい。お相手は皇太子様ですね。ずっと以前から皇太子様との婚約の話はありました。

事実上の婚約者でしたが、今回のパーティーで正式なものとするのです。

魔人の侵攻で揺らいでいるこの今だからこそ、という訳です。」

雫「王国には?協議が必要ではないの?」

リリアーナ「事後承諾ではありますが、反対はないでしょう。元々、そういう話だった訳ですし。

それに、ハジメさんもこの事態には納得しておられますから。なので、問題はありません。

今は何事も迅速さが必要な時なのです。」

 

リリィは極めて冷静で、悲劇のヒロインの様な雰囲気は微塵も無い。

ただ、自分の役目を全うすべく全力を注いでいる、という様子だ。

そんな彼女に、光輝は苦虫を噛み潰したような表情をしながら口を開いた。

 

光輝「……リリィは、その人の事が好きなのか?」

その質問には、流石のリリィも困った様な表情を浮かべた。

リリアーナ「……好き嫌いの話ではないのです。国同士の繋がりの為の結婚ですから。

ただ、次期皇帝陛下候補ともなれば側室も多く娶る必要があって、現在の愛人の方々の中からも選ばれる方がいると思いますが……

ふふふっ、私の立場上、彼女達を差し置いて正室になるのですよ。凄いでしょう?

まぁ、後宮内の調整に関しては私が最年少ですし、胃がシクシクしちゃうのですが……。」

冗談めかしてドヤ顔をしたり、わざとらしく腹を摩ったりして雰囲気を明るくしようとするリリィ。

その気遣いの態度に、光輝は逆に声を荒らげた。

 

光輝「な、なんで、そんな平然としているんだよ!好きでもない上に、そんな奴と結婚なんて「光輝。」ッ!

ハジメ、お前はそれでいいのかよ!リリィが好きでもない相手と結婚する事になるんだぞ!」

リリアーナ「光輝さん達から見ればそうなのかもしれませんが、私は王族で王女ですから。

生まれた時から、これが普通の事です。」

光輝「普通って……リリィだって女の子なんだ。ちゃんと好きになった人と結婚したいんじゃないのか?」

 

納得できず言葉を重ねる光輝に、リリィはただ困った様な笑みを浮かべる。

勿論、言ってる事の前半部分は正しいのだ。

リリィだって1人の女の子、ロマンチックな恋愛に憧れたりも当然するだろう。

特に、親友となった異世界の女の子達、香織や雫達とガールズトークをすれば尚更。

 

だが、憧れは憧れだ。王族として、果たさねばならない責務がある。

故にこそ、だから、どうか、あまり自分で自分の憧れを否定する言葉を言わせないでほしいなぁと、リリィも思っているのだろう。

 

ハジメ「光輝、ここは日本でもなければ物語でもないんだ。

前にも言っただろう、自分の常識だけを押し付けるなと。

それに、これは政治の話だ。素人が簡単に口を挟んでいい物じゃない。」

光輝「ッ!……でも!」

納得できない感情のまま、なお言い募ろうとする光輝。だが、本来の目的まで忘れて貰っては困るのだ。

 

ハジメ「それに、今ここで何か企もうものなら、直ぐ近くで聞き耳を立てている奴等にバレるぜ?」

光輝「!」

俺がそう言うと、部屋の外や天井にいた気配が段々遠ざかっていった。余程、さっきの脅しが効いたみたいだ。

光輝もそれに気が付いたのか、驚愕の表情でこちらを見ていた。

 

ハジメ『既に婚約の件はヘリーナから聞いている。後は奴等に任せるさ。』

光輝『……。』

盗聴防止の念話でそう言うと、何故か光輝は凄く微妙な表情で無言になった。雫達も同じような表情だ。

その後、ヘリーナに言伝を頼み、俺達はその場を後にしたのであった。

 


 

「まぁ、素敵ですわ、リリアーナ様!」

「本当に……まるで花の妖精のようです。」

「きっと、殿下もお喜びになりますわ!」

ハジメ達と別れた後、リリアーナも今夜のパーティの準備の続きをする為に部屋に戻ると。ヘリーナを筆頭に、挙って称賛の言葉を並べる帝国側の侍女達を交えてドレスの選別等に精を出した。

