Re.ありふれない錬成師で最高最善の魔王、世界最強を超越する   作:天元突破クローズエボルハザード

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『Fall of the Empire.』

『Good Luck.』


00:95(前編)/[K]illing time

「なんだ!?何が起こった!?」

「いやぁ!何、何なのぉ!?」

一瞬で五感の1つを奪われた帝国貴族達が、混乱と動揺に声を震わせながら怒声を上げる。

 

「狼狽えるな!魔法で光をつくっ――がぁ!?」

「どうしたっ――ギャァ!?」

「何が起こっていっ――あぐっ!?」

 

比較的冷静だった者達が、指示を出しながら魔法で光球を作り出し、灯りを確保しようとする。

が、直後には悲鳴と共に倒れ込む音が響き、更に混乱する貴族達が次々と悲鳴を上げていく。

その異様な光景に、再び場は混乱に陥った。

特に、令嬢方は完全にパニックで、闇雲に走り出しては、そこかしこから転倒音や衝突音が聞こえ始める。

 

ガハルド「落ち着けぇ!貴様等それでも帝国人かぁ!」

暗闇の中、ガハルドの覇気に満ちた声が響き渡る。

闇夜を払拭しそうな程大音量の喝は、暗闇と悲鳴の連鎖で恐慌に陥りかけた帝国貴族達の精神を強制的に立て直させた。

そこで、更に指示を出そうとしたガハルドだったが……

 

ヒュ!ヒュ!ヒュ!

 

ガハルド「ッ!?チッ!こそこそと鬱陶しい!」

連続した風切り音と共に、通常では考えられない程短い上に、驚く程の速度と威力を秘めた無数の矢が、四方八方の闇の中からガハルドを強襲する。

 

その上、絶妙にタイミングをずらし、実に嫌らしい位置を狙って正確無比に間断なく撃ち込まれるので、さしものガハルドも防戦一方に追い込まれてしまった様で、とても態勢を立て直す為の指示を出す余裕は無さそうだ。

が、真っ暗闇の中、風切り音だけで矢の位置を掴み、儀礼剣だけで捌ける余裕はある様で、怒声を上げるガハルドを中心にギン!ギン!ギン!ギン!と金属同士が衝突する音が鳴り響く。

 

次々と上がる悲鳴と、物や人が倒れる音が響く中、漸く冷静さを取り戻した幾人かの者達が、灯りとして火球を作り出すことに成功した。

険しい表情で周囲を見渡しつつ、衛兵を大声で呼ぶ彼等。

 

ヒュッ!

 

「ッ!?何者っ――げぶっ!?」

と、その時。

帝国貴族の男の1人が、視界の端に何か黒い影のようなものが、風を切りながら横切るのを目にし、咄嗟にその影目掛けて火球を飛ばそうとした。

しかしその寸前、男の背後の闇から影が飛び出した。それも、真後ろにいるのに男はまるで反応しない。

そして、男の無防備な項に、暗闇と同化したような黒塗りの小太刀が一閃された。

 

ポ~ン、クルクル……ベチャッ

 

結果は単純。

まるで冗談の様に、男の首が宙を飛び、少し回って生々しい音と共に地面に落ちたそれは、何処かキョトンとしており、未だに死を自覚していないかの様だった。

 

光に誘われる蛾の様に、火球を作り出した者の所へ向かっていた帝国貴族や令嬢達は、火球が消滅する寸前に垣間見えた影と、一瞬で人の首が飛ぶ光景を目の当たりにし、無様にも腰を抜かしていく。

そうして気が付けば、周囲を照らしていた火球は全て消えて、再び闇一色となっていた。

 

「ひっ、ば、化け物っ!化け物だっ!」

「し、死にたくないぃ、誰かぁ!誰かぁっ!!」

腰を抜かした者の多くは令嬢や文官達だったが、少なからず軍の将校もいる。

前線から退いて贅沢の極みを尽くしてきた奴等には、死神の鎌に等しい暗闇と襲撃者の存在に精神が耐えられなかった様だ。

 

なんとも愚かな……所詮、猿は猿か。

当然、奴等は1人の例外もなく、何も出来ないまま、そしてしないまま、音もなく肉薄した黒装束達に手足の腱を切られて、痛みにのたうちながら倒れ伏す事になった。

 

そんな情けない者達もいるが、ここが実力至上主義を掲げる軍事国家である以上、いつまでも混乱に甘んじている訳がない。

ガハルドの様に儀礼剣は持っていなくとも、護身用の懐剣を頼りに何度か襲撃を凌いだ猛者達が、仲間の気配を頼りに集まり陣形を組みだした。

 

「くそっ、相当の手練れだぞ!気配がまるで摑めない!」

「愚痴ってる場合か!ローグ、テッド!視界確保を優先!他は防御に徹しろ!」

背中合わせになり、中央に術者を据えて詠唱を任せる。まぁ、急造の連携にしては先ず先ずか。

ガハルドの比較的近くにいた者達――おそらく近衛であろう奴等も、直ぐに陣形を組んでガハルドの背後を守りだした。

 

