Re.ありふれない錬成師で最高最善の魔王、世界最強を超越する 作:天元突破クローズエボルハザード
メアシュタット水族館を出て昼食も食べた後、俺達は迷路花壇や大道芸通りを散策していた。
シアの腕には、露店で買った食べ物が入った包みが幾つも抱えられている。
今は、バニラっぽいアイスクリームを攻略中だ。
ハジメ「よく食べるねぇ、そんなに美味いのかい?」
シア「あむっ……はい!とっても美味しいですよ。流石フューレンです。唯の露店でもレベルが高いです!」
ハジメ「はむっ……うん、これは食べたら止まらなくなりそうだねぇ。」
……若干、食べ過ぎが心配だが女性には禁句なので黙っておいた。そんなシアに苦笑いしながら横を歩いて――
ハジメ「!」
シア「どうかしましたか、ハジメさん?」
ハジメ「……下に人の気配を感じる。しかも随分と小さくて弱い……これは、子供か!?」
シア「えぇ!?た、大変じゃないですか!直ぐに行きましょう!」
ハジメ「勿論!しっかり捕まって!」
そう言ってシアを抱え、錬成で一気に真下に降りた。
下水に落ちないようにベクトル操作で浮き上がると、そのまま水路の両サイドにある通路に着地する。
そして水路に目を向けると、流されかけている子供の姿があった。
シア「ッ!私が飛び込んで引っ張り上げます!」
ハジメ「いや、俺がやる。」
折角デート用に用意した服が汚れるなど気にした風もなく下水に飛び込もうとするシアを左手で制し、右手を水流に向けて翳す。
すると、下水の中からリバイスメガロドンが出現し、背中に子供を乗せて通路へ乗り上げた。
シア「この子は……。」
ハジメ「まだ息はある……ここは臭いが酷い、場所を変えよう。」
引き上げられたその子供を見て、シアが驚きに目を見開く。
俺もその容姿を見て知識だけはあったので、内心では少し驚いていた。
しかし場所が場所だけに、肉体的にも精神的にも衛生上良くないと場所を移動する事にする。
子供の素性的に唯の事故で流されたとは思えないので、そのまま下水通路に錬成で横穴を開けた。
そして"宝物庫"から毛布を取り出すと小さな子供を包み、抱きかかえて移動を開始した。
地上に出ると、とある裏路地の突き当たりだった。
錬成で作った穴を塞ぎ、俺は改めて自らが抱きかかえる子供に視線を向けた。
その子供は、エメラルドグリーンの長い髪と、幼い上に汚れているにも関わずわかるくらい整った可愛らしい顔立ちをした、見た目3、4歳ぐらいの女の子だった。
そして何より特徴的なのは、その耳だ。通常の人間の耳の代わりに扇状の鰭が付いているのだ。
しかも、毛布からちょこんと覗く紅葉の様な小さな手には、指の股に折り畳まれる様にして薄い膜が存在していた。
片方の腕には綺麗な石に紐を通したブレスレットのようなものが、身につけられていたが……御守りか何かか?
シア「この子、海人族の子ですね……どうして、こんな所に……」
ハジメ「……そういえば、人攫いや人身売買だの、物騒な噂があったな。
やれやれ、全くもって、腹立たしい……。」
海人族は、亜人族としてはかなり特殊な地位にある種族だ。
西大陸の果て、【グリューエン大砂漠】を超えた先の海、その沖合にある【海上の町エリセン】で生活している。
彼等はその種族の特性を生かして、大陸に出回る海産物の八割を採って送り出しているのだ。
その為亜人族でありながら【ハイリヒ王国】から公に保護されている種族なのである。
差別しておきながら使えるから保護するという何とも現金な話だ。
そんな保護されている筈の海人族、それも子供が内陸にある大都市の下水を流れている等ありえない事だ。
ゲロ以下の犯罪臭がプンプンしていやがる、一体どこの輩だ?こんなことをやらかすクズ共は。
とその時、海人族の幼女の小さな可愛らしい鼻がピクピクと動き始め、直後その目がパチクリと目を開いた。
最初は困惑した様に視線を泳がせていた海人族の幼女は、やがてその大きく真ん丸な瞳を俺にロックオンした。
無言で、只管ジィーッと俺を見つめ始める。俺も何となく目が合ったまま逸らさずジーと見つめ返した。
見つめ合う。まだ見つめ合う。まだまだ見つめ合う。
シア「二人供、一体何をしているんですか……。」
