Re.ありふれない錬成師で最高最善の魔王、世界最強を超越する 作:天元突破クローズエボルハザード
1.突如、異世界召喚!そして、戦争へ。
2.魔王でした、キスされました、そして落とされました。
3.吸血姫に出会いました、真実を知りました、更に進みました。←今ここ
ハジメ「え、ユエの"自動再生"って、歳も取らなくするの!?」
ユエ「……ん。私、先祖返りで最強なので。」
ハジメ「おぉう……マジモンの不老不死とかそりゃチートだわ。」
現在俺達は、ユエのウォーミングアップがてら次の階層を踏破しつつ、野営していた。
尤も、魔物は殆ど俺が殲滅してしまったが。
そうそう、さっき蠍擬きから手に入れた鉱石――
シュタル鉱石だが、なんと魔力との親和性が高く、魔力を込めた分だけ硬度を増す特殊な鉱石だったのだ。
これで武装の幅も広がり、ますますこれからの錬成が楽しみになった。
そしてユエ自身の来歴についてだが、12歳の時に"魔力操作"や"自動再生"に目覚めてから歳をとっていないらしい。
しかも僅か数年で当時最強の一角に数えられていたそうで、17歳の時に吸血鬼族の王位に就いたという。
やべぇよ、この子。神(笑)がいなかったらマジで世界征服していたかもしれねぇ……。
だから封印するしかなかったのか……ん?
ハジメ「ねぇ、"自動再生"があるってことはさぁ……実質不死身ってことだよね?」
ユエ「?そうだけど?」
ハジメ「じゃあなんで敵は、ユエが死んだことを簡単に信じたんだろ?
本当に魔力がない状態で死んだ確証も無いのに。」
ユエ「……確かに、言われてみればおかしい。」
ハジメ「まぁ、どうせ救いようのないくらいド低能だったんだろうな。現場の言葉を鵜吞みにするタイプの。」
ユエ「それだ。」
だよねー、冷静に考えればそうなんだけど、そこまで行きつかないとか神(笑)通り越して髪(禿)だろ。
因みに、ユエも同じく全属性適正持ちで、基本は魔法で戦うようだ。
生憎接近戦は苦手なようで、一人だと身体強化で逃げ回りながら魔法を連射する位が関の山なのだそうだ。
後、無詠唱で魔法は放てるけど、癖で魔法名だけは呟いてしまうらしい。
まぁ、俺もそうするし、叫んだ方がイメージしやすいし。
そして"自動再生"についてだが、こちらは一種の固有魔法に分類されるらしく、魔力が無いと発動しないらしい。
魔力が残ってさえいれば、一瞬で塵にでもされない限り死なないらしく、髪(禿)はユエが魔力がない状態でやられたと思い込んだのだろう。
ハジメ「まぁ、なんにせよ……真のオルクスについての手がかりが欲しいな。」
ユエ「ん、それならある。」
あるんかい。
ユエ「……この迷宮は、反逆者の一人が作ったと言われてる。」
ハジメ「反逆者、ねぇ……。」
ユエいわく、神代に神に反逆し世界を滅ぼそうと画策した7人の眷属がいたそうだ。
しかしその目論見は破られ、彼等は世界の果てに逃走した。
その果てというのが、現在の7大迷宮といわれているらしい。
この【オルクス大迷宮】もその一つで、奈落の底の最深部には反逆者の住まう場所があると言われているのだとか。
ユエ「……そこなら、地上への道があるかも……。」
ハジメ「成程、確かにそんな場所があれば、この先役に立ちそうな何かがあるかもしれないな。」
まぁ、彼等は反逆ではなく支配からの解放が目的だったが、力及ばず敗北して歴史を改竄された先人だと思うが。
それにしても、反逆者の住処か……神代の魔法とかあるかな?なんて考えていると、ユエがこちらを見ていた。
ハジメ「……そんなに面白い?」
口には出さずコクコクと頷くユエ。
だぶだぶの上着を着て、袖先からちょこんと小さな指を覗かせ膝を抱える姿はなんとも愛嬌があり、その途轍もなく整った容姿も相まって思わず抱き締めたくなる様な可愛らしさだ。
すると今度はユエがハジメに質問し出した。
ユエ「ハジメ、どうしてここにいる?どうしてあんなに強いの?どうして魔力操れるの?」
ハジメ「そんな矢継ぎ早に質問されても……そろそろ飯の準備するから、そのついでに話すよ。」
まぁ、当然の疑問だろう。ここは奈落の底、正真正銘の魔境だ。魔物以外の生き物がいていい場所ではない。
