Re.ありふれない錬成師で最高最善の魔王、世界最強を超越する 作:天元突破クローズエボルハザード
サイドⅫ:「C」onspiracy attack
時間は少し進む。
光輝達が、【宿場町ホルアド】にて、再会によって受けた衝撃と別れによる複雑な心情を持て余していた夜から3週間程経った。
現在、光輝達は王都に戻って来ていた。
理由は唯一つ。光輝達の致命的な欠点──"人を殺す"事について浅慮が過ぎるという点を克服する為だ。
魔人族との戦争に参加するなら、"人殺し"の経験は必ず必要となる。
克服できなければ、戦争に参加しても返り討ちに遭うだけなのだから。
尤も、考える時間はもうあまり残されていないと考えるのが妥当だ。
【ウルの町】での出来事は既に光輝達の耳にも入っており、自分達が襲撃を受けた事からも、魔人族の動きが活発になっている事は明らかだ。
それはつまり、開戦が近いという事。
故に光輝達は出来るだけ早く、この問題を何かしらの形で乗り越えねばならなかった。
そんな光輝達はというと、現在只管メルド率いる騎士達と対人戦の訓練を行っていた。
龍太郎や近藤達、永山達も、ある程度の覚悟はあったものの、実際にそれが出来るのかと自問自答を繰り返していた。
時間は無いものの、無理に人殺しをさせて壊れてしまっては元も子も無いので、騎士団員達も頭を悩ませている。
そんなある意味鬱屈した彼等に、その日ちょっとした朗報が飛び込んできた。愛子達の帰還だ。
普段なら光輝のカリスマにぐいぐい引っ張られていくクラスメイト達だったが、当の勇者に覇気がないので誰もがどこか沈みがちだった。
手痛い敗戦と直面した問題に折れてしまわないのは、雫や永山といった思慮深い者達のフォローと鈴のムードメイクのおかげだろうが、それでも心に巣食った深い靄を解決するのに信頼出来る身近な大人の存在は有難かった。
誰もが、いつだって自分達の事に一生懸命になってくれる先生にとても会いたかったのだ。
愛子の帰還を聞いて、真っ先に行動したのは雫だ。雫は、色々相談したい事があると先に訓練を切り上げた。
ハジメに対して何かと思うところのありそうなクラスメイト達より先に会って、愛子が予断と偏見を持たない様に客観的な情報の交換をしたかったのだ。
ハジメから譲り受けた漆黒の鞘に収まる、これまた漆黒の刀身に片刃造りの刀を腰のベルトに差して、王宮の廊下を颯爽と歩く雫。
そんな彼女の姿に、何故か男よりも令嬢やメイドが頬を赤らめている。
世界を超えても雫が抱える頭の痛い問題だ。
自分より年上の女性に「お姉様ァ」と呼ばれるのは本当に勘弁して欲しいのだ。
雫は【ウルの町】で、ハジメが色々暴れた事を聞いていたので、愛子からハジメについてどう思ったかも直接聞いてみたかった。
愛子の印象次第では、今も考え込んでいる光輝の心の天秤が、あまり望ましくない方向に傾くかもしれないと思ったからだ。
どこまでも苦労を背負い込む性分である。
雫「きっと、ウルでも無茶苦茶して来たのでしょうね……こんな刀をポイッとくれちゃうくらいだし……。
ホント、昔ッからそうなんだから……。」
そんな事を独り言ちながら、そっと腰の刀に手を這わせる雫。
愛子の部屋を目指しながらこの刀、"紫水"を見た時の、国直営の鍛冶師達を思い出す。
正式名称"水鏡-紫の明星"を略した、この"紫水"を、この国の筆頭鍛冶師に見せた時だった。
最初は“神の使徒”の1人である雫を前に畏まっていた彼だったが、鑑定系の技能を使って"紫水"を調べた途端、態度を豹変させて雫の肩を掴みかからんばかりの勢いで迫って来たのだ。
そして、どこで手に入れたのか、誰の作品なのかと、今までの態度が嘘の様に怒涛の質問、いや、尋問をして来たのである。
目を白黒させる雫が、何とか筆頭を落ち着かせ、何事かと尋ね返した。
すると彼曰く、これ程の剣は王宮の宝物庫でも見た事が無く、出力や魔力を受けるキャパシティ、武器としての機能性、作りの精密性等、全ての点において聖剣の上を行く代物だったのだという。
それに加えて、先日のハジメさんによる改良のおかげか、ステータスプレート同様に血液認証システムが施されている。
その仕掛けの作動によって、最大60㎝の風刃による伸長、刀身の両サイドに2本の風刃を形成・射出が可能になっている。
また、柄の部分を強く握ることで刀に振動熱を加え、更なる切れ味を生み出すというのだ。
