ヒールが痛いとパーティーを追い出されたヒーラーは痛み無効の獣人少女とのんびりできるところを探します   作:犬型大

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ギルドからの依頼4

「この辺りで活動なされている方でないことは理解しております。ですがもしスケジュールに余裕があるようでしたらお願いしたいのです」

 

「お話は分かりました」

 

 スケジュールにまだもう少し余裕はある。

 多少ギリギリな感じはあるもののやってできないことではないとエイルは頭の中で考える。

 

「どうする?」

 

 エイルはミツナにも意見を求める。

 二人で動くのだからミツナの意見も当然大事である。

 

「うーん……やってもいいしやらなくてもいいって感じかな?」

 

 積極的に引き受けたい仕事でもないが引き受けるのが嫌だという仕事でもない。

 ようするにあまり興味はないということである。

 

「まあそうだよな」

 

 あっけらかんと答えるミツナにもエイルも苦笑してしまうが正直な話エイルも同じような感想である。

 受けても受けなくてもいい依頼。

 

 国を離れるつもりなのだからここで冒険者ギルドや依頼主である貴族に恩を売ってもあまり利益はない。

 護衛依頼までの時間を埋めるのにはちょうどいいかもしれないが、時間的に余裕が少ないことも気になる。

 

「でも困ってるなら受けてもいいんじゃない? ……なに、その顔?」

 

 ミツナの言葉にエイルは驚いたように目を見開いた。

 そんな意見が出てくるなんて少し意外であった。

 

「ミツナがそんなふうに言うとは思わなかったから」

 

「べ、別にそんな……エイルならそういうかなって……」

 

 ミツナは頬を赤らめてそっぽを向いてしまう。

 最終的に困っているのならとエイルは依頼を引き受けてしまいそうだとミツナは思った。

 

 誰かが困ってるなら助ける。

 悪くない考えであるとミツナも思う。

 

 面倒だし神迷の獣人だからと煙たがれるから自ら誰かを助けることはあまりないだろうけど、エイルと一緒ならそれもいいかもしれないと少しだけ考えた。

 

「依頼、お引き受けします」

 

「よろしいのですか?」

 

「ただあまり期待しないでください。ボムバードと戦うのは初めてなので上手くいくか分かりません」

 

 ミツナも少し変わろうとしている。

 それならこの依頼は受けてみようとエイルは思った。

 

 ボムバードという魔物を相手にしたことがなくタチーノが期待するような成果が得られるかは自信がない。

 それでもエイルとミツナの能力を持ってすれば可能性はある。

 

「構いません。上手くいけばありがたい……上手くいかなきゃ頭を下げることにします」

 

 タチーノは苦々しく笑う。

 もっと早くから依頼を出してくれればとか思わなくないが、無理な依頼でもないので依頼主に文句は言えない。

 

 依頼が失敗するなんてこともよくある事なのでダメでもエイルたちに責任を負わせるつもりはなかった。

 

「よければボムバードの詳細な情報をお願いします。生態、生息域、必要な羽の数なんかを」

 

「分かりました。情報はまとめてあるので持ってきます」

 

 タチーノが部屋を出ていく。

 

「……ほんとによかったのか?」

 

 やってみればいいと言ったことが結局決め手になった。

 ワガママな意見に聞こえてしまったのではないかとミツナは不安になった。

 

「いいさ。失敗してもここは離れるし、上手くいけば時間を潰しつつ割りの良い仕事になりそうだ」

 

 エイルはテーブルに置かれた依頼書を手に取った。

 綺麗なボムバードの羽が必要ということで依頼料は割と高めに設定されている。

 

 上手くボムバードを倒すことができるのなら報酬として考えれば割りのいい仕事ではあった。

 

「これは二人で決めたことだ。そんなに不安そうな顔をしなくても大丈夫だよ」

 

 ミツナの考えていた通り、このまま意見がないようならエイルは依頼を引き受けていた。

 ミツナの意見がやりたくもない依頼を引き受けさせたのではない。

 

 ふと不安げにしているミツナをどうにかしたくてエイルは頭を撫でてみた。

 

「あっ、ごめん……」

 

「ううん、あまり嫌じゃないから大丈夫」

 

 ほとんど無意識に手を伸ばしていてエイルは嫌だっただろうかとすぐにやめてしまったが、ミツナはほんの少し名残惜しそうに思っていたのであった。

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