というわけで、ユエの質問に次々と答え、ここまでの経緯を話すと、ユエの方からグズッと洟を啜るような音が聞こえだした。
不思議に思ってみてみると、ユエがハラハラと涙をこぼしている。
ハジメ「どうしたんだ?ユエの過去程そんなに辛くは無いと思うんだが…」
ユエ「……ぐす……ハジメ……つらい……私もつらい……。」
……うん、思いっきり同情されているな。
ハジメ「気にすんな。俺だって単独行動で色々調べたいこともあったし、この程度どうってことないさ。」
ユエ「……ほんと?」
ハジメ「あぁ、もちろん。」
まぁ、流石に地上に残してきた香織たちの様子が心配だが……今はこっちを優先しなければな。
ハジメ「そうだ!神殺し終わったら、ユエも俺の世界に来る?」
ユエ「!……いいの?」
まぁ、今のユエには帰る場所がないし、復讐が終わってからそういう場所がないと自棄になっちゃいそうだし。
何より、叔父殿との約束もあるしな……。
ハジメ「いずれにしろ元の世界に帰るんだし、折角の機会に良いかな?って思ってさ。
それに家の両輪は、そういう属性持ちの子大歓迎な風潮だし。
戸籍とか色々問題はあるけど、何とかするからさ。どう?」
すると今までの無表情が嘘の様に、ユエはふわりと花が咲いた様に微笑んだ。
思わず見蕩れてしまいそうになるくらい、可愛かった。
ハジメ「……あ、そういえばユエ、何か嫌いなものとかある?食べたいものでもいいけど……。」
そう聞くとユエは、「食事はいらない」と首を振った。
ハジメ「えぇ……流石に300年生きてるとはいえ、お腹すかない?」
ユエ「すく。……でも、もっと気になるものがある。」
ハジメ「?それは何?」
空腹よりも気になるものって……。
ユエ「んっ!」
……何の冗談だろうか、ユエは勢いよく俺を指さしていた。
ハジメ「……え?俺?」
ユエ「ん。ハジメの血、欲しい。」
ハジメ「……ああ、そっちか。まぁ、吸血鬼だし血の方が好みだよね。」
ユエ「……食事でも栄養はとれる。……でも血の方が効率的。」
ハジメ「効率かい……。」
とはいえ、今の俺の血をそのまま吸わせるのは少し不味いかもしれない。
ハジメ「一応、こっちでやれるだけ調整しておくけど、気を付けなよ?」
ユエ「ん?どういうこと?」
ハジメ「俺には、様々な戦士の力を操る技能が備わっている。その中には、猛毒を操る戦士の力も入っている。
それが肉体にも作用している可能性は高い。即死毒まで持っている奴もいたくらいだしな。
浄化作用の力で毒は弱めておくから死にはしないけど……結構痛いぞ。それでもいいか?」
ユエ「!……頑張る。」
ハジメ「そうか……。」
そう言って気合を入れたユエ。まぁ、とりあえず、エボルの即死毒は絶対に外して、と。
その後、案の定激痛でのたうち回るユエに、必死に浄化作用や回復系技能を使う俺であった。
そして、マキシマムマイティガシャットを使えば、抗体の獲得が出来ることを知ったのは、ユエが抗体を獲得し始めてからだった。
まぁ、流石に慣れたのか、何度目かの時は普通に飲んでた。
ユエ曰く、何種類もの野菜や肉をじっくりコトコト煮込んだスープのような濃厚で深い味わい、熟成された味、とのことだった。
俺はワインか何かか。
翌日、次の階層は樹海だった。10mを超える木々が鬱蒼と茂っており、空気はどこか湿っぽい。
が、前に通った熱帯林の階層よりかはマシなようだ。ただし、雑草ですら160cm以上も生い茂っているが。
そんな場所を探索していると、突然ズズンッという地響きが耳に届いた。
何事かと視線を向ければ、ティラノサウルスっぽい魔物が出てきた……頭に一輪の花を咲かせて。
鋭い牙と迸る殺気が、向日葵っぽい花とミスマッチだ。
ユエ「"緋槍"。」
まぁ、ユエの敵ではないけど。早速炎で円錐状の槍を形成し、一直線にティラノ擬きをぶち抜いて見せた。
ハジメ「うん、やっぱりユエは魔法の天才だね。」
俺が拍手と称賛を送ると、ユエは振り返って無表情ながらどこか不満気な顔をする。
ユエ「……褒めてくれるのは、嬉しい。でも……ハジメに比べれば、まだまだ。」
ハジメ「いや、あれは俺に宿る戦士たちの力が凄いだけだし……普通なら、ユエのように魔法とか使えないよ?」
ユエ「でも……。」
