Re.ありふれない錬成師で最高最善の魔王、世界最強を超越する 作:天元突破クローズエボルハザード
さぁて、いよいよフェアベルゲン入場ー!
追記:白河上皇さん、誤字報告ありがとうございます。
俺とユエ、ハウリア族、そしてアルフレリックを中心に、周囲を亜人の警備隊隊員で固めて歩く事1時間程。
未だにフェアベルゲンには到着していない。先程伝令に出されたザムという男は相当頑張ったようだな……。
なんて思いつつ、歩くこと暫し。突如霧が晴れた場所に出た。
晴れたといっても、真っ直ぐな一本道が出来る位に薄れただけで、まるで霧のトンネルの様な場所になっていた。
よく見れば、道の端に誘導灯の様に青い光を放つ拳大の結晶が地面に半分埋められている。
そこを境界線に霧の侵入を防いでいるようだ。
その青い結晶に注目していると、アルフレリックが解説してくれた。
アルフレリック「あれはフェアドレン水晶というものだ。あれの周囲には、何故か霧や魔物が寄り付かない。
フェアベルゲンも近辺の集落も、この水晶で囲んでいる。まぁ、魔物の方は“比較的”という程度だが。」
ハジメ「成程。確かに、霧ばかりでは気も滅入る。住居の霧位は晴らす手段はあるか。」
どうやら樹海の中であっても、街の中は霧が無い様だ。正直、これは嬉しい誤算だ。
ユエも霧が鬱陶しそうだったので、それを聞いてどことなく嬉しそうだ。
ギルが門番と思しき亜人に合図を送ると、ゴゴゴと重そうな音を立てて門が僅かに開いた。
周囲の樹の上から、こちらに視線が突き刺さっているのが分かる。
人間が招かれているという事実に動揺を隠せない様だ。
アルフレリックがいなければ、ギルがいても一悶着あったかもしれない。
恐らくその辺りも予測して長老自ら出てきたのだろう。そして門をくぐると……
ハジメ「これが、フェアベルゲン……!」
正にそこは別世界だった。直径数十m級の巨大な樹が乱立しており、その樹の中に住居がある様で、ランプの明かりが樹の幹に空いた窓と思しき場所から溢れている。
人が優に数十人規模で渡れるであろう極太の樹の枝が絡み合い空中回廊を形成している。
樹の蔓と重なり、滑車を利用したエレベーターの様な物や樹と樹の間を縫う様に設置された木製の巨大な空中水路まであるようだ。
樹の高さはどれも20階位ありそうだ。
思わずユエ共々ポカンと口を開けてその美しい街並みに見蕩れていると、ゴホンと咳払いが聞こえた。
どうやら気がつかない内に立ち止まっていたらしく、アルフレリックが正気に戻してくれた様だ。
アルフレリック「ふふ、どうやら我らの故郷、フェアベルゲンを気に入ってくれたようだな。」
嬉しげに緩んだ表情のアルフレリック。
……何だろう、孫の楽しそうな様子を見るお爺ちゃんみたいでやり辛いなこの人。
周囲の亜人達やハウリア達も、どこか得意げな表情だ。まぁ、否定はしないが!