注意すべき範囲が一気に半分になったおかげで、矢による攻撃が通じなり、余裕が出来たガハルドは何十という数の矢を片手間に叩き落としながら詠唱を始めた。

この世界の人間基準でなら(・・・・・・・)とんでもない発動速度で瞬く間に作り出された10個近い"炎弾"。

それは、一瞬で会場に広がり、始源の煌きを以て闇を払い始めた。

 

ガハルド「これ以上好きにさせるな!反撃開始だっ!」

漸く視界が開け始めたのもあり、ガハルドがそう息巻く。しかし、その威勢もほんの僅かな時間でしかなかった。

直後、奴等の目の前に何かが転がっていった。

 

コロコロ……

 

側近「?なんだ?これは……?」

訝しみながらもその正体を確かめようと接近する、ガハルドの側近らしき男。

それは、男だけでなく離れた場所で灯りを確保した者達も同じだった。

 

ガハルド「よせ!近づくなっ!」

側近「っ!?」

その何か――正体不明の金属塊に猛烈に嫌な予感を感じたのか、ガハルドが咄嗟に制止の声をかける。

当然、その言葉に反射的に従い、側近等は後ろに飛び退ろうとしたが、その金属塊の齎す効果からすれば無意味な行動だ。

 

カッ!

 

キィイイイイイン!!

 

「ぐぁあ!?」

「何がァ!?」

次の瞬間、金属塊から強烈な光が爆ぜては迸り、耳を裂く様な暴音の波が周囲を無差別に蹂躙した。

咄嗟に目を瞑り、腕で顔を庇ったガハルド達だったが、余りの不意打ちに完全には防ぎきれず、一時的に視力と聴力を失う事になった。

そして、その絶好のチャンスを襲撃者たるハウリアが見逃すはずもない。

 

絶妙なタイミングで急迫した黒装束のハウリア達が、極限の気配殺しで標的の懐に踏み込む。

そして、漆黒の小太刀を一閃、二閃。

五感の2つをいきなり奪われ、抵抗する余裕など微塵もない近衛達の手足の腱は、あっさりと切り裂かれた。

 

激烈な痛みに悲鳴を上げて倒れ伏す近衛達。直後、口にナイフを突き込まれ、詠唱封じの為に舌を裂かれる。

離れた場所でも同じ様に、反撃しようとしていた者達が次々と手足の腱を切られては舌を裂かれていく。

大魔法を行使しようとしていた者は容赦なく首を飛ばされている。

 

ギンギン!

 

そんな中、金属同士の激突音が響いていたので、その方向を見やれば……

何と驚いた事に、ガハルドだけは目も耳も潰された状態で、極限まで気配を殺したハウリア族2人の斬撃を凌いでいたのである。

 

これには襲撃しているハウリア族の2人も黒装束から覗く瞳を大きく見開いて驚きをあらわにした。

その一瞬の動揺を感じ取ったのか、ガハルドは隙を突いて気合一発、震脚の如き踏み込みによって衝撃を発生させる。

 

「っ!」

「くっ!」

体勢を崩された2人のハウリアが思わず呻き声を上げるも、その場からサッと退避した。

その直後、先程まで2人がいた場所へと、ガハルドが目も耳も使えない状態で、常人ならゾッとする程正確な横殴りの斬撃を放つ。

鞭のようにしなっていると錯覚する程の特異な剣撃は、二連撃とは思えない程の威力が込められている様で、もしカウンター狙いで留まっていたら、そんな余裕もなく受け止めざるを得ず、凄まじい勢いで吹っ飛ばされてしまっていただろう。

 

ガハルド「!散らせ!――"風壁"!」

そのタイミングを狙ったのか、退避した2人と入れ違いに、間髪入れず凄まじい数の矢がガハルドへと殺到する。

しかし、たった2言で発動した風の障壁によって、その全てはあっさりと軌道を逸らされてしまった。

 

ガハルド「撃ち抜け!――"炎弾"!」

そして再び2言で魔法を発動。

"炎弾"を一度に10も作り出し、"風壁"によって感じ取った矢の射線に向かって一気に掃射する。

あちこちに爆炎を上げた炎弾の着弾位置は、先程までハウリア族が潜んでいた場所であり、その魔法の発動速度や威力も中々、と言ったところだろう。

 

しかし、俺の部下たるハウリア族は動じない。

たかが柔軟対応如きで動じていては、自分達の敬愛する王に失望されかねない!とでも思っているのか、ガハルド如きに戦慄するよりも、俺への恐怖が全員勝った様で、全く気配が乱れていない。

 

ガハルド「舞い踊る風よ!我が意思を疾く運べ――"風音"!」

そこでガハルドは、次の魔法を行使する。

風属性補助魔法"風音"――周囲の空気に干渉して音を増幅したり、小さな音を遠くに運んだり出来る魔法だ。

この魔法でする事で、大音量に狂わされた聴覚を僅かにでも取り戻そうという算段なのだろう。

 

