Re.ありふれない錬成師で最高最善の魔王、世界最強を超越する 作:天元突破クローズエボルハザード
尚、香織の劣等感云々は原作と違って「なにそれ?おいしいの?」という風になっていますので、その辺りはご了承ください。
理由?愛ですかね?(すっとぼけ)
ハジメ「察しろ。」///
追記:六課さん、誤字報告ありがとうございます!
【海上の町エリセン】から西北西に約300km。
そこが、ミレディから聞いた七大迷宮の一つ【メルジーネ海底遺跡】の存在する場所だ。
流石に詳しい場所までは秘密だった。ヒントは"月"と"グリューエンの証"だそうだが……。
取り敢えず方角と距離だけを頼りに大海原を進んできた俺達だったが、昼間の内にポイントまで到着・海底を探索したものの……特に何も見つからなかった。
海底遺跡という位なので、それらしき痕跡は月の光がないとダメそうだな。
とはいえ、周囲100kmの水深に比べるとポイント周辺の水深が幾分浅い様に感じたので、場所自体は多分合っていると思う。
そんな訳で、一旦探索を切り上げ、月が出る夜を待つ事にした。今は丁度、日没の頃。
地平線の彼方に真っ赤に燃える太陽が半分だけ顔を覗かせ、今日最後の輝きで世界を照らしている。
空も海も赤と山吹に染まり、太陽が海に反射して水平線の彼方へと輝く一本道を作り出していた。
どこの世界でも、自然が作り出す光景は美しいものだ。
停泊させた"オルカヴィア"の甲板で、沈む太陽を何となしに見つめながらそんな事を思う。
香織「どうしたの?考え事?」
そんな俺の様子に気がついて声を掛けてきたのは香織だった。
先程まで艦内でシャワーを浴びていた筈で、その証拠に髪が湿っている。
その後ろには、ユエやシア、ティオにトネリコもいる。
全員、俺が設置しておいた船内シャワーを浴びてきた様で、頬は上気し湿った髪が頬や首筋に張り付いていて、実に艶かしい姿だ。
備え付けのシャワールームは天井から直接温水が降ってくる仕様なので、4人で入っても問題はない。
因みに、ミュウがいないのをいいことに、女性陣が全員でシャワールームに連行しようとしてきたことがあったが、ここでは割愛する。
トシはどうしたのかって?アイツなら、人の苦労も知らずに仮眠取ってるよ。
そんな暇そうな戦友を羨ましく()思いながら、俺は香織の質問に答えた。
ハジメ「あぁ、どこの世界でも夕暮れは綺麗だなぁって思っていただけだよ。」
香織「……そっか。うん、そうだね。向こうの海で見た夕日とそっくり……なんだかすごく懐かしい気がするよ。
まだ半年も経っていないのにね。」
ハジメ「こっちの世界では色々あったからなぁ……
まぁ、俺にとっちゃどっちの世界でも内容が濃い出来事ばかりだが。」
隣に座った香織が、どこか遠い目をしながら俺の言葉に同意する。
きっと、日本で過ごしてきた日々を懐かしんでいるのだろう。
そんな召喚組にしか通じない話題に寂しさを感じたのか、ユエが火照った体でトコトコとこちらに歩み寄ると、その膝の上に腰を下ろし背中を俺の胸元に凭れかけさせ、真下から上目遣いで見つめ始めた。
その瞳は明らかに、自分も話に入れて欲しいと物語っている。
寂しさと同時に俺の故郷の事を聞きたいという気持ちがある様だ。
シア「私もハジメさんの話聞きたいです!ご家族の事とか!」
すると今度は、反対側にシアが寄り添いその目をキラキラさせる。明らかに構って欲しいという合図だ。
ティオ「妾も聞きたいのじゃ、詳しい事は知らんからのぉ。」
背中の右側には、ティオが凭れかかった。体重のかけ具合から心底リラックスしている事が分かった。
トネリコ「私も気になります、そちらの世界にあるお話も是非お願いします。」