鞘の方にも、外側には雷を纏わせる機能が、内側には自動修復機能が付与されており、刃自体もアザンチウムを配合した新種の金属であるらしく、メンテナンス自体殆ど必要ないという、とんでもない代物だった。
ただ問題があるとすれば、魔力を流し込む為の魔法陣が無い事だが、それもハジメが渡した魔力操作用の指輪によって解決済みである。
そして、これだけ専門家の自分達が全力を尽くしても1割も解析出来ないという不可解な刀に、王国直属の鍛冶師達は闘志を燃やした。
同時に、製作者であるハジメへの神格化が起こった。……どこかで本人が嫌そうな顔をしていたが。
そんな職人魂の凄まじさを思い出して遠い目をしていると、目的地である愛子の部屋に到着した。
ノックをするが、反応はない。
国王達への報告をしに行っていると聞いていたのでまだ戻ってきていないのだろうと、雫は壁に凭れて愛子の帰りを待つ事にした。
それから30分程経ち、漸く愛子が帰ってきた。
廊下の奥からトボトボと、何だかしょげかえった様子で、それでも必死に頭を巡らせているとわかる深刻な表情をしながら前も見ずに歩いてくる。
そして、そのまま自分の部屋の扉とその横に立っている雫にも気づかず通り過ぎようとした。
雫は、一体何があったのだと訝しそうにしながら、愛子を呼び止めた。
雫「先生……先生!」
愛子「ほえっ!?」
奇怪な声を上げてビクリと体を震わせた愛子は、キョロキョロと辺りを見回し漸く雫の存在に気がつく。
そして雫の元気そうな姿にホッと安堵の吐息を漏らすと共に、嬉しそうに表情を綻ばせた。
愛子「八重樫さん!お久しぶりですね。元気でしたか?怪我はしていませんか?他の皆も無事ですか?」
今の今まで沈んでいたというのに、口から飛び出るのは生徒への心配事ばかり。
相変わらずの“愛ちゃん先生”の姿に、自然と雫の頬も綻び、同時に安心感が胸中を満たす。
暫し2人は再会と互いの無事を喜び、その後情報交換と相談事の為愛子の部屋へと入っていった。
雫「味噌と醤油が報酬って……ハジメ君、そんなに日本食が恋しかったんですね……。」
雫と愛子、2人っきりの部屋で、可愛らしい猫脚テーブルを挟んで紅茶を飲みながら互いに何があったのか情報を交換する。
そして、愛子から【ウルの町】であった事の次第を聞き、雫が最初に発した言葉がそれだった。
雫「それにしても、やっぱりハジメ君は凄いですね。
清水君や先生達だけじゃなく、ウルの町まで救っちゃうなんて……彼には本当に感謝ですね。」
愛子は微笑みかけてくる雫に、同じく微笑みを返した。
愛子「そうですね。再会してからも皆を気にかけていましたし……。
八重樫さん達を助けに来てくれただけでなく、小さな子の保護まで……ふふ、頼もしい限りです。」
そう言って遠い目をする愛子の頬は……何故か薄らと染まっている。
雫は「一生徒を思い出すにしては、何だか妙な雰囲気じゃない?」と訝しみ、「ふふっ」と時折思い出し笑いをする愛子を注視した。
その視線に気がついた愛子が「コホンッ!」と咳払いをして居住まいを正す。
しかし取り繕った感は消せなかったので、何となく感じる嫌な予感に頬を引き攣らせつつ、雫は少し踏み込んでみる事にした。
まさか、いくらなんでもそれはないだろうと半ば自分に言い聞かせながら。
雫「そう言えば先生、そのブローチと腕輪、とっても綺麗ですね。誰かからの贈り物ですか?」
愛子「えっ!?えぇ、南雲君から……。」
雫は、愛子が首から下げていたブローチと、腕にくぐらせていた腕輪を見て、それが原因ではないかと当たりをつけていたが、あえて知らないフリをして聞いてみた。
すると、先程よりも一層、頬を赤らめ始めた愛子。
視線は泳ぎまくり、ゴニョゴニョと口ごもって中々話しだそうとしない。……実に怪しい。
雫は剣士らしく、一気に切り込んだ。
雫「……先生。ハジメ君と……何かありました?」
愛子「あ、ありませんよ?な、何かって何ですか?普通に、私と彼は教師と生徒ですのよ!」
雫「先生。落ち着いて下さい。口調がおかしくなってます。」
愛子「!?」
激しく動揺している愛子。必死に「私は教師、私は教師……」と呟いている。
本人は心の中だけで呟いているつもりなのだろうがダダ漏れだ。
雫は確信した、程度はまだ分からないが、愛子がハジメに対して他の生徒とは異なる特別な感情を抱き始めている事に!