確かに、応用すれば技能"気配感知"の魔法バージョンと言えるかもしれない。

とは言え、結局は聴覚を通じて感知するので精度は下がるし、感じ取るのに集中力も必要なので、近接戦闘時に使うには不向きな魔法ではある。

基本、斥候や諜報員が使う連絡・諜報用の魔法だしな。

 

そして、ハウリア達はそれを待っていたと言わんばかりに、一斉に本気を出した。

遠距離部隊は弓矢からスナイパーライフルに、近接部隊はただのナイフから高周波振動ブレードに得物を切り替えた。

完全に殺しにかかるスタイルだ。

 

ガハルド「ゼァアアアッ!!」

それに気づかないガハルドの裂帛の気合と共に、しなる斬撃が変幻自在に振るわれる。

勿論、難なく躱しては気配に緩急をつけ、ガハルドの感覚を狂わせ、欺き、連携で凌いでいくハウリア達。

"風音"のせいで動いた時の微妙な風の音を拾われ、長所である"気配操作"が余り役に立たないので、油断も慢心もしない。

 

視覚を奪われながら、発動しても"気配感知"には程遠い効果しかない連絡・諜報用の魔法に身を委ねて、躊躇う事なく踏み込める胆力。

見えずとも斬撃の正確性は刻一刻と増しており、高まるその殺気は常人からすれば凄絶と言えるだろう。

これこそが、軍事国家(蛮族猿共)(ボス)であり、力こそ全てと豪語する戦闘者(モンキー)達の王、皇帝。

 

「上等。」

「なます斬りにしてやる。」

当然、それを受けても尚ハウリア達は委縮するなく、誰もがその口元に凄惨な笑みを浮かべた。

覆面の隙間から覗く瞳はギラギラと獰猛に輝き、1人1人から濃密な殺気が噴き出す。

某人口生命体みたく「アマゾンッ!」とか言い出しかねない凶暴さはそのままに、殺意と言う刃は鋭利に研ぎ澄まされており、その戦闘スタイルは正にプロの暗殺者と言えるだろう。

 

気配操作の効果が薄くとも、連携で仕留めてやる!と言わんばかりに、ハウリア達はまるで1つの生き物のように動き出した。

四方八方からヒット&アウェイを基本とした絶技と言っても過言ではないレベルの連携攻撃が殺到する。

 

ガハルド「ククク、心地いい殺気を放つじゃねぇか!なぁ、ハウリアぁ!」

襲い来るその斬撃を独特の剣術で弾きながら、ガハルドは楽しげに叫んだ。

どうやら、とっくにハウリア族とバレていたようだ。

ハウリア達は、ガハルドの*1雄叫びを聞いても、最早何も言わない。ただ、ひたすら殺意を滾らせていく。

 

ガハルド「あぁ?ビビって声も出せねぇのか!?」

言葉からして、やはり、魔法のおかげで聴力だけは少し回復しているらしい。

そのガハルドの叫びに、一際強烈な殺気を振りまくハウリア――

カムが得物の二刀を振るいながら、その溢れ出る殺意とは裏腹に無機質な声を返した。

 

カム「戦場に言葉は無粋。切り抜けてみろ。」ポツリ

ガハルド「ハッ、上等だ!」

暗闇に火花が舞い散り、更に激しさを増す剣戟は嵐の如く。

通常であれば、単体能力でガハルドが圧倒していただろう。

 

会場で、意識はあるものの口も手足も切り裂かれて苦悶に表情を歪める者達は、何故外から誰も駆けつけないのかと苛立ちながらも、自分達の王の勝利に無駄な祈りを捧げている。

だが同時に、襲撃者の正体が兎人族であるという有り得ない事態に、その未知に、恐怖に慄く体を止められずにいた。

そして、ここで一つ誤算が生じる。カム達ハウリアは群体戦術を主軸とし、勝利の為なら幾重にも作戦を立てている。

当然、卑怯上等の彼等が一騎討ち等に準ずるわけもなく……

 

ドパンッ!ドパンッ!

 

ガハルド「ッ!?ぐあぁッ!?て、めぇ……!」

カムの高周波ブレードとガハルドの剣がぶつかり合ったその絶妙な瞬間、放たれた弾丸はガハルドの鎧ごと脹脛を深々と貫いた。

思わずガクンと膝を折りそうになったガハルドは、弾丸が飛んできた方向を忌々し気に睨みつける。

しかし、そこへ追い打ちと言わんばかりに、ガハルドにとって良くない事態が発生する。

 

ガハルド「ッ!なんだっ?体がっ……!?」

突如、ガハルドが突如ふらつき始め、急速にその動きを鈍らせた。

それを「待ってましたぁ!」と言わんばかりに、四方八方からハウリア達が飛びかかる。

ガハルドは辛うじてそれを弾き返すものの、即座に腕の腱を切られ、ガハルドは遂に剣を取り落とした。

 

ガハルド「ぐあっ!?」

更に、瞬時に魔法を発動しようとする前に、刹那のタイミングで交差するようにすれ違った2人のハウリア族が、戦闘中に確かめていた位置に小太刀を振るい、隠し持っていた魔法陣やアーティファクトを破壊又は弾き飛ばす。

同時に、残りの腕と足の腱も切断した。

 

ガハルド「――ッ!」……ドゥ!

