Re.ありふれない錬成師で最高最善の魔王、世界最強を超越する   作:天元突破クローズエボルハザード

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途中で3人称になります。


00:41/再会

広大な平原のど真ん中に、北へ向けて真っ直ぐに伸びる街道がある。

街道と言っても、何度も踏みしめられる事で自然と雑草が禿げて道となっただけのものだ。

この世界の馬車にはサスペンションなどという物は無いので、きっとこの道を通る馬車の乗員は目的地に着いた途端、自らの尻を慰める事になるのだろう。

そんな整備されていない道を、有り得ない速度で爆走する影があった。誰であろう、俺達だ。

 

シア「ヒャッハー!ですぅ!」

ユエ「んー!気持ちいいー!」

ハジメ「……楽しそうだねぇ~。」

 

ユエは重力魔法を応用してマシントルネイダー・スライダーモードを、シアは持ち前の身体能力でダンデライナーを、それぞれ乗りこなしている。

その後ろを、俺はシュタイフでのんびり走行してついて行っている。

 

初めて空を飛ぶ乗り物に乗って、テンションが上がっているのか、二人とも上機嫌だ。

特にシアは、ウィリーやジャックナイフ、バックライド等の技を披露している。

俺は教えてすらもいないのに、一体どこでそんな技を覚えたんだ……。

まぁ、ここ数日天気は快晴で暖かな日差しが降り注ぎ、絶好のツーリング日和と言えるので、それもあるだろう。

しかも、ポカポカの日差しと心地よい風が気分を穏やかにさせ、より快適な旅路を彩ってくれる。

 

ハジメ「まぁ、このペースなら後半日位だしな。今のうちに楽しんでおこうか。」

その言葉通り、俺達はウィル一行が引き受けた調査依頼の範囲である北の山脈地帯に一番近い町まで後半日程の場所まで来ていた。

このまま一気に進み、日暮れまでには到着するだろうから、町で一泊して明朝から捜索を始めるつもりだ。

出来れば時間はかけたくない、72時間以降での生存確率は時間との勝負だしな。

すると、積極的な俺にユエが上目遣いで疑問顔をする。

 

ユエ「……積極的?」

ハジメ「ああ、生きているに越した事は無いしな。その方が報酬も大いに期待できる。

それにこれから先、国や教会とことを交える可能性もあるし、切れる札は多いに越したことはない。」

実際、フューレン支部長という札がどの程度機能するかはわからないし、場合によっては役に立たない可能性の方が大きいが、それでも保険は多い方がいい。

それに、ただの人探しでそれが得られるなら十分やりがいはある。何より、人助けはヒーローの仕事だしな!

 

ハジメ「それに調べた情報を基に聞いたんだけど、これから行く町は湖畔の町で水源が豊かなんだって。

おかげで町の近郊は大陸一の稲作地帯と言われているんだ。」

ユエ「……稲作?」

ハジメ「そう、俺の故郷の主食、お米!日本人にとってのソウルフードだよ。

この世界に来てから全く口にしていなくてね……早く食べたいなぁ。」ジュルリ

まだ見ぬ懐かしき故郷の食材の類似品に、相当の期待を込めて涎が出てしまう俺。

 

ユエ「……ん、私も食べたい。」

シア「私もですぅ!ハジメさん、その町の名前は!?」

 

ハジメ「あぁ、湖畔の町【ウル】だってさ。」

 


 

愛子「はぁ、今日も手掛かりはなしですか。……清水君、一体何処に行ってしまったんですか……?」

悄然と肩を落とし、【ウルの町】の表通りをトボトボと歩くのは召喚組の一人にして唯一の教師、畑山愛子だ。

普段の快活な様子が鳴りを潜め、今は不安と心配に苛まれて陰鬱な雰囲気を漂わせている。

心なしか、表通りを彩る街灯の灯りすらいつもより薄暗い気がする。

 

優花「愛ちゃん先生、あまり気を落とさないで下さい。まだ何も分かっていないんですよ?