そしてトネリコも背中の左側に凭れかかり、凄く聞きたそうな目でこちらを見ている。
とはいえ、時間も有り余ってはいるので、それもありか。
そして、広大な海の上、皆と小さく寄り添い合いながら、夜天に月が輝き出すまでの間、暇潰しに故郷のことを話し始めた。
ユエ達は興味津々に相槌を打ち、香織がにこやかに補足を入れる。
そんな和やかな雰囲気を楽しんでいると、あっという間に時間は過ぎ去り、日は完全に水平線の向こう側へと消え、代わりに月が輝きを放ち始めた。
そろそろ頃合かと思い、懐から【グリューエン大火山】攻略の証であるペンダントを取り出した。
サークル内に女性がランタンを掲げている姿がデザインされており、ランタンの部分だけが刳り抜かれていて穴開きになっている。
エリセンやアンカジに滞在している時にもこのペンダントを取り出して月に翳してみたり、魔力を流してみたりしたが……特に何の変化も無かった。
ならば場所が関係しているのか?と考え、取り敢えずペンダントを月に翳してみた。
丁度ランタンの部分から月が顔を覗かせている。が、暫く眺めているが特に変化はない。
まぁ、これでダメなら14の言葉……ええっと、「螺旋丸、カブト、最後の墓地、まじかる☆タルるートくん、ザビー、ドロロンえん魔くん、ドレイク、徳井君、ジェット機、エンゼルフレンチ、味塩、サソード、巧君、比密の校長」だったっけ?
うろ覚えだけど、取り敢えずダメもとで試してみるか。*1なんて思っていた時だった。
パァァァァ……
シア「わぁ、ランタンに光が溜まっていきますぅ。綺麗ですねぇ。」
香織「ホント……不思議ね。穴が空いているのに……。」
シアが感嘆の声を上げ、香織が同調する様に瞳を輝かせた。
2人の言葉通り、ペンダントのランタンは少しずつ月の光を吸収する様に底の方から光を溜め始めていた。
それに伴って、穴開き部分が光で塞がっていく。ユエ達も興味深げにペンダントを見つめた。
ユエ「……中々粋な演出。」
ティオ「ご主人様の見立て通り、この場所でなければならなかった様じゃな。」
トネリコ「恐らくは、月の光を魔力に変換して蓄積しているのでしょう。
そしてここで反応が出るという事は……。」
ハジメ「海底にある魔法陣と連動している、と。成程、たまんねぇなこのRPG感!」
やがて、ランタンに光を溜めきったペンダントは全体に光を帯びると、その直後ランタンから一直線に光を放ち、海面のとある場所を指し示した。
"月の光に導かれて"という何ともロマン溢れる道標に、ユエ達が「おぉ~。」と感嘆の声を上げた。
早速寝坊助のトシを叩き起こし、海底探索の為に潜航を再開した。
幸利「お前なぁ……そういうイベントがあるなら、早く起こしてくれよ。」
ハジメ「はいはい、エリセンに滞在中の時にもう一度やってやるから、拗ねてないで行くぞ。」
夜の海は暗い、というよりも黒いと表現した方がしっくりくるだろうか。
海上は月明かりでまだ明るかったが、導きに従って潜行すればあっという間に闇の中だ。
"オルカヴィア"のライトとペンダントの放つ光だけが闇を切り裂いている。
因みに、ペンダントの光は、"オルカヴィア"のフロントガラスならぬフロント水晶(この為だけに作った特別製、透明でくっきり見えるのに凄い頑丈で並大抵の事では無傷)越しに海底の一点を示している。
その場所は、海底の岩壁地帯だった。無数の歪な岩壁が山脈の様に連なっている。
昼間にも探索した場所で、その時には何もなかったのだが……
"オルカヴィア"が近寄りペンダントの光が海底の岩石の一点に当たると、ゴゴゴゴッ!と音を響かせて地震の様な震動が発生し始めた。