迸る激痛。

悲鳴こそ上げなかったが、その体は意志に反してゆっくりと傾き……大きな音を響かせ、遂にガハルドは倒れ伏した。

 

静まり返るパーティー会場。誰も言葉を発しない。

物理的に口を閉じさせられているからというのもあるが、きっと、たとえ口が利けたとしても、言葉を発する者はいなかっただろう。

 

暗闇に視界を閉ざされていようとも、理解出来てしまうのだろう。

ヘルシャー帝国皇帝の敗北――その事実は、帝国人から言葉を、或いは思考自体を奪うには十分過ぎる衝撃。

即ち、帝国という国家(群れ)が、最弱と呼ばれた種族によって地に伏せられた瞬間だった。

 


 

 

???「急げっ。パーティーで何かが起きている!一刻も早く陛下の下へ行くぞ!」

時間は少し遡る。シ~ンとした帝城内に、焦燥の滲む怒声が響いた。

その声を張り上げたのは、今朝、ハジメにボロクソに言われた門番――帝国軍第三連隊隊長グリッド・ハーフだ。

駆けるその後ろには、部下の兵士が20人ほど連なっている。

 

パーティー会場が暗闇に包まれたのとほぼ同時刻、彼等は帝城内にある宝物庫にて警備任務に就いている所だった。

宝物庫は帝城の地下深くにある。その為、彼等は地上で起きている異変から免れる事が出来ていたのだが……

警備の途中、突如、異変を知らせる魔法具が反応し、慌てて出て来たのである。

 

この魔法具は、ガハルドが身につけている備えの1つだ。

起動した瞬間に、連動する他の魔法具の色が変わるというもので、具体的に何が起きているのかまでは分からない。

とはいえ、皇帝陛下自ら発する警告と緊急召集命令である。

何か異常で急迫した事態が起きているのは間違いない。そして、その片鱗は、帝城内の異様な雰囲気が示していた。

 

「連隊長殿!どうなっているのですか!?他の部隊は!?何故、誰もいないのですか!?」

そう、あちこちにいる筈の巡回も、同じく緊急召集を受けて飛び出してくる筈の詰め所の兵士達も、誰も合流しないのだ。

不安を隠しきれない部下の叫びに、グリッドもまた嫌な予感を覚えながら答える。

 

グリッド「とにかく、今は陛下の所へ急げ!勅命だぞ!」

やけに静かな帝城の敷地内。

途中、一時的に部隊から離れて、厠や食堂、資料庫等に行っていた者達が偶然にも合流していく。

彼等はグリッドの小隊を見つけては、ホッとした様な顔を一様に見せ、最終的に30人程となったグリッド達は、帝城内部からの連絡路を通るルートで、パーティー会場のある建物へと飛び込んだ。

 

シア「こんばんはです、帝国兵の皆さん。今夜はいい夜だと思いませんか?」

グリッド「お前は……。」

その直後、緊迫した状況に似合わない可憐な声が響いた。グリッドが目を見開き、他の兵士達は息を呑んだ。

本来、使用人が忙しく行き交っている筈のエントランスは異様に静まり返り、そして、荘厳なシャンデリアと中央の階段の下にはただ一人、着飾った美少女がいたからだ。

 

モフモフなウサミミがピコピコと動き、一歩踏み出せばふんわり広がるムーンライト色のミニスカートドレス。

脚線美は最早芸術的とすら言える上に、にっこり微笑む美貌もさることながら、そのドレスと同じ淡青白色の髪が流れる様は神秘的だ。

愛玩用として人気のある兎人族の中でも頗る付きの上玉。

やって来たのがグリッドだと気が付いた直後から、顔を伏せて震えている姿も嗜虐心をそそる。

 

グリッド「チッ。構っている暇はない。行くぞっ!」

だが、そこは連隊長。1000を超える部隊を率いる権限を与えられた者だ。

優先すべき事を弁え、兎人族の少女――シアを無視して会場へ行こうとする。

 

シア「くふっ、ふふふっ、あはははははっ!」

だが、その足は止まった。否、止められた。

震えていた理由が、恐怖ではなく、笑いを堪える為だと分かったから。

 

グリッド「何がおかし――」

シア「なんという、なんという僥倖ですか!まさか、やって来るのが貴方だなんて!」

グリッド「……どういう意味だ?」

シア「決まっているじゃないですか……嬉しい、と言う意味ですよ。」

 

シアに、再会を喜ばれて悪い気のする男はいないだろう。

だが、この時ばかりは、グリッドは微塵もそう思わなかった。むしろ、肌が粟立った。

この正体不明の感覚は何なのか、それを確かめる前にシアが口を開いた。

 

シア「今、私の家族が皇帝さんを襲撃しています。助けに行きたければ、私を倒すしかありません。」

「連隊長殿!何時まで足を止めておられるのですか!こんな兎人族如き、無視して行きましょう!」

すると、じれた兵士の1人が、シアの言葉を戯れ言と切って捨てた。そして、さっさと進もうと駆け出す。

忠誠心の厚い彼は、一刻も早くガハルドの下へ駆けつけたかったのだろう。

 

ドゴォンッ!