部屋だって荒らされてなかった訳ですし、自分で何処かに行った可能性の方が高い位です。

だから、あまり思い詰めないで下さいね。」

 

デビッド「そうだぞ愛子。こういう時に悪い方にばかり考えては駄目だ。

気が付くべき事や、為すべき事を見落としてしまいかねないからな。それに、幸利は優れた術師だ。

仮に何か不測の事態に遭遇したのだとしても、そう簡単にやられはしない。

彼の先生である愛子が、自分の生徒を信じてやらなくてどうするんだ?」

 

元気の無い愛子に、そう声をかけたのは優花とデビッドだ。

周りには他にも、毎度お馴染みの騎士達と淳史達がいる。彼等も口々に愛子を気遣う様な言葉をかけた。

しかし、またも生徒の一人が行方不明となると、不安に感じてしまうものなのだ。

 

愛ちゃん護衛隊結成者にして我らがハジメさんのブレイン、清水幸利ことトシが置手紙を残して失踪してから、既に2週間と少し。

愛子達は八方手を尽くして幸利を探したが、その行方は杳として知れなかった。

町中に目撃情報は無く、近隣の町や村にも使いを出して目撃情報を求めたが、全て空振りだった。

 

当初は事件に巻き込まれたのではと騒然となったのだが、幸利の部屋が荒らされていなかった事、幸利自身が"闇術師"という闇系魔法に特別才能を持つ天職を所持しており、他の系統魔法についても高い適性を持っていた事から、そうそうその辺の破落戸(ゴロツキ)にやられるとは思えなかった。

何より、置手紙の内容が失踪の理由を物語っていたからだ。

 

みんなへ

闇魔法で少し実験してくる。ヤバくなったらすぐに戻るので、心配はしないでほしい。

もし、俺がいない間にハジメに会えたら、教えてくれ。あいつはきっと、生きている。

                                   清水

 

幸利はハジメの生存を信じている生徒の一員で、こうして愛子についてきたのは捜索範囲を広げる為でもあったのだ。

ハジメとの特訓を重ねていたこともあり、魔法の腕なら護衛隊随一と言っても過言ではない。

更に、腕っぷしの方も地球で鍛錬を積んでいたこともあり、ある程度は近接戦もできるのだ。

だから、相手が北の山脈地帯の魔物であろうとも、彼の実力であれば早々後れを取ることはないのだ。

 

しかし、それ故に長期的な不在はあり得ないのだ。

北の山脈地帯に行くことはあったものの、幸利は毎回夕飯前には戻ってきており、他の一同には心配をかけない範囲で実験をしていた。

それに、長く開けるのであれば事前に言っているはずだ。

 

だが、それもないとなると、何かの事件に巻き込まれたのではないかと思われても仕方がない。

それでも、「俺にもしもの時があったら、先生を頼む」と、手紙の裏にクラスメイト宛てと思われるメッセージもあったので、愛子以外の生徒は幸利の安否より、それを憂いて日に日に元気が無くなっていく愛子を優先して、彼女を心配していたのだ。

護衛隊の騎士達に至っては言わずもがなである。

 

因みに王国と教会には報告済みであり、捜索隊を編成して応援に来る様だ。

幸利も魔術の才能に関しては召喚された者らしく極めて優秀なので、ハジメの時の様に上層部は楽観視していない。

捜索隊が到着するまであと2、3日といったところだ。

 

次々とかけられる気遣いの言葉に、愛子は内心で自分を殴りつけた。

事件に巻き込まれようが、自発的な失踪であろうが心配である事に変わりはない。

しかしそれを表に出して、今傍にいる生徒達を不安にさせるどころか気遣わせてどうするのだと。

「それでも自分はこの子達の教師なのか!」と、愛子は一度深呼吸するとペシッと両手で頬を叩き気持ちを立て直した。

 

愛子「皆さん、心配かけてごめんなさい。そうですよね。悩んでばかりいても解決しません。

清水君は優秀な魔法使いです。きっと大丈夫。今は、無事を信じて出来る事をしましょう。

取り敢えずは、本日の晩御飯です!お腹いっぱい食べて、明日に備えましょう!」

無理しているのは丸分かりだが、気合の入った掛け声に生徒達も「は~い。」と素直に返事をする。

デビッド達はその様子を微笑ましげに眺めた。

 

