ヒールが痛いとパーティーを追い出されたヒーラーは痛み無効の獣人少女とのんびりできるところを探します   作:犬型大

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巡り巡って1

「本当にありがとうございます! 納品されたボムバードの品質もかなり良く、想定以上でした」

 

 最終的に12羽のボムバードを倒すことに成功した。

 ミツナの動きも洗練されていってボムバードに確実に攻撃を当てられるようになった。

 

 エイルもミツナに合わせて動線が重ならないように動いてボムバードの治療を持って気を失わせた。

 上手くいってミツナが深く傷つけてエイルの治療によってそのまま死んでしまったボムバードまでいたぐらいである。

 

 ミツナが攻撃したことで切れてしまった羽もあるけれど、そんなもの全体から見ればわずかであり損傷がないのと変わりない。

 これまで納品されたどのボムバードよりも綺麗でどの人よりも数が多くてタチーノは満面の笑みを浮かべていた。

 

 これでボムバードの羽を納品することができて胸のつかえがとれたようだった。

 

「ご依頼金、私のポケットマネーから上乗せいたします。ボムバードの羽の清算はもう少しだけお待ちください。全体的に綺麗なので多くの量が取れるでしょう」

 

「分かりました。どれぐらいかかりますか?」

 

「いつまでご滞在なされるつもりで?」

 

「明後日の護衛依頼で出発する予定でした」

 

 気づけば護衛の依頼も間近に迫っていた。

 明日準備をして明後日には護衛依頼で町を離れるつもりである。

 

「そうですか……でしたら作業を急がせて明日にはご清算できるようにいたします」

 

「すいません、急がせて」

 

「いえ、こちらがお願いしたことですから」

 

「それでは失礼します」

 

 なんとか依頼を成功させることができた。

 依頼の報酬はボムバードの素材の精算金とまとめて受け取ることにして冒険者ギルドを出た。

 

「機嫌良さそうだな」

 

 エイルの横を歩くミツナの尻尾はゆらゆらと揺られている。

 尻尾の様子を見てエイルはミツナの機嫌が良さそうだと感じていた。

 

「ふふん、今回のことは私がいなきゃあ厳しかったな、と思ってね!」

 

 爆発に巻き込まれてからのミツナはすごかった。

 コツを掴んだようにボムバードが気づくギリギリまで近寄って一気に攻撃を決めていた。

 

 それまでの失敗がウソのように次々とボムバードへの攻撃を成功させて投げナイフはどうだろうかと考えていたのも必要なくなったぐらいだった。

 成功するに連れてミツナも自信を取り戻したように元気になった。

 

「エイルには私が必要ってことなんだよね〜」

 

「ふふっ」

 

「なに!」

 

「いや、別にバカにしたわけじゃなくて、確かにミツナがいてくれて良かったなって思ってさ」

 

 一人旅だったらどうだろうか。

 気楽で、さっさと移動できて、でもきっと寂しさを抱えて、クビになったことを思い出しながら旅をしていたことだろう。

 

 ミツナと二人だと二人なりの大変さはあるけれど今のところクビになったことをあまり思い出したりしない。

 遠慮なくビールをして治してあげられることもエイルの心を軽くしていた。

 

 怪我はしてほしくないけど怪我をしても治せる、治してあげられることはヒーラーとしての本分を満たしてくれる。

 

「いてくれてありがとう」

 

「……ん、私こそありがと」

 

 大きく揺られていた尻尾が細かく揺れに変わる。

 

「あとはどっか良い場所見つかればいいな」

 

「そうだね」

 

 ーーーーー

 

「実はご報告しなければならないことが」

 

「……何かあったんですか?」

 

 護衛依頼のために色々と買い込んで、その後冒険者ギルドを訪れた。

 会議室に通されてタチーノが対応してくれたのだけど少し顔色が暗い。

 

「まずはお金の精算から始めましょう。羽は綺麗で品質も良く、結構な数が取れました。加えて尾羽や冠羽などの希少な羽も全てのボムバードから回収できました。当然肉も綺麗に取れましてボムバードの半分は羽を所望していた貴族が買い取ってくれることになりました」

 

 ボムバードはほとんど損傷なく全身を利用することができた。

 綺麗な品質のボムバードは食べる上でも評価が高く、羽が手に入ったことを報告するとそのまま肉としても買ってくれることになった。

 

「羽や肉などすぐに買取先が見つかるでしょう。解体や販売の手数料を差し引かせていただきましてこちらの金額となります」

 

 タチーノはテーブルに置いてあった二つの袋のうち一つを手に取ると中身を取り出した。

 袋の中身はお金で、十枚ずつ重ねて四つの山をエイルの前に置く。

 

「そしてこちらが今回のご依頼の報酬です」

 

 次はもう一つの袋から十枚の山を二つ取り出す。

 ミツナが首を半開きにした驚きの顔でお金を見つめている。

 

 最低金額の少額貨幣ではなくそれよりも一つ上の貨幣が並んでいる。

 冒険者として活動して一度にこんな金額をもらったことなど初めてであった。

 

 エイルも多少内心では驚いていた。

 成功すれば割りがいい仕事になるだろうと予想はしていたが想像を結構上回っていい金額となっている。

 

 エイルがタチーノのことを見るとニコリと笑顔を返してきた。

 かなり金額面で優遇してくれたことは間違いない。

 

「こちらギルド預かりで、こちらは持って帰ります」

 

 全ての硬貨を持っていくのはじゃらじゃらして重たい。

 だからエイルは四十枚をギルドに預けて残り二十枚を持っていくとにした。

 

 ギルドに預けておけば他の冒険者ギルドの支部でもお金を引き出すことができるのだ。

 大きな金額を持って歩くのは狙われるリスクにもなるしある程度の金額だけ持って預けておくのが正しい判断である。

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