Re.ありふれない錬成師で最高最善の魔王、世界最強を超越する   作:天元突破クローズエボルハザード

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……このお話を書いている時点では、まだ戦隊はゴジュウですが、ふと思ってしまいました。
これ、ゼッツ終わるまでに王都編入れるかなぁ?と。それはさておき、ハジメさん達のターンです!

追記:白河上皇さん、六課さん、誤字報告ありがとうございます!


00:57/砂漠と毒とオアシス危機一髪!?

赤銅色の世界。【グリューエン大砂漠】は、正にそう表現する以外にない場所だった。

砂の色が赤銅色なのは勿論だが、砂自体がキメ細かいのだろう。

常に一定方向から吹く風により易々と舞い上げられた砂が大気の色をも赤銅色に染め上げ、360度見渡す限り一色となっているのだ。

 

また、大小様々な砂丘が無数に存在しており、その表面は風に煽られて常に波立っている。

刻一刻と表面の模様や砂丘の形を変えていく様は、砂漠全体が"生きている"と表現したくなる程だ。

照りつける太陽と、その太陽からの熱を余さず溜め込む砂の大地が強烈な熱気を放っており、40度は軽く超えているだろう。

 

舞う砂と合わせて、旅の道としては最悪の環境だ。尤も、それは"普通の"旅人の場合である。

現在、そんな過酷な環境を知った事ではないと突き進む、黒い箱のような物体──

"ブリーゼ"が、砂埃を後方に巻き上げながら爆走していた。

道なき道であろうと、備え付けられた方位磁石はそんなことをものともしない。

 

シア「……外、凄いですね……普通の馬車とかじゃなくて本当に良かったです。」

ティオ「全くじゃ。この環境でどうこうなる程柔い心身ではないが……

流石に、積極的に進みたい場所ではないのぉ。」

トネリコ「私も色んな場所を旅してきましたが……こんなにも暑い砂漠は初めてですね。」

 

車内で窓にビシバシ当たる砂と赤銅色の外世界を眺めながらシア、ティオ、トネリコがしみじみした様子でそんな事を呟いた。

まぁ、3人とも砂漠とは縁も所縁もない場所出身の様だしな……。

 

ミュウ「前に来たときとぜんぜん違うの!とっても涼しいし、目も痛くないの!パパはすごいの!」

香織「そうだね~。ハジメパパは凄いね~。ミュウちゃん、冷たいお水飲む?」

ミュウ「飲むぅ~。香織お姉ちゃん、ありがとうなの~。」

助手席で香織の膝の上に抱えられる様にして座るミュウが、以前誘拐されて通った時との違いに興奮した様に万歳して、快適空間を生み出した俺にキラキラした眼差しを送る。

 

まぁ、当然と言えば当然か。海人族であるミュウにとって、砂漠の横断はどれ程過酷なものだったか。

4歳という幼さを考えれば、寧ろ熱中症や栄養失調で衰弱死しなかった事が不思議なくらいだ。

そんな環境を耐えてきたミュウからすれば、ギャップも相まって驚きも一入だろう。

なにせこのブリーゼには冷暖房が完備されており、冷たい飲み物も冷蔵庫から取り出せる優れものなのだから。

現に、香織がミュウに賛同しながら、砂漠では望める筈も無い冷たい水を普通に差し出しているし。

 

ハジメ「ところで香織、ハジメパパは止めてくれ。恋人関係になったとはいえ、流石にむず痒い。」

香織「?でも、ミュウちゃんには普通に呼ばれてるよね?」

ハジメ「いや、ミュウは俺の娘だし……それに、俺達付き合って間もないじゃん?」

トシ「要は、照れくさいから止めてくれってことだろ、お父さん。」

ハジメ「その呼び方もやめれ。」

 

生来の面倒見の良さから何かと積極的にミュウの世話を焼く香織は、ミュウが傍にいる時大抵俺をハジメパパと呼称する。

正直俺としては、ミュウに呼ばれるのとは、また別の羞恥心がある。

後トシ、お前後で覚えとけよ?

 

香織「そう?なら呼ばないけど……でも、私達もいつか子供が出来たら……その時は……。」

ユエ「……ん、でもその前にハジメの実家への挨拶。」

シア「ですね!それに故郷デートもあります!」

ティオ「うむ、ご主人様達の国では法律上、ハーレムは禁止されておるからのう。

祝言はハウリアの居住区か、竜人族の隠れ里で上げる事になりそうじゃの。」

お前等……ミュウがいるというのに、何故その話題を……ん?

