Re.ありふれない錬成師で最高最善の魔王、世界最強を超越する   作:天元突破クローズエボルハザード

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今回は前作同様レミアの心情に関するお話です。ただし、前のように、すぐには落ちないのでご了承ください。
後、トネリコの過去については、話の展開的に多分終盤辺りになると思います。


00:65/夜想曲(ノクターン)・本当の強さ

ハジメ「……眠れない。」

深夜、目が覚めて眠れなくなってしまった俺は、夜風を浴びに少し外に出た。

夜空には満天の星と大きく輝く月があった。それにしても、月かぁ……。

ユエとの出会いと言い、香織との夜といい、グリューエンのペンダントといい……月との縁が多いなぁ。

そんなことを思っていると、家のドアが開き、中からトネリコが出てきた。

 

トネリコ「ハジメさん?」

ハジメ「トネリコか、お前も眠れないのか?」

トネリコ「まぁ、そんなところです。ハジメさんは?」

ハジメ「ちょっと考え事を、ね……。」

互いに少しだけ会話した俺達は、改めて海と空に視線をやる。

 

ハジメ「……お前はどう思う?」

トネリコ「それって……レミアさんのこと、ですよね?」

ハジメ「やっぱり、気づいていたか……。」

 

そう、何処となくだが違和感があったのだ。今日会ったばかりの男を何故、「あなた」と呼んでいるのか。

理由はまぁ、大体察しはつく。たった一人の愛娘が、その男をパパと呼んでいたからだろう。

初対面の男をいきなり夫と思うことはおろか、一目惚れなんてことも流石に無理がある。

しかし、ミュウの前でそれを気づかれるわけにもいかない。だから演じたのだろう、俺に好意を寄せる母親を。

 

トネリコ「ハジメさんとしては、複雑に感じますか?」

ハジメ「そうだな……レミアさんの気持ちは良く分かるし、俺だって彼女の意見を尊重したいさ。

かといって、ミュウに何も告げずに行くのは嫌だからなぁ……はぁ、改めて思うけど、子育てって凄く難しいな。

こんな状況でも迷わず娘を第一に出来るレミアさんは、母親の鑑だよホント。」

 

ベビーシッターのアルバイトもやったことはあるが、今回はそれ以上に難しい問題だ。

ミュウの気持ちとレミアの気持ち、どちらも取る方法はあるにはあるが、たったそれだけの問題の為に彼女達の人生の先を決めてしまうのはいかがなものだろう。

かといって、ミュウから俺達との記憶を消去する事など、とても残酷すぎて俺にはできない。

そんなことをしたら記憶が戻った時に嫌われてしまう……あぁ、想像しただけで辛くなってきた。

絶対泣かれるよなぁ……はぁ、憂鬱だ。

 

トネリコ「えっとぉ~……お、お気持ちは何となく察します。それではやはり、ミュウちゃんとはここで……。」

ハジメ「あぁ、この先の戦いに2人を巻き込むことだけは、俺の信条に反する。それだけは絶対に避けたい。

俺をパパと呼んでくれたミュウと、あの子の帰りをずっと待っていたレミアさんには、幸せになってもらいたい。

……たとえ、その幸せの中に俺がいなかったとしても。」

それに、2人が平穏かつ幸せに過ごしていることが聞けるだけでも、心の底から顔がクシャっとなるんだよなぁ。

 

トネリコ「……寂しいとは、思わないんですか?」

ハジメ「多少は感じるだろうな……でも、素直にそう思えるって、当たり前の様で、素晴らしくないか?」

トネリコ「当たり前のようで、素晴らしい……?」

それを聞いたトネリコはキョトンとしている。しかし、だからこそ聞いてほしいんだ。

 

ハジメ「寂しいからこそ、その人の事を思える。それって、その人をより大切にしているってことだと思うんだ。

たとえどんなに離れていたとしても、その人との思い出を大切に心の中にしまって、またいつか会える日まで元気な笑顔を絶やさない。

当たり前のように見えて、誰よりもその人の幸せを信じているって胸を張れることなんだよ。

それに、その寂しいって気持ちを人前で素直に口にできるのは、心の痛みが分かってる証拠だ。

だからそいつは、面白半分で人の思いを踏み躙り続ける奴や、人の痛みを知ろうとしない奴なんかと比べ物にならない程、強いんだ。

たとえそういう酷い奴等が、どんなに力が強くても偉くても、心の強さや魂の輝きでなら絶対に負けない。

どんなに辛い目に遭ったとしても、最後にはきっと笑って勝つんだ。俺はそう思っている。」

 