その音と震動は、岩壁が動き出した事が原因だ。
岩壁の一部が真っ二つに裂け、扉の様に左右に開き出したのである。
その奥には冥界に誘うかの様な暗い道が続いていた。
ハジメ「成程、隠し洞窟か……これはこれでオラ、ワクワクすっぞ!」
幸利「カカロット止めい。にしても、道理でいくら探しても見つからない訳だ。」
ユエ「……暇だったし、楽しかった。」
香織「そうだよ。異世界で海底遊覧なんて、貴重な体験だと思うよ?」
トネリコ「そうですよ!海の中ってこんなに綺麗だったんですね~♪」
シア「トネリコさん、すっごい目がキラキラしてます……。」
兎にも角にも、早速"オルカヴィア"を操作し、海底の割れ目へと侵入していく。
ペンダントのランタンはまだ半分程光を溜めた状態だが、既に光の放出を止めており暗い海底を照らすのは"オルカヴィア"のライトだけだ。
ティオ「う~む、海底遺跡と聞いた時から思っておったのだが、この"おるかゔぃあ"?がなければ、まず平凡な輩では迷宮に入る事も出来なさそうじゃな。」
ユエ「……強力な結界が使えないと駄目。」
トネリコ「他にも空気と光、後は水流操作も最低限同時に使える技術も必要になります。」
シア「でもここにくるのに【グリューエン大火山】攻略が必須ですから、大迷宮を攻略している時点で普通じゃないですよね。」
香織「……もしかしたら、空間魔法を利用するのがセオリーなのかも。」
幸利「それにプラスで航海技術もいるな。後、海中の魔物への効率のいい対処方法。」
ハジメ「宝物庫のように、長期戦で必要な物資を持ち運べるアーティファクトもなきゃダメだろう。」
道なりに深く潜行しながら、全員で潜水手段が無い場合の攻略方法について考察してみた。
確かにファンタジックな入口に感心はしたのだが、普通に考えれば超一流レベルの魔法士が幾人もいなければ侵入すら出来ないという時点で、他の大迷宮と同じく厄介な事この上ない。
尤も、全員超一流魔法士100人分以上の実力持ちのチートである俺達なら、大丈夫そうだが。
そう思いつつも気を引き締め直し、フロント水晶越しに見える海底の様子に更に注意を払った。とその時。
ゴォウン!!
ハジメ「ッ!?」
ユエ「んっ!」
シア「うぐっ!?」
香織「きゃっ!」
ティオ「何じゃっ!?」
トネリコ「わわっ!?」
幸利「うおっ!?」
突如横殴りの衝撃が船体を襲い、一気に一定方向へ流され始めた。
船体がぐるんぐるんと回るが、こんなこともあろうかと船底に組み込んでおいた重力石を起動させ、船体を安定させた。
ハジメ「何かの海流に乗ったのかもしれないな……取り敢えず進もうか。」
フロント水晶から外の様子を観察してみると、緑光石の明かりが洞窟内の暗闇を払拭し、その全体像をあらわにしている。
見た感じ、どうやら巨大な円形状の洞窟内を流れる奔流に捕まっているようだ。
船体を制御しながら、取り敢えず流されるまま進み続けること少し。
後ろに組み込んだ"遠投石"が赤黒く光る無数の物体を捉えたのか、接近を知らせるアラームが鳴り響いた。
ハジメ「やっぱりそうなるよなぁ……さてと、どうしてやろうか。」
ユエ「……殺る?」
俺がそう呟くと、隣の座席に座るユエが手に魔力に集めながら可愛い顔でギャングの様な事をさらりと口にする。
ハジメ「いや、試験がてらこの船のギミックで撃退しよう。」
そう言って仕掛けを作動させると、"オルカヴィア"の側面から謎の球体が次々にばら撒かれた。
やがて、トビウオの様な姿をした無数の魚型の魔物達が、赤黒い魔力を纏って追いかけてくるのが見えた。
しかしその時、ばら撒かれた球体郡にスパークが走り……!
