Re.ありふれない錬成師で最高最善の魔王、世界最強を超越する   作:天元突破クローズエボルハザード

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Q.いきなりピリピリムード、大丈夫かこれ?
A.大丈夫だ、問題ない
というわけで、安心して行ってね!


00:19/伝う掟

樹海の中で人間族と亜人族が共に歩いている。

その有り得ない光景に、目の前の虎の亜人――虎人族は、カム達に裏切り者を見るような眼差しを向けている。

……いやまぁ、シアを庇って脱走した時点で同じようなものか。

しかも、向こうは両刃の剣を抜身の状態で持っている。

それも、数十人の亜人が殺気を滾らせながら包囲網を敷いているしな。

 

カム「あ、あの私達は……。」

何とか誤魔化そうと、カムが額に冷汗を流しながら弁明を試みる。

が、その前に虎人族の視線がシアを捉え、その眼が大きく見開かれる。

 

???「白い髪の兎人族…だと?……貴様ら……報告のあったハウリア族か。……亜人族の面汚し共め!

長年同胞を騙し続け、忌み子を匿うだけでなく、今度は人間族を招き入れるとは!反逆罪だ!

もはや弁明など聞く必要もない、全員この場で処刑する!総員か──」

 

ズダダダダ!

 

虎の亜人が問答無用で攻撃命令を下そうとしたその瞬間、俺は咄嗟にブドウ龍砲をぶっ放した。

放たれた6発の弾丸は、虎人族の頬を掠めて背後の樹を抉り飛ばし、樹海の奥へと消えていった。

理解不能な攻撃に凍りつく虎人族、その頬には擦過傷が出来ている。まぁ、ざっとこの程度か。

 

もし人間の様に耳が横についてたら、確実に穴だらけになっていたな。最悪消し飛んでいただろう。

滅多に聞かない様な炸裂音と反応を許さない超速の攻撃に、周りの亜人族は誰もが硬直している。

既にバレているので、"気配遮断"を解いて"威圧"を放つと、響くような声で言った。

 

ハジメ「今の攻撃は、刹那の間に数百単位で連射可能だ。周囲を囲んでいる奴らも全員把握済みだ。

お前達がいる場所全て、俺の間合いの一部にすぎん。」

???「な、なっ……詠唱がっ……!」

詠唱も無く、見た事も無い強烈な攻撃を連射出来る上、味方の場所も把握していると告げられ思わず吃る虎人族。

更に追い打ちをかけるように、背後に無数のクラックを開くと、無数の武器を展開した。

その先には、虎男の同胞と思わしき者達がいる場所のようで、霧の向こう側で動揺している気配がする。

 

ハジメ「戦うのなら容赦はしない。一時の契約とはいえ、俺の仲間に手を出そうというのであれば……

分かるよな?」

そう言って目線を鋭くし、更に威圧感を放つ。すると、目の前の虎人族は、冷や汗を大量に流していた。

まぁ、物凄い殺気を真正面から受け止めているんだ、恐慌に陥って発狂しそうになるのも無理はないか。

 

ハジメ「だが、お前たちが大人しく引くのであれば、敵意がないのであれば無闇に殺す必要はないが。

さぁ、どうする?大人しく家に帰るか、敵対して全員ここで死ぬか。」

するとしばらくして、手前にいた虎男が口を開いた。

 

???「……その前に、一つ聞きたい。」

ハジメ「……良かろう、ただし、時間稼ぎなどといった愚行はするなよ?その時は問答無用で殲滅だ。」

???「ッ!分かっているとも……お前の目的を聞きたいだけだ。」

あぁ……そういえば言ってなかったわ。

 

ハジメ「安心しろ、帝国とか言う蛮族共等のような狼藉を働くつもりは毛頭ない。

俺達はただ、樹海の深部――大樹ウーア・アルトの下へ行きたいだけさ。」

???「!大樹の下へ……だと?何の為に?」

ふむ……やはりというか、何と言うか……。

 