 

ハジメ「トネリコ?どうかしたのか?」

トネリコ「ふぇっ!?あぁ、えっと~……ハジメさん達の故郷はどんな国かなぁ?って、想像していました。」

ハジメ「……そうか。」

気のせいだろうか、何故か彼女の表情が一瞬曇っていたような気がしたのだが……。

 

ティオ「ん?何じゃあれは?ご主人様よ、三時方向で何やら騒ぎじゃ。」

と、そんな時だった。ティオが窓の外に何かを発見したらしい。

言われるままにそちらを見ると、どうやら右手にある大きな砂丘の向こう側にサンドワームと呼ばれるミミズ型の魔物が相当数集まっている様だった。

砂丘の頂上から無数の頭が見えている。

 

このサンドワームは平均20m、大きいものでは100mにもなる大型の魔物で、現在走破中の【グリューエン大砂漠】にのみ生息している。

普段は地中を潜行していて、獲物が近づくと真下から三重構造のズラリと牙が並んだ大口を開けて襲いかかる。

察知が難しく奇襲に優れているので、大砂漠を横断する者には死神の如く恐れられている。

 

幸いサンドワーム自身も察知能力は低いので、偶然近くを通る等不運に見舞われない限り、遠くから発見され狙われるという事は無い。

なので、砂丘の向こう側には運の無かった者がいるらしいのだが……

 

ハジメ「?何であんなにグルグル回っているんだ?まるで獲物を食うのをためらっているみたいだが……。」

そう。ただサンドワームが出現しているだけなら、ティオも疑問顔をして注視させる事はなかっただろう。

たとえ奇襲されてもブリーゼの速度であれば簡単に振り切れるし、奇襲自体も十分警戒している。

異常だったのは、サンドワームに襲われている者がいるとして、何故かサンドワームがそれに襲いかからずに様子を伺う様にして周囲を旋回しているからだ。

 

ハジメ「確か、サンドワームは雑食だったよな?」

ティオ「うむ、妾の知識にあのような事例は無いのじゃ。獲物を前にして躊躇う事は無い筈じゃが……。」

ふむ……となると、可能性は絞られてくるな。

 

ティオはユエ以上に長生きな上に、ユエとは違い幽閉されていたわけでもない。

なので、この世界に関する知識であれば、今の面子では一番深い。

俺自身"地球の本棚"とかいう、知識チート能力もあるが、それでも調べていないことは多い。

 

だから魔物に関する情報はティオを頼っている。

その彼女も首を傾げるという事は……獲物自体に問題があるのだろう。毒とか。

ま、こちらから積極的に喧嘩を売るつもりはないので、さっさと距離を取るに限る。そう思った時だった。

 

ハジメ「ッ!皆、掴まれ!」

俺はそう叫んでブリーゼを一気に加速させる。その直後、砂色の巨体が後方より飛び出してきた。

大口を開けたそれは件のサンドワームだ。どうやらこちらもアンラッキーだったようだ。

勿論、大人しく食われてやるつもりもないので、サッと躱すが、サンドワームは次々に湧いてきた。

 

香織「きゃぁあ!」

ミュウ「ひぅ!」

シア「わわわ!」

幸利「ぐえっ!?」

 

後方から悲鳴が上がったものの、なんとかハンドルテクで避けきった。

幸いにもミュウはシアが受け止めており、いつの間にか気絶していたトネリコもティオが支えていた。

トシは……香織に敷かれとる。ドンマイ。

 

ハジメ「野郎……そっちから来るなら遠慮は無用だ!」

そう言って俺は、地面に向けて錬成を行う。

すると、砂で作られた刃が飛び交い、サンドワーム達を次々に輪切りにしていく。

3匹とも倒せたことを確認した俺は、そのまま砂丘へとブリーゼを走らせると、向こうにいたサンドワームの群れ目掛けて、序と言わんばかりに窓からギガントをぶっ放し、パーフェクトゼクターで拡散光線を放つ。

 

『Hyper Shooting』

 

その容赦の欠片もない破壊の雨は、サンドワームを周囲の砂諸共吹っ飛ばした。

直後、空から爆撃と光線によって千切れたサンドワームの欠片が、血飛沫と共に降り注ぐ。

これで不毛な大地にも、細やかではあるが栄養が行き渡るだろう。

 

香織「ハジメくん!あれ!」

ユエ「……白い人?」

するとその時、香織が驚いた様に声を上げ前方に指を差した。

 

その先には、ユエが呟いた様に白い衣服に身を包んだ人が倒れ伏していた。

恐らく先程のサンドワーム達は、あの人物を狙っていたのだろう。

しかし何故食われなかったのかは、この距離からでは分からず謎だ。

 

香織「お願い、ハジメくん。」

ハジメ「任せろ。」

俺としても色々と気にはなっていたので、倒れている人の近くまでやって来た。

 