ドォゴォオオオオン!!!
盛大な爆発音と共に発生した衝撃、大量の気泡がトビウオ擬きの群れを包み込む。
そして、それらによって体を引きちぎられバラバラにされたトビウオ擬きの残骸が、赤い血肉と共に泡の中から飛び出し、文字通り海の藻屑となって激流に流されていった。
実はこの球体、俺が作った放電式自動迎撃魚雷で、より多くの敵を感知した瞬間に爆発することで、相手を撃退する仕組みになっているのだ。
ハジメ「感知センサー式魚雷、まだそこまでの量は作れないが……威力は十分そうだな。」
シア「うわぁ~、ハジメさん。今、窓の外を死んだ魚の様な目をした物が流れて行きましたよ。」
ティオ「シアよ、それは紛う事無き死んだ魚じゃ。」
香織「改めて思ったのだけど、ハジメくんのアーティファクトって反則だよね。」
トネリコ「もしかして、ハジメさん達の世界って……結構危険な場所だったりします?」
幸利「いや、こんな質量兵器作る奴がおかしいだけだから。」
それから度々トビウオ擬きに遭遇するも、容易く蹴散らし先へ進む。
どれくらいそうやって進んだのか。
変わり映えの無い景色に違和感を覚え始めた頃、周囲の壁がやたら破壊された場所に出くわした。
よく見れば、岩壁の隙間にトビウオ擬きの千切れた頭部が挟まっており、虚ろな目を海中に向けている。
ハジメ「ここは……さっき来た場所じゃないか?」
ユエ「……そうみたい。ぐるぐる回ってる?」
どうやら、円環状の洞窟を一周してきたらしい。てっきり行き先が大迷宮なのだと思っていたのだが……。
だが、道に間違いはないだろう。ならば、周囲にヒントがある筈。そう考えて、探索しながらの航行を続ける。
香織「あっ、ハジメくん。あそこにもあったよ!」
ハジメ「これで5ヶ所目、場所を結ぶと……五芒星になる、と。」
その結果、洞窟の数ヶ所に、50cm位の大きさのメルジーネの紋章が刻まれている場所を発見した。
メルジーネの紋章は五芒星の頂点の一つから中央に向かって線が伸びており、その中央に三日月の様な文様があるというものだ。
それが、円環状の洞窟の5ヶ所にあった。という事は、だ。
早速、最初に発見した紋章に近付いてから、首から下げたペンダントを取り出し、水晶越しに翳してみた。
すると案の定ペンダントが反応し、ランタンから光が一直線に伸びる。
そしてその光が紋章に当たると、紋章が一気に輝きだした。
香織「これ、魔法でこの場に来る人達は大変だね……直ぐに気が付けないと魔力が持たないよ。」
トネリコ「えぇ、それも食事と睡眠もとりにくい状況下で、思考を働かせるとなると……相当厳しいですね。」
ハジメ「前々から海中での冒険に備えておいて正解だったな……最初の迷宮がオルクスでホント良かった。」
幸利「お前の天職が錬成師だったのも幸運だよな……アーティファクトがなかったら、ここまでは無理だしな。」
香織の言う通り、この様なRPG風の仕掛けを魔法で何とか生命維持している者達にさせるのは相当酷だろう。
【グリューエン大火山】とは別の意味で限界ギリギリを狙っているのかもしれない。
それにトネリコも言っていた通り、極限下で思考を巡らせる以上、魔力量を視野に入れつつ、入り口を探すのであれば、猶更厳しい環境での探索になるだろう。
今思えば、オルクスで生成魔法を手に入れられたかつ、親和性抜群の錬成師で、現代兵器や乗り物知識がなければ、グリューエンはおろか、ライセンすら突破することも儘ならなかったと思うと、トシの言う通り確かに幸運だった。
その後、更に3ヶ所の紋章にランタンの光を注ぎ、最後の紋章の場所にやって来た。
ランタンに溜まっていた光も、放出する毎に少なくなっていき、丁度後一回分位の量となっている。
そして、ペンダントを翳し最後の紋章に光を注ぐ。
ゴゴゴゴッ!