 

シア「……私を倒すしかない。そう言いました。」

だが、シアの脇を抜けようとした彼は、次の瞬間、姿を消した。

その直後、轟音が響き、グリッド達がギギギと、油を差し忘れた機械のようなぎこちなさで、音の発生源へと顔を向ける。

 

彼は、色々と飛び散っていた。あたかも、潰れたトマトや思いっきり壁にぶつけられた泥団子の様に。

視線を戻せば、そこには拳を真横に突き出したシアがいる。腰が入っているようには見えない。

まして相手は非力な兎人族の、しかも少女だ。

 

なのに、ただ、無造作に突き出しただけの拳で、装備を身につけた大の男を、認識が追いつかない様な速度で殴り飛ばした?

ゴクリッと、生唾を呑み込む音がした。グリッドは、その一つが自分のものだと気が付けなかった。

気を、呑まれたのだ。あり得べからざる状況に。シアは、微笑んだまま淡々と続ける。

 

シア「何故、私一人がここにいると思いますか?

会場に入るためには、絶対に通らなければならないこのエントランスで。」

言わずとも、先の部下を見れば分かる。駆けつけるだろう帝国兵を潰す為だ。

どれだけ事前に制圧戦を上手くやろうとも、取り零しは必ず出る。

ガハルドとの決戦中に乱入されるのは、たとえ小隊規模でも避けたいところ。

だから、ハウリア族は、単体最強戦力を1人、この場所に配置したのだ。

そう、族長の娘にして最強のハウリア、そして、ハジメの仲間兼妻の1人であるシアを。

 

キラリ

 

シアの指輪が俄かに輝きを放つと、グリッド達がハッと我を取り戻す。

同時に、シアの頭上に出現する、相棒の巨大戦槌"ドリュッケン"。

シアは見もせずその持ち手を、パシッと小気味良い音を響かせて握り込み、手首の返しだけで回転させる。

それだけで轟々と風が吹き荒れ、衝撃が迸る様は、剛力無双。

月光に照らされ、宵闇に美しく咲き誇る可憐な姿とは対照的だ。正しく、首狩り兎の姫に相応しい。

 

シア「貴方と貴方の部隊が相手なら、改めて名乗っておきます。私はシア。シア·ハウリア。

かつて、貴方達が取り逃がしてしまった――化け物です。」

ニッコリ笑い、誇らしげに名乗りを上げ、凶悪な戦槌を肩に担ぐ。

そして、誘うようにスッと片手を差し出して、嫋やかな指先をクイックイッと曲げる。誤解などしようもない。

誰にだって分かる。即ち――"相手してやるからかかってこい!"と。

言葉を失っていたグリッドの額に青筋がくっきり浮かび上がった。

 

グリッド「化け物、だと?兎人族如きが舐めた口をっ!」

確かに、普通の兎人族とは違う。だが、それでも所詮は兎人族。魔法1つ使えない憐れな種族の、その中でも最弱だ。

そんな"兎人族如き"に気圧されていたという事実に、プライドを痛く傷つけられたらしいグリッドは咆えた。

 

グリッド「お前達っ、勅命の前だ!あの兎人族は殺して先へ進む!多少力が強かろうと所詮は亜人!

魔法で仕留めろ!」

即応したグリッドの部下が詠唱開始。部下数人が、今度は油断なくシアへ強襲をかける。

 

シア「ウッサウサにしてやんよ、ですぅ!」

そんな彼等に、シアは招き手を握って逆さにすると親指を下に突き下ろし、踏み込んだ。衝撃で爆ぜる鉱石の床。

刹那、吹き飛ぶ前衛。そして、シアの姿は後衛の目前に。

 

「「ッ!?」」

驚愕に目を見開く後衛2人。次の瞬間、横殴りの暴風により彼等の上半身(・・・)だけが吹き飛んだ。

戦槌の常軌を逸脱したスイング速度と威力によって、上半身だけ千切れ飛んだのだ。

更に、勢いよく振り抜かれたドリュッケンから衝撃が迸り、その余波だけで3人が内臓に致命傷を食らう。

一拍遅れて血のシャワーが降ってくるが、その時には、シアは既に先程強襲をかけて来た前衛2人の前にいた。

 

「しまっーー」

「なんだ、今の――」

漸く起き上がった2人の頭部は、ドリュッケンの一撃でピンボールと化した。

血の雨が降り注ぐ中、それを頭から被ったグリッドが漸く指示を出す。

 

グリッド「散開!散開だ!」

密集していては、纏めて薙ぎ払われる。シアの異常な膂力からそう判断したのだろう。

シアを中心にして周囲へ散らばる兵士達。

 

シア「うりゃ!」

可愛らしい掛け声とは裏腹に、凄まじい速度で投げられたドリュッケンは、そのまま帝国兵1人を壁の染みにした。

武器を手放したと喜色を浮かべるグリッド達だったが、それは間違いだった。

 

シアが大きく腕を振ると、帝国兵の体にめり込んでいたドリュッケンが引き寄せられる様に飛び出した。

よく見れば、彼女の手元には柄の先端が握られており、その柄からはドリュッケン側の柄へ鎖が伸びている。

手元の柄をパージして、特殊なフレイルの様に変形する機構だ。

 

「今だっ!」

「死ねぇっ!」

完全に引き戻す前に!と帝国兵2人が襲いかかるが、シアは慌てる事無く手元の柄にあるトリガーを引いた。

 

ドパン!ドパン!