ハジメ「あぁ、こんなに綺麗な街を見たのは初めてだ。空気も美味いし、自然と調和した見事な町だと思う。」
ユエ「ん……綺麗。」
掛け値なしのストレートな称賛に、流石にそこまで褒められるとは思っていなかったのか少し驚いた様子の亜人達。
だがやはり故郷を褒められたのが嬉しいのか、皆フンっとそっぽを向きながらもケモミミや尻尾を勢いよくふりふりしている。
ハジメ「……めっちゃモフりたい。」
アルフレリック「モフ……?」
ハジメ「あ、いや、何でもない。」
どうやら口に出てしまっていたようだ。
咄嗟に口を閉ざすものの、ユエにはバレていたようで、暖かい視線が向けられていた。
そんな視線に耐えつつ、フェアベルゲンの住人に好奇と忌避、或いは困惑と憎悪といった様々な視線を向けられながら、アルフレリックが用意した場所に向かったのであった。
アルフレリック「……なるほど。試練に神代魔法、それに神の盤上か……。」
案内された俺達は現在、アルフレリックと向かい合って話をしていた。
内容としては、オスカーやユエのおやっさんの記録映像の内容、"解放者"や神代魔法、俺自身が異世界の人間であり七大迷宮を攻略すれば神代魔法が手に入るかもしれない事等だ。
アルフレリックは、この世界の神の話を聞いても顔色を変えたりはしなかった。
不思議に思って聞いてみると、「この世界は亜人族に優しくはない、今更だ」という答えが返ってきた。
神が狂っていようがいまいが、亜人族の現状は変わらないという事らしい。それはそれで悲しいものだ。
まぁ、こんな場所じゃ聖教教会の権威も信仰心もないしな。あるとすれば自然への感謝の念らしい。
何というか、ホントに元の世界におけるエルフの知識に類似しているなぁ……。
そして、今度はアルフレリックが、フェアベルゲンの長老の座に就いた者に伝えられる掟を話した。
それは、この樹海の地に七大迷宮を示す紋章を持つ者が現れたらそれがどの様な者であれ敵対しない事、そしてその者を気に入ったのなら望む場所に連れて行く事、という何とも抽象的な口伝だった。
【ハルツィナ樹海】の大迷宮の創始者リューティリス・ハルツィナが、自分が"解放者"という存在である事(解放者が何者かは伝えなかった)と、仲間の名前と共に伝えたものなのだという。
フェアベルゲンという国が出来る前からこの地に住んでいた一族が延々と伝えてきたのだとか。
成程、解放者達はフェアベルゲンの創設前から活動を続けていた、と言う訳か。
最初の敵対せずというのは、大迷宮の試練を越えた者の実力が途轍もない事を知っているからこその忠告だろう。
そして、オルクスの指輪の紋章にアルフレリックが反応したのは、大樹の根元に七つの紋章が刻まれた石碑があり、その内の一つと同じだったからだそうだ。
ハジメ「それで、俺は資格を持っているという訳か……。」
アルフレリックの説明により、人間を亜人族の本拠地に招き入れた理由が分かった。
しかし、全ての亜人族がそんな事情を知っている訳ではない筈なので、今後の話をする必要がある。
その懸念について、話を詰めようとしたその時、何やら階下が騒がしくなった。
……どうやら、嫌な予感はよく当たるようだ。
俺達のいる場所は最上階にあたり、階下にはシア達ハウリア族が待機している。
どうやら、彼女達が誰かと争っている様だ。俺達は顔を見合わせ、現場へと向かった。
階下では、大柄な熊の亜人族や虎の亜人族、狐の亜人族、背中から羽を生やした亜人族、小さく毛むくじゃらのドワーフらしき亜人族が剣呑な眼差しでハウリア族を睨みつけていた。
部屋の隅で縮こまり、カムが必死にシアを庇っている。
シアもカムも頬が腫れている事から既に殴られた後の様だ。
俺達が階段から降りてくると、奴等は一斉に鋭い視線を送った。熊の亜人が剣呑さを声に乗せて発言する。
???「アルフレリック……貴様、どういうつもりだ。何故人間を招き入れた?こいつら兎人族もだ。
忌み子にこの地を踏ませるなど……返答によっては、長老会議にて貴様に処分を下す事になるぞ。」
……はぁ、ごちゃごちゃと五月蠅い熊だな。伝えられた掟位守りやがれ。
他の奴等も睨んできてはいるが、当のアルフレリックはと言うと、どこ吹く風といった様子だ。
正直どうかと思うが、肝っ玉が据わっている事だけは分かった。
アルフレリック「何、口伝に従ったまでだ。お前達も各種族の長老の座にあるのだ。事情は理解できる筈だが?」
???「何が口伝だ、そんなもの眉唾物ではないか!