すると、轟音を響かせて、洞窟の壁が縦真っ二つに別れた。
遂に円環の洞窟から先に進む道が開かれたことで、特に何事もなく奥へ進むと、真下へと通じる水路があった。
そこを"オルカヴィア"で進んでいると、またもや浮遊感が襲い掛かってきた。
ハジメ「おぉっ!?」
ユエ「んっ!?」
シア「ひゃっ!?」
ティオ「ぬおっ」
香織「はうぅ!」
トネリコ「きゃあっ!?」
幸利「わぷっ!?」
それぞれ七者七様の悲鳴を上げる。
どうにか俺が重力操作で内部の重力を相殺した直後、ズシンッ!と轟音を響かせながら"オルカヴィア"が硬い地面に叩きつけられた。
激しい衝撃が船内に伝わるが、なんとか無事に持ち直せた。
ハジメ「ここは……?」
一先ずフロント水晶から外を見ると、先程までと異なり外は海中ではなく空洞になっている様だった。
取り敢えず、周囲に魔物の気配がある訳でも無かったので外に出てみれば、大きな半球状の空間があった。
頭上を見上げれば大きな穴があり、どういう原理なのか水面が揺蕩っている。
水滴一つ落ちる事無くユラユラと波打っており、どうやらそこから落ちてきた様だ。
ハジメ「海底遺跡かと思いきや、海底洞窟か……。重力魔法と空間魔法を水に付与しているのか?
まぁ、いずれにせよここからが本番ってわけか。」
ユエ「……全部水中でなくて良かった。」
"オルカヴィア"を宝物庫に戻しながら、洞窟の奥に見える通路に進もうとユエ達を促す……寸前でバリアを張る。
刹那、頭上からレーザーの如き水流が、流星さながらに襲いかかる。
この圧縮された水のレーザーは、かつてユエが【ライセン大迷宮】で重宝した"破断"と同じだ。
直撃すれば、容易く人体に穴を穿つだろう。
しかし、俺が魔力と気で編み出したバリアは、某伝説の超サイヤ人みたく堅朗鉄壁だ。
それもマグマにも耐えられる強度だ、裂けるものか。
更に大きさも段違いだから、ユエ達の上もすっぽりと覆えるし、強度はそのままなので以前問題は無し。
そしてレーザーの合間を狙い、自然発火で天井を焼き払うと、ボロボロと攻撃を放っていた原因が落ちてきた。
それは、一見するとフジツボの様な魔物だった。
天井全体にびっしりと張り付いており、その穴の空いた部分から水系中級魔法"破断"を放っていた様だ。
中々に生理的嫌悪感を抱く光景である。しかし、水中生物であるせいかやはり火系には弱い様だ。
なのでそのまま焼き払いながら、奥の通路へと歩みを進める。
すると、通路は先程の部屋よりも低くなっており、足元には膝位まで海水で満たされていた。
ハジメ「進みづらいな……洪水の時ってこんな感じなのか?」
ユエ「……むぅ。」
ザバァサバァと海水をかき分けながら、愚痴をこぼしていると、ユエが可愛らしい唸り声を上げた。
見てみれば、身長の低いユエは腰元まで浸かっており、相当歩き辛そうだ。
成程これは流石にいけないなと思い、ひょいとユエを抱き上げてそのまま肩に降ろした。所謂、肩車だ。
ユエ「……ハ、ハジメ!これは流石に、ちょっと恥ずかしい……!」
ハジメ「でもこの先、水深が少しずつ深くなってきているし、この方が良いでしょ?後、可愛いし。」
ユエ「むぅ……。」