カランカランッと音を立てて、愛子達は自分達が宿泊している宿の扉を開いた。

【ウルの町】で一番の高級宿だ。名を"水妖精の宿"という。

嘗て、【ウルディア湖】から現れた妖精を一組の夫婦が泊めた事が由来だそうだ。

なお【ウルディア湖】は、【ウルの町】の近郊にある大陸一の大きさを誇る湖だ。

大きさは日本の琵琶湖の4倍程である。

 

"水妖精の宿"は一階部分がレストランになっており、ウルの町の名物である米料理が数多く揃えられている。

内装は落ち着きがあって、目立ちはしないが細部まで拘りが見て取れる装飾の施された重厚なテーブルやバーカウンターがある。

また、天井には派手過ぎないシャンデリアがあり、落ち着いた空気に花を添えていた。

"老舗"──そんな言葉が自然と湧き上がる、歴史を感じさせる宿だった。

 

当初、愛子達は高級過ぎては落ち着かないと他の宿を希望したのだが、"神の使徒"、或いは"豊穣の女神"とまで呼ばれ始めている愛子や生徒達を普通の宿に泊めるのは外聞的に有り得ないので、騎士達の説得の末【ウルの町】における滞在場所として目出度く確定した。

 

元々王宮の一室で過ごしていた事もあり、愛子も生徒達も次第に慣れ、今ではすっかりリラックス出来る場所になっていた。

農地改善や幸利の捜索に東奔西走し疲れた体で帰って来る愛子達にとって、この宿で摂る米料理は毎日の楽しみになっていた。

全員が一番奥の専用となりつつあるVIP席に座り、その日の夕食に舌鼓を打つ。

 

優花「ああ、相変わらず美味しいぃ~。異世界に来てカレーが食べれるとは思わなかったよ。」

淳史「まぁ、見た目はシチューなんだけどな……。いや、ホワイトカレーってあったけ?」

 

優花が心の底から出た様な声音で宿の料理を絶賛すれば、同じ異世界版カレーを注文した淳史が記憶を探りつつ同意した。

それに対し昇が、ホクホクのご飯の上に載った黄金でサックサクの衣を纏った各種揚げ物と、香ばしいタレで彩られた自らの料理を行儀悪く箸で指しながら感想を述べる。

 

昇「いや、それよりも天丼だろ? このタレとか絶品だぞ? 日本負けてんじゃない?」

妙子「それは玉井君がちゃんとした天丼食べた事無いからでしょ? ホカ弁の天丼と比べちゃ駄目だよ。」

明人「俺は炒飯擬き一択で。これやめられないよ。」

奈々「餃子っぽいのとセットメニューってのが何とも憎いよね。このお店開いた人、絶対日本人でしょ。」

 

その感想に苦笑いを浮かべながら妙子が反論し、明人が炒飯擬きで頬をパンパンに膨らませ、その隣で餃子擬きを頬張っていた奈々が何とも疑わしい視線を店の奥に向ける。

極めて地球の料理に近い米料理に、毎晩優花達のテンションは上がりっぱなしだ。

 

見た目や微妙な味の違いはあるのだが、料理の発想自体はとても似通っている。

素材が豊富というのも、【ウルの町】の料理の質を押し上げている理由の一つだろう。

米は言うに及ばず、【ウルディア湖】で取れる魚、【北の山脈地帯】の山菜や香辛料等もある。

そんな美味しい料理で一時の幸せを噛み締めている愛子達の下へ、60代くらいの口髭が見事な男性がにこやかに近寄ってきた。

 

???「皆様、本日のお食事は如何ですか? 何かございましたら、どうぞ遠慮なくお申し付け下さい。」

愛子「あ、オーナーさん。」

一同に話しかけたのは、この"水妖精の宿"のオーナーであるフォス・セルオである。

スッと伸びた背筋に、穏やかに細められた瞳、白髪交じりの髪をオールバックにしている。

宿の落ち着いた雰囲気がよく似合う男性だ。

 