フェアベルゲン建国以来一度も実行された事等無いではないか!」
アルフレリック「だから今回が最初になるのだろう。それだけの事だ、お前達も長老なら口伝には従え。
それが掟だ。我ら長老の座にある者が掟を軽視してどうする。」
???「なら、こんな人間族の小僧が資格者だとでも言うのか!敵対してはならない強者だと!」
アルフレリック「そうだ。」
あくまで淡々と返すアルフレリック。ふむ……中々に食えない爺さんだ。
そう言えば、アルフレリック達森人族は、200年くらいが平均寿命で、亜人族の中でも特に長命種だったな。
ならその分、物事を長い目で見ることが出来るって訳か。良いねぇ……。
彼が、口伝を含む掟を重要視するタイプであることに免じて、絶滅は許してやろう。
と思っていると、目の前の熊男は信じられないという表情でアルフレリックを、そしてこちらを睨む。
フェアベルゲンには、種族的に能力の高い幾つかの各種族を代表する者が長老となり、長老会議という合議制の集会で国の方針等を決めるらしい。
裁判的な判断も長老衆が行うようで、この場に集まっている
が、口伝に対する認識には差がある様で、この場に人間族や罪人がいる事に我慢ならないみたいだな。
???「……ならば今、この場で試してやろう!」
すると、いきり立った熊の亜人が、突如こちらに向かって突進した。
あまりに突然の事で周囲は反応出来ていない。
アルフレリックも、まさかいきなり襲いかかるとは思っていなかったのか驚愕に目を見開いている。
そして一瞬で間合いを詰め、身長2m半はある脂肪と筋肉の塊の様な男の豪腕がこちらに向かって振り下ろされた。
後から聞いた話だが、熊男の種族――熊人族は特に耐久力と腕力に優れた種族らしい。
その豪腕は一撃で野太い樹をへし折る程で、種族代表ともなれば他と一線を画す破壊力を持っているそうだ。
尤も……その程度じゃたんこぶ一つも出来ないんだがな。
ズドォン!
辺りに静寂が走る。そして次の瞬間、驚愕がこの場を包んだ。何故って?
ハジメ「……気は済んだか?」
熊男「なっ、何ィ!?」
そりゃ、殴られた本人が大したダメージもなさそうに突っ立っているしなぁ。驚いて当然か。
え?痛くなかったのかって?ただ太い気を砕く程度じゃあ、俺の鋼鉄頭は傷一つつかないなぁ。
多少の衝撃はあったものの、痛みと言う程のものでもなかった。ちょっと揺れたかな?ってレベルだったし。
ハジメ「取り敢えず、お前等を全員ぶっ飛ばせばいいんだな?よし分かった。」ドンッ!
そう言って呆けていた熊男のどてっ腹に掌底を食らわし、序に似非ドワーフ諸共ぶっ飛ばした。
二人とも壁に激突し、気絶したようだ。
ハジメ「はい次。」
虎男「まっ、待――」
ハジメ「待たない。」バキィッ!
次は、虎男をかかと落としで叩きつける。床に激突し突き抜けた虎男は、何度かピクピクした後、気絶したのか動かなくなった。
ハジメ「はい次。」ガシッ
鳥女「ちょっ、まっ――」
ハジメ「男女平等バックドロップ。」ドカァン!
その次は鳥女にジャーマンスープレックスを決める。
逆さまになったので、見えちゃいけないものも見えているが無視。
ハジメ「これで最後。」
狐小僧「なっ、何その道具は!?」
ハジメ「さぁ、毛づくろいの時間だ。」
ラストは狐のガキ。折角なので特製ブラシで良い声で鳴かせてやった。
――アッ――!?