そう言うとユエは羞恥で頬を染めながらも、恥ずかしそうに太腿をキュッと締めて、俺の頭を抱える。
チラリとシア達を見てみれば、そこにあるのは羨ましいというよりも、どちらかと言えば微笑ましいという感情に見える。
視線が生温かいせいか、ユエは益々恥ずかしそうに小さくなった。中々レアな光景かもしれない。
シア「うっふっふっ、ユエさん、なんだか可愛いですよ~?」
ティオ「最近のミュウのポジションじゃしなぁ。」
トネリコ「微笑ましくていいですね~。」
香織「ユエったら、照れてるぅ~?」
幸利「白崎さん……その言い方は止めてやれって。」
ユエ「……みんなのあほぉ。」
益々シア達の視線に頬を染めるユエはそのままに、俺達は先を急ぐことにした。
だがそんな余裕ある和気藹々とした空気も、直後には魔物の襲撃により集中を余儀なくされる。
現れた魔物は、まるで手裏剣だった。高速回転しながら直線的に、或いは曲線を描いて高速で飛んでくる。
俺はそれらに向けてイチゴクナイを投擲し、空中で全て撃墜した。
体を砕けさせて、プカ~と水面に浮かんだのは海星らしき何かだった。
更に、足元の水中を海蛇の様な魔物が高速で泳いでくるのを感知し、ユエが氷の槍で串刺しにする。
ハジメ「……流石に弱すぎる。オルクスを出たばかりにあった奴等よりも、弱いかもしれんぞ。」
その呟きに、今回が初の大迷宮とはいえ、話でその厄介さを聞いていた香織も含めて、全員頷いた。
大迷宮の敵というのは基本的に単体で強力、複数で厄介、単体で強力かつ厄介というのがセオリーだ。
だが海星にしても海蛇にしても、大火山から海に出た時に襲ってきた海の魔物と大して変わらないか、或いは弱い位である。
とても大迷宮の魔物とは思えなかった。まさかとは思うが……外的要因ではないだろうな?
なんて思いながら首を傾げていると、その答えは通路の先にある大きな空間で示された。
ハジメ「あれは……何だ?」
俺達がその空間に入った途端、半透明でゼリー状の何かが通路へ続く入口を一瞬で塞いだ。
シア「私がやり「待って!」は、ハジメさん?」
嫌な予感を感じたので、咄嗟にその壁を壊そうとしたシアを制し、グレネードを数発放つ。すると……
ジュゥゥゥ……!
シア「えッ!?なんですかこれ!?」
何と、グレネードは不発になった上にどんどん溶かされていったのだ。
ハジメ「さっきの予感の正体はこれか……皆、気をつけろ!あれには、強力な分解作用があるみたいだ。」
警戒してゼリーの壁から離れた直後、今度は頭上から無数の触手が襲いかかった。
先端が槍の様に鋭く尖っているものの、見た目は出入り口を塞いだゼリーと同じようだ。
ならばこちらもと、正面の触手を炎と雷の熱で、両側から迫る触手を氷と空間歪曲で迎撃する。
更にユエとトネリコが氷を、ティオが炎を繰り出して触手を排除しにかかった。
しかし、向こうは何のアクションもなく、ただ凍らされて焼かれてとやられるままだった。
ユエ「む?……ハジメ、このゼリー、魔法も溶かすみたい。」
すると、ユエのその言葉に視線を向けてみれば、ユエ達の放った魔法が悉く直撃と同時に分解される様に消えていくのが分かった。