愛子「いえ、今日もとてもおいしいですよ。毎日癒されてます。」

一同を代表して愛子がニッコリ笑いながら答えると、フォスも嬉しそうに「それはようございました。」と微笑んだ。

しかし次の瞬間には、その表情を申し訳なさそうに曇らせた。

いつも穏やかに微笑んでいるフォスには似つかわしくない表情だ。

何事かと食事の手を止めて、皆がフォスに注目した。

 

フォス「実は、大変申し訳ないのですが……香辛料を使った料理は今日限りとなります。」

優花「えっ!? それって、もうこのカレー擬き(ニルシッシル)を食べれないって事ですか?」

カレーが大好物の園部優花がショックを受けた様に問い返した。

 

フォス「はい、申し訳ございません。何分材料が切れまして……

いつもならこの様な事が無い様に在庫を確保しているのですが。

……ここ一ヶ月程北山脈が不穏という事で、採取に行く者が激減しております。

つい先日も、調査に来た高ランク冒険者の一行が行方不明となりまして、ますます採取に行く者がいなくなりました。

当店にも次にいつ入荷するかわかりかねる状況なのです。」

 

愛子「!?あの……不穏っていうのは具体的には?」

フォス「何でも魔物の群れを見たとか……北山脈は山を越えなければ比較的安全な場所です。

山を一つ越える毎に強力な魔物がいる様ですが、態々山を越えてまでこちらには来ません。

ですが、何人かの者が居る筈の無い山向こうの魔物の群れを見たのだとか。」

愛子「!それは……。」

 

愛子が眉を顰める。他の皆も若干沈んだ様子で互いに顔を見合わせた。

フォスは「食事中にする話ではありませんでしたね。」と申し訳なさそうな表情をすると、場の雰囲気を盛り返す様に明るい口調で話を続けた。

 

フォス「しかしその異変も、もしかするともう直ぐ収まるかもしれませんよ。」

愛子「どういう事ですか?」

フォス「実は、今日の丁度日の入り位に新規のお客様が宿泊にいらしたのですが、何でも先の冒険者方の捜索の為北山脈へ行かれるらしいのです。

フューレンのギルド支部長様の指名依頼らしく、相当な実力者の様ですね。

もしかしたら異変の原因も突き止めてくれるやもしれません。」

 

愛子達はピンと来ない様だが、食事を共にしていたデビッド達護衛の騎士は一様に「ほぅ。」と感心半分興味半分の声を上げた。

フューレンの支部長と言えばギルド全体でも最上級クラスの幹部職員である。

その支部長に指名依頼されるというのは、相当どころではない実力者の筈だ。

同じ戦闘に通じる者としては好奇心をそそられるのである。

騎士達の頭には、有名な"金"クラスの冒険者がリストアップされていた。

 

愛子達がデビッド達騎士のざわめきに不思議そうな顔をしていると、2階へ通じる階段の方から声が聞こえ始めた。

男の声と少女2人の声だ。随分と仲が良いようで、和気藹々と会話を楽しんでいる。

それに反応したのはフォスだ。

 

フォス「おや、噂をすれば。彼等ですよ、騎士様。

彼等は明朝にはここを出るそうなので、もしお話になるのでしたら、今のうちがよろしいかと。」

デビッド「そうか、わかった。しかし随分と若い声だ、"金"にこんな若い者がいたか?」

 

デビッド達騎士は、脳内でリストアップした有名な"金"クラスに今聞こえている様な若い声の持ち主がいないので、若干困惑した様に顔を見合わせた。

そうこうしている内に、3人の男女は話ながら近づいてくる。

 

愛子達のいる席は三方を壁に囲まれた一番奥の席であり、店全体を見渡せる場所でもある。

一応カーテンを引く事で個室にする事も出来る席だ。

唯でさえ目立つ愛子達一行は、愛子が"豊穣の女神"と呼ばれる様になって更に目立つ様になった為、食事の時はカーテンを閉める事が多い。

今日も、例に漏れずカーテンは閉めてある。

そのカーテン越しに、若い男女の騒がしめの会話の内容が聞こえてきた。

 