ハジメ「……ふぅ、すっきりした。これで試練はクリアでいいよね?」
そう言って周囲を見回すと、戦慄した表情のハウリア達と、頭を押さえ天を仰いでいるアルフレリックの姿があった。
……アレ?俺、もしかして何かやらかした?と思っていると。
ユエ「……ん、流石ハジメ。亜人相手でもこの無双っぷり。いいと思います。」
ハジメ「お、おぉ。ありがとう……?」
ユエからは何故か、いまいち褒められているのか微妙な慰めが飛んできた。ナズェダ……。
その後、アルフレリックの執り成しでその場は収まった、と思う。うん、俺は悪くない。
向こうが「試してやる」って言って殴りかかってきただけだし。ちゃんと手加減もしたし。
何なら、内臓破壊もしてないし戦闘不能にもしていないから無罪確定だろう。
それなのに何故か、俺は老害共との会議に呼び出された。全くもって解せぬ。
今、俺と向かい合っているのは、熊男ジン、虎男ゼル、鳥女兼翼人族のマオ、狐小僧のルア、髭面似非ドワーフ兼土人族のグゼ、そしてエルフ似森人族のアルフレリックの6人で構成された、当代の長老衆……らしい。
正直、アルフレリック以外、強さがどいつもこいつもいまいちだったからあまり実感がわかんが……。
それに、軽く撫でてやった程度で表情を強ばらせているし。こんなんで大丈夫なのか?
因みに、俺の傍にはユエとカム、シアが座り、その後ろにハウリア族が固まって座っている。
ハジメ「それで?今度は何?さっきの試練の結果に言いがかりでもつけるつもり?
何度も言ってるけど、そっちが勝手に試してやるって言って襲い掛かってきたから、その通りにしただけだ。
別に死んだわけじゃないんだし、お前ら程度のうっすいプライドなんかの為に足止めされたくないんだけど。
俺は大樹の元へ行きたい、ハウリアは安全な場所が欲しい、これだけの要求のどこに問題があると言うのだ?」
そう言うが、向こうは未だに険しい表情だ。何が言いたいんだこいつ等は。
グゼ「こちらに攻撃しておいて、第一声がそれか……それで友好的になれるとでも?」
ハジメ「知るか。そもそも先に手を出しといて、自分たちは殺されないって思ってるとか、頭お花畑かよ。」
グゼ「なっ、貴様!」
お、やんのか?やろうか?第2ラウンドか?レディー、ファイッ!
アルフレリック「グゼ、気持ちはわかるが、そのくらいにしておけ。彼の言い分は正論だ。」
と思っていたら、アルフレリックが割って入ってきた。でも、悪いが俺の鬱憤は収まらない。
ハジメ「大体お前等さぁ……何様のつもり?たかだか狭い森の中での鶏口風情が図に乗ってさぁ……
口伝の一つ守れないどころか、ちっぽけなプライドの為に謝罪もしないで責任転嫁って……あれか?
森人族以外の亜人族は恥知らずか何かか?少なくとも腰の低いハウリアの方が、まだマシだと俺は思うんだが?」
ジン「ッ!我らが、忌み子を匿った裏切者共より劣っているだと!ふざけるな!」
いや、真面目な話なんだけどなぁ……と言うか。
ハジメ「その裏切者よりも道理がなってないお前等に、口を出す権利なんてある訳ねぇだろうが。
いきり立つのも大概にしとけよ、これ以上殺りあおうってんなら……俺も本気になるぞ?」
そう言って威圧すると、向こうは更に体を強張らせる。これ以上は、戦争になりかねないと悟ったのだろう。
狐小僧が冷や汗をかきながらも、発言する。
ルア「……確かにこの少年は、紋章の一つを所持している。
それに、その実力も大迷宮を突破したと言うだけのことはあるね。僕は、彼を口伝の資格者と認めるよ。」
ハジメ「……ほう。」
意外にも若輩者が賛成の意を示してくれるとはな……少しだけ表情を和らげ、彼を見やる。
