神様、あなたの推しを配信します~ダンジョンの中を配信するので俺にも世界を救えるように投げ銭ください~   作:犬型大

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一人目を探せ1

 マサキは歩きながら回帰前の記憶を呼び起こす。

 単に配信するだけでなく利用できる事件なり出来事なりあれば先回りしたいところである。

 

 配信しろとは言われたけれど回帰前の知識を使ってはいけないとは言われていない。

 マサキだって旨味は欲しい。

 

 それにこれから起こっていく世界の変化を考えると少しでも強くなりたいのだ。

 

「なんか使えそうなものはないかな……」

 

 色々と出来事がありすぎた。

 今の時期のことだとそんなに大きな事件も少なく記憶に残っているようなことがあまりない。

 

 あとでメモでもしながら思い出してみないとなと小さくため息をついた。

 そうして歩いていると武蔵原女子大まで着いた。

 

 着いたのはいいのだけど用もないのに女子大周りでウロウロしていては明らかに不審者である。

 人探しが目的だけどジロジロと女子大生を眺めて探してたら絶対に公権力に逮捕される。

 

 とりあえず武蔵原女子大の前を通り過ぎ、キラキラした女子大生になんとかレイはいないかと視界の端で探す。

 かなり大きい大学で学部も多いので人がかなりいる。

 

 さらにはみんな若くて希望に満ちていて当然ながら戦闘に適した服なんか着ていない。

 マサキの記憶の中のレイは綺レイな女性であったが状況が状況なだけに化粧などはしておらず、いつでも戦いに行けるような服装をしていた。

 

 顔の造形が大きく変わるようなことはないだろうけど服装や化粧、年齢的なところで印象が変わってしまうこともある。

 そうなった時に見た目でパッと探すことができるだろうかと疑問が湧いた。

 

 とりあえず目についた喫茶店に入った。

 年配のマスターらしき人とバイトだろうか若い女子大生ぐらいの女の子がやっていた。

 

 窓際の席に座って軽くつまめるサンドイッチと紅茶を注文する。

 古そうな雰囲気があるけれど店内は小綺レイで非常にいい感じである。

 

 なんとなく見つけられるだろうという気で来てみたけれど甘かった。

 現段階ではマサキが一方的に女子大にいることを知っているだけで連絡を取る手段も個人をより特定する情報もない。

 

 これが共学なら学部は分かるので進入して教室を探すなり出来るのだけど女子大を男はうろつけない。

 ほんのりと湯気の上がる紅茶の表面を眺めながら記憶を探る。

 

 何かヒントはないか。

 レイという個人を特定するに足る話はなかったか思い出そうとしてみる。

 

「聞いてくださいよ、店長。私の友達がストーカーにあってて……」

 

 昼時は完全に過ぎてしまっているので店内の客はマサキともう1人ぐらいしかいない。

 そんなに声のボリュームが大きくなくても店員の声が聞こえてきてしまった。

 

 ストーカーという言葉に何故か引っかかりを覚えた。

 どこかで聞いた気がする。

 

「ストーカー……武蔵原公園……」

 

 思い出した。

 マサキは温くなり始めた紅茶を一気に飲んだ。

 

「いや……」

 

 思い出したことを利用するためにそれを探しに行こうと思った。

 しかしそこでさらに思い直した。

 

 わざわざ足で探すことはない。

 

「すいません」

 

「はーい」

 

「オレンジジュース一つ」

 

「はい」

 

 まずスマホで探せばいい。

 紅茶を下げてもらってマサキはスマホの地図アプリを起動する。

 

 探すのは武蔵原公園という場所。

 地図で調べると武蔵原女子大のほど近くにそこそこ大きな公園があった。

 

 思っていたよりもあっさり見つかった。

 オレンジジュースをのんびりと飲み干したマサキは武蔵原公園に向かった。

 

 都心部に存在する多少自然もある広い公園が武蔵原公園であり、市民の憩いの場ともなっている。

 ここに来たのはレイとの話の中で武蔵原公園のことも出たからである。

 

 レイはストーカーに悩まされていた。

 そうした話をしていた。

 

 覚醒する前のレイは別の大学に通う高校時代の知り合いのストーカーがいた。

 直接何かをされたのではないがずっと後をつけてくる気味の悪さがあったそうだ。

 

 ある時にそのストーカーがとうとう手を出そうとしてきたのだけどそこでレイは覚醒した。

 ストーカーの男性をボコボコにして警察に引き渡してレイは覚醒者としての人生を歩み始めることになる。

 

 覚醒してストーカーをボコボコにしたのが武蔵原公園だった。

 帰り道にあるので良く通っていたとレイが話していたこともついでに思い出してきた。

 

 しかし武蔵原公園は昼間は穏やかで普通の公園なのであるが、週末の夜になると多少乱れた場と変わる。

 あまり安全とは言えなくなってしまうのである。

 

 レイは大学で用があって遅れてしまった。

 さらにたまたま運悪く連休前で人の雰囲気も緩かった。

 

 そんな雰囲気にストーカーが当てられて回帰前はレイに手を出そうとしたのかもしれない。

 

「何にしてもレイがこの公園を通る可能性が高い」

 

 大学を探せないのなら大学の外で探すしかない。

 公園を通る可能性が高いのなら公園を通る女子大生ならレイを探し出す。

 

 ただ昼間から公園にずっといるのもリスクは高い。

 武蔵原女子大のホームページを見たら詳細な授業スケジュールは見られなかったけれど、授業が何時から何時までなのかは書いていた。

 

 どこかで時間を潰して授業終わりの時間を狙って公園に来ることにした。

 

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