雫(ハジメ君!貴方って人は!愛ちゃんに何をしたのよ!)
最早誰が見てもわかるくらい頬を引き攣らせた雫は、心の中で絶叫する。
もうハジメもフラグ建築については光輝の事を言えないレベルだ。
光輝と異なるのは、相手の好意に対して鈍感という訳ではなく、はっきり答えを出すところなのだろうが……
愛子に関してはそれも微妙だろう。
というか、ハジメの場合は家臣や妹、果ては娘まで増えたりと、ある意味光輝よりも酷いレベルだろう。
思わぬところに親友のライバルが潜んでいた事に、雫は引き攣る頬を手で隠しながら天を仰いだ。
何だか無性にハジメの事が憎らしくなり、いっそ何かしら間接的な仕返しをやろうかと危険な考えが過ぎったが……ハジメが昔から「やられたら徹底的にやり返す」性格だったことを思い出し、何とか思い止まる。
愛子と雫は2人して咳払いを繰り返して気を取り直すと、先程のやり取りなど何も無かった様に話を続けた。
雫「それで、先生。陛下への報告の場で何があったのですか?随分と深刻そうでしたけど。」
その質問に愛子はハッとすると共に、苦虫を噛み潰した様な表情で憤りと不信感を露わにした。
愛子「……正式に、南雲君が異端者認定を受けました。」
雫「!?それは!……どういう事ですか?いえ、何となく予想は出来ますが……それは余りに浅慮な決定では?」
正にその通りである。しかし、それがまかり通らないのが宗教政治だと、彼女達は気づかない。
ハジメの力は強大だ。たった一人で6万以上の魔物の大群を殲滅した。
その仲間であるユエ達も、通常では有り得ない程の力を有している。
にも関わらず、聖教教会に非協力的で場合によっては敵対する事も厭わないというスタンス。
王国や聖教教会が危険視するのも頷ける。
しかしだからといって、直ちに異端者認定するなど浅慮が過ぎるというものだ。
異端者認定とは、聖教教会の教えに背く異端者を神敵と定めるもので、この認定を受けるという事は何時でも誰にでもハジメの討伐が法の下に許されるという事だ。
場合によっては、神殿騎士や王国軍が動く事もある。
そして、異端者認定を理由にハジメに襲いかかれば、それは同時にハジメからも敵対者認定を受けるという事であり、その圧倒的で理不尽な暴力が振るわれるという事だ。
その危険性が上層部に理解出来ない筈がない。現に、メルド達騎士団もその実力を理解しているのだから。
にも関わらず、愛子の報告を聞いて、その場で認定を下したというのだ。雫が驚くのも無理はない。
尤も、ハジメは「そうか、ではお前達が滅べ。」と告げて、逆に教会を殲滅する可能性が大いにあるが。
雫がそこまで察している事に、相変わらず頭の回転が早い子だと感心しながら愛子は頷く。
愛子「全くその通りです。
しかも、いくら教会に従わない大きな力とはいえ、結果的にウルの町を救っている上、私がいくら抗議をしてもまるで取り合ってもらえませんでした。
南雲君は、こういう事態も予想してウルの町で唯でさえ高い"豊穣の女神"の名声を更に格上げしたのに、です。」
愛子は一度言葉を切ると、悩まし気に頭を振った。
愛子「護衛隊の人に聞きましたが、"豊穣の女神"の名と"真竜王陛下"の名は、既に相当な広がりを見せているそうです。
今彼を異端者認定する事は、自分達を救った"真竜王陛下"と"豊穣の女神"そのものを否定するに等しい行為です。
私の抗議をそう簡単に無視する事など出来ない筈なのです。でも彼等は、強硬に決定を下しました。
明らかにおかしいです。
……今思えば、イシュタルさん達はともかく、陛下達王国側の人達の様子が少しおかしかった様な……。」
雫「……それは、気になりますね。彼等が何を考えているのか……
でも取り敢えず考えないといけないのは、唯でさえ強いハジメ君に"誰を"差し向けるつもりなのか?という点ではないでしょうか。」