その人物は、ガラベーヤ(エジプト民族衣装)に酷似した衣装と、顔に巻きつけられるくらい大きなフードの付いた外套を羽織っていた。

顔は分からない。うつ伏せに倒れている上に、フードが隠してしまっているからだ。

ブリーゼから降りた香織が、小走りで倒れる人物に駆け寄り仰向けにした。

 

香織「!……これって……。」

フードを取り露わになった男の顔は、まだ若い20歳半ばくらいの青年だった。

だが、香織が驚いたのはそこではなく、その青年の状態だった。

 

苦しそうに歪められた顔には大量の汗が浮かび、呼吸は荒く脈も早い。

服越しでも分かる程全身から高熱を発している。

しかも、まるで内部から強烈な圧力でもかかっているかの様に血管が浮き出ており、目や鼻といった粘膜から出血もしている。

明らかに尋常な様子ではない。ただの日射病や風邪という訳ではなさそうだ。

 

まるでウイルス感染者の様な青年の傍に、皆を近寄らせるのは少し危険かもしれない。

だが、餅は餅屋というので、治癒の専門家である香織に任せることにした。香織は"浸透看破"を行使する。

これは魔力を相手に浸透させる事で対象の状態を診察し、その結果を自らのステータスプレートに表示する技能だ。

 

香織「……魔力暴走?摂取した毒物で体内の魔力が暴走しているの?」

ハジメ「何か分かったのか?」

香織「う、うん。これなんだけど……。」

そう言って香織が見せたステータスプレートには、こう表示されていた。

 

 

状態:魔力の過剰活性、体外への排出不可

 

症状:発熱・意識混濁・全身の疼痛・毛細血管の破裂とそれに伴う出血

 

原因:体内の水分に異常あり

 

 

香織「恐らくだけど、何かよくない飲み物を摂取して、それが原因で魔力暴走状態になっているんだと思う。

……しかも外に排出できないから、内側から強制的に活性化・圧迫させられて、肉体が付いてこれてない……

このままじゃ、内蔵や血管が破裂しちゃう。出血多量や衰弱死の可能性も……。"万天"。」

香織はそう結論を下し、回復魔法を唱えた。使ったのは"万天"。

中級回復魔法の一つで、効果は状態異常の解除だ。しかし……

 

香織「……殆ど効果が無い……どうして?浄化しきれないなんて……それ程溶け込んでいるという事?」

どうやら"万天"では、進行を遅らせる事は出来ても完全に治す事は出来なかった様だ。

体内から圧迫されているせいか、青年は苦しそうに呻き声を上げている。粘膜から出血も止まらない。

むぅ……生成魔法と対になるであろう神代魔法さえあれば、毒の成分を分析して抗体を作れるんだが……

生憎そういうのは持っていない。

 

香織「"廻聖"。」

そこで、香織がとった策は、光系の上級回復魔法"廻聖"による、魔力吸収だった。

この魔法は、一定範囲内における人々の魔力を他者に譲渡する魔法だ。

 

基本的には自分の魔力を仲間に譲渡する事で、対象の魔力枯渇を一時的に免れさせたり、強力な魔法を放つのに魔力が足りない場合に援護する事を目的とした魔法だ。

また、譲渡する魔力は術者の魔力に限らないので、領域内の者から強制的に魔力を抜き取り他者に譲渡する事も出来る。

謂わばドレイン系の魔法としても使えるのだ。

 

勿論、他者から抜き取る場合はそれなりに時間が掛かり、一気に大量にとは行かず実戦向きとは言えない。

が、当然そんな一般論は俺達に通用しない。香織も魔力操作特訓をクリアしたので、無詠唱で使用が可能だ。

尤も、以前から魔力操作に関しては修練を積んでいたので、思いの外スムーズに済んだが。

 

香織が苦しむ青年にこの魔法を使ったのは、勿論体内で荒れ狂い体を圧迫する魔力を体外に排出する為だ。

ステータスプレートには"体外への排出不可"と表示されているが、魔法による強制ドレインは効力外なのだろう。

因みに、俺も指輪の魔法を使えば、似たようなことはできるが、ここは敢えて香織に任せることにした。

 

白菫色の光が青年を中心に広がり、蛍火の様な淡い光が湧き上がる。神秘的な光景だ。

目を瞑り、青年の胸に手を起きながら意識を集中する香織の姿は、淡い光に包まれている事もあって、どこか神々しさすら感じる。

 

ミュウはシアに抱っこされながら、「きれい……。」とうっとりした表情で香織を見つめている。

香織は青年から取り出した魔力を、俺が送った神結晶の指輪に収めていった。

どうやら、上級魔法による強制ドレインは有効だった様だ。

 

すると徐々に青年の血色が良くなり、脈動が正常なものへと変化していた。

呼吸も安定し、傍目から見ても健常者がただ眠っている様に見える。

身体の赤みも薄まり、出血も収まってきたようだ。

香織は"廻聖"の行使をやめると、初級回復魔法"天恵"を発動し青年の傷ついた血管を癒していった。

 