ハジメ「そこに、本当の大迷宮への入り口があるかもしれないからな。

俺達は、七大迷宮の攻略を目指して旅をしている。ハウリアは案内のために契約を結んだ。」

???「本当の大迷宮?何を言っている?七大迷宮とは、この樹海そのものだ。

一度踏み込んだが最後、亜人以外には決して進む事も帰る事も叶わない天然の迷宮だ。」

そうか……となると、やはり亜人達のトップ辺りが知っているかもしれんな。

 

ハジメ「それはないな。大迷宮というには、ここの魔物は弱すぎる。

少なくとも、【オルクス大迷宮】の魔物の方が強い。」

???「……何だと?」

まぁ、樹海の外に出たことないからわかんないか。じゃあこれで。

 

ハジメ「これくらいの魔石を持った奴等でないと、説明がつかないだろう?」

???「!?こ、これは……こんな純度の魔石、見た事が無いぞ……!?」

ハジメ「これが【オルクス大迷宮】で戦った魔物の魔石だ。ここに来るまでに屠った奴等よりも大きいだろう?」

オルクスで採った魔石を数個見せれば、周囲の亜人達は驚愕のあまり口が開いたままだった。

 

???「……お前が、国や同胞に危害を加えないというなら、大樹の下へ行く位は構わないと俺は判断する。

部下の命を無意味に散らす訳には行かないからな。」

ハジメ「……ほぅ。」

目の前の虎人族の言葉に、周囲の亜人達が動揺する気配が広がった。

樹海の中で、侵入して来た人間族を見逃すという事が異例だからだろう。

だが、俺からすれば賢明な判断だ。とはいえ、知らない情報については疑わしいだろうな。であれば、

 

???「だが、一警備隊長の私如きが独断で下していい判断ではない。本国に指示を仰ぐ。

お前の話も、長老方なら知っている方もおられるかもしれない。

お前に本当に含む所が無いというのなら、伝令を見逃し私達とこの場で待機しろ。」

冷や汗を流しながら、それでも強い意志を瞳に宿して睨み付けてくる虎人族。まぁ、妥当なラインか。

それにしても、この状況で中々理性的な判断ができるとはな……少しだけ褒めてやる。

 

まぁ、こちらとしてもこの場の全員を皆殺しにしてフェアベルゲンに完全包囲されるのは面倒だしな。

というか、そんな事すれば大迷宮への道は完全に閉ざされてしまうだろうしな。

ここは解放者に倣って、おとなしく待つとしますか。

 

ハジメ「賢明な判断だ、いいだろう。先程の言葉、曲解せずに正確に伝えろ。」

???「無論だ。ザム!聞こえていたな!長老方に余さず伝えろ!」

???「了解!」

その言葉と共に、気配が一つ遠ざかっていった。俺はそれを確認し、ブドウ龍砲をしまうと威圧を解いた。

空気が一気に弛緩する。が、何故か目の前の虎人族はこっちに訝しそうな眼差しを向けてくる。なんでさ。

あれか?あっさり警戒を解いたから逆に怪しくなったとか?というか……そっちも臨戦態勢じゃん。

 

ハジメ「今なら殺れるとでも思っているなら止めておけ、俺がお前達を全滅させる方が早い。試してみるか?」

???「……いや、だが下手な動きはするなよ。我等も動かざるを得ない。」

ハジメ「それはそちら次第だがな。言ったはずだ、敵意がないのであれば無暗な殺生はせん。」

包囲はそのままだが、漸く一段落着いたと分かり、カム達にもホッと安堵の吐息が漏れた。

だが彼等に向けられる視線は、俺に向けられるものより厳しいものがあるのか、居心地は相当悪そうだ。

 

暫く重苦しい雰囲気が周囲を満たしていたが、そんな雰囲気に飽きたのか、ユエが構って欲しいと言わんばかりにちょっかいを出し始めた。

それを見たシアが場を和ませる為か、単に雰囲気に耐えられなくなったのか「私も~」と参戦してきたので、思わず苦笑いしながらも、相手をすることにした。

その光景に、少しずつ空気が弛緩していく。敵地のど真ん中で、いきなりイチャつき始めたとでも思われているのか、呆れの視線が突き刺さったが気にしない。

 