……先程のグルーミングが余程トラウマになったのか、何故か目線を逸らされた。ちょっとだけ落ち込んだ。
そして、狐小僧――ルアだったか。
彼は、その奥に戦慄を宿す糸の様に細めた目でこちらを見た後、他の長老はどうするのかと周囲を見渡す。
その視線を受けて他の奴等も状況を察し、相当思うところはある様だが同意を示したようだ。
全員の同意が得られたとみて、その代表として、アルフレリックが言った。
アルフレリック「南雲ハジメ。我らフェアベルゲンの長老衆は、お前さんを口伝の資格者として認める。
故に、お前さんと敵対はしないというのが総意だ……可能な限り、末端の者にも手を出さないように伝える。
……しかし……。」
ハジメ「下の者の場合は、それが絶対ではない……と?」
アルフレリック「ああ。知っての通り、亜人族は人間族をよく思っていない。
正直、憎んでいるとも言える。血気盛んな者達は、長老会議の通達を無視する可能性を否定できない。
特に、ジンとゼルの種族、虎人族と熊人族の怒りは抑えきれない可能性が高い。」
ハジメ「知るか、そんな事情。無駄話してないで、さっさと本題に入れ。」
と言うか、人望あるなら殺しが許されてもいいとか、上層部の思想の歪みに関しては人間の事言えないんだけど。
アルフレリック「……お前さんを襲った者達を、殺さないで欲しい。」
ハジメ「……さっきみたいに手加減しろと?」
アルフレリック「そうだ。お前さんの実力なら可能だろう?」
まぁ、出来んことはない。が、それなりに条件はある。
ハジメ「狙いが俺限定、それも真正面から挑んでくるのであれば別に構わん。
だが、ユエやシア達ハウリアに危害を加えるのであれば、最低でも再起不能にはなってもらう。
2度と俺の仲間に手を出せないよう、見せしめも兼ねてな。
後、殺し合いを望むようなアホの面倒まで見るつもりは全くない。そっちにどんな事情があろうとも、だ。
だからそういう馬鹿は本気で止めてやれ、それが無理なら手を出した奴のことは諦めろ。」
いくら自分よりも貧弱とはいえ、容赦はしない。やる時は徹底的にやる。それが俺の、王の掟だ。
ゼル「ならば、我々は、大樹の下への案内を拒否させてもらう。
口伝にも気に入らない相手を案内する必要はないとあるからな。」
すると今度は、どら猫が調子に乗り出してきた。全く……ここの大男共は脳筋ばかりか?
ゼル「ハウリア族に案内してもらえるとは思わない事だ。
そいつらは罪人、フェアベルゲンの掟に基づいて裁きを与える。
何があって同道していたのか知らんが、ここでお別れだ。忌まわしき魔物の性質を持つ子とそれを匿った罪。
フェアベルゲンを危険に晒したも同然なのだ。既に長老会議で処刑処分が下っている。」
その言葉にシアは泣きそうな表情で震え、カム達は一様に諦めた様な表情をしている。
この期に及んで、誰もシアを責めない辺り、情の深さは折紙付きだ。……入り口での争いは、幻覚だろう。多分。
シア「長老様方!どうか、どうか一族だけはご寛恕を!どうか!」
カム「シア!止めなさい!皆、覚悟は出来ている。お前には何の落ち度もないのだ。
そんな家族を見捨ててまで生きたいとは思わない。ハウリア族の皆で何度も何度も話し合って決めた事なのだ。
お前が気に病む必要はない。」
シア「でも、父様!」
土下座しながら必死に寛恕を請うシア、しかしどら猫は勝手なことを言い出した。
ゼル「既に決定した事だ。ハウリア族は全員処刑する。
フェアベルゲンを謀らなければ忌み子の追放だけで済んだかもしれんのにな。」
それを聞いて、ワッと泣き出すシア。それをカム達は優しく慰める。
ゼル「そういう訳だ。これで、貴様が大樹に行く方法は途絶えたわけだが?どうする?
