Re.ありふれない錬成師で最高最善の魔王、世界最強を超越する   作:天元突破クローズエボルハザード

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2話目、ベヒモス戦開幕です!
原作よりちょっぴり強い香織と雫の活躍に注目です!


サイドⅢ(前編):私たちは、貴方の元へ行く

光輝「万翔、羽ばたき、天へと至れ、"天翔閃"!」

先手は光輝だった。曲線状の光の斬撃がベヒモスに轟音を響かせながら直撃する。

以前はハジメの指摘で、クラスメイト達を守る為にその場を離れていたので、戦うことすら出来なかった。

しかし、いつまでもあの頃のままではないという光輝の宣言は、結果を以て証明された。

 

「グゥルガァアア!?」

悲鳴を上げ地面を削りながら後退するベヒモスの胸にはくっきりと斜めの剣線が走り、赤黒い血を滴らせていたのだ。

 

光輝「いける、俺達は確実に強くなってる!永山達は左側から、檜山達は背後を、メルド団長達は右側から!

後衛は魔法準備、上級を頼む!」

光輝が矢継ぎ早に指示を出す。メルド直々の指揮官訓練の賜物だ。

 

メルド「ほぅ、迷いなくいい指示をする。聞いたな? 総員、光輝の指揮で行くぞ!」

指示を受けたメルドが叫び、騎士団員を引き連れベヒモスの右サイドに回り込むべく走り出した。

それを機に一斉に動き出し、ベヒモスを包囲する。

前衛組が暴れるベヒモスを後衛には行かすまいと必死の防衛線を張る。

 

「グルゥアアア!!」

ベヒモスが踏み込みで地面を粉砕しながら突進を始める。

龍太郎「させるかっ!」

永山「行かせん!」

クラスの二大巨漢、坂上龍太郎と永山重吾がスクラムを組む様にベヒモスに組み付いた。

 

龍太郎・永山「「猛り地を割る力をここに! "剛力"!」」

身体能力、特に膂力を強化する魔法を使い、地を滑りながらベヒモスの突進を受け止める。

 

「ガァアア!!」

龍太郎「らぁあああ!!」

永山「おぉおおお!!」

三者三様に雄叫びをあげ力を振り絞る。ベヒモスは矮小な人間如きに完全には止められないまでも勢いを殺され苛立つ様に地を踏み鳴らした。

その隙を他のメンバーが逃さない。

 

雫「"奔れ、絶断"、"風爪"!」

そこへ、風の刃を纏った雫の刀がベヒモスの角を狙い打つ。

魔法によって更に切れ味を増し、上段から振り下ろされた一太刀。

その威力は、この場にいる全員にとって予想外だった。

 

「ガァアアアア!?」

次の瞬間、悲鳴を上げるベヒモス。

その頭部にあった角の片割れは真っ二つに切り落とされ、更にはその片側の前足も両断されていた。

 

『!?』

この結果にはクラスメイトは勿論、メルド等騎士団も驚いていた。

そしてその一太刀を放った本人――雫自身ですら驚愕していた。

 

雫(ありがとう、ハジメ君。)

予想以上のその切れ味の良さに内心驚きつつも、この刀を送ってくれた製作者に礼を言うと、雫は更に抜刀の構えに入ろうとする。

 

「グルゥアアア!!」

しかし、ベヒモスもやられたままではいられない。渾身の力で大暴れしようともう一方の前足を振り回す。

その衝撃によって、永山、龍太郎、雫、メルドの4人が吹き飛ばされ、衝撃に息を詰まらせ地面に叩きつけられそうになる。

 

香織「"奔れ、光輪"!"回天"!」

しかしそこへ、光の輪が無数に合わさって出来た網が優しく包み込んだ。

香織が行使した、形を変化させる事で衝撃を殺す光の防御魔法だ。

更に間髪入れず、遠隔で複数人を同時に癒せる中級光系回復魔法を唱え、4人を癒す。

以前使った"天恵"の上位版である。

 

光輝「"光爆"!」

そして光輝が突きの構えを取り、未だ暴れるベヒモスに真っ直ぐ突進すると、先ほどの傷口に切っ先を差し込み、突進中に詠唱を終わらせて魔法発動の最後のトリガーを引く。

すると、聖剣に蓄えられた膨大な魔力が、差し込まれた傷口からベヒモスへと流れ込み大爆発を起こした。

 

「ガァアアア!!」

傷口を抉られ大量の出血をしながら、技後硬直中の僅かな隙を逃さずベヒモスが鋭い爪を光輝に振るった。

光輝「ぐぅうう!!」

呻き声を上げ吹き飛ばされる光輝。

爪自体はアーティファクトの聖鎧が弾いてくれたが、衝撃が内部に通り激しく咳き込む。

しかし、その苦しみも一瞬だ。すかさず香織の回復魔法がかけられる。

 