時間にして一時間と言ったところか。

調子に乗ったシアが、ユエに関節を極められて「ギブッ!ギブッですぅ!」と必死にタップし、それを周囲の亜人達が呆れを半分含ませた生暖かな視線で見つめていると、急速に近づいてくる気配を感じた。

場に再び緊張が走り、シアの関節には痛みが走る。

 

霧の奥からは、数人の新たな亜人達が現れた。

彼等の中央にいる初老―

流れる美しい金髪に深い知性を備える碧眼、吹けば飛んで行きそうな軽さの細身に尖った長耳をした、エルフに似た容姿の男性が長老なのだろう。

 

???「ふむ、お前さんが問題の人間族かね?名は何という?」

ハジメ「我が名は南雲ハジメ。いずれ狂った神(笑)をぶちのめし、最高最善の魔王となる男だ。お前が長老か?」

その言葉遣いに、周囲の亜人が長老に何て態度を!と憤りを見せるが、知らん顔で過ごす。

すると、森人族の男性は片手で亜人達を制し、名乗り返した。

 

???「如何にも。私は、アルフレリック・ハイピスト。フェアベルゲンの長老の座を一つ預からせてもらっている。

さて、お前さんの要求は聞いているのだが……その前に聞かせてもらいたい。“解放者”とは何処で知った?」

ハジメ「オルクス大迷宮の奈落の底、解放者の一人、オスカー・オルクスの隠れ家だ。

証拠はこの指輪でいいか?さっきこいつ等にも見せた魔石と合わせれば、十分だろう。」

そう言って俺は、オスカーの指輪を見せた。門番の虎人族も、さっき渡された魔石を見せる。

 

???「こ、これは……こんな純度の魔石、見た事が無いぞ……。」

それを見た虎人族の族長であろう、虎の亜人が驚愕の面持ちで思わず声を上げた。

アルフレリックも、指輪に刻まれた紋章を見て目を見開いている。

そして、気持ちを落ち着かせる様にゆっくり息を吐いて言った。

 

アルフレリック「成程……、確かにお前さんはオスカー・オルクスの隠れ家に辿り着いた様だ。

他にも色々気になるところはあるが……よかろう、取り敢えずフェアベルゲンに来るがいい。

私の名で滞在を許そう。ああ、勿論ハウリアも一緒にな。」

ふむ、まぁ数日間は捜索に回すつもりだったしな……滞在位は良いか。何故か、カム達ハウリアは驚いているが。

しかし、周囲の亜人族達からは猛烈に抗議の声が上がる。

まぁ、それも当然だろう。フェアベルゲンに人間族が招かれた事等無かったであろうからな。

 

アルフレリック「彼等は、客人として扱わねばならん。その資格を持っているのでな。

それが、長老の座に就いた者にのみ伝えられる掟の一つなのだ。」

伝えられる掟、かぁ……気にはなるがそれは後にして、と。

 

ハジメ「別に中央に泊まるわけじゃあない。大樹で大迷宮を探す数日の間、端っこに拠点が欲しいだけだ。」

アルフレリック「いや、お前さん。それは無理だ。」

ハジメ「……何故だ?」

まだ文句でもあるのか?と思って聞くと、アルフレリックは困惑した様に返した。

 

アルフレリック「大樹の周囲は特に霧が濃くてな、亜人族でも方角を見失う。

一定周期で、霧が弱まるから、大樹の下へ行くにはその時でなければならん。

次に行けるようになるのは3ヶ月半後だ。……亜人族なら誰でも知っている筈だが……?」

ハジメ「……パードゥン?」

初耳なんですけど?そう思って、アルフレリック共々、カムを見た。

 

カム「……あっ。」

当の本人は正に、今思い出したという表情をしていた。と言うか、あっ、じゃねぇだろぉぉぉ!

ハジメ「お前なぁ……。」

カム「あっ、いや、その何といいますか……ほら、色々ありましたから、つい忘れていたといいますか……

私も小さい時に行った事があるだけで、周期の事は意識してなかったといいますか……。」

しどろもどろになって必死に言い訳するカムだったが、周りのジト目に耐えられなくなったのか逆ギレしだした。

 

カム「ええいシア、それにお前達も!なぜ、途中で教えてくれなかったのだ!