運良く辿り着く可能性に賭けてみるか?」
それが嫌なら、こちらの要求を飲めと言外に伝えてくるどら猫。他の
ハジメ「そうか……
つまり私が大樹に行くにはハウリア以外の亜人族を絶滅させなければならない、という事か。
そうかそうか、実に残念で悲しいことだ。」
『!?』
ならばこちらは、王権の伝家宝刀――残虐を発動させてもらおうか。
ゼル「きっ、貴様正気か!?」
ハジメ「何も可笑しいことではない。貴様達は案内を拒んでおり、唯一案内を買って出る兎人族は処刑寸前。
であれば、私が大樹の下に行くためにはハウリア達の安全を確保する必要がある。
それを脅かす貴様たちは全員敵なのだから、排除するのは当然であろう?。
まぁ、この美しい自然が、戦火と血で赤く染まるのは心苦しいがな……大義の為の犠牲だ、仕方がないとも。」
そう言って立ち上がると、私の思考は君主から暴君へと移り変わっていった。
ハジメ「滅亡を望まぬのであれば、今から言う条件を全て飲め。拒否権も異論も、貴様達には認められん。
大樹の下へ行くまでの周辺の滞在許可、貴様達老害共の敗北の周知、そしてハウリア族の処刑無効、及び我が民となったことの許容。
どうせ口伝も守れぬ貴様等如きでは、大したもてなしも期待できん。
であれば、この程度の要求位、答えてもらわねばなぁ?」
ゼル「ふっ、ふざけるな!そんな要求「言ったはずだぞ、拒否権はないと。」ッ!」
どら猫を睨みつけ、拒否のペナルティを課す。
ハジメ「これらの内、不可能、または破られた項目一つに付き、2つの種族を滅ぼす……
と言いたいが、先程の拒否権行使の罰として、その数を5つに増やす。」
『!?』
何を驚くのだ?当然と言えば当然であろうに。
アルフレリック「……本気かね?」
ハジメ「くどい。そもそも――
貴様等に選択肢がある等と、いつから思い上がっていたのだ?雑種共。」
その瞬間、フェアベルゲンという小さな世界の時が止まったかのように音が消えたかと思えば、全てを燃やし尽くすような熱量のオーラが放たれる。
ズアァァッ!!!
『!?』
老害共はそのあまりの重圧に地に伏し、その圧は周りの木々に罅を入れ始める。
尚、ユエとシア達ハウリアにはその影響はないものの、やはり恐れられている。
が、残念ながら今の私は怒りだした以上、満足のゆくまで、或いは相手が絶滅するまで止まらない。
アルフレリック「グッ……ど、どうやら本気のようだな。」
ハジメ「あぁ、そうだとも。私は今、最高に機嫌が悪い。
このままではうっかり、誰か殺してしまうかもしれんなぁ。」
そう言って冷めた視線を送れば、老害共は余りの恐怖に青ざめたのか、身体を震わせていた。
アルフレリック「……ふ、フェアベルゲンから案内を……。」
ハジメ「……。」スッ
まだ惚けたことを宣うアルフレリックに、本気だと言うようにクラックを展開し、無数の武器を取り出す。
狙いはそうだな……先程のどら猫で良いか。
アルフレリック「ま、待ってくれ!」
ハジメ「……。」
何やら今更慌てているようだが、知ったことではない。手を掲げ、どら猫目掛けて振り下ろす。
アルフレリック「ッ!分かった!その条件を全て飲もう!だからどうか、思い止まってくれ!」
ハジメ「……フン。」
やれやれ、漸くか。あと数舜遅ければ死体が一つ出来ていたぞ?