ティオ「ふむ、やはりか。先程から妙に炎が勢いを失うと思っておったのじゃ。
どうやら、炎に込められた魔力すらも溶かしているらしいの。」
トネリコ「それなのですが……溶かすというよりも、分解しているのではないでしょうか?」
成程……2人の言葉が正しければ、このゼリーは魔力そのものを溶解ないし分解も出来るらしい。
中々に強力で厄介な能力だ。正に大迷宮の魔物に相応しい。
そんな感想を抱いていると、遂にその主が姿を現した。
天井の僅かな亀裂から染み出す様に現れたそれは、空中に留まり形を形成していく。
半透明で大雑把な人型、但し手足は鰭の様で全身に極小の赤いキラキラした斑点を持ち、頭部には触覚の様な物が2本生えている。
まるで宙を泳ぐ様に、鰭の手足をゆらりゆらりと動かすその姿はクリオネの様だ。
尤も、全長10mのクリオネはただの化け物だが。
その巨大クリオネ擬きのデカブツは、何の予備動作も無く全身から触手を飛び出させ、同時に頭部からシャワーの様にゼリーの飛沫を飛び散らせた。
香織「ユエッ!」
ユエ「んっ!」
香織・ユエ「「"聖絶"!」」
しかし、香織とユエが発動した"聖絶"によってそれらは防がれ、逆にティオとトネリコの繰り出した炎で爆発四散していく。
更にシアもドリュッケンを砲撃モードに切り替えて、焼夷弾を撃ち放ち、トシも"螺炎"や"炎浪"で迎撃している。
因みに俺は、先程の攻撃にプラスしてブラックホールや毒入りホイップ乱射で、更なる嫌がらせ中だ。
やがて、攻撃を受け続けたデカブツは、その体を次々に爆発四散させていった。
「いっちょ上がり!」とばかりに満足気な表情をするユエ達だが、俺は警告の声を上げる。何故って?
ハジメ「まだ反応が消えてないぞ!それに部屋全体にも破片があるみたいだ……!」
俺の感知系能力は、部屋全体に魔物の反応を捉えていた。まるで部屋そのものが魔物であるかの様だった。
するとその懸念は当たっていた様で、なんと四散した筈の悪食が1/10サイズではあるが瞬く間に再生した。
しかも、よく見ればその腹の中に先程まで散発的に倒していた海星擬きや海蛇がいて、ジュワー……と音を立てながら溶かされていた。
ティオ「ふむ、どうやら弱いと思っておった魔物は本当に唯の魔物で、此奴の食料だった様じゃな……
ご主人様よ、無限に再生されては敵わん。魔石はどこじゃ?」
シア「そういえば、透明の癖に魔石が見当たりませんね?」
ティオの推測に頷きつつ、シアが訊ねてくるが……残念ながら、事はそうも簡単にはいかなさそうだ。
ハジメ「さっき見たけど、魔石は全く見当たらない。それにこの部屋全体からも、同じ感覚がする。」
香織「ハ、ハジメくん?魔石がないって……じゃあ、あれは魔物じゃないってこと?」
幸利「しかも部屋全体って……俺等、もう腹の中ってことになるじゃねぇか!?」
トネリコ「ここから更に大きくなると考えると……一撃で跡形も無く消さなきゃいけませんね。」
そんな風に推測を話しあっていると、再びデカブツが攻撃を開始してきた。
今度は、触手とゼリーの豪雨だけでなく、足元の海水を伝って、魚雷の様に体の一部を飛ばしてきてもいる。
ハジメ「"ボルカニック・レイン"。」ゴォオオオオオ――!!