香織「"奔れ、焦天"!」

先程の回復魔法が複数人を対象に同時回復できる代わりに効果が下がるものとすれば、これは個人を対象に回復効果を高めた魔法だ。

光輝は光に包まれ一瞬で全快する。

 

雫「"奔れ、風爪、断絶"……。」

一方、香織の魔法で回復し、目を閉じて極度の集中状態に入っていた雫は詠唱を終えると、光輝が吹き飛ばされるとそれと入れ替わるように前に出て、叫んだ。

 

雫「――"飛閃"ッ!」

その言葉と共に素早い居合が繰り出され、不可視の風の斬撃が刀から放たれた。

これは、ハジメのアドバイスを元に、雫なりに"風爪"を昇華させた剣技である。

その飛刃は、ベヒモスの片目を深く抉り取った。

 

「ガァアアア!?」

流石のベヒモスも、片方の目が潰されたせいか、動きが鈍くなっていった。

ただでさえ、前方の片足を切られたせいで足場が見づらくなり、上手く動けなくなった上に視界が制限され、敵の攻撃を見切ることが難しくなったからだろう。

跳躍しようにも既に足が負傷しており、あまり遠くまでは飛ばなさそうだ。

 

光輝「今だ、一気に畳みかけるぞ!」

そこへ回復した光輝の指示が飛び、前衛はヒット&アウェイでベヒモスを翻弄し続け、時間を稼ぐ。

すると、遂に待ちに待った後衛の詠唱が完了する。

 

恵里「皆、下がって!」

後衛代表の恵里から合図がでる。

光輝達は、渾身の一撃をベヒモスに放ちつつ、その反動も利用して一気に距離をとった。

その直後、炎系上級攻撃魔法のトリガーが引かれた。

 

「「「「「"炎天"!」」」」」

術者五人による上級魔法。超高温の炎が球体となり、さながら太陽の様に周囲一帯を焼き尽くす。

ベヒモスの直上に創られた"炎天"は一瞬で直径8mに膨らみ、直後、ベヒモスへと落下した。

 

絶大な熱量がベヒモスを襲う。

あまりの威力の大きさに味方までダメージを負いそうになり、慌てて結界を張っていく。

"炎天"はベヒモスに逃げる暇すら与えずに、その堅固な外殻を融解していった。

 

「グゥルァガァアアアア!?!?!?!?」

ベヒモスの断末魔が広間に響き渡る。いつか聞いたあの絶叫だ。

鼓膜が破れそうな程のその叫びは少しずつ細くなり、やがて、その叫びすら燃やし尽くされたかの様に消えていった。

そして、後には黒ずんだ広間の壁と、ベヒモスの物と思しき僅かな残骸だけが残った。

 

「か、勝ったのか?」

「勝ったんだろ……?」

「勝っちまったよ……。」

「マジか?」

「マジで?」

皆が皆、呆然とベヒモスがいた場所を眺め、ポツリポツリと勝利を確認するように呟く。

同じく、呆然としていた光輝が、我を取り戻したのかスっと背筋を伸ばし聖剣を頭上へ真っ直ぐに掲げた。

 

光輝「そうだ!俺達の勝ちだ!」

キラリと輝く聖剣を掲げながら勝鬨を上げる光輝。

その声に漸く勝利を実感したのか、一斉に歓声が沸きあがった。

男子連中は肩を叩き合い、女子達はお互いに抱き合って喜びを表にしている。メルド達も感慨深そうだ。

そんな中、静かにベヒモスのいた場所を眺めている香織に雫が声を掛けた。

 

雫「……一先ず、第一関門突破ね。」

香織「うん……でもまだまだだよ。この先には、あの魔物以上の強さを持っている敵もいるんだから。」

苦笑いしながら雫に答える香織。その視線は、橋の下に広がる奈落に向いていた。

 

香織「でも、きっと大丈夫。ハジメ君がくれたアーティファクトがあるから、私も強くなれる。」

雫「フフッ、そうね。でも……私達、でしょ?」

香織「!うん!これからも頑張ろう、雫ちゃん!」

雫「えぇ、そうね。頑張って最終階層まで行きましょ!」

ハジメに追いつくため、2人はもっと強くなろうと気合を入れた。そんな二人の所へ光輝達も集まってきた。

 

光輝「二人共、無事か?香織、最高の治癒魔法だったよ。香織がいれば何も怖くないな!