アルフレリック「ハァ……ハァ……何とも、恐ろしい男だ。そこまでしてハウリアに拘る理由を聞いても?」
ハジメ「先ず、貴様達が信用ならない。不意打ちでしか優位に立てない癖に、威張り散らしているからな。
それも隙あらば多種族の排斥に動くような単純思考に、背中を預ける間抜けはいない。当然だろう?」
アルフレリック「!……では、ハウリアは信用に値すると?何故だ?」
何をわかり切ったことを聞くのやら……まぁ、時間稼ぎになるわけでもなし、教えてやろう。
ハジメ「情の厚さ、と言うのもあるが……シアの言っていた一言が、気に入ってな。」
シア「……え?」
その言葉に意外そうな表情で、私を見上げるシア。そんな彼女に優しく微笑むと、その一言を口にする。
ハジメ「未来は絶対ではない、だから一生懸命頑張れば変えられる――お前の言ったことだろう?」
シア「!ハジメさん……!」
それを聞いたシアの表情が、絶望の涙から感動の涙へと変わった。さて、後は向こう次第か。
アルフレリック「……はぁ、分かった。ならば、ハウリア達はお前さんの奴隷という事にでもしておこう。
フェアベルゲンの掟では、樹海の外に出て帰ってこなかった者、奴隷として捕まった事が確定した者は、死んだものとして扱う。
樹海の深い霧の中なら我らにも勝機はあるが、外では魔法を扱う者に勝機はほぼない。
故に、無闇に後を追って被害が拡大せぬ様に死亡と見なして後追いを禁じているのだ。
……既に死亡と見なしたものを処刑はできまい。」
ゼル「あ、アルフレリック!それでは!」
ふむ……理には叶っているな。しかし、他の奴等は納得できないのか、ギョッとした表情を向けて抗議する。
アルフレリック「ゼル、わかっているだろう。この少年が引かない事も、その力の大きさも。
ハウリア族を処刑すれば、確実に敵対する事になる。彼がその気になればどれだけの犠牲が出るか……。
いや、最悪全滅の可能性もありうる。長老の一人として、その様な危険は断じて犯せん。」
ゼル「しかし、それでは示しがつかん!
力に屈して、化物の子やそれに与するものを野放しにしたと噂が広まれば、長老会議の威信は地に落ちるぞ!」
この期に及んで威厳とは……見苦しいことこの上ない。
バチバチィッ!
ゼル「ガァッ!?」
『!?』
ハジメ「……私もユエも、魔力の直接操作もできる上に、これ位の固有魔法も持っている。
たかだかその程度で喚く貴様等の事情など知ったことではないが、私達もシアも同じようなものなのだ。
まさかとは思うが、これでもまだ文句はあるのか?」
どら猫に"纏雷"で纏った雷を浴びせた上で、論破する。
それを聞いたアルフレリックは、深々と溜息を吐くと決定を告げる。
アルフレリック「……ハウリア族は忌み子シア・ハウリアを筆頭に、魔王南雲ハジメの身内と見なす。
そして、資格者・南雲ハジメに対して一切敵対はしない。
以降、南雲ハジメの一族に手を出した場合は全て自己責任とする……以上だ。何かあるか?」
……まぁ、妥当なところか。
ハジメ「良かろう、但し破られた場合は……流石に分かるか。こちらも、威厳に関しては譲ってやったしな。」
アルフレリック「……ならば、早々に立ち去ってくれるか。
漸く現れた口伝の資格者を歓迎できないのは心苦しいが……。」
ハジメ「構わん。その代わり大樹の近くに拠点を張る故、その場所とフェアドレン水晶は貰っていくぞ。」
その言葉に、何とも言えない表情になるアルフレリック。対価にしては十分だと思うのだがな。
他の長老達は恐怖を隠し切れない表情だ。
恨みや怒り、辛みというより、お願いだから早くどっか行ってくれ!と言わんばかりの雰囲気が伝わってくる。
その様子に思わず拍子抜けした俺は、肩を竦めるとユエやシア達を促して立ち上がった。
ユエは終始ボーッとしていたが、話は聞いていたのか特に意見を口にすることもなく立ち上がった。