愛子「……そうですね。恐らくは……。」
雫「ええ。私達でしょう……まっぴらゴメンですよ?私は、まだ死にたくありません。
ハジメ君と敵対するとか……想像するのも嫌です。」
雫がぶるりと体を震わせ、愛子はその気持ちは分かると苦笑いする。
まぁ、彼なら手加減くらいはしてくれるだろうが、それでもやっぱり怖い物は怖いのだ。
そして、国と教会側からいい様に言いくるめられてハジメと敵対する前に、愛子は光輝達にハジメから聞いた狂った神の話を話す決意をした。
証拠は何もないので、光輝達が信じるかは分からない。
なにせ今まで、魔人族との戦争に勝利すれば神が元の世界に戻してくれると信じて頑張ってきたのだ。
実はその神は愉快犯で、帰してくれる可能性は極めて低く、だから昔神に反逆した者達の住処を探して自力で帰る方法を探そう!等といきなり言われても信じられるものではないだろう。
光輝達が話を聞いた後、戯言だと切って捨てて今まで通り戦うか、それとも信じて別の方針をとるか……
それは愛子にも分からないが、とにかく教会を信じすぎない様に釘を刺す必要はある。
愛子は今回の事で、それを確信した。
愛子「八重樫さん。
南雲君は、自分が話しても信じないどころか、天之河君辺りから反感を買うだろうと予想して、私にだけ話してくれた事があります。」
雫「話……ですか?それって、教会に知られてはいけない内容でしょうか?」
愛子「はい。教会が祀る神様の事と、南雲君達の旅の目的です。
証拠は何も無い話ですが……とても大事な話なので今晩……
いえ夕方、全員が揃ったら先生からお話したいと思います。」
雫「それは……いえ、分かりました。流石に今から全員招集は、怪しまれますので止めておきましょう。」
愛子「えぇ、自然に皆が集まる時、夕食の席で話したいと思います。
久しぶりに生徒達と水入らずで、といえば私達だけで話せるでしょう。」
雫「成程……分かりました。では、夕食の時に。」
その後、雫と愛子は雑談を交わし、程よい時間で分かれた。夕食の約束は守られないと知る由も無く……
時刻は夕方。
鮮やかな橙色をその日1日の置き土産に太陽が地平の彼方へと沈む頃、愛子は一人誰もいない廊下を歩いていた。
廊下に面した窓から差し込む夕日が、反対側の壁と床に見事なコントラストを描いている。
夕日の美しさに目を奪われながら夕食に向かう愛子だったが、ふと何者かの気配を感じて足を止めた。
前方を見れば、丁度影になっている部分に女性らしき姿が見える。
廊下のど真ん中で、背筋をスッと伸ばし足を揃えて優雅に佇んでいる。服装は、聖教教会の修道服の様だ。
その女性が美しく、しかしどこか機械的な冷たさのある声音で愛子に話しかけた。
???「はじめまして、畑山愛子。あなたを迎えに来ました。」
愛子はその声に何故か背筋に氷塊でも放り込まれた様な気持ちを味わいながらも、初対面の相手に失礼は出来ないと平静を装う。
愛子「えっと、はじめまして。迎えに来たというのは……これから生徒達と夕食なのですが。」
???「いいえ、あなたの行き先は本山です。」
愛子「えっ?」
有無を言わせぬ物言いに、思わず愛子が問い返す。
そこで、女性が影から夕日の当たる場所へ進み出てきた。その人物を見て、愛子は息を呑む。
同性の愛子から見ても、思わず見蕩れてしまうくらい美しい女性だったからだ。
夕日に反射してキラキラと輝く銀髪に、大きく切れ長の碧眼、少女にも大人の女にも見える不思議で神秘的な顔立ち、全てのパーツが完璧な位置で整っている。
身長は女性にしては高い方で170cmくらいあり、愛子では軽く見上げなければならい。
白磁の様に滑らかで白い肌に、スラリと伸びた手足。
胸は大きすぎず小さすぎず、全体のバランスを考えれば正に絶妙な大きさ。
ただ残念なのは、表情が全くない事だ。無表情というより、能面という表現がしっくりくる。