ハジメ「あはは……いやぁ、何でか見つめられているから、つられてつい……。」
そんな会話をしていると、海人族の幼女のお腹がクゥ~と可愛らしい音を立てる。どうやらお腹がすいたようだ。
再び鼻をピクピクと動かし、遂に俺から視線を逸らすと、今度は未だに持っていたシアの露店の包みをロックオンした。
シアが「これですか?」と首を傾げながら、串焼きの入った包みを右に左にと動かすと、まるで磁石の様に幼女の視線も左右に揺れる。
どうやら相当空腹の様だ。
ハジメ「あ~、君、名前はいえるかい?因みに、俺はハジメ、こっちはシア、2人とも冒険者だよ。」
が、先ずは事情を知りたいので、シアが包みから串焼きを取り出そうとするのを制止して、幼女に話しかけながら地面をコンコンと叩いた。
女の子はシアの持つ串焼きに目を奪われていたところ、突如地面が動き出し、四角い箱状の物がせり上がってくる光景に驚いた様に身を竦めた。
そして、名前を聞かれて視線を彷徨わせた後、ポツリと囁く様な声で自身の名前を告げた。
???「……ミュウ。」
ハジメ「そっか。じゃあミュウ、まずは体を洗おうか?
そのままだと病気になるし、ご飯はその後にお腹一杯上げるから、ね?」
ミュウ「……分かったの。」
俺は完成した簡易の浴槽に魔法で生成した清水を貯め、更に水温を調整し即席の風呂を用意した。
下水で汚れた体のまま食事を取るのは非常に危険だ。
幾分か飲んでしまっているだろうから、水には浄化作用を付与しておいた。
返事をする間もなく、毛布と下水をたっぷり含んだ汚れた衣服を脱がされ浴槽に落とされたミュウは、「ひぅ!」と怯えた様に身を縮めたものの、体を包む暖かさに次第に目を細めだした。
俺はシアに薬やタオル、石鹸等を渡しミュウの世話を任せて、自らはミュウの衣服を買いに袋小路を出て行った。
一応、魂魄魔法を応用した幻影による変装で、怪しまれたりはしなかったが、なんだか犯罪みたいだと思ったのはここだけの話だ。
後、序に襲い掛かってきたヤクザ擬き共をサクッと返り討ちにして、情報を抜き取ってから帰った。
俺がミュウの服を揃えて袋小路に戻ってくると、ミュウは既に湯船から上がっており、新しい毛布に包まれてシアに抱っこされているところだった。
抱っこされながら、シアが「あ~ん」する串焼きをはぐはぐと小さな口を一生懸命動かして食べている。
一先ず食欲はあるようなので安心した、特に目立った外傷もないし、後は心の問題だけか。
薄汚れていた髪は、本来のエメラルドグリーンの輝きを取り戻し、光を反射して天使の輪を作っていた。
シア「あっ、ハジメさん。お帰りなさい。素人判断ですけど、ミュウちゃんは問題ないみたいですよ。」
ハジメ「そうみたいだねぇ~、やっぱり子供は元気が一番だよねぇ。」
俺が帰ってきた事に気がついたシアが、ミュウのまだ湿り気のある髪を撫でながら報告してきた。
ミュウもそれで俺の存在に気がついたのか、はぐはぐと口を動かしながら、再びジーッと見つめ始めた。
良い人か悪い人かの判断中なのだろう。
俺は買ってきた服を取り出した。シアの今着ている服に良く似た乳白色のフェミニンなワンピースだ。
それにグラディエーターサンダルっぽい履物、それと下着だ。
もしそのまま行っていたら、子供用とは言え、店で買う時は店員の目が不審なものになっただろう。
今以上に変装スキルがあったことを、ありがたく思ったことはない。閑話休題。
俺はミュウの下へ歩み寄ると、毛布を剥ぎ取りポスッと上からワンピースを着せた。
序に下着もさっさと履かせる。そして、ミュウの前に跪いて片方ずつ靴を履かせていった。
更にドライヤー擬きを"宝物庫"から取り出し、湿り気のあるミュウの髪を撫でて乾かしていく。
ミュウはされるがままで未だにジーッと俺を見ているが、温かい手の気持ちよさに次第に目を細めていった。
シア「……何気に、ハジメさんって面倒見いいですよね。」
ハジメ「これでも孤児院でバイトしたり、家事代行でそう言ったことも頼まれていたしな。
人生、経験がものをいうからね。」
ミュウの髪を乾かしながらシアの言葉に何でもない様に答えると、シアは頬を緩めてニコニコと笑う。
ハジメ「さて、そろそろ今後の方針を決めようか。」