ハジメ「そんな顔しないでよ、ユエの魔法も十分役に立っているんだし。」
ユエ「……ハジメ……ん。」
若干シュンとするユエを労うように、彼女の柔らかな髪を撫でる。
すると、それだけでユエはほっこりした表情になって機嫌が戻るので、ホント猫みたいで大変微笑ましい。
と思っていた時だった。
ハジメ「!次は10体位の団体様か、先手を取るよ。」
ユエ「んっ!」
"気配感知"で10体程の魔物が、こちらを取り囲む様に向かってくるのが分かった。
統率の取れた動きに警戒しつつ、様子を伺いながら襲撃者の内の1体に接近する。
そうして生い茂った草むらの先に見える、その正体は――体長2m強のラプトル擬きだった。
それも、頭からチューリップのような花をひらひらと咲かせて。
ユエ「……かわいい。」
ハジメ「またか……まさかとは思うが、寄生型じゃねぇよな?」
ユエが思わずほっこりしながら呟く一方、俺は先程のティラノやこのラプトルといった魔物が、実は操られているのではないかと考察していた。
「シャァァアア!!」
だが、目の前の魔物はまってくれないようで、ラプトル擬きはこちらに飛びかかってきた。
その強靭な脚には20cm位のカギ爪が、ギラリと凶悪な光を放っていた。
思わずユエを抱えて飛び退き、もう片方の手でこの前作った銃――"ドンナー"で花を打ち抜いてみた。
ドパンッ!
発砲音と同時にチューリップの花が四散する。
ラプトル擬きは一瞬ビクンと痙攣したかと思うと、着地を失敗してもんどり打ちながら地面を転がり、樹にぶつかって動きを止めた。
シーンと静寂が辺りを包み、ユエはラプトル擬きと四散して地面に散らばるチューリップの花びらを交互に見やった。
ユエ「……死んだ?」
ハジメ「……いや、生きてる。となると、やっぱり寄生型か?」
その見立て通り、ピクピクと痙攣した後、ラプトル擬きはムクッと起き上がり辺りを見渡し始めた。
そして、地面に落ちているチューリップを見つけるとノッシノッシと歩み寄り親の敵と言わんばかりに踏みつけ始めた。
ハジメ「成程、これで確定だな。」
ユエ「……イタズラされた?」
ハジメ「そこじゃねぇよ、あの魔物に咲いてた花だよ。あれが寄生型の魔物。」
ラプトル擬きは一通り踏みつけて満足したのか、如何にも「ふぅ~、いい仕事したぜ!」と言わんばかりに天を仰ぎ「キュルルル~!」と鳴き声を上げた。
そして、ふと気がついたようにこちらへ顔を向けビクッとする。
ハジメ「乗っ取られている間は意識がないって訳ね……同胞狩りもあり得そうだな。」
ユエ「……やっぱりイジメ?」
ハジメ「ユエさん、一旦イジメから離れようか。」
ユエの天然ボケにツッコミを入れていると、ラプトル擬きは暫く硬直したものの、直ぐに姿勢を低くし牙をむき出しにして唸り一気に飛びかかってきた。
ハジメ「てりゃ。」パァンッ!
が、はいそうですかとやられるわけでもなく、マグナムシューターでその大きく開いた口の中に風穴を開けてやった。
結果、跳躍の勢いそのままにズザーと滑っていく絶命したラプトル擬き。
ハジメ「取り敢えず目の前の奴等を突破しよう。片っ端から倒せば、本体への道筋は開けるだろうし。」
するとその隙を狙っていたのか、包囲網がかなり狭まってきていた。
なので急いで移動しつつ、有利な場所を探っていくと、直径5mはありそうな太い樹が無数に伸びている場所に出た。
隣り合う樹の太い枝同士が絡み合っており、まるで空中回廊のようだ。早速ユエを抱えて、太い枝に飛び移る。
すると、5分もかからず眼下にラプトルが10体以上現れ始めた。先程同様、頭に花を生やして。
ハジメ「先ずは小手調べと行こうか。」
なので、次は機関砲"ホークガトリンガー"を試してみることにした。
出来ればユエの魔法で行きたいけど……流石に俺も暴れたいし。
『10…20…30…40…50…60…70…80…90…100!Full Bullet!』
中央の回転式リロードユニット"リボルマガジン"を限界まで回せば、照準センサー"サードアイホーク"で敵を補足する。
同時に、敵を包む様に球状の特殊フィールドが展開され、宙に浮かび上がる。後はトリガーを引けば――
勝利の法則は決まった!