香織「取り敢えず……今すぐどうこうなる事は無いと思うけど、根本的な解決は何も出来てない。

魔力を抜きすぎると今度は衰弱死してしまうかもしれないから、圧迫を減らす程度にしか抜き取っていないの。

このままだと、また魔力暴走の影響で内から圧迫されるか、肉体的疲労でもそのまま衰弱死する……可能性が高いと思う。

勉強した中では、こんな症状に覚えは無いの……ユエとティオは何か知らないかな?」

 

青年が危機を脱した事に一応の安堵を見せるも、完全な治療は出来なかった事に憂いを見せる香織が知識の深いユエとティオに助けを求めた。

2人も記憶を探る様に視線を彷徨わせるが、該当知識はない様だった。と、なるとやはり……。

 

ハジメ「……また魔人族、か。」

『!』

そう、この前の透明化の魔物といい、戦況を動かした魔物共といい、根拠なら十分にある。

ということは、だ。俺達の目的地である【アンカジ公国(・・・・・・)】も、この分では大変なことになっていそうだ。

 

ハジメ「……ぶっつけ本番だが、試してみるか。」

香織「!どうにか出来るの?」

ハジメ「まぁ、先に魂魄魔法を覚えておいたかいがあったものだよ。」

そう言って俺は、青年の額に手を翳す。

 

ハジメ「……"浄祓・呪戒"。」

すると、そこから半透明の人型魂魄が出現する。この魔法は、以前ラウスに散々やられた際の副産物だ。

幸利「なぁ、これってどうみても人間d……いや、やっぱり何でもない。」

……言いたいことはわかる、実際参考にしたし。

 

ハジメ「この紫の斑点が原因の様だな……どれ、"マテリアル・レイ"。」

その魂魄に向けて、逆の手から虹色の光を放った。

これは、ニジゴンの浄化とジーニアスの成分を組み合わせた、対毒素用の回復技だ。

 

すると、光に当てられた斑点が蒸発するように縮んでいき、綺麗さっぱり無くなっていた。

どうやら成功したようだ、それを確認した俺は半透明の魂魄を青年に体に戻す。

その結果、青年の血色が良くなり、脈動が正常なものへと変化していた。

呼吸も安定し、傍目から見ても健常者がただ眠っている様に見える。

 

香織「凄い……こんな事が出来るなんて……!」

ハジメ「そうでもないさ、実際に使ったのは今回が初だしな。」

香織「それでも凄いよ、"万天"でも治せない症状を一瞬で治すなんて……。」

うぅむ……こればかりは神代魔法の有無があるからなぁ。

この先に再生の力があれば、香織の回復の腕も上がるんだけど……大火山に無いかな?

 

そうこうしていると、青年が呻き声を上げてその瞼がフルフルと震えだした。

ゆっくりと目を開けて周囲を見わたす青年は、自分の間近にいる香織を見て「女神?そうか、私は召し上げられて……」などと口にした。

そして今度は違う理由で体を熱くし始めたので、正気になれという意味を込めて、香織に手を伸ばそうとしている青年の頭にサッカーボール大の水球をぶつけた。

 

???「わぶっ!?」

香織「ハ、ハジメ君!?」

砂漠のど真ん中でびしょ濡れになるという珍体験をした青年と、驚いた様に声を上げる香織を尻目に、俺は青年に何があったのか事情を尋ねる。

 

青年の着ているガラベーヤ風の衣服や外套は、【グリューエン大砂漠】最大のオアシスである【アンカジ公国】の特徴的な服装だったはずだ。

王国に滞在していた時、気分転換に調べていたから覚えている。

 

青年がアンカジで何かに感染でもしたのだというなら、これから向かう筈だった場所が危険地帯に変わってしまう。

是非ともその辺の事を聞いておきたかった。

先程の水球で正気を取り戻した青年は、自分を取り囲む俺達と背後の見た事も無い黒い物体(ブリーゼ)に目を白黒させて混乱していたが、香織から大雑把な事情を聞いている内に冷静さを取り戻した様だ。

 

???「最早私も公国もこれまでかと思ったが、どうやら神はまだ私を見放してはいなかったらしい……。」

神(笑)、ねぇ……wそういえば、到達者以前に存在していた神々はこの世界にいないのか?

そんなことを思いながら、赤銅色の空を仰ぎ見る俺であった。




トネリコの過去についても、後半辺りで触れていきたいと思いますので、お楽しみに!
後、本作では虫嫌いの度合いが少しずつ変化していくので、そこも是非確認してみてください。

アフターの後で異世界旅行(別作品)編をやるとしたら、どの世界が良いでしょうか?

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