 

決してお世辞だけではない純粋な称賛である事は、既に何十着と試着を済ませた果てに選ばれたドレス候補の一つを試着して、姿見の前でくるりと回るリリアーナに対して、彼女達がうっとりした表情を浮かべている事が証明している。

14歳という少女と女の狭間にある絶妙な魅力が、淡い桃色のドレスと相まって最大限に引き立てられていた。

正に花の精と表現すべき可憐さだった。

 

ヘリーナ「ふっ、当然でしょう。」

リリアーナ「ヘリーナ、どうして貴女が胸を張っているのですか?」

何故かドヤ顔のヘリーナに小さく笑ってから、リリアーナ自身も納得した様で一つ頷く。

 

いくらこれが政略結婚であり、皇太子が父親に似た極度の女好きで、過去何度か会った時も、まだ10にも届かない年齢のリリアーナを舐める様な厭らしい視線で見やり、王国に来た時も下級騎士を"稽古"と称して徒に嬲る等、強さをひけらかす嫌な人間であったとしても、夫になるかもしれない相手であることに変わりはない。

 

であるから、パートナーとして恥を掻かせる訳にはいかないし、自分の婚約パーティーでもある以上、リリアーナも最大限に着飾ろうと思っていた。

光輝に指摘された"好きな人と結婚したいんじゃないのか"という言葉がやけに頭にチラつくのを振り切る様に。

――本当は大好きだったハジメへの思いを押し殺してでも、全ては国の為と割り切る様に。

 

それでも、チラリチラリと"憧れ"が、ハジメとの思い出が脳裏を過るのは、どれだけ表面上には出さずとも、この結婚に対する消しきれない不安のせいか。

リリアーナとて女の子だ。ハイリヒ王国の才女と言われ多くの人々から親しまれようと、女の子らしい憧れ位ある。

 

絶体絶命の姫を、彼女が大ピンチの時に颯爽と現れて救う英雄のお伽噺。

偶然の出会いに惹かれあって、身分違いでありながらも多くの障害を乗り越えながら結ばれるというラブストーリー。

昔の自分が夢見た妄想、それを"馬鹿馬鹿しい、有り得ない未来だ"と、頭を振って追い出した。

 

リリアーナは聡明であったが故に、幼い頃から自分に課せられた使命とも言うべき在り方を受け入れていた。

だから、心の底では嫌悪感を抱く相手であっても、立派な妻になろうという気持ちは本当であり、今夜のパーティーも立派に皇太子妃として務め上げようと決意していた。

なのに、こんな妄想で気持ちを左右される等、王女としてあってはならない。叱咤する様に、自分に言い聞かせる。

 

と、その時。突然、部屋の外が騒がしくなった。

かと思った次の瞬間には、ノックもなしに扉が開け放たれ、大柄な男が何の躊躇いも遠慮もなくズカズカと部屋の中に入ってきた。

リリアーナに付いてきた近衛騎士達が焦った表情で制止するが、その男は意に介した様子もない。

 

???「ほぅ、今夜のドレスか……まぁまぁだな。」

リリアーナ「……バイアス様。いきなり淑女の部屋に押し入るというのは感心致しませんわ。」

バイアス「あん?俺は、お前の夫になる男だぞ?何を口答えしてんだ?」

リリアーナ「……。」

 

注意をしたリリアーナに、鬱陶しそうな表情と粗野かつ横暴な言葉で返した者こそ、この国の皇太子バイアス・D・ヘルシャーだった。

外見は父親であるガハルドに似ている。年齢は26歳。

 

王族同士の付き合いで1年程前にも顔を合わせているが、相も変わらず、度の過ぎた横暴振りだ。

他者を見下した態度も、嗜虐的な雰囲気も、リリアーナをまるで玩具を見る様な目で見てくるところも、まるで変っていない。

 

上から下まで舐める様に見てくるバイアスの目に、リリアーナは悪寒を感じてブルリと震えた。

ハジメとどちらの方が良いかと問われれば、100人中全員がハジメを選ぶであろう。

リリアーナ自身、出来る事ならそうしたい位だった。

 