『ボルテックブレイク!』
ハジメ「ハァァァァァ!!」
"シックスガンマズル"から高速で連射される殲滅光弾"バレットイレイザー"が敵を打ち抜いていく。
結果、あっという間にラプトル擬き共はハチの巣となり、物言わぬ骸となった。一先ず打ち止めか?
と思っていたら、"気配感知"にまた反応があった。それも全方位から大量に。
ハジメ「ユエ、直近で3,40以上の魔物が来るぞ。全方位から囲むように、獲物を追い込もうとしてやがる。」
ユエ、「……逃げる?」
ハジメ「……いや、面倒だしユエに任せる。一番高い樹の天辺から全力でぶっ放せ。」
ユエ「ん……特大のいく。」
ハジメ「よし来た。」
今度は一番高い木から迎撃することにした、序に太い枝を砕いて障害物にする。
両手には、アームズウェポン"ブドウ龍砲"と拡張武装"ギーツバスターQB9"を構え、準備を整える。
すると、ユエがそっと俺の服の裾を掴んでいた。生憎手が塞がっているので、代わりに体を寄せる。
今度は、ユエの掴む手が少し強くなった。
そしてとうとう、第一陣が登場した。ラプトル擬きだけでなくティラノ擬きもいる。
ティラノ擬きは樹に体当たりを始め、ラプトル擬きは器用にカギ爪を使ってヒョイヒョイと樹を登ってくる。
ならばこちらは撃ち落とすまで。高速連射による弾幕攻撃でラプトル擬きを一匹残らず撃ち抜いた。
リロードの必要はあるものの、一瞬で終えて即座に戻れるので実質隙は無い。
しかし、それでも下にはまだ30体以上のラプトル擬きと4体のティラノ擬きが犇めき合い、大木をへし折るか、あるいは登って襲おうかと群がっている。
ユエ「ハジメ?」
ハジメ「まだだ、もっと引き付ける。ユエは集中を続けてくれ。」
ラプトル擬きを撃ち落としながら、ユエに答える。ユエも俺を信じて、魔力の集束に専念した。
そして遂に下の恐竜擬き共が50体以上に達したところで、ユエに合図を送った。
ハジメ「ユエ、今だ!」
ユエ「んっ!“凍獄”!」
その魔法が放たれた瞬間、俺達のいる樹を中心に眼下が一気に凍てつき始めた。
ビキビキッと音を立てながら瞬く間に蒼氷に覆われていき、魔物に到達すると花が咲いたかの様に氷がそそり立って氷華を作り出していく。
中心から50mの四角内にいた魔物たちは一瞬の抵抗も許されずに、その氷華の柩に閉じ込められ目から光を失っていった。
ユエ「はぁ……はぁ……。」
ハジメ「こりゃすごいな……流石ユエ、とても助かったよ。ありがとう。」
ユエ「……くふふ……。」
周囲一帯を氷結地獄にするほどの最上級魔法を使った影響で、肩で息をしているユエを労い撫でる。
無理もない、あれほどの魔法であれば消費する魔力も多いので、酷い倦怠感に襲わるのは間違いないだろ
早速へたりこむユエに首筋を差し出す、するとユエは僅かに口元を綻ばせながら照れた様に「くふふ」と笑いを漏らした。
……なんかその笑い方、どっかのマフィアがやってたようなとか、野暮なことはツッコまないことにした。
そして差し出された首筋に、ユエが頬を赤らめながら口を付けようとした時だった。
ハジメ「ユエ、また来たみたいだよ。しかも倍以上の数が。」
ユエ「!?」
ハジメ「こりゃあいよいよ本体を叩かないとね……次は俺がやるよ。ユエはそのまま回復を続けて。」
ユエ「……んっ!」
そう言ってユエを背負うと、彼女が見た目相応の笑顔を浮かべてしっかり背中に抱きついたのを確認し、樹から樹へと飛び移っては、全速力で駆け抜けることにした。
ハジメ「うぉっ!?10倍以上にまで跳ね上がるとか聞いてねぇぞ!?」
しかし、追ってくる魔物は増える一方で、とうとうその数は500を越えていた。だが、それはそれで好都合だ。
こちらも全力で殲滅しがいがありそうだ。
ユエ「ハジメ?」
ハジメ「流石にユエのように最上級魔法は出来ないけど……それにも負けない技ならあるよ。
しっかりつかまってて。」
ユエ「……わかった。」
言うが早いか、早速飛び上がり、恐竜擬きたち全体を見下ろせる高度まで行くと、俺は右手から黒いエネルギーをぶっ放した。
ハジメ「――星喰い秘伝"
技名の通り、ブラッド星からの侵略者エボルトの能力――ブラックホールである。
最初は小さな黒い球だったそれは、眼下に集まった魔物や周辺の草木を喰いつくしては成長し、やがて漆黒の円が辺り一帯を覆いつくした。
ハジメ「……これでお掃除完了、ってとこか。」
ユエ「……なんて、規模……!」
まぁ、あれだけの技を見ればそんな反応になるわな、何せその気になりゃ星ごと覆いつくせる規模の技だし。
そして数十秒後、黒い球体が消えたその後には、球状に大きく抉られた大地だけが残った。
ハジメ「これで大体は片付いたか、後はあそこの洞窟だな。」