シア「ミュウちゃんをどうするかですね……。」
俺達が自分の事を話していると分かっている様で、上目遣いで俺達を見るミュウ。
取り敢えず、ミュウの事情を聞いてみることにした。
結果、たどたどしいながらも話された内容は、俺が予想したものに近かった。
即ちある日、海岸線の近くを母親と泳いでいたら逸れてしまい、彷徨っているところを人間族の男に捕らえられたらしいという事だ。
そして砂漠越え等の幾日もの辛い道程を経て【フューレン】に連れて来られたミュウは、薄暗い牢屋の様な場所に入れられたのだという。
そこには、他にも人間族の幼子たちが多くいたのだとか。
そこで幾日か過ごす内、一緒にいた子供達は毎日数人ずつ連れ出され、戻ってくる事は無かったという。
少し年齢が上の少年が見世物になって客に値段をつけられて売られるのだと言っていたらしい。
そんなある日、物珍しい少女がそこに入れられてきた。
その子は上級の魔法使いなのだが、魔法封じの為に両腕を拘束されていた。
しかし、そんなことも気にせず、自分よりも年下であるミュウ達を安心させようとしていた。
御守り代わりに、綺麗な石をプレゼントしたこともあったらしい。
そして、愈々ミュウの番になった日、偶々下水施設の整備でもしていたのか地下水路へと続く穴が開いており、懐かしき水音を聞いたミュウは咄嗟にそこへ飛び込んだ。
3,4歳の幼女に何か出来る筈が無いと思われていたのか、枷を付けられていなかったのは幸いだった。
ミュウは汚水への不快感を我慢して懸命に泳いだ。幼いとは言え海人族の子だ。
通路をドタドタと走るしかない人間では流れに乗って逃げたミュウに追いつく事は出来なかった。
だが慣れない長旅に、誘拐されるという過度のストレス、慣れていない不味い食料しか与えられず下水に長く浸かるという悪環境に、遂にミュウは肉体的にも精神的にも限界を迎え意識を喪失した。
そして身を包む暖かさに意識を薄ら取り戻し、気がつけば俺の腕の中だったという訳だ。
ハジメ「……裏のオークションか、ここの治安はどうなっているんだ?これでは旅行客も安心できないぞ。」
シア「ハジメさん、どうしますか?」
ハジメ「むぅ……困ったなぁ。
俺が乗り込んで助けるのが手っ取り早いんだけど、乗り込もうにも大義名分がないしなぁ……。」
すると、シアが辛そうに、ミュウを抱きしめる。その瞳は何とかしたいという光が宿っていた。
亜人族は、捕らえて奴隷に落とされるのが常だ。
その恐怖や辛さは、シアも家族を奪われている事からも分かるのだろう。
ミュウ「……お姉ちゃん……。」
と、その時。ミュウが腕に身に着けていたブレスレットを、大事そうに握りしめた。
成程な……正直、外道じみてはいるが、この作戦はミュウの覚悟次第だ。
無理なら無理で、別の手段を考えればいいだけだしな。
ハジメ「……一度、保安署に預けよう。」
シア「そんなっ……この子や他の子達を見捨てるんですか……!?」
俺の言葉にシアが噛み付く。ミュウをギュッと抱きしめてショックを受けた様な目でこちらを見た。
保安署とは、地球で言うところの警察機関の事だ。
そこに預けるというのは、ミュウを公的機関に預けるという事で、完全に自分達の手を離れるという事でもある。
なので、見捨てるという訳ではなく迷子を見つけた時の正規の手順ではあるのだが、事が事だけにシアとしてはそういう気持ちになってしまうのだろう。
ハジメ「話は最後まで聞いて。いい?ミュウが保安署に送り届けられれば、人攫いはそこを狙ってくる。
かなり強引な手を使ってくるだろう。だから、それを逆に利用する。
ミュウを攫って逃げているところを叩き、敵の情報を全て吐かせて証拠を揃える。
なに、息子()に聞けばすぐに吐くだろう。後は、乗り込んで一網打尽にすればいい。」
シア「そ、それは……この子を囮にするって事ですか……?」
ハジメ「捉え方によってはそうだろうな、だがミュウが嫌がるなら別の作戦に切り替えるだけだ。
決めるのはミュウ自身だ。だが、こっちの作戦なら例のお姉ちゃんとやらは助かるかもしれんだろう。」
それに、オークション会場を抑えてしまえば、買われた買われていない関係なく解放できる。
ハジメ「ミュウ、君はどっちにする?