 

瞬間、空中にあるドリュッケンから連続した炸裂音が響き、打撃面から放たれた弾丸が、迫っていた2人を背後から見事に撃ち抜く。

ドシャッと崩れ落ちる2人を飛び越えて、反動で宙を舞ったドリュッケンを空中キャッチするシア。

即座に射撃モードで連続発砲。更に5人が血の海に沈む。

 

「このっ、食らえ!化け物め!」

仲間の死を見せつけられながらも完成させた"緋槍"10連。散開した帝国兵達の絶妙な連携による包囲射撃。

迫る炎の槍10本を前に、シアは――

 

シア「しゃらくせぇです!」

大回転を1発。膂力と遠心力を最大限に生かした回転打撃。

衝撃と暴風が竜巻の様に吹き荒れ、急迫した全ての"緋槍"を吹き飛ばす!

 

「馬鹿なっ!?」

「あり得ない!」

亜人に対する絶対的なアドバンテージ。その魔法が、正に鎧袖一触。

思わず絶叫した兵士達だったが、次の瞬間――顔面に拳大の鉄球がめり込み、物言わぬ屍となった。

 

シアが"宝物庫"から虚空に取り出した鉄球を、ドリュッケンで弾き飛ばしたのだ。

あっと思った時には、更に2人、接近したシアの殴打を受けて体をひしゃげさせていた。

開戦してまだ1分も経っていない。なのに、戦力は既に半分以下。

 

グリッド「こんな事……あってたまるかぁっ!」

己を奮い立たせる様に雄叫びを上げて、グリッドが斬りかかる。

流石は連隊長というべきか、身体強化した踏み込みと斬撃は、凡人基準では見事の一言。

シアが兵士の1人に攻撃を加えた直後というタイミングを狙ったのもあるだろう。

尤も……それでもこのバグウサギには届く事はおろか、迫る事すら出来ないが。

 

ガッ!

 

グリッド「なっ!?」

その斬撃は、ドリュッケンを振り下ろした反動で跳ね上がった片足の、ヒール部分と靴底の間で挟むようにして受け止められた。

シアは剣を挟んだまま、体を一回転。グリッドは剣ごと巻き込まれる様にして体勢を崩した。

 

ズドンッ!

 

グリッド「かはっ!?」

刹那、シアの拳がボディブローを決め、グリッドの腹に衝撃が奔る。

思わず体をくの字に折り曲げ、よたよたと後退りするグリッド。

そこへ更に、追い打ちの如くハジメ直伝のヤクザキックが炸裂。

グリッドは血反吐を吐きながら壁際まで吹き飛ぶ。手加減でもされたのか、即死はしなかった。

 

グリッドは、意識を辛うじて繋ぎ止めながら、激痛の中、部下が1人また1人と吹き飛んでいく光景を目の当たりにする。

……誰も動かなくなるまで、30秒もかからなかった。カッカッカッと死神の如く、ヒールが床を打つ足音が響く。

目の前に、返り血一つ浴びていない化け物ウサギがいた。

 

グリッド「ま、待て……待ってくれ……!」

血を吐きながらの命乞い。目の前の存在が理解出来ない。恐怖で体が震える。

自分は、あの時、一体何を逃してしまったのか。

無防備にも樹海の外を彷徨っていた兎人族の群れを、これ幸いと追い回した。

絶望を与える様に、男や老人は目の前で殺してやった。それで、最弱種族のウサギ共は心が折れて屈服する筈だった。

 

【ライセン大峡谷】に逃げ込んでも生き残れる可能性等無く、逃げて疲れて、そうして最後には部下が捕らえてくる筈だった。

珍しい髪色の、とびっきりの上玉。蹂躙してやれば、どんな声で泣くか。

仲間に見せびらかしてやろうと思っていたのに……

 

自分は、こんな化け物に手を出そうとしていたのか?と、今更ながらにグリッドは後悔した。が、時既に遅し。

近づいてきたシアに胸元を摑まれれば、軽鎧とはいえ金属製のそれが、まるで粘土の様にグシャリとひしゃげ、即席で摑みやすい形状が作られた。

 

グリッド「た、頼むっ!助けてくれ!そ、そうだっ!