トネリコ「……は、はぁ。」

ハジメ「まぁ、要するに自分の気持ちを素直に言える奴は、人の事を大切に出来るから強いってことさ。」

トネリコ「!そうですね、正直が一番ですし!」

正直、自分でも何言ってんだろって思えるほどの長さだけど、気が付いたら口が勝手に動いていた。

 

ハジメ「だから俺は、その寂しいって気持ちを持った上で、2人の幸せを願うんだ。

そうしていつか、また2人と会った時に胸を張って笑顔で言うんだ。寂しかったって。」

トネリコ「ふふっ、そうなったら、ミュウちゃんも同じことを言いそうですね。」

ハジメ「そりゃあそうさ、パパの娘ですから!っていう光景が浮かんでくるよ。」

トネリコ「確かに!ミュウちゃんの芯の強さは、レミアさん譲りですからね。」

ハジメ「あぁ、きっと将来は大物になるぞ!だから、この先も大丈夫だって思えるんだ。」

 

そんな他愛ない話をしながら、俺達は眠気が来るまで語り明かした。

お別れのその日まで、俺は待ち続ける。ミュウの決心がつく時も、レミアさんの本心が聞ける日も。

そしていつか、自分の口から話してくれるまで待つさ。たとえどれだけかかったとしても。

――その日が来るのを信じているよ、トネリコ。

 


 

レミア「大切にできるから、強い……。」

布団の中で、レミアはその言葉を小さな声で呟いていた。

実はハジメとトネリコが談話を始める少し前、レミアはドアの近くで2人の話に耳を傾けていたのだ。

 

そして知ってしまったのだ。

自分の行動の理由も、本心を口にできなかった理由も、2人には気が付かれていたことを。

恩人を前に、それでも娘を最優先にして迷惑をかけていることも、それを知った上で自分の事も気遣ってくれているその優しさに、レミアは申し訳なさを感じていた。

 

勿論、ハジメの傍には本気で彼を好く女の子たちがいる以上、彼女達の前で本気だと嘘をつくのはあまりにも失礼だと思っていたのだ。

だからどっちつかず、ふわふわと雰囲気そのままに誤魔化していたのだ。

 

けれどもその行動の真意はとっくに気づかれており、当の本人であるハジメは、娘の幸せだけでなく、その厚意に甘えていた自分の幸せの為にも頭を悩ませていた。

その幸せの中に自身がいないとしても、それを最優先にしてくれたハジメの優しさに、レミアの気持ちは揺らいでいた。

 

海人族は、海産物の効率的な獲得に有用であるが故に、特別に管理された亜人族だ。

当然、その人口も管理されており、減りすぎてはいけないし、反乱ないし種族全体での逃亡が可能な数にもしてはいけない。

 

そして、いくら海の申し子といえど亜人である以上は魔法が使えず、海棲の魔物相手には死亡率も決して低くないという事情もある。

ならば、夫を亡くしたレミアが、女の子一人産んだだけで後は自由なんてことはあり得ないのだ。

ミュウがまだ4歳だから子育ての為にギリギリ許されているのだ。

 

夫のことは幼い頃から兄のように慕っており、決められた相手ではあったが、家族となるのに抵抗はなかった。

結婚したことに後悔はない。優しかった上に、愛娘を与えてくれたのだから。

そもそも、エリセンの住人は一つの家族のようなものだ。

顔を知らぬ者などほとんどおらず、同世代の者達はずっと一緒に育ってきた兄弟姉妹も同然である。

 

しかし、時には外部――人間族の血も入れなくてはならないきまりがある。

レミア自身、両種族の調整役という仕事柄、王国や公国の貴族とも面識があったので、時が経てばその後妻、或いは妾や愛人辺りに収まる可能性があるのだ。

 

それ故にエリセンの男達は、レミアの再婚相手として躍起になっていたのだ。

慣例的に、族長や人間族の管理者も、その結果に異論を唱えることはほぼなかった。

相思相愛なら尚更、なんらかの認め難い事情でもない限り。

 

それにもしレミアが人間族に嫁ぐ場合、レミアはその人物のもとへ行くが、ミュウはエリセンの別の家に引き取られることになる。

勿論悲しくはあるが不安はなかった。母親代わりになってくれる良い人達はエリセン中に沢山いるのだから。

それに、夫が生前にこう言い残していた。

 

「もし、子が生まれる前に自分が海から帰らないことがあれば、会えない父親の話なんてしなくていい。

父親の代わりになってくれるやつならたくさんいるんだから、寂しい思いをさせるくらいなら、そいつらに甘えさせてやってくれ。」

 