著名な美術作家による最高傑作の彫像だと言われても、疑う者はいないだろう。
それくらい、人間味のない美術品めいた美しさをもった女だった。
その女は、息を呑む愛子ににこりともせず淡々と言葉を続けた。
???「あなたが今からしようとしている事を、主は不都合だと感じております。
あなたの生徒がしようとしている事の方が"面白そうだ"と。
なので時が来るまで、あなたには一時的に退場していただきます。」
愛子「な、何を言って……。」
ゆっくり足音も立てずに近寄ってくる美貌の修道女に、愛子は無意識に後退る。
刹那、修道女の碧眼が一瞬輝いた様に見えた。途端、愛子の意識に霞が掛かる。
思わず本能的な危機感から、右手に下げた腕輪を握り、魔法を使う時の様に集中すると弾かれた様に霞が霧散した。
???「……成程、流石は主を差し置いて"神"を名乗るだけはあります。私の"魅了"を弾くとは。
仕方ありません、物理的に連れて行く事にしましょう。」
愛子「こ、来ないでっ!」
得体の知れない威圧感に、愛子は咄嗟にブローチを握りしめる。
そこへ、一瞬で距離を詰めてきた修道女が迫る。が、
ガキィンッ!
愛子「っきゃあっ!」
???「ッ、これも防ぎますか。」
鳩尾を狙った一撃は、咄嗟に張られた"聖絶"によって防がれた。
しかし、衝撃までは殺しきれなかったようで、愛子は勢いよく後方に弾かれ、倒れこんでしまう。
流石にあれ程の障壁を連続で張ることはできないだろう、そう思った修道女がゆっくり近づこうとしたその時だった。
コロロロロ……
???「?……ッ!」
突如、謎の物体が修道女の足元に転がってきた。
最初は訝しんだだけだが、何かの防衛反応が働いたのか、修道女は咄嗟に飛びのこうとした。その瞬間、
ドガァァァン!!!
愛子「きゃあっっ!?こ、今度は何……貴方は!」
謎の物体が爆発し、修道女を炎と衝撃で包んだ。
彼女から離れていた愛子にまで爆風が届き、思わず声を上げる愛子。
しかし、彼女の驚いたような声色の言葉を最後に、その声は途切れた。
???「ッ……やられました、伏兵がいたとは。」
そして、煙の中から声が聞こえた瞬間、勢いのある風によって煙と炎が払われる。
中から現れたのは、傷1つどころか衣服すら燃えていない修道女だった。
その手には、どこからか出した大剣が握られており、表情は何処か苦虫を嚙み潰したようだった。
すると、ふと廊下の先に意識を向けて探る様に視線を這わせた。
暫くじっと観察していた修道女は、徐に廊下の先にある客室の扉を開く。
そして中に入り部屋全体を見回すと、わざとらしく足音を立てながらクローゼットに近寄り、勢いよく扉を開けた。
しかし中には何もなく、修道女は再度首を傾げると再び周囲を見渡し、あちこち見て回った。
やがて、開いていた窓からどこかへ逃げたのではと結論づけたのか、踵を返して部屋を出て行った。
その数分後、静寂の戻った部屋の中で、震える声がポツリと響く。
???「……王都を出ます……付いて来てください。」
部屋の中には誰もいない。
しかし、何処かに遠ざかる足音がほんの僅かに響き、やがて、完全に静寂を取り戻した。
ケーキング「~~~!」
そしてその一部始終を、陰ながら見ていたゴチゾウが一匹。彼は急いで、とある場所へと向かうのであった。
荘厳な往生の広い廊下を、1人の男が歩いていた。
カッ、カッ、と乱暴に踏み鳴らされる足音と男の険しい表情に、すれ違った者達はギョッとした表情をしている。
???「フリード様ッ!」
荒れ狂う内心を自覚無く垂れ流していた男に、張り詰めた様な声が掛かった。
フリード「ミハイルか。」
ミハイル「フリード様ッ!カトレアが……カトレアがやられたと!任務から戻ったら、他の連中が話していて!
……嘘ですよね?カトレアが死んだなんて、そんなのある訳が無い!