バイアス「おい、お前ら全員出ていけ。」

すると、バイアスは突然、ニヤァと口元を歪めると、侍女や近衛騎士達にそう命令した。

帝国側の侍女達は慌てて部屋を出ていったが、当然、近衛騎士達は渋る。

ヘリーナ等、露骨に不審と憤りを瞳に浮かべている。

それを見てバイアスの目が剣呑に細められた事に気がついたリリアーナは、何をするか分からないと慌ててヘリーナ達を下がらせた。

 

ヘリーナ「陛下(ロード)は仰っていました、『エテ公にリリィはやらん。』と。

何かありましたら、必ず大声をお上げください。」

去り際にヘリーナが小さく耳打ちする。リリアーナも小さく頷いた。

最後まで心配そうにしながら全員が部屋を出て扉が閉まる。

 

バイアス「ふん……飼い犬の躾位、しっかりやっておけ。」

リリアーナ「……飼い犬ではありません。大切な臣下ですわ。」

バイアス「……相変わらず反抗的だな?ククッ、まだ10にも届かないガキの分際で、一丁前に俺を睨んだだけの事はある。

あの時からな、いつか俺のものにしてやろうと思っていたんだ!」

そういうと、バイアスは、顔を強ばらせつつも真っ直ぐに自分を見るリリアーナに心底楽しげで嫌らしい笑みを浮かべると、いきなり彼女の胸を鷲掴みにした。

 

リリアーナ「っ!?いやぁ!痛っ!」

バイアス「そこそこ育ってんな。まだまだ足りねぇが、それなりに美味そうだ。」

リリアーナ「や、やめっ!」

乱暴にされてリリアーナの表情が苦痛に歪む。

その表情を見て、増々興奮した様に嗤うバイアスは、そのままリリアーナを床に押し倒した。

リリアーナが悲鳴を上げるが、外の近衛騎士達は気が付いていない様だ。

 

バイアス「いくらでも泣き叫んでいいぞ?

この部屋は特殊な仕掛けがしてあるから、外には一切、音が漏れない。

まぁ、仮に飼い犬共が入ってこようが、皇太子である俺に何が出来る訳でもないからな。

何なら、処女を散らすところを奴等に見てもらうか?くはははっ!」

リリアーナ「どうして……こんな……!」

バイアス「その眼だ。反抗的なその眼を、苦痛に、絶望に、快楽に染め上げてやりたいのさ。」

これからされる事に顔を青褪めさせながらも、気丈にバイアスを睨むリリアーナに対し、バイアスは"醜い"と表現すべき表情を浮かべて語る。

 

バイアス「俺はな、自分に盾突く奴を嬲って屈服させるのが何より好きなんだ。

必死に足掻いていた奴等が、結局何も出来なかったと頭を垂れて跪く姿を見る事以上に気持ちの良い事等無い。

この快感を一度でも味わえば、もう病みつきだ。リリアーナ。

初めて会った時、品定めする俺を気丈に睨み返してきた時から、何時か滅茶苦茶にしてやりたいと思っていたんだ。」 

 

リリアーナ「あなたという人はっ……!」

バイアス「なぁ、リリアーナ。

結婚どころか、婚約パーティーの前に純潔を散らしたお前は、どんな顔でパーティーに出るんだ?

あぁ、楽しみで仕方がねぇよ。例の婚約者だった、魔王とか言うガキにも見せてやりたいなぁ?」

 

たとえ、嫌悪感さえ抱く相手だとしても、妻として支え諌めていけば、何時かきっと立派な皇帝になってくれる、いや、自分がそうしてみせると決意したリリアーナの心に早くも亀裂が入る。

リリアーナは悟ったのだ。

 

目の前の、今にも零れ落ちそうな涙を必死に堪えるリリアーナを見てニヤニヤと嗤っている男は、ある意味、正しく"帝国皇太子"なのだと。

欲しい物は奪う。弱者は強者に従え!その理念の申し子なのだ。

 

バイアスに恥をかかすまいと選んだドレスが、彼の手により引きちぎられる。

シミ一つない玉の肌が晒され、リリアーナは羞恥で顔を真っ赤にした。

両手を頭の上で押さえつけられ、足の間にも膝を入れられて隠す事も出来ない。

 