それは特別な話ではなく、漁に出る海人族の中での風習だ。

老若男女関係なく、海に出て漁をするということは、それだけ覚悟の必要なことなのだ。

そして、夫は自分の死を予知していたのか、そう言い残した後日、不運にも嵐に巻き込まれ、帰らぬ人となってしまった。

 

だからこそ残された自分だけでも、ミュウに寂しい思いをさせないようにと、大事に育ててきた。

しかしそんな彼女の思いを嘲笑うかの如く、悪意は容赦なく襲い掛かった。先日の誘拐事件だ。

愛娘を奪われた挙句、自分の足で探すことも儘ならず、ただ帰りを待つことしか出来ないことが悔しかった。

 

その日から、レミアの心は不安で一杯だった。

ただ只管、娘の無事を祈り続けては、誘拐犯にも太刀打ち出来ない自分の無力さを呪うしか、彼女に残された術はなかったのだ。

だが、そんな日も終わりを告げた。そう、ハジメ達がミュウを連れてきてくれたのだ。

 

レミアにとって、それは正に奇跡の連続だった。ハジメ達からここまでの顛末は聞いている。

ミュウが連れていかれたのはなんと、【商業都市フューレン】だったという。

しかもそこまで行くには灼熱の大砂漠――昼は灼熱で夜は極寒の地獄の中を越える必要があるのだ。

この時点で相当辛い旅路を送ってきたと思われる。何ならハジメもその話については避けようとした程だ。

 

海人族、それも幼子にとって砂漠越えがどれだけ過酷なものだったか。

想像するだけで胸が張り裂けそうな思いだった。それこそ、思わずミュウを強く抱き締めた程だ。

ミュウがフューレンまで生きてこれたのは、本当に幸運だったのだと、思い出しただけで震えが止まらない。

だが、フューレンについたその時だった。困難や不運が幸運となり、ミュウを守ってくれたのは。

 

同じく地下で出会ったトネリコが、御守りを作ってミュウを元気づけてくれたことから始まり、枷が付けられていなかったおかげで、売られる前に地下水路からなんとか脱出できたミュウを、偶々発見したハジメが保護し、誘拐組織も返り討ちにした上、二度とこのような悲劇が起こらないよう、徹底的に対処してくれたそうだ。

そして、ハジメがミュウを送り届けると決めた時だった。ミュウが彼の事を、パパと呼んだのは。

 

勿論、理由に納得がいかないわけではない。本当はミュウも寂しかったのだろう。

周りのお友達にはパパがいるけど、自分のパパはもうこの世にはいない。

その寂しさを母である自分に悟られないよう、心の中に押し留めていたのかもしれない。

だから、母親以外で一緒にいると安心できるハジメのことを、パパと呼んだのだと思われる。

そう考えると、自分だけでは寂しいと娘に想わせてしまう自分の弱さに、レミアは心が締め付けられたような感覚がした。

 

しかし、先程ハジメは言っていた。「寂しいからこそ、他人を大切に思える。」のだと。

レミア自身の周りにも、毎日我が身のように心配してくれている人達はいた。

それでも、娘がいない夜は何故か寂しく感じた。だからこそ、ミュウの無事を祈り続けていたのだ。

ハジメはそれだけのことでも、胸を張っていいと言ってくれた。

それどころか、自分のことを強い人だとまで言ってくれた。

 

その時、レミアは理解した。娘が彼をパパと呼んだ、本当の理由を。

圧倒的な力と、誰かに手を差し伸べられる優しさ、全てを背負いながら進まんとする覚悟、そして何より、望んだ未来を信じ抜き、その為に己の全てを賭けられる心の強さ。

そんな彼の背中を見てきたからこそ、甘えん坊だった娘は逞しく成長したのだろう。

この人に憧れて、強くなりたいと思って。だからこそ敬愛を込めて、パパと呼ぶのだと。

親としては少し嫉妬と悔しさを感じてしまうが、不思議と温もりを感じていた。

 

この時、己の心境に変化が訪れていようとしていることに、レミア自身気づいていなかった。

ただ、わかっていたことは……ミュウがこの人を見つけた時点で、想定していた自分達親子の人生は大きく変わったのだ、と。

 

それはきっと抗いようのない大きな流れで、きっと抗いたいとも思わない素敵な未来に違いない、と。

だって、愛娘があんなにも素敵な笑顔を浮かべていたから。その未来を想像しただけで、胸が鳴っていた。

この人の背中なら、少しだけ寄り掛かってみてもいいのではないか。

そう思ってしまう程に、大きく、優しく、暖かい背中だった。そう思いながら、レミアは瞼を閉じたのであった。

 


 

俺達がエリセンに滞在して5日、2日目の朝から何故かレミアが妙に距離を詰めてきた。

まさかとは思うが……あの夜の会話を聞いて、警戒させてしまったか?いや、それにしては視線が何というか……

あれ?もしかしてそういう意味の視線?いやいや、流石にないだろ俺!旦那さんのことだってあるんだし!