お前達も周期の事は知っているだろう!」

シア「なっ、父様逆ギレですかっ!

私は、父様が自信たっぷりに請け負うから、てっきり丁度周期だったのかと思って……

つまり父様が悪いですぅ!」

ハウリアA「そうですよ。僕たちもあれ?

おかしいな?とは思ったけど、族長があまりに自信たっぷりだったから、僕たちの勘違いかなって……。」

ハウリアB「族長、何かやたら張り切ってたから……。」

逆ギレするカムに、シアが更に逆ギレし、他の兎人族達も目を逸らしながら、さり気なく責任を擦り付け合う。

 

カム「お、お前達!それでも家族か!これは、あれだ、そう!連帯責任だ連帯責任!

ハジメ殿、罰するなら私だけでなく一族皆にお願いします!」

シア「あっ、汚い!お父様汚いですよぉ!一人でお仕置きされるのが怖いからって、道連れなんてぇ!」

ハウリアC「族長!私達まで巻き込まないで下さい!」

カム「馬鹿者!道中のハジメ殿の容赦の無さを見ていただろう!一人で罰を受けるなんて絶対に嫌だ!」

ハウリアD「あんた、それでも族長ですか!」

お前等、亜人族随一の情の深さは何処行った……流石はシアの家族、なのか?

というか、全員残念ウサギじゃねぇか。……はぁ、仕方がない。

 

ハジメ「……ユエ、説教も兼ねてやっちゃって。」

ユエ「ん」

俺の言葉に一歩前に出たユエがスっと右手を掲げた。それに気がついたハウリア達の表情が引き攣る。

 

シア「まっ、待ってください、ユエさん!やるなら父様だけを!」

カム「はっはっは、何時までも皆一緒だ!」

ハウリアE「何が一緒だぁ!」

ハウリアF「ユエ殿、族長だけにして下さい!」

ハウリアG「僕は悪くない、僕は悪くない、悪いのは族長なんだ!」

喧々囂々と騒ぐハウリア達に薄く笑い、ユエは静かに呟いた。

 

ユエ「──"嵐帝"。」

『アッーーーー!!!』

天高く舞い上がるウサミミ達。樹海に彼等の悲鳴が木霊する。

同胞が攻撃を受けた筈なのに、アルフレリックを含む周囲の亜人達の表情に敵意は無かった。

寧ろ、呆れた表情で天を仰いでいる。彼等の表情が、何より雄弁にハウリア族の残念さを示していた。

ある意味、一種の才能かもしれないな……。

 

『……。』ピクピク……

死屍累々といった様子で地面に横たわるハウリア達。ピクピクと痙攣している辺りが実に哀れを誘う。

ハジメ「えい。」バチッ

『アバッ!?』

が、そんなこと知ったこっちゃないと言わんばかりに、ハウリア達を死なない程度の電流で叩き起こる。

 

ハジメ「アルフレリック、先導を頼むぞ。……ほら、お前等、案内してもらうんだからさっさと起きろ。」

どことなくめそっとした湿っぽいハウリアを促すと、何とも言えない表情を浮かべながらも、アルフレリックが門番の虎の亜人・ギルに視線で合図を送る。

ギルはどこか疲れた様子で溜息を吐くと、一行を先導して濃霧の中を歩き出した。




前作とは違い、しっかり制裁しておきました。
さて、次回は荒れますので閲覧注意!あ、言っておきますがグロはありませんのでご安心を。

アンケートその1の結果以外で、追加で登場させてほしいキャラは?

  • ボボボーボ・ボーボボ
  • 五条悟
  • ディアボロ(黄金の風)
  • 銀さん
  • ブロリー
  • ユウキ(SAO)
  • カービィ
  • ヨシヒコ
  • 鬼灯様
  • アインズ・ウール・ゴウン
  • シャドウ(影の実力者)
  • エボルト
  • 篠ノ之束
  • ルフィ(風船で飛んできた)
  • エスデス(アカメが斬る)
  • フリーレン
  • リムル
  • サーヴァントの誰か(活動報告で入力)
  • 東方キャラ(リクは活動報告へ)
  • その他(活動報告でリクエスト受付)
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