あの時、捕らえた連中の居場所を教えてやるっ!俺を殺したら、取り戻せなく――」

シア「もう、語るべき言葉は持ちません。」

グリッド「ッ!?」

 

グリッドの必死の命乞いをバッサリ切ると、シアは片手でグリッドを持ち上げ、宙づりにする。

思う所が、無い訳では無いのだ。恨み辛みも沢山ある。

だから、楽に死なせてやるものかと無意識の内に手加減してしまって、彼を最後に残す事になってしまった。

それでも、復讐に身を焦がし我を失う様な事は、ハウリアの1人として、何よりハジメの嫁兼仲間として、シア自身が許せない。

 

だから、この一撃。この一撃で、全てを打ち払う!

シア·ハウリアが、樹海に生まれた化け物が、また一歩、前に進む為に!

グリッドを上に投げると同時に、大きくドリュッケンを振りかぶる。

 

シア「月までぶっ飛びな!ですぅ!」

グリッド「やめっ――」

そして、ニッと、まるで愛しい彼の様に不敵に笑ったシアは、轟音を響かせながらグリッドをピンボールの様にぶっ飛ばした。

 

ドッッッゴォォォォォンンン!!!

 

吹っ飛ばされたグリッドはそのままエントランスの天窓を突き破って外へと消えた。

破片振り散る天窓から見えるのは、今夜の月――繊月。

シアの言葉通り、グリッドは薄笑いする月に向かって消えていったのだった。

それを確認したシアは、轟ッと風を唸らせドリュッケンを一振り。

 

シア「……皆……少しは報いる事が出来ましたか?」

今はもういない、失った家族。シアの為に、故郷すら捨てた大切な人達。彼等を想い、シアは少しの間、瞑目した。

 

ドタドタ……

 

シア「!」

暫くして、シアのウサミミが駆けてくる複数の足音を捉えた。どうやら、まだ少し取り零しの兵士がいる様だ。

スッと目を開いたシアは、神妙な表情を再び不敵なものへと変える。すると、帝国兵が扉を開いてやって来た。

 

シア「覚悟はいいですか?目の前にいるウサギは····想像を絶するほど強いですよ?」

エントランスの惨状に息を呑んでいる彼等へ、シアは誇りを胸に宣戦布告した。

それから暫く、念話で連絡が来るまで、樹海に生まれた化け物ウサギの無双劇は続いたのだった。

 

 


 

ガハルド「ッ!毒かッ!」

パーティー会場に、ガハルドの苦悶を伴う声が響いた。

誰もが、帝国における腐敗……基、不敗の象徴たる皇帝の敗北に呆然とする中、ハウリア族の1人が倒れ伏すガハルドにスッと近寄る。

そして、視力と一応聴力を回復させる薬をガハルドに施した。これからの事に必要だからだ。

 

カム「ふん。魔物用の麻痺毒を散布してここまで保つとはな。」

ガハルド「くそがっ、最初からそれが狙いだったか……。」

衣服に仕込まれた魔法陣やアーティファクトも全て取り除かれ死に体となったガハルド。

視力と聴力が回復してきた所で、体の不調の推測を肯定され悪態を吐く。

 

そんなガハルドに、突如、頭上から光が降り注いだ。

ハウリア達の装備の1つでフラッシュライト擬きだ。それがまるで、スポットライトの様にガハルドを照らしている。

俺達はどうなのかって?そんなことより、リリィの方が心配だ。

 

カム「さて、ガハルド・D・ヘルシャーよ。今、生かされている理由は分かるな?」

ガハルド「ふん、要求があるんだろ?言ってみろ、聞いてやる。」

カム「……減点だ、立場を弁えろ。」

姿は見えず、パーティー会場全体に木霊する様に響き渡るカムの声。

 

ガハルドの横柄な態度に、僅かな間の後、無機質な声音を発した。

すると突如、ガハルドから少し離れた場所にスポットライトが当たる。

そこには、ガハルドと同じく手足の腱を切られ、詠唱封じの為に口元も裂かれた男の姿があった。

 

そして、その男にスポットライトの外から腕だけが伸びてきて、髪を掴んで膝立ちにさせたかと思うと、次の瞬間には、男の首が嘘のようにあっさりと斬り飛ばされた。

ガハルドは言動の結果を、部下の命と言う形で叩きこまれた。

 

ガハルド「てめぇ!」

カム「減点。」

思わず怒声を上げるガハルド。生き残り達が悲鳴を上げ、息を呑む。

しかし、返されたのは機械じみた淡々とした声。

再び別の場所にスポットライトが降り注ぎ、同じように別の男の首が刈り取られた。

 

ガハルド「ベスタぁ!このっ、調子にのっ――」

カム「減点。」

側近だったのだろうか。ガハルドは男の名前を叫び、カムに悪態を吐く。

それに対する返答は、やはり淡々とした声音と、首刈りと言う罰だけだった。

 

ガハルド「……。」ギリギリ

歯ぎしりしながらも押し黙ったガハルドは、それだけで人を殺せそうな眼光で前方の闇を睨む。

そんなガハルドに、やはりカムは淡々と話しかける。

 