しかしシア達ハウリア族は、未だ現実を認識しきれていないのか呆然としたまま立ち上がる気配がない。
まぁ、ついさっきまで死を覚悟していたのに、気がつけば追放で済んでいるという不思議は、そう簡単に受け止め難いか。
内心、「えっ、このまま本当に行っちゃっていいの?」という感じで動揺しまくっていることだろう。
ハジメ「お~い、何ぼさっとしてんだ?早く行くぞ~。」
取り敢えず言葉をかけてみると、シア達は漸く我を取り戻したのかあたふたと立ち上がり、俺の後を追い始める。
と、シアが、オロオロしながら尋ねてきた。
シア「あ、あの、私達……死ななくていいんですか?」
ハジメ「?当たり前だろ、まだ契約は続いているんだし。」
シア「い、いえ、聞いてはいましたが……
その、何だかトントン拍子で窮地を脱してしまったので実感が湧かないといいますか……
信じられない状況といいますか……。」
周りのハウリア族も同様なのか困惑したような表情だ。長老会議の決定がそれだけ重いものだったという事か。
さて、どうやって説明したものかと思っていたら、困惑するシアにユエが呟く様に話しかけた。
ユエ「……素直に喜べばいい。」
シア「ユエさん?」
ユエ「……ハジメに救われた、それが事実。受け入れて喜べばいい。」
シア「……。」
ユエの言葉に、シアはそっと俺を見やる。なんだか既視感を感じるが……
まぁ、あれだけ言ってポイは男としてどうかしてるし、受け入れますか。ハーレム主人公の
ハジメ「……まぁ、俺は好き勝手に暴れただけだがな。それに守るって約束したのは事実だろ?」
シア「ッ……!」
そう言って照れ隠しに肩を竦めると、シアは肩を震わせると、ユエの言う通り素直に喜び、今の気持ちを衝動に任せて全力で表した。
つまり俺に抱き着いてきた。
シア「ハジメさ~ん!ありがどうございまずぅ~!」
ハジメ「うおっ!?もう……いきなりすぎるよ。」
ユエ「むぅ……。」
泣きべそを掻きながら絶対に離しません!とでも言う様にヒシッとしがみつき、顔をグリグリと俺の肩に押し付けるシア。
その表情は緩みに緩んでいて、頬は薔薇色に染め上げられている。
それを見たユエが不機嫌そうに唸るものの、何か思うところがあるのか、俺の反対の手を取るだけで特に何もしなかった。
喜びを爆発させ俺にじゃれつくシアの姿に、ハウリア族の皆も漸く命拾いした事を実感したのか、隣同士で喜びを分かち合っている。
それを何とも複雑そうな表情で見つめている老害共はスルーし、俺達はここを後にするのであった。
余談
ハジメ「あらら~……こりゃ、やり過ぎたか?」
会議室を出ると、そこは正に死屍累々だった。
どうやら先程の威圧が外にまで影響を及ぼしていたようで、他の木にも罅が入っており、何本かは倒れていた。
外にいた亜人達も殆どが気を失っており、震えながら発狂していた奴等もいた。
尚、後から知ったことだが、フェアベルゲンの外にまで影響は及んでいたようで、樹海の動物や魔物まで次々に逃げ出していったらしい。
この樹海全体を襲った悲しき事件は近くの町にも伝わっており、後にとんでもない二つ名の要因になるのだが、それはまた別のお話。
アンケートその1の結果以外で、追加で登場させてほしいキャラは?
-
ボボボーボ・ボーボボ
-
五条悟
-
ディアボロ(黄金の風)
-
銀さん
-
ブロリー
-
ユウキ(SAO)
-
カービィ
-
ヨシヒコ
-
鬼灯様
-
アインズ・ウール・ゴウン
-
シャドウ(影の実力者)
-
エボルト
-
篠ノ之束
-
ルフィ(風船で飛んできた)
-
エスデス(アカメが斬る)
-
フリーレン
-
リムル
-
サーヴァントの誰か(活動報告で入力)
-
東方キャラ(リクは活動報告へ)
-
その他(活動報告でリクエスト受付)