シア「へぇ~、お米ってお酒の材料にもなるんですね!今度、父様へのお土産にしてもいいでしょうか?」

ハジメ「いや、結構度数強いし止めといたほうがいいよ。それよりも味噌と醤油も欲しい……。」

ユエ「……ん、ハジメの故郷の味、気になる。」

シア「ですね!お米が手に入ったら、ハジメさんの故郷の食卓を再現して見せます!」

ハジメ「ほぅ、それは楽しみだ!考えただけで更に腹が減ってきたなぁ……。」グゥ∼……

 

その会話の内容に、そして少女達の声が呼ぶ名前に。愛子の、そして優花達の心臓が一瞬にして飛び跳ねる。

彼女達は今何といった?少年を何と呼んだ?少年の声は、"彼"の声に似てはいないか?

愛子の脳内を一瞬で疑問が埋め尽くし、金縛りにあった様に硬直しながら、カーテンを視線だけで貫こうとでも言う様に凝視する。

 

特に直接命を救われ、あの出来事に最も深く心を折られた優花の受けた衝撃は尋常ではなかった。

カランッとスプーンを落とした音にも気付かない様子で、唯々呆然としている。

優花を含め淳史達生徒の脳裏には、およそ4ヶ月前に奈落の底へと消えていった"彼"の姿が浮かび上がっていた。

自分達に"異世界での死"というものを強く認識させた少年。消したい記憶の根幹となっている少年。

良くも悪くも目立っていた少年……。

 

尋常でない様子の愛子と生徒達に、フォスや騎士達が訝しげな視線と共に声をかけるが、誰一人として反応しない。

騎士達が一体何事だと顔を見合わせていると、愛子がポツリとその名を零した。

 

愛子「……南雲君?」

無意識に出した自分の声で、有り得ない事態に硬直していた体が自由を取り戻す。

愛子は、椅子を蹴倒しながら立ち上がり、転びそうになりながらカーテンを引き千切る勢いで開け放った。

 

シャァァァ!!

 

存外に大きく響いたカーテンの引かれる音に、ギョッとして思わず立ち止まる2人の少女と、呑気に椅子を引いて座り込む少年。

愛子は、相手を確認する余裕も無く叫んだ。大切な教え子の名前を。

 

愛子「南雲君!」

ハジメ「あれ?愛ちゃん先生?それに皆も……ここに来てたんだ。」

愛子の目の前にいたのは、意外そうな顔をしている、記憶と寸分違わぬ白髪の少年だった。

彼女にとっての南雲ハジメは、人助けが趣味で多くの人と繋がりのある、穏やかで明るい性格の少年だった。

実は、苦笑いが一番似合う子と認識していたのは愛子の秘密である。

 

しかし、話し方も変わった訳でもないのに、何故か遠くに行ってしまったような存在に感じてしまう。

だが、目の前の少年は自分を何と呼んだのか。そう、"先生"だ。愛子は確信した。

雰囲気も話し方も大きく変わってしまっているが、目の前の少年は、確かに自分の教え子である"南雲ハジメ"であると!

 

愛子「南雲君……やっぱり南雲君なんですね?生きて……本当に生きて……。」

ハジメ「くたばってる場合じゃない理由が出来てね。化けてきてやったコン、なんてね。」

死んだと思っていた教え子と奇跡の様な再会。感動して、涙腺が緩んだのか、涙目になる愛子。

今まで何処にいたのか、一体何があったのか、本当に無事でよかった、と言いたい事は山程あるのに言葉にならない。

 

それでも必死に言葉を紡ごうとする愛子を見て、困ったような笑みを浮かべながらも、ハジメは片手で狐を作って冗談めいた返しを送る。

生徒達はハジメの姿を見て、生きていた事自体信じられないという驚愕と、「あれ?何かが違うような……?」という困惑の表情を浮かべている。

だがどうすればいいのか分からず、ただ呆然と愛子とハジメを見つめるに止まっていた。

 

ハジメ「まぁ、積もる話もあるだろうから一先ず席に着こう。それに……。」

愛子「それに?」

そんな彼らの様子も察したハジメは、愛子に席に着くように促す。そして

 

グゥ∼∼∼……

 

ハジメ「……お腹空いた。」

 

ズコーッ!!!