そして俺達は、迷宮の壁の中央付近にある縦割れの洞窟らしき場所へと足を運んだ。
なぜそこに目星をつけたかと言うと、奴等を引き付けている途中、その方向だけ動きが激しかったので、そこに本体がいると考えたからだ。
そんな訳でユエを背中から降ろし、洞窟の中を進んだ。
縦割れの洞窟は大の大人が二人並べば窮屈さを感じる狭さだ。
幸いにも罠の気配はなかったので、暫く道なりに進んでいると、やがて大きな広間に出た。
広間の奥には更に縦割れの道が続いており、この先に階段があると思われる。
とはいえ、油断は禁物。"気配感知"で周囲を探りつつ、超感覚で音を拾う。
そして俺達が部屋の中央までやってきた時だった。
ハジメ「!」
全方位から緑色のピンポン玉の様な物が無数に飛んできた。咄嗟に互いに背中合わせになり、迎撃する。
ユエは速度と手数に優れる風系魔法で迎撃、俺はモーフィングパワーとホークガトリンガーで牽制しつつ、足元から"錬成"で周囲に壁を作る。
ハジメ「一先ずは大丈夫か……ユエ、そっちは大丈夫?」
ユエ「……」
ハジメ「ユエ?……!」
何とか壁で周囲を覆ったので、ユエの様子を伺う。しかし、ユエからの返事がない。
不思議に思って振り向いたその時、立ったままのユエを見て嫌な予感を感じた。
ユエ「……逃げて……ハジメ!」
そしてその手がこちらを向いたその時、風刃が放たれた。
流石に至近距離で放たれたものを切る余裕はなく、やむなく飛び退く。
直後、背後の壁が綺麗に真っ二つになった。
ハジメ「くそっ!狙いは仲間割れか!」
恐らくさっきの弾幕はダミー、本命は俺かユエのどちらかを支配下に置くことだったようだ。
その証拠に、ユエの頭の上には彼女によく似合う真っ赤な薔薇が咲いていた。
ユエ「ハジメ……うぅ……。」
すると、ユエが無表情を崩し悲痛な表情をする。意識を保ったままのタイプか!余計に面倒だな……。
さっさと頭の花だけを切ろうと剣に手を置くが、元凶がそうはさせまいとユエを操り、花を庇う様な動きをさせてきた。
ハジメ「野郎……!」
上下に動いているので、剣では狙い辛い。かと言って銃でも魔法でも狙いをつけにくい。
確かにユエは確かに不死身に近い。だが先程のブラックホールのように塵にされては"再生"もはたらかない。
かと言って、特攻など仕掛けようものなら最上級魔法がノータイムで飛んでくる。さて、どうしたものか……。
と、こちらの迷いを察したのか、この事態の元凶が奥の縦割れの暗がりから現れた。
それは、アルラウネやドリアードと言った感じの魔物だった。
ただし、顔面は内面同様醜悪で、無数の蔓が触手の様にウネウネとうねっている。
どちらかと言うと、人型植物モンスターに近い。ニタニタ笑いと相まって非常に気持ち悪い。
そう感じた俺はすかさずドンナーを構える。だが、その前にユエが射線に入って妨害する。
ユエ「ハジメ……ごめんなさい……。」
悔しそうな表情で歯を食いしばっているユエ。自分が足手纏いなっている事が耐え難いのだろう。
今も必死に抵抗している筈だ。口は動く様で、謝罪しながらも引き結ばれた口元からは血が滴り落ちている。
鋭い犬歯が唇を傷つけているのだ。悔しい為か、呪縛を解く為か、或いはその両方か。
そんなユエを盾にしながら似非アルラウネは緑の球をこちらに打ち込む。
勿論、くらうつもりはないので全て焼き尽くす。それを逃れたいくつかの球も剣で切り裂く。
するとその中から、注視しなければ見えない程小さな胞子が飛び散っていた。
が、俺の頭には花が一向に咲かない。それを見た似非アルラウネは、ニタニタ笑いを止め怪訝そうな表情になる。
その様子を見るに、あれは一種の毒か何かだったのだろう。だが、こちらは"毒無効"持ちなので全然効かない。
それを悟ったのか、似非アルラウネは不機嫌そうにユエに命じて魔法を発動させる。また風の刃だ。
どうやら、操ると言っても単純な操作しかできないようだ。そう思って、余裕で切り飛ばそうとした時だった。
ハジメ「ッ!」
似非アルラウネが、これみよがしにユエの頭に手をやっていた。避ければユエを傷つけるぞ、とでもいうように。
それを見て咄嗟に剣をしまい、全体に魔力を回して薄めの"聖絶"と"金剛"で耐え切る。
流石に魔防はそこまで高くはないので、何発もくらい続けるのは不味い。どうしようかと思案していた時。
ユエ「ハジメ!……私はいいから……攻撃して!」
操られていたユエが、覚悟の表情で悲痛な声をあげる。
ハジメの足手纏いになるどころか、攻撃してしまうぐらいなら自分ごと撃って欲しい、そんな意志を込めた紅い瞳が真っ直ぐこちらを見つめる。
ハジメ「……わかった。」
その覚悟を感じた俺は、トリガーマグナムを取り出し、メモリをセットする。