少しだけ怖い目に合う代わりに、そのブレスレットをくれたお姉ちゃんが助かるようお手伝いする?
それとも、全員が助からないかもしれないけど、安全な場所で助かるのを待つ?」
ミュウ「……お兄ちゃんとお姉ちゃんは?」
俺がミュウに視線を合わせながらゆっくりと話すと、どうやらミュウは俺達と一緒にいたいらしい。
ハジメ「俺達は一度離れる。だが、怖い人たちが来たらすぐに助けに行く。だから……」
ミュウ「やっ!お兄ちゃんとお姉ちゃんがいいの!2人といるの!」
むぅ……流石に幼女には難しすぎる判断か。
ミュウは、駄々っ子の様にシアの膝の上でジタバタと暴れ始めた。
今まで割りかし大人しい感じの子だと思っていたが、どうやらそれは俺達の人柄を確認中だったからであり、信頼できる相手と判断したのか中々の駄々っ子ぶりを発揮している。
元々は結構明るい子なのかもしれない。
が、これも作戦の為だ。心を鬼にして、公的機関へと預けることにした。
フューレンにある3大裏組織のどれが人攫いかがわからない以上、情報が必要なのだ。
そんなわけで、「やっーー!!」と全力で不満を表にして一向に納得しないミュウの説得を諦めて抱きかかえると、強制肩車を行いつつ保安署に連れて行く事にした。
保安署への道中、窮地を脱して奇跡的に見つけた信頼出来る相手から離れるのはどうしても嫌だったミュウは、俺の髪やら頬やらを盛大に引っ張り引っ掻き必死の抵抗を試みる。
隣におめかしして愛想笑いを浮かべるシアがいなければ、誘拐犯として通報されていたかもしれない。
髪をボサボサにされて保安署に到着した俺は、目を丸くする保安員に事情を説明した。
事情を聞いた保安員は表情を険しくすると、今後の捜査やミュウの送還手続きに本人が必要との事で、ミュウを手厚く保護する事を約束しつつ署で預かる旨を申し出た。
まぁ、俺の予想通りやはり大きな問題らしく、直ぐに本部からも応援が来るそうで一先ず立ち去ろうとしたのだが……
ミュウ「お兄ちゃんは、ミュウが嫌いなの?」
幼女にウルウルと潤んだ瞳で、しかも上目遣いでそんな事を言われて平常心を保てる奴はそうはいない。
実際俺も辛かったが、これは仕方のない事なのだ。
またすぐに会えることを根気強く説明しても、ミュウの悲しそうな表情は一向に晴れず、結局、見かねた保安署の職員達にミュウを宥めつつ少し強引に引き離してもらった。
そして、最後までミュウの悲しげな声に後ろ髪を引かれつつも、俺とシアは保安署を出たのだった。
当然そのままデートという気分ではなくなり、シアは心配そうに眉を八の字にして、何度も保安署を振り返っていた。
やがて保安署も見えなくなり、かなり離れた場所に来た頃――
ドォオオオオン!!!!