 

ハジメのお腹の音が静寂を満たし、ユエとシア以外の注目していた全員が、一斉にズッコケた。

 


 

ハジメ「いや~、面目ない!

お米を使った料理が久しぶりに食べられると聞いて、お腹が待ちきれなくなっちゃったからつい……。」

愛子「あはは……気持ちはわかります。」

あの後、俺達は愛ちゃん先生等がいるVIP席の方へ案内された。

……言っておくが、さっきのお腹の音は偶然だからな?

 

愛子「ところでハジメ君……こちらの女性達はどちら様ですか?」

すると、先生の視線がユエとシアの方に向いた。

その言い分はその場の全員の気持ちを代弁していたようで、俺が4ヶ月前に亡くなったと聞いた生徒の一人であると察した教会の騎士達や、他のクラスメイト達も皆一様に「うんうん。」と頷きこちらの回答を待っていた。

 

ハジメ「旅先で縁が出来た仲間だよ。……答えたし、そろそろ食べてもいい?」

一先ず落ち着いて食事をするべく、当たり障りのない回答でやり過ごそうとした。と思っていたら、

 

ユエ「……ん、私はユエ。ハジメの最初の女にして、その傍に寄り添う女。」

シア「シアです。ハジメさんの第2の女にして、ユエさんの大親友ですぅ!」

愛子「お、女?」

……二人とも、なんつー説明の仕方をしとるんじゃ。

 

ほら、先生が若干どもりながらこっちを交互に見てくるじゃないか。

やっぱり上手く情報を処理出来ていないようだ。後ろのクラスメイト達も困惑したように顔を見合わせている。

いや、男連中は「まさか!」と言った表情でユエとシアを忙しなく交互に見ている。

しかも徐々に、その美貌に見蕩れ顔を赤く染めながら。

 

ハジメ「ユエ、シア、その言い方は誤解を招く。別の言葉でやり直しなさい。」

ユエ「……いや。カオリとかいう女には、先を越されたくない。」

シア「ですですぅ!それにハジメさんに寄ってくる悪い虫よけにもなりますから。」

ハジメ「なぜそこで香織が……いや、今はそういう場合じゃ「南雲君?」……ちゃうねん。」

弁明しようにも時すでに遅し、先生が如何にも怒ってますという表情でこちらに雷を落とした。

 

愛子「お二人だけでなく白崎さんとまで関係を持った挙句、さ、3股なんて!

直ぐに帰ってこなかったのは、遊び歩いていたからなんですか!?もしそうなら……許しません!

ええ、先生は絶対許しませんよ!お説教です!そこに直りなさい、南雲君!」

やはり俺の行き先はトラブル確定なのか?なんて思いながら、先生の説教を受ける俺であった。




主人公、お説教中だってよ。

今後、登場予定のヒロインでハジメさんの正妻にするとしたら?

  • 勿論、ユエ!
  • 勇者シアでしょ!
  • 幼馴染の香織だ!
  • ヒロインと言ったら雫だろ!
  • 原作と性格違うけどティオです!
  • 魔性のレミアさん一択!
  • 愛子と禁断のロマンス!
  • 王族同士でリリアーナを推す!
  • 頑張れ、優花!
  • エンティ(アフターシア編)
  • ローゼ(アフターティオ編)
  • ミンディ(アフターまおゆう編)
  • トネリコ(アンケートその1)
  • 星野アイ(アンケートその2)
  • ユウキ(アンケートその3)
  • 大穴、ミュウに全乗せ!
  • 対抗馬リスティ、出る!
  • その他①(読者リクエスト)
  • その他②(別作品から更に追加)
  • その他③(原作内から追加)
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