唇を奪うつもりなのか、ニヤついたままのバイアスの顔がゆっくりとリリアーナに近づいてくる。

まるで、リリアーナの恐怖心でも煽るかの様に目は見開かれたままだ。

片手で顎を掴まれ、顔を逸らすことも出来ないリリアーナは、恐怖と羞恥で遂にホロリと流れ落ちた自身の涙にすら気づかずに、ふと思った。

 

望んだ通りの結婚なんて有り得ないと覚悟はしていたけれど、こんなのはあんまりだと。

本当は、好きな人に身も心も捧げて幸せになりたかったと。

その願いは、王女という鎧で覆った心から僅かに漏れ出た唯の女の子としての気持ち。

 

そうして、香織や雫に聞いた話を思い出す。

ピンチの時に颯爽と現れて、襲い来る理不尽をより絶対的な理不尽でぶち破り、危難の沼から救い上げて貰ったという、まるでお伽噺の様な物語。

もし、願ったなら、自分にも救いは訪れるのだろうか。

リリアーナは、王女としての自分が"何を馬鹿な"と嗤う声を聞きながら、それでも止められずに心の中で叫んだ。

 

――助けて、ハジメさん……!と。

 

その時だった。

 

ズパンッ!

 

バイアス「ぎえっ……!?」

突如、バイアスの首に一筋の線が入ったかと思えば、そのまま胴体から離れ、部屋の隅に転がっていった。

情けなくて呆気ない奇声をあげ、首に走った痛みを認識する暇もなく、バイアスは首から血を噴き出しながら……事切れた。

 

リリアーナ「……えっ?えっ?」

驚きながら目を見開き、混乱するリリアーナの前に、黒い人影が映る。

しかし、その人影はバイアスの首なし死体をリリアーナから退かすと、そのまま何処かへ消えた。

それと入れ替わる様に、天井から小さな蜘蛛らしきものが、ピトッ!と落ちてきた。

 

リリアーナ「……どなた…ですか?」

その光景に、リリアーナはハッと我を取り戻すと、ドレスについた血を払いのけ、女の子座りをしたままジッと眼前の蜘蛛を見つめた。

 

???「失礼します、姫殿下。」

リリアーナ「ひゃっ!?」

すると、突如、背後から声がかけられ、リリアーナは可愛らしく悲鳴を上げる。

そして声の主がいるであろう背後を振り返れば、そこには……口元を隠した兎人族の女性が自分に傅いていた。

 

???「この蛞蝓を仕留めるタイミングを窺う為とはいえ、遅くなり申し訳ございません姫殿下。」

リリアーナ「……あっ!もしかして、貴方は……!」

???「申し遅れました。偵察部隊所属、"想創のフィリオノーラ"*1と申します。」パチンッ!

 

フィリオノーラと名乗った女性はその場で立ち上がると、床についた血を消し始めた。

同時に、首なし死体が天井から降りてきた糸で釣り上げられ、何時の間にか開いていた穴に引き摺り込まれていった。

 

フィリオノーラ「今夜のパーティーですが、陛下より予定を変更してほしいとの(オーダー)が下りましたので、事が終わるまでの間、私達に協力して戴きたく思います。

心苦しいとは思いますが、これも"姫殿下の身の安全が第一"という、陛下の命でございますので、どうかご理解いただきたいです。」

リリアーナ「は、はい。」

 

さっきまで大ピンチだったかと思えば、いきなり皇太子の首が撥ねられ、自分は誘拐という名目の保護と言う、目まぐるしい事態に困惑したものの、破れたドレスの前を寄せて肌を隠しながら、フィリオノーラに連れて行かれるリリアーナは、漸く事態を把握して、思わず微笑みを浮かべながらポツリと感謝の言葉を零した。

 

リリアーナ「有難う……ハジメさん。」

彼女が皇太子の婚約者である以上、今、助けられたところで、それはその場凌ぎでしかないと分かっている。

だがそれでも、今この時、救いを求める心の叫びに応えてくれた事が、どうしようもなく嬉しかった。

胸元で破れた服を抑えてギュッと握られたリリアーナの両手は、或いは、他の何かを握り締めているかの様だった。

 