背後で爆発が起き、ギョッとして振り返ったシアの視界には黒煙が上がっているのが見えた。その場所は、
シア「!やっぱり、ハジメさんの言う通りでしたね。」
そう。黒煙の上がっている場所は、さっきまで俺達がいた保安署があった場所だった。
俺達は互いに頷くと保安署へと駆け戻る。予想通り、人攫い共が動いたらしい。
恐らく、ミュウを誘拐していた組織が情報漏洩を防ぐ為にミュウごと保安署を爆破したのだろう。
保安署に辿り着くと、表通りに署の窓ガラスや扉が吹き飛んで散らばっている光景が目に入った。
しかし、建物自体は左程ダメージを受けていない様で、倒壊の心配は無さそうだった。
そして俺達が中に踏み込むと……
ハジメ「……ぶっつけ本番で出来て良かったよ。」
シア「お疲れ様です、ハジメさん!」
積み重なったまま気絶している十数人のゴロツキ共と、怪我をしている職員達、そして職員達を治療している俺だった。
え?ドッペルゲンガーじゃないのかって?じゃあ、答え合わせと行こうか。
ハジメ「まさか幼女に変装する時が来るとは思っていなかったよ……。」
シア「あはは……ミュウちゃん、もう出てきていいですよ。」
苦笑いしているシアがそういうと、シアが背負っていたリュックの中から、ミュウが顔を出した。
ミュウ「ップハァ!お兄ちゃん、ミュウの真似、とっても上手かったの~!」
ハジメ「……素直に喜ぶべきなんだろうけど、何故だろう。それはそれで不審者扱いされそう。」
そう、実は先程まで保安署にいたミュウは、俺が変装していた偽物なのだ。
じゃあ、さっきまで語っていた俺はって?簡単な話さ。デュープの魔法に、魂魄魔法を複合させたのさ。
これで後は、ミュウがリュックの中でジッとして、俺がミュウを演じ切るだけで囮作戦の仕込み完了って寸法さ!
ハジメ「さてと……シア、ミュウの目と耳を塞いでおいてくれ。流石に拷問までは見せられん。」
そう言って俺は、片っ端から
後に、俺の異名にドS魔王だの、スマッシュキラーだの、変な仇名が増えることを、今の俺は知る由もなかった。
シア「それで、襲撃犯から色々聞いたハジメさんがその内容にブチギレてしまって、今回関わった組織とその関連組織の全てを見せしめがてらぶっ潰してくると躍起になってしまいまして……
どうも私だけじゃなくて、ユエさんとティオさんにも誘拐計画があったみたいですよ。
だから、組織のバックにいる悪い人たちも言い逃れできないよう全員捕まえるつもりみたいです。」
移動しながらシアの説明を聞いたユエ達は、唯のデートに行って何故大都市の裏組織と事を構える事になるのかと、そのトラブル体質に何とも微妙な表情を浮かべる。
因みに、ギルドへの説明の為に一緒に付いて来ていた保安署職員達も、思わず苦笑いを浮かべていた。
ユエ「……それで、ハジメは今どこに?」
シア「それが……私では追いつけない速さで移動しているのでわからないんです。」
幸利「あいつ、児童虐待する奴は大体フルボッコにしていたしなぁ……組織の奴等、終わったな。」
ティオ「先程から連続して爆発音が響いておる辺り、心配は無用のようじゃしな……。」
そんな話をしつつも、ユエ達はミュウを連れてギルドへと向かうのであった。
商業区の中でも外壁に近く、観光区からも職人区からも離れた場所。公的機関の目が届かない完全な裏世界。
大都市の闇。昼間だというのに何故か薄暗く、道行く人々もどこか陰気な雰囲気を放っている。
そんな場所の一角に、10階建ての大きな建物があった。
表向きは人材派遣を商いとしているが、裏では人身売買の総元締をしている裏組織"フリートホーフ"の本拠地である。
いつもは静かで不気味な雰囲気を放っているフリートホーフの本拠地だが、今は騒然とした雰囲気で激しく人が出入りしていた。
恐らく伝令等に使われている下っ端であろうチンピラ風の男達の表情は、訳の分からない事態に困惑と焦燥、そして恐怖に歪んでいた。
そんな普段の数十倍は激しい出入りの中、最上階の一際重厚な扉に隔たれた部屋の前の扉からは男の野太い怒鳴り声が廊下まで響いていた。
チンピラ1「ふざんけてんじゃねぇぞ!アァ!?てめぇ、もう一度言ってみやがれ!」
チンピラ2「ひぃ!で、ですから、潰されたアジトは既に50軒を超えました。
襲ってきてるのはガキたった1人です!」
チンピラ1「じゃあ何か?たった1人のガキにフリートホーフがいい様に殺られてるってのか?アァ?」
チンピラ2「そ、そうなりま──へぶっ!?」
室内で怒鳴り声が止んだかと思うと、ドガッ!と何かがぶつかる音がして一瞬静かになる。
どうやら報告していた男が、怒鳴っていた男に殴り倒されでもした様だ。
チンピラ1「てめぇら、何としてでもそのクソガキを生きて俺の前に連れて来い。
生きてさえいれば状態は問わねぇ。このままじゃあ、フリートホーフのメンツは丸潰れだ。
そいつらに生きたまま地獄を見せて、見せしめにする必要がある。
連れてきた奴には、報酬に2000万ルタを即金で出してやる!全ての構成員に伝えろ!」
男の号令と共に、室内が慌ただしくなる。
先程の指示通り、組織の構成員全員に伝令する為部屋から出ていこうというのだろう。
そして、室内の人間がドアノブに手をかけた瞬間――
ドォガァァァンッ!!!