ならばこちらは、超高熱で蒸発させるまで。
マグマ系統の能力をフル活用し、壁や触手に飛沫、そしてデカブツ本体に向けて、摂氏5000度の炎をぶっ放す。
すると、あのデカブツには擬態能力まであるのか、何の変哲もないと思っていた壁が溶岩によって壁紙が剥がれる様にボロボロと燃え尽きていく。
どうやら壁そのものがデカブツという訳では無い様だ、少し安心した。
しかし、半透明のゼリーは何度燃やしても、壁の隙間や割れ目から際限なく出現し、遂には足元からも湧き出した。
靴底がジューッと焼ける様な音を立てる。
向こうも愈々本気になってきたのか、壁全体から凄まじい勢いで湧き出してきた。
しかもいつの間にか水位まで上がってきており、最初は膝辺りまでだったのが、今や腰辺りまで増水してきている。
ユエに至っては、既に胸元付近まで水に浸かっていた。
水中戦に持ち込まれると、向こうに分があるので不味い。
俺一人だけならブラックホールで消し飛ばせるのだが……やむをえまい。ここは一時的に離脱するべきか。
しかし、全ての出入口は既にゼリーで埋まっている。となると……道は一つしかないか。
丁度、亀裂の隙間から渦巻きが発生しているしな……!
ハジメ「地面の下に空間があるから、そこで一度態勢を立て直そう!
ただ、どこに繋がってるかわかんねぇから、その辺りの覚悟はしておいてくれ!」
そう言いながら、錬成で亀裂を広げ、穴を作る。
ユエ「んっ!」
シア「はいですぅ!」
ティオ「承知じゃ!」
香織「わかったよ!」
トシ「おうよ!」
トネリコ「はいっ!」
全員の返事を受け取った俺は、襲い来るゼリーを焼き払いながら、水中で展開した"タコレッグ"をドリル上にして、錬成で広げた穴に突き刺し、更に大きな風穴を開ける。
次の瞬間、貫通した縦穴へ途轍もない勢いで水が流れ込んでいった。
腰元まで上がってきていた海水がいきなり勢いよく流れ始めたので、慌ててオクタキャプチャーで皆を捕まえて、一箇所に固まった。
尚、全員が水中でも大丈夫な理由は、潜る直前に、長さ15㎝直径3㎝の円筒小型酸素ボンベを口に咥えていたからだ。
このボンベの中程には、シュノーケルのマウスピース部分のような突起がついている。
宝物庫の仕組みを応用し、空気を大量に入れられるように設計したので、一本で1時間は保つ優れものだ。
ミュウ監修の元、改良に改良を重ね続けた甲斐があったものだ。
あの時のミュウの褒めようと言ったら……っと、いかんいかん!今は緊急事態だった!
ハジメ「これでも食ってろ、クソゲーの大ボス擬き!」
そう罵倒しながら、俺はギンガの能力で小型太陽を生み出し、デカブツ目掛けてぶっ放した。
背後でくぐもった爆音が響き、デカブツの追撃がなくなったことを確認した俺達は、念話で連絡を取りつつ、互いに離れないようにしっかり摑まった。
落ちた場所は巨大な球体状の空間で、何十箇所にも穴が空いており、その全てから凄まじい勢いで海水が噴き出し、或いは流れ込んでいて、まるで嵐の様な滅茶苦茶な潮流となっている場所だった。
その激流に翻弄されながらも何とか進み、一つの穴に吸い込まれるように流されていった。
流されている間も、岩壁や流れる障害物に対処しつつ、出口を目指していった。
14の言葉の下りは、別サイトで挙げられたネタや響きが似ていそうな単語、カブトムシはハイパーゼクターをもとに考えてみましたw
もしもfateとのトリプルをやるとして、どんな女性サーヴァントと組ませたい?(モルガン・トネリコは本編で準レギュラーなので除く))
-
アルトリア(青王)
-
モードレッド
-
玉藻の前
-
スカサハ
-
レディ・アヴァロン
-
宮本武蔵
-
沖田総司(オルタ含む)
-
伊吹童子
-
ティアマト
-
ミスクレーン
-
魔王信長
-
ククルカン
-
ジャンヌ(オルタ・メタ含む)
-
ネロ
-
アルテラ
-
源氏鯖(頼光・義経・巴)
-
河上彦斎
-
いっそのことカルデア入り
-
その他(活動報告欄で入力)
-
それって、貴方の癖ですよね?