 

???「……良かったな、リリィ。」

そして、この救出劇の陰の功労者がいた事は、ハウリアとハジメ以外の誰も知る由も無い。

 


 

ハジメ「……ふむ、浩介達の方も上々か。無理を聞いて貰った甲斐があった……これで存分に暴れられる。」

ガハルドとの謁見を終えた後、お付のメイドに部屋へ案内された私達は、邪魔なメイド達を追い返し、ソファーに座り込んでいた。

そして、日が傾いて太陽が燃える様な色に変わる時まで、時折水分補給をしては談笑していたのだが……

今しがた入った連絡に俺は口角を上げ、ユエ達は表情を正した。

 

ユエ「……罠の方はどう?」

ハジメ「問題ない。あの程度の罠なら、浩介でも補助があれば解除できる。

俺の方も9割方終わった。さて……これでお膳立てもクライマックスだな。」

そう言って首を鳴らす。序に集中して疲労した分、香織とトネリコの回復魔法で治してもらった。

 

香織「帝城は、やっぱりトラップは多いのかな?」

ハジメ「まぁな、だがこの程度の量ならライセンの方が圧倒的に多いし、向こうは魔力霧散のオマケ付きだ。

この程度なら普通に接していても全解除は容易い。」

ティオ「ふむ、今夜がパーティというのは幸いじゃの。人が固まれば、色々動きやすいのじゃ。」

シア「最終的にはパーティ会場に集まる事になりそうですね。……上手くいくでしょうか?」

 

すると、シアが少し不安そうな表情になる。

何せ、これから自分の家族の未来が決まる一世一代の大勝負が始まるのだ。緊張しない方がおかしいだろう。

そんなシアのウサミミを俺がモフり、ユエが頬をムニり、ティオが髪をナデナデして、香織が手をギュッと握る。

 

ミュウ「大丈夫なの!だって、シアお姉ちゃんの家族で、パパの部下なの!」

そして、シアを励ます様に、ミュウが笑顔で答え、レミアやトネリコ、雫達もそれに同意するかの様に微笑む。

心優しい仲間達を見て、シアは込み上げるものを感じたのか、何かを堪える様に口を結んだ。

 

たとえ、それが嬉し涙でも、まだまだ流すのは早いからだ。代わりに、何時もの様にニッコリと輝く笑みを浮かべた。

自分は1人ではない。家族もいる。恵まれ過ぎな位だと、その思いを隠さず露わにした笑顔。

俺達が好むシアの魅力だ。

そんな、何時も通りのシアの笑顔を確認した俺は、無邪気で悪戯好きな子供の様にニヤリと笑みを浮かべて告げた。

 

ハジメ「さぁ、今宵のゲームを始めよう。手始めに、主役達の為に舞台を飾ろうか!」

その言葉に、皆同じような笑みを浮かべて力強く頷くと、私達は運命のステージ、帝国主催パーティーの会場へと向かったのであった。

 


 

トネリコ「……所で、ハジメさん。出来ればあの蜘蛛形ゴーレムは、私の目の前に出さないで下さいね?」

ハジメ「……ごめんて。」

レミア「あらあら。」

……便利なんだけどなぁ、あのゴーレム(アラクネ)

*1
隠密行動が得意で作家、らしい。その偵察力を活かして各地の情報を集め、ハジメの数々の戦いぶりを独自に調べ上げ、その情報を基にハジメの偉業を後世に残すのが、野望だとかなんとか。




次回、遂に開幕の狼煙があがります!お楽しみに!

もし、ハジメさん以外の別キャラ視点でオリジナル番外長編(web 原作アフターを除く)を作るとしたら、誰を主人公にする?

  • ユエ
  • シア
  • ティオ
  • レミア
  • ミュウ
  • 香織
  • トネリコ
  • リリアーナ
  • 愛子
  • 星野アイ
  • 幸利
  • 恵里
  • 光輝
  • 浩介
  • 龍太郎&鈴
  • 優花
  • 両親サイド
  • 良いから本編プリーズ
  • その他(活動報告でリクエスト)
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