カム「そうだ、自分が地を舐めている意味を理解しろ。判断は素早く、言葉は慎重に選べ。

今、帝国の人間達の命は、お前の言動一つにかかっている。」

その言葉と同時に、いつの間にかスポットライトの外から伸びてきた手が素早くガハルドの首にネックレスをかけた。

細めの鎖と先端に紅い宝石がついたものだ。製作者は勿論、私だよワトソン君。

 

カム「それは"誓約の首輪"。ガハルド、貴様が口にした誓約を、命を以て遵守させるアーティファクトだ。

一度発動すれば貴様だけでなく、貴様に連なる魂を持つ者は末代に至るまで、生涯身に着けていなければ死ぬ。

誓いを違えても、当然、死ぬ。尤も、既に全員に同じものを身に着けて貰っているがな。」*2

同時に、皇帝一族の人間は既に全員確保している事を、カムが言外に伝えると、ガハルドは苦虫を万匹くらい噛み潰した様な表情になった。

 

ガハルド「誓約……だと?」

カム「誓約の内容は4つ。1つ、現亜人族奴隷の解放。2つ、樹海への不可侵・不干渉の確約。

3つ、亜人族の奴隷化・迫害の禁止。4つ、その法定化と法の遵守。理解したか?いや、理解しろ。

そして、"ヘルシャーを代表してここに誓う"と言え。それで発動する。」

 

ガハルド「呑まなければ?」

カム「こうなる。」

簡潔なその言葉と同時に、何かがスポットライトの近くに落ちてきた。

それは、リリィ同様に行方知れずだった皇太子の首だった。

 

ガハルド「……。」

カム「これでわかっただろう?吞まないのであれば、今日を以てこの国を滅ぼす。

そうでなくとも、帝国が二度と攻め込めなくなるまで、帝国の人間を殺し尽くす。

この国か、我等ハウリア族か、どちらかが全滅するまで、貴様達が恐怖で眠れぬ夜は永遠に続くだろう。」

全く、無駄な欲を掻くからこうなるのだよ。さてと。

 

ハジメ「少し待て、ハウリアよ。」

カム「……何用かね、ハイリヒの王よ。もしや、貴殿も帝国に味方すると?」

ハジメ「いや、最早同盟もクソも無いからそいつらは好きにしても構わん。」

『!?』

もう取り繕うのも面倒なので、本音をぶちまける。

 

ハジメ「そんなどうでも良い事より、我が国の王女を返してもらおうか。どうせ、お前達が預かっているのだろう?」

カム「……それは、この猿の答え次第『パァンッ!ガシャァァァン!!』……!」

その言葉に間髪入れずに、ドンナーでシャンデリアの1つを撃ち落とした。

 

ガハルド「おっ、おいテメッ『パァンッ!』……。」

何か言おうとしてたガハルドの傍にも、顔面スレスレで鉛弾を一発。即座に黙らせる。

正直、この手に限るとしか言い様が無い。

 

ハジメ「それで?ガハルド、貴様はどうするつもりだ?

私としても、王女の安全の為に要求を呑んでもらいたいのだが?というか、全て呑め。

そしてさっさと首を撥ねられろ。」

すると、ガハルドは虚勢のつもりなのか、何やらのたまいだした。

 

ガハルド「……帝国を舐めるなよ。俺達が死んでも、そう簡単に瓦解などするものか。

確実に万軍を率いて樹海へ侵攻し、今度こそフェアベルゲンを滅ぼすだろう。分かっている筈だ。

帝国が本気になれば、それが可能だと。今まで、フェアベルゲンを落とさなかったのは……。」

カム「容易く盗みに入れる畑を潰しては、盗れる物も盗れなくなるから、か?」

ふむ、中々気の利いた皮肉ではないか。

 

ガハルド「分かってるじゃねぇか。今なら、まだ間に合う。

たとえ、そこのクソガキの力を借りたのだとしても、この短時間で帝城を落とした手際、そしてさっきの戦闘……

やはり貴様等を失うのは惜しい。今なら、俺直属の一部隊として優遇してやるぞ?」

カム「……そうか。」

その短い言葉に口元を歪めるガハルド。

 

カム「やれ。」ドガァァァァン!!!

ガハルド「ッ!?」

しかし、返ってきたのは――外から連続して聞こえる大爆発の轟音だった。

*1
少々変t……いや、やはり何もない

*2
今回の"誓約の首輪"には、追加機能として『"連なる魂を持つ者"達への適用』がある。

要は、ガハルドの一族に対しても効果があり、同じく"誓約の首輪"を着けなければ死ぬ事になるという事だ。

尚、姻族に対しては別途誓約の首輪が必要になるが、今回はどうでも良いか。




『Continued to the second half』

もし、ハジメさん以外の別キャラ視点でオリジナル番外長編(web 原作アフターを除く)を作るとしたら、誰を主人公にする?

  • ユエ
  • シア
  • ティオ
  • レミア
  • ミュウ
  • 香織
  • トネリコ
  • リリアーナ
  • 愛子
  • 星野アイ
  • 幸利
  • 恵里
  • 光輝
  • 浩介
  • 龍太郎&鈴
  • 優花
  • 両親サイド
  • 良いから本編プリーズ
  • その他(活動報告でリクエスト)
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