『トリガー!マキシマムドライブ!』
ハジメ「……アデュー。」
そう言って引き金を引く。
パァンッ!
そして放たれた銃弾はユエ――
に当たることはなく、その頭の上に咲いていた花を、背後のアルラウネ諸共ぶち抜いた。
ユエ「!?」
ハジメ「――フッ、なーんてな。上手く化かされてくれたな。」
そう、俺がセットしたメモリはルナ――つまり実質ルナトリガーなのだ。
弾丸の軌道は変幻自在、ユエを傷つけずに敵を打ち抜くことなど容易いのだ。
結果、その軌道を予測できなかった似非アルラウネはあっけなく顔面をぶち抜かれ、ユエの頭から撃ち落とされたバラと共に、その肉体は地面に倒れた。
ハジメ「はったりを使うくらいなら、自分一人でも迎撃できる位強くなっとけや、ボケ。」
そう罵って、炎系の技能で似非アルラウネを焼き尽くした。
勿論、灰は"錬成"して65層の橋にオーロラカーテンで捨てた。
ハジメ「ユエ、大丈夫?怪我とかしていない?」
その後、ユエの安否を確認すると、ユエは未だに頭をさすりながら呆然とした目でこちらを見ていた。
ユエ「……撃った。」
ハジメ「……ごめんて。でも、俺だって少しは躊躇っていたよ?もし外したらとか思ってさぁ……。」
ユエ「うぅ~……。」
その後、最初こそ機嫌を損ねていたものの、躊躇ったり頭を傷つけなかったのもあって、いつもよりちょっと多めに吸われるだけで済んだのであった。
次回はいよいよヒュドラ戦です!果たして、このまま何事もなく試練を終えることが出来るのだろうか!?
それとも、前作同様オーマジオウ無双になってしまうのか!?待て、次回!
アンケートその1の結果以外で、追加で登場させてほしいキャラは?
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ボボボーボ・ボーボボ
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五条悟
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ディアボロ(黄金の風)
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銀さん
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ブロリー
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ユウキ(SAO)
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カービィ
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ヨシヒコ
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鬼灯様
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アインズ・ウール・ゴウン
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シャドウ(影の実力者)
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エボルト
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篠ノ之束
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ルフィ(風船で飛んできた)
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エスデス(アカメが斬る)
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フリーレン
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リムル
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サーヴァントの誰か(活動報告で入力)
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東方キャラ(リクは活動報告へ)
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その他(活動報告でリクエスト受付)