尋常でない爆音を響かせて、扉が木っ端微塵に粉砕される。
ドアノブに手を掛けていた男は、その衝撃で全身をひしゃげさせ、更にその後ろの者達も散弾とかした木片に全身を貫かれるか殴打されて一瞬で満身創痍の有様となり反対側の壁に叩きつけられた。
ハジメ「……クソガキで悪かったな、だが2000万程度では割に合わんぞ?」
今しがた起こした惨劇などどこ吹く風という様子で室内に侵入して来たのは、ハジメさんだ。
いきなり扉が爆砕したかと思うと、部下が目の前で冗談みたいに吹き飛び反対側の壁でひしゃげている姿に、フリートホーフの頭──ハンセンは目を見開いたまま硬直していた。
しかし、ハジメの声に我に返ると、素早く武器を取り出し構えながらドスの利いた声で話し出した。
チンピラボス「……てめぇ、例のしゅうg――」ズドンッ!
ハジメ「長い、煩い、隙が多い。それが貴様等の罪状だ。」
が、そんな無駄話に付き合うつもりは最初から無いハジメさん。
拳型の衝撃波でハンセンの腹に風穴を開け、背後の壁までぶっ飛ばした。
血飛沫を撒き散らしながら錐揉みして背後の壁に激突し、一拍遅れて自分の状態を自覚したハンセンは、絶叫しながら蹲った。
ハジメ「私の連れだけでなく、幼子まで手にかけたのだ。死ぬ前も死んだ後も、地獄で悔いるが良い。」
それだけ言ってハジメは、覇王色の覇気で残りの構成員等を気絶させる。
一々相手をするのも面倒なので、一気に気絶させてから拘束することにしたのだ。
勿論、拘束後には男にとって地獄の洗礼とも言える拷問が待っているが。
ハジメ「さて……知っていることを全て吐け。馬鹿でもないなら逆らうなよ?」
他の構成員の拘束を完了したハジメは、蹲ったまま動かないハンセンの下へ歩み寄った。
そして恐怖と痛みで顔を歪めるハンセンの腹部を、遠慮なく踏みつけた。
ハンセンは「ぐえぇ…!」と苦悶の声を上げながらも何とかその足をどかそうとするが、ハジメの力には敵わず、寧ろハジメが足をぐりぐりするので、余計に痛みが増してくる。
結局、ハンセンに出来た事は無様に命乞いをする事だけだった。
チンピラボス「た、頼む、助けッゲフ!?」
ハジメ「はよ話せ。」
イラつきが溜まっているのか、ハジメは容赦なくハンセンを蹴り飛ばし、更に威圧を発動する。
そうして漸く、ハンセンは恐怖のあまり口を割った。
オークション会場の事、自分達のバックにいる存在、今回の
チンピラボス「た、助け……医者を……。」
ハジメ「あぁ、約束だったな。地獄にもちゃんと病院はある。だから……」
そう言ってハジメが手を翳せば、先程空いた穴がきれいさっぱりなくなっていた。同時に、
ハジメ「砕け散れ。」
そう告げられた次の瞬間、フリートホーフ本拠地に鶏を絞め殺したような断末魔が、連続して響き渡った。
"フリートホーフ"フューレンにおいて、裏世界では3本の指に入る巨大な組織は、この日、実にあっさりと壊滅したのだった。
遂に、クロスからトリプルに!そしていよいよ、新ヒロインのお披露目です!
アフターの後で異世界旅行(別作品)編をやるとしたら、どの世界が良いでしょうか?
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FGO
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IS
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SAO
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Onepiece
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鬼滅の刃
-
呪術廻戦
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このすば
-
ハイスクールD×D
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銀魂
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ヒロアカ
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ブルーアーカイブ
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アズールレーン
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原神
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リリカルなのは
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ネプテューヌ
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カービィ
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転スラ
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ダンまち
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まどマギ
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