雫も凄かったよ。やっぱり雫は刀を握っている方が綺麗だな!」

爽やかな笑みを浮かべながら香織と雫を労う光輝。

 

雫「ええ、大丈夫よ。光輝は……まぁ、大丈夫よね。」

香織「うん、平気だよ、光輝くん。皆の役に立ててよかったよ。」

同じく微笑をもって返す二人。しかし、次ぐ光輝の言葉に少し心に影が差した。

 

光輝「これで、ハジメも浮かばれるな。

自分を突き落とした魔物を自分が守ったクラスメイトが討伐したんだから。」

香織・雫『……。』

光輝は感慨に耽った表情で雫と香織の表情には気がついていない。

 

どうやら光輝の中で、ハジメを奈落に落としたのはベヒモスのみという事になっているらしい。

確かに間違いではない。直接の原因はベヒモスの固有魔法による衝撃で橋が崩落した事だ。

しかしより正確には、撤退中のハジメに魔法が放たれ、回避に専念していたせいで避難できなかった事だ。

 

今では暗黙の了解としてその時の話はしない様になっているが、事実は変わらない。

だが、光輝はその事実を忘れてしまったのか意識していないのかベヒモスさえ倒せばハジメは浮かばれると思っている様だ。

基本、人の善意を無条件で信じる光輝にとって、過失というものはいつまでも責めるものではないのだろう。

まして、檜山によって故意に為されたなどとは夢にも思わないだろう。

 

しかし、香織は表面上は気にしない様にしていて、本心では今にも叫びたかった。檜山がハジメを落とした、と。

それをしなかったのは、香織に一番似合う笑顔でいてほしいと言ってくれた、彼の願いを聞いたからだ。

雫が溜息を吐く。思わず文句を言いたくなったが、光輝に悪気が無いのはいつもの事だ。

寧ろ精一杯、ハジメの事も香織の事も思っての発言である。だからこそある意味性質が悪いのだが。

 

それに、周りには喜びに沸くクラスメイトがいる。

このタイミングであの時の話をする程雫は空気が読めない女ではなかった。

若干微妙な空気が漂う中、クラス一の元気っ子が飛び込んできた。

 

鈴「カッオリ~ン!」

香織「ふわっ!?」

そんな奇怪な呼び声と共に鈴が香織にヒシッと抱きつく。

 

鈴「えへへ、カオリン超愛してるよ~!

カオリンが援護してくれなかったらペッシャンコになってるところだよ~!」

香織「も、もう、鈴ちゃんったら。ってどこ触ってるの!」

鈴「げへへ、ここがええのんか? ここがええんやっへぶぅ!?」

どこぞの子狸親父魔法少女の如く香織の体を弄る鈴。

それに雫が手刀で対応し、些か激しいツッコミが鈴の脳天に炸裂した。

 

雫「いい加減にしなさい。誰が鈴のものなのよ……香織は私のよ?」

香織「雫ちゃん!?」

鈴「ふっ。そうはさせないよ~、カオリンと[ピー]で[ピー]な事するのは鈴なんだよ!」

香織「鈴ちゃん!? 一体何する気なの!?」

恵里「鈴、私との関係は遊びだったの?」

鈴「エリリン!?」

香織「恵里ちゃん!?」

 

雫と鈴の香織を挟んでのじゃれ合いに、恵里が乱入した結果、昼ドラ並みのドロドロ具合になっていた。

そしてこれより先は完全に未知の領域。光輝達は過去の悪夢を振り払い先へと進むのだった。




次回は一旦王宮へ。
正直、次回は文章で引っかからないか心配ですが、暖かい目で見守っていただけると幸いです。
尚、詠唱の簡略化については特訓の成果と言って誤魔化しました。
アーティファクトはって?
何時の間にか部屋に置いてあったと説明して、光輝の決断でそのまま二人が運用することになりました。
こういう時だけ、序盤の光輝は役に立ちますからね。

アンケートその1の結果以外で、追加で登場させてほしいキャラは?

  • ボボボーボ・ボーボボ
  • 五条悟
  • ディアボロ(黄金の風)
  • 銀さん
  • ブロリー
  • ユウキ(SAO)
  • カービィ
  • ヨシヒコ
  • 鬼灯様
  • アインズ・ウール・ゴウン
  • シャドウ(影の実力者)
  • エボルト
  • 篠ノ之束
  • ルフィ(風船で飛んできた)
  • エスデス(アカメが斬る)
  • フリーレン
  • リムル
  • サーヴァントの誰か(活動報告で入力)
  • 東方キャラ(リクは活動報告へ)
  • その他(活動報告でリクエスト受付)
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