 

いや、でもそれにしては何故か故郷の味とか、魚の調理法とか、ミュウに道中で食べさせてきたものとか、グイグイ聞いてくるような……?

まぁ、これ以上の詮索は止めておこう。本心を聞ける日も近いだろうし。

 

そしてそんな反応をレミアにさせる俺の事が気に食わないのか、海人族の男連中が嫉妬で目を血走らせては、いちいち突っかかってくるわ、粗末な仕掛け*1で悪戯を仕掛けてくるわで鬱陶しかったので、返り討ちにした上で尻叩き100回と秘密の強制暴露(隠したいこと叫びますの刑)を行った。

 

流石にスマッシュは自重したが……水平線の果てや空の彼方への旅は執行した。

着地点は海面なので問題はないだろう。ご近所達の奥様方も「馬鹿共にはいい薬になった。」って言ってたし。

ただ、俺とレミアの仲を盛り上げてくれるのは、少し待ってもらいたいものだ。

レミアが亡くなった旦那さんのことをまだ思っている可能性だって……捨てきれない、はず、だよな?

まぁ、事情を知っているであろうユエ達もそれに触発されたのか、アプローチを更に激しくしてきたのは割愛しておこうか。

 

後はそうだな……さっきも言っていた、魚の調理法のレクチャーもやっていたな。

お風呂や便利家具の設置もやったし、ミュウのお友達にも綺麗なアクセサリーをプレゼントしてあげたりもしたな。

そして、出発の朝。少しの間離れるとはいえ、暫しの別れに、ミュウが物凄く寂しそうな表情をしていた。

 

ミュウ「ぐすっ……パパ、ほんとに行っちゃうの?」

うぐっ……確かに寂しい気持ちをオープンにするのは悪い事ではない、ないのだが……。

レミア「ミュウ……パパにはやらなきゃいけない事があるの。」

GJレミア。

 

足の治療も早く済み、波紋による生命エネルギーの微量譲渡のおかげか、以前とは見違える程すっかり元気になったようだ。

それはいいんだが……その色気はどうにかならないんでしょうか?後、スキンシップの距離感も。

 

ハジメ「ミュウ、そんな顔しないでよ。必ず戻ってくるから、ね?」

優しく語り掛け、頭を撫でてあげると、ミュウは頷いて目を腕でこすり、笑顔で言ってくれた。

ミュウ「パパ、いってらっしゃいなの!」

可愛い・可愛い・可愛い!コンボ級可愛い!

 

レミア「いってらっしゃい、あ・な・た♡」

……本気なのか冗談なのかは分からないが、敢えてそのノリで返しておこう。

ハジメ「行ってきます、レミア。」

これでいいはず……何で頬を染めてんだ!?えっ、どういう反応なんだ!?素なのか!?演技なのか!?

しかも、傍から見れば仕事に行く夫を見送る妻と娘そのままなシチュエーションなので、余計に判断しづらい!

 

周囲の海人族から飛んでくる鋭い視線はサクッと無視したが……如何せん、先程の反応が気になりすぎてしまう。

帰ったら遠回しに聞いてみたほうがいいのか?と考えながら、俺は宝物庫から"オルカヴィア"を取り出し、海面に浮かべて乗り込んだのであった。

*1
橋に細工して落とし穴を作ったり、水着に穴を空けて来ようとしたり、腐った魚を食わせようとして来たり、etc……




ユエ・シア・ティオ・香織・トネリコ『そういうとこ(だよ)(です)(じゃよ)、ハジメ(さん)(君)(ご主人様)!』
ハジメ「なんでさ。」
幸利「これは残当だな。」
2人が見えなくなった後で、何故かそう言われた。なんで?

もしもfateとのトリプルをやるとして、どんな女性サーヴァントと組ませたい?(モルガン・トネリコは本編で準レギュラーなので除く))

  • アルトリア(青王)
  • モードレッド
  • 玉藻の前
  • スカサハ
  • レディ・アヴァロン
  • 宮本武蔵
  • 沖田総司(オルタ含む)
  • 伊吹童子
  • ティアマト
  • ミスクレーン
  • 魔王信長
  • ククルカン
  • ジャンヌ(オルタ・メタ含む)
  • ネロ
  • アルテラ
  • 源氏鯖(頼光・義経・巴)
  • 河上彦斎
  • いっそのことカルデア入り
  • その他(活動報告欄で入力)
  • それって、貴方の癖ですよね?
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