だって、アイツにはフリード様のアハトドだってついて───」
フリードと呼ばれた男は取り乱した様子の部下──ミハイルの肩に手を置いた。
ぐっと、何かを堪える様な力強さで。それだけでミハイルは悟った。
【オルクス大迷宮】への任務に旅立った大切な存在が、永遠に帰らぬ人になったという事を。
ミハイル「何故……そんな。勇者は、それ程に強力だったのですか?あれ程の魔物を従えても歯が立たない程に?
そんな事が……。」
フリード「落ち着けミハイル、事前の調査に間違いは無い。今の勇者にカトレアを退ける程の力は無い筈だ。」
ミハイル「ではっ、では何故ッ!」
瞳に絶望を映し、フリードへ掴みかからんばかりの勢いで尋ねるミハイル。
フリードは頭を振ると、徐に関係無さそうな、されど重大な問題を口にした。
フリード「ウルの町での任務が、失敗に終わった。」
ミハイル「なッ!?……しかし、あのお方より授かったアーティファクトの力があったはずです!
だとすれば、対象の力が未熟だったのでは?」
フリード「いや、そうではない。作戦は成功し、6万の魔物がウルの町ごと豊穣の女神を蹂躙する筈だった。
だが──イレギュラーに潰されたのだ。」
ミハイル「イレ、ギュラー?」
何の事だと首を傾げるミハイルに、フリードはまるで見えない敵を睨みつけるが如く、虚空へ鋭い視線を向けた。
フリード「たった1人の人間と1匹の竜に、魔物の軍勢を殲滅されたのだ。
おまけに、任務に当たっていたレイスも捕らえられ、拷問の末に死んだらしい。」
ミハイル「馬鹿な、レイスまで……。
それにフリード様の強化を受けていない魔物とはいえ、その数をたった1人と1匹で?
有り得ない……、それは一体の冗談ですか?」
慄く様にふらついたミハイルへ、フリードは視線を戻す。
フリード「冗談であれば良かったのだがな……。
どうやらその怪物、ウルの町を去った後オルクス大迷宮に駆け込んだらしい。
丁度、カトレアが勇者と接触する頃だ。」
ミハイル「ッ!では、カトレアはソイツに……!」
ポタリと、廊下に真っ赤な水滴が落ちた。それは、ミハイルが握り締めた拳より流れ落ちたもの。
湧き上がる憤怒の発露。フリードはミハイルの肩に手を置きつつ、鋭い声音で口を開いた。
フリード「敵は想像以上に強大だ。私はこれより、大火山に向かう。
新たな神代魔法を手に入れ、更に力をつける。何としてもだ。」
ミハイル「フリード様……。」
自分達が信頼する最強の将が、そこまで言う相手。
戦慄を隠せないミハイルに、フリードは味方をして心胆寒からしめる眼差しを向けた。
フリード「全ては我等が陛下の為、そして我等の信ずる神の為。
留守を任せるぞミハイル、決戦の時は近い。私がいない間、憤怒を以て牙を研ぎ澄ませておけ。」
ミハイル「ッ、了解です。カトレアの仇は必ず討ちます。」
決然と頷くミハイルに頷き返したフリードは、サッと踵を返した。
背後でミハイルが敬礼するのを感じながら、相棒が待機している場所へと向かう。
部下の前故に、抑えられていた感情が徐々に溢れ出す。
その表情は既に、狂気を感じさせる程に歪んでいる。
フリード「我が神より賜った崇高な使命の悉くを潰してくれた代償──高くつくぞ、まだ見ぬ敵よ。
私と相対したその時が、貴様等の終わりだ。異教徒共に、この世界で生きる資格は無い。」
憎悪と憤怒に彩られたフリードは怨嗟にも似た呟きを残し、一刻後夥しい数の魔物を従えて国を後にした。
魔人族の王国──魔国ガーランドを。
人間と魔人の戦力的均衡をたった一人で崩した最強の魔人。
奇しくも向かった先は、時の王者と同じ大火山。
果たしてフリードは、無情なる王の理不尽から逃れることは出来るのだろうか……。
愛子の行方、それと謎の声の主とは一体?そして遂に、魔人将軍現る!
ハジメさん達の運命や如何に!?
アフターの後で異世界旅行(別作品)編をやるとしたら、どの世界が良いでしょうか?
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FGO
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IS
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SAO
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Onepiece
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鬼滅の刃
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呪術廻戦
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このすば
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ハイスクールD×D
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銀魂
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ヒロアカ
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ブルーアーカイブ
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